ヴェリズモ・アリア集　クーラ、フィルハーモニア管弦楽団

ホセ・クーラ
ヴェリズモ･アリア集

器楽奏者が協奏曲などで、演奏しながら指揮をすることを「弾き振り」といいますが、今回のクーラは「歌い振り」。オーケストラに向かって指揮をしながら歌って同時に録音されており、「普通録音で聴衆はいないが、今回はオーケストラが聴いてくれた」と語ったそう。
　これだけのヴェリズモ･レパートリーを任せられる指揮者がいなかった、という理由でこういった方式に踏み切ったクーラですが、実際彼は大のヴェリズモ･マニア。
　イタリア語のVero(真実)に由来する「ヴェリズモ」とは、現実に起こる出来事を題材としたオペラで、今日では「絶叫調で2流のジャンル」といった偏見もあります。この風潮に対する反論として企画されたこのアルバム。
　例えば「衣装をつけろ」では普通聴かれるような大げさな表現ではなく、「他人に言えない悩みに直面した人は、決して歩き回って泣き喚いたりしない。この二つの心理表現を区別できない歌手がヴェリズモをダメにした」というクーラ自身の言葉どうりに、究極の悲しみが表現されます。

・『道化師』〜プロローグ『ごめんください,皆様方』(レオンカヴァッロ)
・『道化師』〜『衣裳をつけろ』(レオンカヴァッロ)
・『道化師』〜間奏曲(レオンカヴァッロ)
・『ラ・ボエーム』〜『愛しい面影よ』(レオンカヴァッロ)
・『ローレライ』〜『緑の5月のことだった』(カタラーニ)
・『アンドレア・シェニエ』〜『ある日青空をながめて』(即興詩)(ジョルダーノ)
・『アンドレア・シェニエ』〜『5月のある晴れた日に』(ジョルダーノ)
・『フェドーラ』〜愛さずにいられぬこの思い(ジョルダーノ)
・『マルチェッラ』〜『甘美な夜の不思議さよ』(ジョルダーノ)
・『アドリアーナ・ルクヴルール』〜母の優しく微笑む面影を(チレア)
・『アドリアーナ・ルクヴルール』〜『心は疲れ,目的はまだ遠い』(チレア)
・『アルルの女』〜『ありふれた話』(フェデリコの嘆き)(チレア)
・『ジェルマニア』〜『学生諸君,聞きたまえ』(フランケッティ)
・『カヴァレリア・ルスティカーナ』〜前奏曲と『おお,ローラ』(シチリアーナ)(マスカーニ)
・『カヴァレリア・ルスティカーナ』〜『母さん,この酒は強いね』(マスカーニ)
・『ロドレッタ』〜『もし,フランツの言うことが本当なら』(マスカーニ)
・『グリエルモ・ラトクリフ』〜『私の妄想だったのか?』(マスカーニ)