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【ストーリー】
二十世紀末の現在。ローマの撮影所チネチッタに映画監督“A”(ウィレム・デフォー)がやってくる。彼は、ある理由により中断していた撮影を再開しようとしていた。ベルリンを舞台に、歴史的事件と彼の両親のパーソナルな人生との関係を描こうとするその作品の完成は困難を極めていた。“A”が語ろうとする物語、そして彼の両親の実際の物語が互いに溶け合いながら、詩的に綴られていく。
“A”の母親エレニ(イレーヌ・ジャコブ)は、女子大生の時、秘密警察に逮捕され、テサロニキ収監所に送られた。女性囚人と共に脱走した彼女は、恋人のスピロス(ミシェル・ピッコリ)と離れ離れになってしまう。
1953年4月27日、スピロスはギリシャ難民の町テミルタウに辿り着く。そこでエレニは、イスラエル難民ヤコブ(ブルーノ・ガンツ)と共に集会に参加していた。ようやく再会しお互いの愛を確認するエレニとスピロス。しかし、スターリン死去による民衆の混乱のなか、二人は逮捕され、別々の車でシベリアへと送られた。エレニとの親しい関係を咎められたヤコブもまた、彼女の後を追うようにシベリアへと送られる。ヤコブは、彼女の苦境を支える友となる。
エレニとスピロスの間に生まれた息子は、ヤコブの姉ラケルの協力により、モスクワへと逃れる。スピロスもまた、交換出獄によって海外へと逃れた。1974年12月31日、エレニはヤコブと共についにオーストリアへと越境に成功。彼女は、スピロスのいるアメリカへと向かう。一方、イスラエルへの帰郷を夢見ていたヤコブも、彼女への愛を断ち切りがたく、共にニューヨークへと向かうことになる。
エレニは、ニューヨークでスピロスの居場所を探し続ける。しかし、ようやく見つけた彼は見知らぬ女性と暮らしていた。茫然自失のエレニはカナダへと向かう。そこで、徴兵忌避のために滞在していた息子“A”と再会する。
再び現在。家族の物語を映画にしようとする“A”は、ベルリンでエレニ、スピロス、ヤコブの三人とついに再会する。だが、“A”もまた決して順風満帆な人生を送っていた訳ではない。妻ヘルガ(クリスティアーネ・パウル)との別離を契機に、娘エレニが激しい抑鬱に悩まされていたのだ。彼女が自殺を試みることで、全員の人生は単なる過去の思い出にとどまるのではなく、まさに現在の問題へと重なっていくことになる。動乱の二十世紀は、今まさに終わりを告げようとしていた。
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