ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者、ダニエル・オッテンザマー
久々のソロ・アルバムは、北欧のニールセンとグリーグ
名門ウィーン・フィルの首席奏者をつとめる若きクラリネットの俊英、ダニエル・オッテンザマーによる、ニールセンのクラリネット協奏曲と、クラリネット用にアレンジしたグリーグの抒情小曲集を組み合わせたノルデイック・アルバム。
オッテンザマー家は、ダニエルの父の故エルンスト(前ウィーン・フィル首席奏者)、弟のアンドレアス(ベルリン・フィル首席奏者)と共にクラリネット奏者一家としても知られ、ダニエルはウィーン・フィルほかのメンバーと結成した「フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン」のリーダーとしても認知度が高まっています。音楽的に恵まれた環境でウィーンの伝統をたっぷりと吸収して育ち、ウラッハ、ボスコフスキー、プリンツらに代表されてきたクラリネットのウィーン楽派を21世紀に継承する名手が、北欧音楽の抒情性をクローズアップしたアルバムです。
管楽器が好きだったニールセンは1921〜22年にかけて木管五重奏曲を書き、その直後にその5つの管楽器のためのソロ協奏曲を書き始めましたが、体調の悪化もあって結局完成したのはフルート協奏曲とクラリネット協奏曲だけでした。ニールセンのクラリネット協奏曲の多くの部分は、ヘ長調とホ長調という2つの主調の間の、はっきりと聴き取れる対比で構成されており、オーケストラも室内楽的な編成でファゴットとホルンのソロ的なパッセージが目立つほか、スネアドラムも活躍します。独奏パートは演奏至難で、必然的にクラリネット界に新たな技術的基準をもたらすことになりました。このアルバムでは、ニールセンの作品をもう1曲、若書きの『クラリネットとピアノのための幻想曲』がふくまれています。
グリーグが、38年の歳月をかけて書き上げた全10巻66曲のピアノ小品からなる『抒情小曲集』。北欧の民俗的な要素を取り上げ、心に迫るメランコリックなムードに包まれた名品揃い。オッテンザマーは、音や構造の点で、もともとクラリネットとピアノのために作曲された可能性のある作品を選び、いくつかの作品には、クラリネットの対旋律を自由に加えています。
オッテンザマーはこのアルバムについて以下のように語っています。
「グリーグとニールセンの北欧音楽、そしてそれぞれの作曲家が傑作の基礎とした北欧の民俗音楽に、私は幼い頃から魅了されてきました。ニールセンの込み入ったクラリネット協奏曲と、シンプルで素朴な中に深い感動を覚えるグリーグの抒情的な作品を並べることで、北欧音楽のさまざまな側面、そして関連するクラリネットの異なる音色に光を当てたいと考えました。
長年にわたり首席クラリネット奏者を務めてきたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とソリストとして共演することは実に特別なことです。オーケストラの同僚や、マエストロ、アダム・フィッシャーの音楽的なサポートは心に残るもので、この演奏をCDに収録できたことに感謝しています。ピアニストのクリストフ・トラクスラーとは、15年来の音楽的なつながりがあり、深い友情に基づいて、グリーグの『抒情小曲集』を共同で編曲しています。」(輸入元情報)
【収録情報】
● ニールセン:クラリネット協奏曲 Op.57
ダニエル・オッテンザマー(クラリネット)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
アダム・フィッシャー(指揮)
録音時期:2014年4月27日
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
● グリーグ:『抒情小曲集』より(オッテンザマー&トラクスラー編)
愛の歌 Op.43-5
夢想 Op.62-5
余韻 Op.71-7
ノルウェーの農民行進曲 Op.54-2
メロディ Op.47-3
トロルの行進 Op.54-3
故郷にて Op.43-3
山の夕べ Op.68-4
夜想曲 Op.54-4
郷愁 Op.57-6
トロルドハウゲンの婚礼の日 Op.65-6
● ニールセン:クラリネットとピアノのための幻想曲
● グリーグ:過ぎにし春〜2つの悲しき旋律 Op.34-2(オッテンザマー&トラクスラー編)
ダニエル・オッテンザマー(クラリネット)
クリストフ・トラクスラー(ピアノ)
録音時期:2021年8月5日
録音場所:ウィーン、ローレライザール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)