『弦楽四重奏曲の父』の尽きせぬ創意とフルートとの出会い
「交響曲の父」の綽名に加え、弦楽四重奏曲の地位向上と発展にもいち早く寄与し「弦楽四重奏曲の父」とも呼ばれてきたハイドン。管楽器はあまり室内楽で活用しなかったものの、当時特にフルートはヴァイオリン属と並んでアマチュア演奏家に人気だったため、多くの作品がフルートを用いた三重奏編成のために編曲されてきました。また後年ロンドンに渡ってからは、この楽器を愛好するパトロンたちのためにハイドン自らフルート三重奏曲を作曲、4曲が「ロンドン・トリオ」の名で広く知られています。
ここではフランス語圏の第一線で活躍する名手たちが、18世紀当時の編曲を含むそれらハイドンのフルート向け三重奏曲をCD3枚にわたり全曲録音。作曲家の主君エステルハージ侯ニコラウスが弾くバリトン(共鳴弦を多数備えたヴィオラ・ダ・ガンバの一種)のパートを伴う無数の三重奏曲からの編曲群、またピアノ三重奏曲のヴァイオリン・パートをフルートで演奏できるようにした3曲、作曲家自身の渡航前からロンドンで出回っていたディヴェルティメント群など、さまざまな活躍期にわたり個々に特徴的な音楽を書いたハイドンならではの音使いの魅力を十全に楽しめるようになっています。
使用楽器も作曲年代と作風を踏まえて選ばれており、特にフルートはキーが1つだけのモデルと8つのモデルを使い分け、この管楽器の転換期ならではの味わいも楽しめるようになっています。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
ハイドン:
● フルート、ヴァイオリンとチェロのためのディヴェルティメント(三重奏曲) Op.38
1. 三重奏曲第1番ニ長調 Hob.IV:6
2. 三重奏曲第2番ト長調 Hob.IV:7
3. 三重奏曲第3番ハ長調 Hob.IV:8
4. 三重奏曲第4番ト長調 Hob.IV:9
5. 三重奏曲第5番イ長調 Hob.IV:10
6. 三重奏曲第6番ニ長調 Hob.IV:11
● ピアノ三重奏曲からの編曲
7. フルート、チェロとピアノのための三重奏曲ト長調 Hob.XV:15(ピアノ三重奏曲 Op.67-1)
Disc2
8. フルート、チェロとピアノのための三重奏曲ニ長調 Hob.XV:16(ピアノ三重奏曲 Op.67-2)
9. フルート、チェロとピアノのための三重奏曲ヘ長調 Hob.XV:17(ピアノ三重奏曲 Op.73)
● 2つのフルートとチェロのための三重奏曲(ロンドン三重奏曲集)Hob.IV:1-4
10. 三重奏曲ハ長調 Hob.IV:1
11. 三重奏曲ト長調 Hob.IV:2
12. 三重奏曲ト長調 Hob.IV:3
13. 三重奏曲ニ長調 Hob.IV:4
Disc3
● バリトン三重奏曲に基づくフルート、ヴァイオリンとチェロのための編曲
14. 三重奏曲ニ長調(原調:ハ長調) Hob.XI:109
15. 三重奏曲ト長調(原調:ニ長調) Hob.XI:118
16. 三重奏曲ト長調(原調:ヘ長調) Hob.XI:100
17. 三重奏曲ニ長調(原調:ハ長調) Hob.XI:82
18. 三重奏曲ハ長調(原調:イ長調) Hob.XI:103
19. 三重奏曲ニ長調(原調:ハ長調) Hob.XI:110
レ・キュリオシテ・エステティーク(古楽器使用)
ジャン=ピエール・ピネ(フラウト・トラヴェルソ)
ヴァレリー・バルサ(フラウト・トラヴェルソ:10-13)
シリエル・エベラール(ヴァイオリン:1-6,14-19)
セシル・ヴェロル(チェロ:1-6,14-19)
エティエンヌ・マンゴ(チェロ:7-13)
アリーヌ・ジルベライシュ(フォルテピアノ:7-13)
録音時期:2014年、2021〜2022年
録音場所:フランス東部ロレーヌ地方、シテ・ミュジカル・メス、アルスナル
録音方式:ステレオ(デジタル)