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福島交通軌道線 下 Rm Library

高井薫平

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784777053384
ISBN 10 : 4777053385
Format
Books
Release Date
January/2013
Japan

Content Description

目次 : 5 運転/ 6 伊達郡を行く(幸橋〜長岡分岐点/ 長岡分岐点〜湯野町/ 伊達駅前/ 長岡分岐点〜保原 ほか)/ 7 車輌(創業期の車輌―電化以前/ 電車の概要/ 1101・1104/1102・1103・1105・1107・1109・1111・1106・1108・1110/1112・1113/ 1114/1115・1116 ほか)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

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「本とは面白くあるべきだ」という意見に私...

投稿日:2013/06/20 (木)

「本とは面白くあるべきだ」という意見に私は賛同する。本書のレビュー記事に筆をとった理由もそこにある。まず昔日の福島交通軌道線そのものが「めちゃくちゃ」面白い鉄道であった。だから、福島交通軌道線を素材とした本は面白くなる性質をもっている。そこに著者、高井薫平氏が、これでもかというように写真や貴重な資料を沢山掲載している。本としての「福島交通軌道線」が面白くないわけはない。 まず福島交通軌道線そのもののどこが「めちゃくちゃ」面白かったのであろうか。一言で言い尽くすことは難しい。私なりにいえば、「軌間1067mmゲージ(JR/国鉄の新幹線を除くほとんどの区間がこれ)」でありながら、「軌間762mmのナローゲージ(例えば花巻電鉄)」のような顔をしているところにあると思う。これは福島交通軌道線がナローゲージから1067mmゲージへと改軌された歴史と大いに関係があろう。 街中では、線路が民家にかなり接近して敷設されているところが多い。この事実にナローゲージの面影を見ることができる。また果樹園の木にも接近している。だから、果樹園の木の枝が、走っている電車の窓ガラスに触れ、乗っている私は「ばしばし」っという音にびっくりすることがあるのだ。 また、民家がある都合で、改軌しても、電車の幅は広げることができなかったと聞いている。そのためであろうが、電車の形はナローゲージの花巻電鉄のような「馬面」となる。 一方、1067mmゲージの側面もあった。それは、田園地帯では結構なスピードを出すことである。砂利道の軌道を掛田〜保原間では「高速」で走る。この「高速」の意味であるが、車輪が砂利を踏み、砂煙をあげながら、横揺れを生じながら走るのである。要は「脱線するのではないかというスリルにあふれていた」という意味での「高速」である。実際に、どのくらいの速度であったかは、わからない。でも実際に脱線することがあったと聞いている。 また、夜の駅にも風情があった。夜、暗い中、福島から保原駅に近づくと、遠くに保原駅と示したピンクのネオンが見える。いよいよ保原に到着する。ここは、掛田方面と梁川方面への分岐する駅であるのだ。福島交通軌道線では大きな駅であるのだ。駅の周囲の街並みは賑わっている。何人かの人は電車を降りてタバコを買いにいく。電車はここで、しばらく停車するのだ。要は、途中駅で喧騒の情を味わうことのできる東北の私鉄の駅は、そうは多くない。 私の親戚は掛田にいた。そこで、何かといえば、掛田に遊びに行った。ついでに飯坂温泉に連れていってもらった。福島交通軌道線の利用ルートは次のようなものだった(乗換えについての記憶が定かではないので略す)。 1)東北本線で伊達(福島から二つ北の駅)着、伊達から福島交通軌道線で掛田着 2)掛田から福島交通軌道線で湯野町(飯坂温泉の福島交通軌道線の名前) 3)飯坂から福島交通専用線(飯坂電車)で福島駅へ行き、福島駅から福島軌道線で掛田着 本誌の表紙を飾るカラー写真、これが当時の掛田停留場である。ちなみに、カラー写真は、この本では、この表紙のみである。でも表紙の写真から、とても美的センスがあるとは言い難い、でも、親しみを感じるといってよい、2色に塗り分けられた電車の風情が伝わる。私の記憶では、道路事情は、この写真が撮影された1966年よりも、ずっと悪かったであろう。砂利道を走ってきたため、もっと白っぽく汚れていたとも思う。また電車は貨車をけん引している。掛田停留場では電車が貨車を連結している姿がよく見られた。でも、連結器という「文明の利器」はない。長さ1メートル程度の鉄の棒(連結棒)を用いるのだ。よって、連結された電車と貨車の間には1メートル程度の距離ができる。表紙の写真をよく見ると、貨車は電車と離れて連結されていることがうかがえる。 福島交通軌道線の「めちゃくちゃな」面白さがお分かりいただけだろうか。そのような眼で、本書の中のモノクロ写真70枚を見ると、これまた面白い。紙面の都合で、すべての写真の説明は割愛する。改軌前の軽便時代の絵はがき写真(所蔵:白土貞夫氏)、有蓋貨車ホワを連結した電動貨車ニモ1、およびニモ1単体の写真も掲載されていることを特記する。すべてが面白い写真であった。写真提供者は、著者および竹中泰彦氏、湯口徹氏、今井啓輔氏、田尻弘行、伊藤東作、福島交通らである。 また、この本の掲載資料(写真以外)について示す。いずれも、興味深い。 (1)昭和35年2月20日改正運行図表 (2)長岡分岐点の配線 (3)長岡車両庫付近平面図、提供:福島交通 (4)伊達駅前停留場と国鉄伊達駅引込み線平面図、提供:福島交通 (5)保原停留場平面図、提供:福島交通 (6)保原〜掛田間線路一覧略図、提供:福島交通 (7)掛田停留場平面図、提供:福島交通 (8)梁川停留場平面図、提供:福島交通 (9)電化当初投入された梅鉢製木製ボギー車の組立図、所蔵:国立公文書館 (10)木造時代の12・13号の竣工図、提供:福島交通 (11)1956年、木造車鋼体化の際の申請書に添付された改造前の日車支店製木造車体、提供:福島交通 (12)1・4号(→1101/1104号)竣工図、提供:福島交通 (13)1102・1103・1105・1107・1109・1111号竣工図、提供:福島交通 (14)1106・1108・1110号竣工、提供:福島交通図 (15)1112・1113号竣工図、提供:福島交通 (16)1114・1115・1116号竣工図 ただし図は1112・1113のもののようで窓の数や形状など1114〜1116とは異なる。提供:福島交通 (17)1117・1118・1119号竣工図、提供:福島交通 (18)1120・1121号竣工図、提供:福島交通 (19)2022・2023号竣工図、提供:福島交通 (20)ニモ1号竣工図、提供:福島交通 (21)21号〜25号竣工図、提供:福島交通 (22)ホワ1〜3、提供:福島交通 (23)ホワ10〜14、提供:福島交通 (24)ワフ7〜8、提供:福島交通 (25)ホト1〜7、提供:福島交通 (26)ホト8〜13、提供:福島交通 (27)昭和14年2月に日本車両東京支店で作成された福島電気軌道向け2軸電動貨車の形式図、提供:湯口徹

ミュンシュ さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • えすてい

    車幅が2mにも満たない狭さの電車は、車内のロングシートは千鳥上に配置されていた車両もあったそうで、写真が掲載されている。狭隘な道幅の併用軌道を行き来するためであるが、ハード面から見てもこういう軌道線では、到底モータリゼーションに打ち勝つことはできなかったであろう。

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