Legendary Piano Recordings - アニー・フィッシャー名演集(10CD)
ハンガリーの名ピアニスト、アニー・フィッシャー[1914-1995]は、幼少からピアノの才能をあらわし、8歳でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を演奏、翌年、9歳でフランツ・リスト音楽院に入学しています。音楽院では、リストの流れを汲むアルノルド・セーケイやエルンスト・フォン・ドホナーニらに師事しており、その後、19歳でリスト・ピアノ・コンクールに優勝、以後はヨーロッパ各地で活躍するようになります。
戦時中はスウェーデンに戦禍を逃れていましたが、戦後ブダペストに戻ると、夫のアラダール・トートがブダペスト歌劇場芸術監督に就任、トートがオットー・クレンペラーを音楽監督に招いた繋がりもあって、アニー・フィッシャーはクレンペラーと親交をもつようになり、クレンペラーがブダペストを離れた後も、ロンドンやアムステルダムで共演していました。
リスト・コンクールに優勝したアニー・フィッシャーは、リストのほか、モーツァルトやシューマン、ベートーヴェン、バルトークの演奏でも高い評価を受けており、その演奏はリヒテルなども称賛、ショルティはハンガリー最高のピアニストと称えていました。
アニー・フィッシャーは、生涯ブダペストを拠点として活動していたため、遺されたレコーディングは少ないのですが、ここでは彼女がEMIでおこなったレコーディングやライヴ録音を中心に集めています。
ボールト、サヴァリッシュと録音したモーツァルトのピアノ協奏曲は昔から定評がありますし、クレンペラーと録音したリストのピアノ協奏曲でのロマンティックで堂々とした味わいも魅力的で、マルケヴィチとのバルトークのピアノ協奏曲第3番も美しい仕上がりとなっていました。独奏曲では、アビーロード・スタジオで録音したベートーヴェン、シューベルト、シューマンが収められており、アニー・フィッシャーの詩情豊かな演奏を味わうことができます。
また、ライヴ録音は、クレンペラーとのブランデンブルク協奏曲第5番のほか、シューマンのピアノ協奏曲をジュリーニとロスバウトの2種類収録するなど興味深いものとなっています。(HMV)
【収録情報】
Disc1
● モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 K.467、第22番 K.482
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮、フィルハーモニア管弦楽団
1958年録音
Disc2
● モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 K.466、第23番 K.488
エードリアン・ボールト指揮、フィルハーモニア管弦楽団
1959年録音
Disc3
● シューベルト:即興曲 D.935-2、D.935-4、ピアノ・ソナタ第21番 D.960
1960年録音
Disc4
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番『悲愴』、第14番『月光』、第18番、第24番
1958年、1959年、1961年録音
Disc5
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番『ワルトシュタイン』、第30番、第32番
1957年、1958年、1961年録音
Disc6
● ベートーヴェン:エロイカ変奏曲 Op.35、ピアノ・ソナタ第14番『月光』
1957年、1958年録音
● シューマン:ピアノ協奏曲 Op.54
ハンス・ロスバウト指揮、南西ドイツ放送交響楽団
1959年録音
Disc7
● J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番
オットー・クレンペラー指揮、ハンガリー放送交響楽団
1949年、1950年録音
● ハイドン:アンダンテと変奏曲 Hob.XVII:6
● ショパン:スケルツォ第3番
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番
1958年、1957年録音
Disc8
● リスト:ピアノ協奏曲第1番
オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団
1960年、1962年録音
● バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
イーゴリ・マルケヴィチ指揮、ロンドン交響楽団
1955年録音
シューマン:ピアノ協奏曲 Op.54
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団
1960年ライヴ録音
Disc9
● シューマン:幻想曲 Op.17、謝肉祭 Op.9
1958年、1959年録音
Disc10
● ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番
● バルトーク:15のハンガリーの農民の歌
● リスト:ため息、パガニーニによる大練習曲より第6番
● ドホナーニ:4つの狂詩曲より第3番
1961年8月27日ライヴ録音
アニー・フィッシャー(ピアノ)