ナタン・ミルシテイン/AFRS録音集
20世紀を代表するヴァイオリストのひとり、ナタン・ミルシテインが「AFRS(Armed Forces Radio Service)」に行った全ての録音と、1944年から50年のアメリカ録音を復刻した貴重盤。
ナタン・ミルシテインは1903年の大みそかにウクライナのオデーサ(オデッサ)に生まれました。母の勧めでヴァイオリンを始め、7歳でピョートル・ストリヤルスキーの門下となり(同門の後輩にダヴィド・オイストラフ)、11歳でグラズノフのヴァイオリン協奏曲を作曲者の指揮で演奏。1916年にはサンクト・ペテルブルク音楽院でレオポルト・アウアーに学び、特に同門のハイフェッツやザイデルらに刺激を受けたといいます。1921年にはキーウ(キエフ)でホロヴィッツと出会ってデュオを結成しましたが、1925年にロシアを出国すると2度と戻りませんでした。ウィーンでのミルシテインの演奏会にはシェーンベルク、ベルク、ハルトマンらが詰めかけ、1926年にミルシテインに会ったイザイは「私に教えられることは何も無い」と言ったと伝えられます。1928年にはアメリカに移住し、1942年には市民権を取得しましたが、第二次世界大戦後はパリやロンドンにも拠点を持って活動を続けました。
1から6はアメリカ軍が第2次大戦中に開設した放送サービス「AFRS(Armed Forces Radio Service)」のためにミルシテインが行った録音のすべてで、ブラームスのソナタ第2番、ラヴェルの『ハバネラ形式の小品』、ヴィエニャフスキの『エチュード・カプリース』は後にスタジオ録音することがなかったので貴重です。他には同じくアメリカ軍の兵士向けに制作された「V Disc」の音源、ラジオ局「Voice of America」制作の音源、更に1950年に「RCA」に行った録音を復刻。13から18のオーケストラ用編曲がルロイ・アンダーソンというのも注目です。
*当CDの音源はLPレコードから復刻しました。ブラームスのソナタ第2番については1943年11月の録音としている資料もありますが、レーベルに確認したところ1944年録音との見解でした。(輸入元情報)
【収録情報】
1. ヴィヴァルディ:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 Op.2-2, RV.31(F.ダヴィット編)
2. ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.100
3. マスネ:タイスの瞑想曲(マルシック編)
4. ラヴェル:ハバネラ形式の小品(カトリーヌ編)
5. ヴィエニャフスキ:エチュード・カプリース イ短調 Op.18-4
6. ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテッラ Op.16
7. シューマン:夕べの歌
8. マスネ:タイスの瞑想曲(マルシック編)
9. リムスキー=コルサコフ:くま蜂の飛行
10. グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』よりメロディ(クライスラー編)
11. スーク:ブルレスカ
12. ラロ:ペイン交響曲 Op.21より第5楽章:ロンド
13. シューベルト:アヴェ・マリア D.839
14. シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』よりセレナード D.957
15. メンデルスゾーン:歌の翼に Op.34-2
16. フォーレ:夢のあとに Op.7-1
17. ポルディーニ:踊る人形(クライスラー編)
18. フォスター:故郷の人々
ヴァイオリンと管弦楽用編曲:ルロイ・アンダーソン(13-18)
ナタン・ミルシテイン(ヴァイオリン)
ヴァレンティン・パヴロフスキー(ピアノ:1-6)
アルトゥール・バルサム(ピアノ:7-9)
ジョーゼフ・カーン(ピアノ:10,11)
アーサー・フィードラー指揮、NBC交響楽団(12)
アーサー・フィードラー指揮、RCAビクター交響楽団(13-18)
録音/原盤:
1944年/AFRS ‘Basic Music library’(1-6)
1944年5月/V Disc 251(7-9)
1949年6月26日/Voice of America “Great Artists” series 122(10-12)
1950年1月17,19日、ニューヨーク、マンハッタン・センター/RCA Victor 49-1280/82 in set WDM 1404(13-18)
Reissue producer:Eric Wen
Transfer engineer:David Hermann
Digital mastering:Dennis Patterson