Toisjalkainen

知られざるフィンランドの伝統曲を発掘し、2台のフィドルで流麗な室内楽風に再構築

北欧の国フィンランドの伝統民俗楽器を代表するものの一つとしてその名が挙げられる〈フィドル〉。フィンランド中部の小さな村：カウスティネンにおいて250年以上もの間受け継がれてきた伝統的なフィドル演奏が、近年ユネスコ無形文化遺産に正式登録されたことにより、フィンランドの伝統音楽およびフィドル・チューンは今再び大きな注目を集めています。今回はそんなフィンランドから、超実力派女性フィドラー・デュオ：デュオ・エミリア・ラユネン＆スヴィ・オスカラの作品をご紹介いたします。

フィンランド出身のフィドル／コントラバス・ハルパ（同国において約700年前から伝わる鍵盤の付いたバイオリン〈ニッケルハルパ〉の一種）奏者／ヴォーカリスト／民俗音楽研究家：エミリア・ラユネン（1979- 、ジャケット写真：左）は、同国の伝統的なフィドル演奏を継承／刷新する存在として、目下熱い注目を集める存在。名門シベリウス・アカデミーおよびストックホルム王立音楽院で民俗音楽とヴァイオリン演奏を学び、伝統民俗音楽のコンテストにおいても数々の成功を収めてきました。Suo、Spontaani Vire、Juuri & Juuri、Duo Emilia Lajunen & Suvi Oskala、Ritva Neroなどのグループでフィドルを担当する一方、2012年にはソロ・アルバムをリリース。現在は自身の音楽性とダンス／演劇要素との融合を追求するなど、一つの枠に囚われることのない活動を展開しています。

そしてフィドラー／歌手／作曲家／編曲家／楽器教師のスヴィ・オスカラ（ジャケット写真：右）は、フィドルとヴィオラを組み合わせた五弦フィドルがスペシャリティ。教師としては、シベリウス・アカデミー民俗音楽科やパキラ音楽学校などで教鞭を執ってきました。基本的にはエミリア同様、フィンランド伝統音楽の世界に身を置くアーティストですが、アルバムにおいてはジャズやアンビエントなどの要素も取り入れ、アヴァンギャルド・フォークとも呼ぶべきユニークな音楽性を披露。また、ステージにおいても自身のフィドル／歌にライヴ・エレクトロニクスを導入し即興演奏を繰り広げるなどし、フィンランド伝統音楽に対する斬新な切り口が話題を呼んでいます。

同両名は歴史の中で忘れ去られていったフィンランドの音楽遺産を発掘し、再び日の目を浴びさせるということを目的に、2010年にデュオを結成。失われしフィンランドのフィドル・チューンを対話形式の演奏、さらに室内楽的なアプローチで再構築するという独自のスタイルが注目を浴び、2019年WOMEXでは公式ショウケースとして千人を超える応募者たちの中から選出されました。もちろんその活動はフィンランド国内にとどまらず、北欧諸国、インド、中国、韓国など海外のさまざまなステージでも積極的にパフォーマンスを展開しています。

彼女たちにとって3作目となった本作『トイスヤルカイネン』では、フィンランドの伝統曲を彼女たち独自のセンスでアレンジ。互いの楽器の持ち味と魅力を最大限に引き出しあいつつ、クラシカルかつ美麗な一枚に仕上げています。2つの古いカンテレ・ナンバーをフィドル・チューンへとリアレンジした(1)や、伝統的な婚礼音楽である軽快なポルスカ・チューンを室内楽的感覚で再構築した(3)ほか、全8曲を収録。フィンランド民謡の魅力をまた違う角度から再発見することが出来る一枚となっています。是非ご期待ください。

(メーカー・インフォメーションより)