エドゥアルト・ファン・ベイヌムの芸術 Vol.2(13CD)
ベイヌム&コンセルトヘボウ管
1954〜1959 レコーディングス
巨匠ベイヌムの遺したPHILIPSとDECCAの主要音源から、CD22枚分を、英スクリベンダムが2巻のセットでリリース。
このVol.2のセットには、フィリップスの音源がCD13枚に収められています。ベイヌムはメンゲルベルクの時代からコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮しており通算30年に及ぶオーケストラとの関係を築いています。特に後半の14年間は首席指揮者としてオケに深く関わり数々の名演奏を聴かせていました。
ベイヌムは戦時中にも僅かにレコーディングをおこなっていましたが、本格化するのは、1946年にデッカと契約してからのことで、コンセルトヘボウ管弦楽団をメインに、ロンドン・フィルとも録音しており、その後1953年までデッカとの関係は続きます。
1954年からは地元フィリップスと契約し、57歳で急死するまでレコーディングを続けていました。
【ベイヌム&コンセルトヘボウの全盛期を伝えるフィリップス録音】
その間に生み出された録音の数々は、自然な傾向のサウンド志向でありながら優れた音質で有名だったフィリップスの音の傾向もあってか、コンセルトヘボウ・サウンドの魅力をバランス良く伝えるものとなっており、ベイヌムの解釈の深化も含めて見事な仕上がりを示すものが多くなっているのが特徴。
有名なブラームスの交響曲全集や、ブルックナーの第8番と第9番、ベートーヴェンの第2番といったレパートリーでは、推進力あるベイヌムの解釈と存在感のあるオケのサウンドが相乗効果を発揮して実に見事な仕上がり。
古楽との相性も良く、モーツァルトに多大な影響を与えたクリスチャン・バッハのシンフォニアや、ヘンデルの水上の音楽でのメリハリの効いた爽快な美しさが実に魅力的です。その他、オーケストラの色彩美が味わい深いドビュッシーやラヴェルなど、聴きごたえある演奏を数多く収録しています。
【ベイヌム・プロフィール】
メンゲルベルクの後任としてコンセルトヘボウ管弦楽団の音楽監督となったエドゥアルド・ファン・ベイヌムは、1901年9月3日、オランダのアーネムに誕生しています。幼い頃からヴァイオリンとピアノを学んでいたベイヌムは、16歳でアーネム管弦楽団に入団し、ヴィオラ奏者として活動する一方、指揮の勉強も始め、アムステルダム音楽院では、ピアノ、ヴィオラ、作曲を学んでいます。
ベイヌムは19歳の時にピアニストとしてデビューしていますが、並行して各地のアマチュアのオーケストラや合唱団の指揮を始め、ほどなく指揮者に転向します。
プロとしての指揮者デビューは25歳の時で、同年、ハールレム交響楽団の常任指揮者に就任。1929年には、コンセルトヘボウ管弦楽団への客演デビューが大成功を収め、1931年にはメンゲルベルクの招きにより、同楽団の副指揮者となって活動を展開、1938年からはメンゲルベルクとともに正指揮者として同楽団の指揮にあたり、1945年にメンゲルベルクが戦犯として追放されると、ひとりで同楽団の高い水準を維持、各地の演奏会でも成功を収めることとなります。特にロンドンへの引っ越し公演は大成功で、これがきっかけで1946年からはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を兼任することとなり(1951年まで)、さらに1954年にはフィラデルフィア管弦楽団に客演してアメリカ・デビューでも大成功を飾り、同年、コンセルトヘボウ管弦楽団を率いてのアメリカ・ツアーでも大きな成功を収め、それを機に1956年からはロサンゼルス・フィルの常任指揮者を兼任することとなりました。
しかし、もともと病気がちだったベイヌムにとっては、こうした激務はこたえたようで、晩年には心臓疾患となってしまい、1959年4月13日には、アムステルダムでのブラームス交響曲第1番のリハーサル中に心臓発作で倒れてしまいます。まだ57歳という指揮者としては働き盛りの年齢でした。(HMV)
【収録情報】
Disc1
・ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105 [71:24]
1959, Amsterdam, live - Netherlands Radio
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc2
・ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 WAB.108 [72:06]
1955, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc3
・ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB.109 [58:45]
1956, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc4
・マーラー:『大地の歌』[60:28]
1956, Amsterdam
・歌曲集『さすらう若人の歌』[15:37]
1956, Amsterdam
ナン・メリマン(メゾ・ソフラノ)
エルンスト・ヘフリガー(テノール/大地の歌)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc5
・ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 [42:09]
1958, Amsterdam [stereo]
・ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op.73 [36:44]
1954, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc6
・ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 [32:29]
1956, Amsterdam
・ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98 [38:22]
1958, Amsterdam [stereo]
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc7
・シューベルト:交響曲第3番 ニ長調 D.200 [20:27]
1955, Amsterdam
・シューベルト:交響曲第6番 ハ長調 D.589 [28:49]
1957, Amsterdam
・シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D.759 『未完成』[24:29]
1957, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc8
・ドビュッシー:『夜想曲』 [21:03]
1957, Amsterdam [stereo]
・ドビュッシー:交響詩『海』[22:55]
1957, Amsterdam [stereo]
・ドビュッシー:『英雄的な子守歌』[3:59]
1957, Amsterdam [stereo]
・ドビュッシー:『スコットランド行進曲』[5:55]
1957, Amsterdam [stereo]
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc9
・J.S.バッハ:管弦楽組曲第1番 ハ長調 BWV.1066 [21:02]
1955, Amsterdam
・J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV.1067 [20:29]
1955, Amsterdam
・J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV.1068 [20:57]
1956, Amsterdam
フーベルト・バルワーサー(フルート)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc10
・J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV.1069 [19:25]
1956, Amsterdam
・J.C.バッハ:シンフォニア 変ロ長調 Op.1 8-2 [9:43]
1958, Amsterdam [stereo]
・J.C.バッハ:シンフォニア ニ長調 Op.18-4 [10:00]
1958, Amsterdam [stereo]
・ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 Op.36 [34:19]
1954, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc11
・ヘンデル:組曲『水上の音楽』(クリュザンダー版)[48:15]
1958, Amsterdam [stereo]
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc12
・メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90『イタリア』@
1955, Amsterdam
・モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K.201(186a)[23:02]
1956, Amsterdam
・シベリウス:交響詩『フィンランディア』 Op.26
・シベリウス:悲しきワルツ Op.44-1
1957, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
Disc13
・ラヴェル:『ボレロ』[15:25]
1958, Amsterdam [stereo]
・ラヴェル:『ラ・ヴァルス』[11:12]
1958, Amsterdam [stereo]
・ドビュッシー:『管弦楽のための映像』[32:16]
1954, Amsterdam
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指揮)