7 Gatsu 24 Ka Dori No Christamas

地味で平凡、彼氏なし。生まれ育った長崎で単調な毎日を送る市役所勤めの目立たない女の子・サユリ（中谷美紀）は、妄想の中でポルトガルのリスボンに暮らし、出会う男性に“自分だけの王子様ランキング”をつけて退屈な日常をやり過ごしている。彼女にとって、唯一の自慢は、超美男子の弟・耕治（阿部力）だけ。あまりに恋愛に縁がない日々を送るサユリに、普段は呑気な父・吾郎（小日向文世）もヤキモキしはじめ、父のガールフレンド・海原（YOU）はあれこれと恋愛アドバイスをする。だが当のサユリは「現実の恋なんか興味ない」と相変わらず妄想な毎日を過ごしている。

クリスマスを1ヵ月後に控えたある日のこと。大学時代の演劇部の先輩・亜希子（川原亜矢子）と職場の上司・譲（沢村一樹）夫妻の自宅に招かれたサユリは、長年にわたり王子様ランキング1位を独走中の憧れの先輩・聡史（大沢たかお）が、近々開かれる予定のOB会に出席することを知る。聡史は、亜希子の元カレで、今は東京で成功を収めているライティングデザイナー。自著のサイン会のために長崎に戻ってくるのだ。

OB会に向かう路面電車の中で、サユリは聡史と偶然再会する。そのままふたりで、カップルのように会場に入っていくものの、中にいたOB達はサユリには目もくれず、聡史の周りを取り囲む。サユリに話しかけてきたのは、かつての地味なダメ男から大変身を遂げ、キザなホストになった真木（劇団ひとり）だけ。その後、一瞬、聡史とサユリがいい雰囲気になった……気がしたのもつかの間。完璧にドレスアップして現れた亜希子と時が止まったように見つめあう聡史の姿を見て、サユリはすっかり落ち込む。

サユリが帰宅すると、自宅の喫茶店「本田館」に、耕治が連れてきた恋人・メグミ（上野樹里）がいた。メグミは、まるでクリスマスの飾りつけ前のもみの木のような地味な女の子。その冴えないムードが自分にそっくりで、美男子の耕治とはつりあわないと憤るサユリ。

そんな折、幼なじみの漫画オタク・森山（佐藤隆太）が働く書店で聡史のサイン会が開かれる。森山には「行かない」と言っていたサユリだが、結局、列に並んでしまう。その後、サユリは聡史と一緒に帰ることになり、しかもデートに誘われて完全に浮かれモード。雑誌やメイク道具を買い込み、MOTE女を目指してひとり熱心に研究を始める。

聡史とサユリは、記念すべき初デートで、演劇部の後輩たちが舞台準備をしている大学の講堂にやって来る。後輩にライティングを指導する聡史の姿をまぶしそうに見つめるサユリ。かたや、舞台でスポットライトを浴びるサユリの魅力に改めて気づく聡史。

昔からサユリのことが好きだった森山は、舞い上がるサユリを見て複雑な気持ち。自作のパラパラ漫画に想いを託し、愛を告白する。突然の出来事に戸惑いながらも、聡史とのデートに出かけるサユリ。しかし、遅れてやってきた聡史が亜希子と会っていたことに気づく……。

聡史と森山。妄想のリスボンと現実の長崎のはざまで揺れ動く、サユリのはじめてのクリスマスの行方は……？