「クラシックは人気曲から聴け!」――膨大なレパートリーから最もよく演奏される曲や作曲家の代表作を取り上げて執筆者ならではの聴き方にこだわった評価は、「曲の価値は聴く人間次第」だということを実証する。自分流の聴き方へと誘う絶好の曲目解説集。
●サイズ13×19cm 240ページ
【目次】
まえがき
第1章 クラシックは人気曲から聴け!
クラシックの王道、交響曲
ト短調交響曲の不思議●モーツァルト『交響曲第40番ト短調』
すべての苦労人を熱くした佳曲●ベートーヴェン『交響曲第5番ハ短調「運命」』
この重さ、ダサさ、イケてなさがジンとくる●ブラームス『交響曲第1番ハ短調』
大人になることを拒んだ音楽家の永遠に完成しない音楽●シューベルト『交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」』
感情を主人公に据えたペシミスティックなドラマ●チャイコフスキー『交響曲第6番ロ短調「悲愴」』
超有名曲『新世界より』、その人気の理由●ドヴォルザーク『交響曲第9番ホ短調「新世界より」』
神秘と論理の壮麗な構築物●ブルックナー『交響曲第8番ハ短調』
自然の音を聴く作曲家の出世作●マーラー『交響曲第1番ニ長調「巨人」』
ゴージャスさを極める●サン=サーンス『交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」』
ボーヨーとして民主的な交響曲●シベリウス『交響曲第2番ニ長調』
表現の自由を許さない社会で音楽はどこまで真実か?●ショスタコーヴィチ『交響曲第5番ニ短調』
ソロ楽器とオーケストラ、協奏曲!?さまざま
春もうららの写実主義●ヴィヴァルディ『四季』
バロック協奏曲の詰め合わせ●バッハ『ブランデンブルク協奏曲』
最も完璧なヴァイオリン協奏曲●メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』
カリヨンの響きから湧き出る望郷と感傷の奔流●ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番ハ短調』
自己肯定の甘さが現代風よ●ガーシュイン『ピアノ協奏曲ヘ調』
昔はギター教室のメシの種●ロドリーゴ『アランフェス協奏曲』
情景や舞台を想像しながら聴く。オーケストラの楽しみ
ラヴェルの見事な編曲版と原曲版の魅力●ムソルグスキー『展覧会の絵』(ラヴェル編曲版/原曲版)
イデー・フィクスに思いを寄せるドン・キホーテ●ベルリオーズ『幻想交響曲』
20世紀「最強」の音楽●ストラヴィンスキー『春の祭典』
「反復と差異」の驚異●ラヴェル『ボレロ』
幻想と現実のはざまで●ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』
占星術のイメージを表現した太陽系の響き●ホルスト『惑星』
極彩色の美の極み●リムスキー=コルサコフ『シェエラザード』
全曲が聴かれない有名曲●シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』
諧謔と懐古の情を味わう●バルトーク『管弦楽のための協奏曲』
ビッグになりたい若者のバイブル●グリーグ『ペール・ギュント』
ピアノが紡ぐ夢とファンタジー
ソナタ楽章のないソナタのキモは変奏曲●モーツァルト『ピアノ・ソナタ第11番イ長調』
この不吉な調べをキミは知るか●ショパン『ピアノ・ソナタ第2番変ロ長調「葬送行進曲付き」』
子供の情景は大人の憧憬である●シューマン『子供の情景』
聖と俗の二面体ソナタ●リスト『ピアノ・ソナタ ロ短調』
オペラに聴く愛さまざま
ワガママ女の自業自得人生●ビゼー『カルメン』
娼婦が恋してどこが悪い●ヴェルディ『椿姫(ラ・トラヴィアータ)』
ロマン主義の極致●ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』
ああ、これが青春だ●プッチーニ『ボエーム』
第2章 大作曲家の厳選3曲
バッハ
フランス風序曲と世俗舞曲の融合が開く音楽史●『管弦楽組曲』
カタルシスなき「癒やし」の音楽●『マタイ受難曲』
一つのヴァイオリンが対位法の極限に挑むアクロバット●『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』
バルトーク
ギスギスしたもの●『弦楽四重奏曲第4番』
ピシピシしたもの●『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』
ドロドロしたもの●『青ひげ公の城』
ベートーヴェン
人類愛を真摯に問う交響曲であるはずなのですが……●『交響曲第9番ニ短調「合唱付き」』
作品を有名にするタイトルのつけ方とは?●『ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」』
理想と現実のはざまに生きる人間ベートーヴェン●『弦楽四重奏曲第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」』
ブラームス
最もブラームスな交響曲●『交響曲第3番ヘ長調』
最もブラームスらしくない管弦楽曲●『セレナード第1番』
いかにもブラームスな宗教曲●『ドイツ・レクイエム』
ブルックナー
ホルンがいざなうロマンの世界●『交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」』
複雑きわまりない構築物●『交響曲第5番変ロ長調』
ブルックナーの名を世界に知らしめた成功作●『交響曲第7番ホ長調』
ショパン
軟弱は見かけだけ●『夜想曲(ノクターン)』
ピアノ協奏曲の王様●『ピアノ協奏曲第1番』
孤独な男の必殺バラード●『バラード』
ドビュッシー
モノゴトはシンボル化して描け●『管弦楽のための3つの交響的素描「海」』
モノゴトをなまなましさから解放せよ●『ペレアスとメリザンド』
モノゴトは簡潔に語れ●『ステファヌ・マラルメの3つの詩』
ドヴォルザーク
ドヴォルザークがブラームスを意識する……●『交響曲第7番ニ短調』
チェロ協奏曲の最高傑作の名に恥じぬ名曲●『チェロ協奏曲ロ短調』
ソナタ形式から脱した国民楽派の室内楽の頂点●『ピアノ三重奏曲第4番ホ短調「ドゥムキー」』
ほか
目次 : まえがき / 第1章 クラシックは人気曲から聴け! / クラシックの王道、交響曲 / ソロ楽器とオーケストラ、協奏曲!?さまざま / 情景や舞台を想像しながら聴く。オーケストラの楽しみ / ピアノが紡ぐ夢とファンタジー / オペラに聴く愛さまざま / 第2章 大作曲家の厳選3曲 / 第3章 音楽史をつくった名曲 / 第4章 ジャンルで聴くクラシック / オーケストラ編(大ホール向き) / 器楽・室内楽篇(中小ホール向き) / オペラ・声楽篇 / あとがき
【著者紹介】
許光俊 : 1965年、東京都生まれ。慶応義塾大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(「BOOK」データベースより)