Calcutta Chronicles Indian Slide Guitar Odyssey

4歳で初舞台を経験、16歳でギターを改造･自作しその技を磨き、21歳でスライドギター奏者としてはじめてインドの大統領から賞を授与。その後もジョン・マクラフリンのフィージョングループ・シャクティに参加、海外のアーティスト等とのコラボ、そして40歳にして名人の称号であるパンディットの名を与えられ名実ともにトップ･アーティストとなりました。
そんな彼が演奏するのは独自の改造が施された3種類ものギター＆ウクレレ。シタールのような共鳴弦もつけられ、いかにもオリエンタルな響きを奏でますが、その根っこにあるのはあくまでもギター。そこが彼の操るサウンドの最大の個性と言えます。本作では前作『カルカッタ・スライド・ギター』でみせた超絶技巧はそのままにコンセプトを広げた作品となっております。彼の出身地であるカルカッタは現在のように宗教や出自で分離されていることは無く、様々な人々が共存していたコスモポリタンであったとの事。その往時の共存社会を音楽で描いているのです。冒頭の曲ではスーフィー音楽の要素を取り入れ、また他の曲ではハワイのフレイヴァやアフロ＝アンダルシアのリズムを取り入れるなど多彩なアプローチを行っています。しかし、編成はあくまでも古典的なのが本盤の魅力。現在ではこれ見よがしのミクスチャーが多くありますが成功しているのは極わずか。その点で本作は一聴してすぐにわかるような要素はありませんが、これなんだかハワイっぽいな、なんて聞いているうちに引き込まれている自分に気がつくでしょう。