録音セッションメンバーの豪華なこと、ニック・ペリートとビリー・メイの卓越したアレンジ、もちろんイーディの歌唱の見事なこと、それに録音の優秀なことで、LP発売以来、イーディ・ゴーメの代表盤として名声を勝ち得てきた押しも押されもせぬ名盤。このアルバムのタイトルになっているBlame it on the bossa novaというのはいうまでもなくイーディのビルボード最高ランク曲(63年1月:7位)タイトルなのだが、ポップスばなれしたその曲のヒットにヒントを得て、その直後につくられたのがこのアルバム。録音は62年末から63年にかけてのようだが(日本では83年にLPが発売されている)、その音の新鮮さには驚かされてしまう。それに歌も演奏もすばらしく、One Note Samba,Melody D’amour,The Giftと最初の3曲を聞いただけでもはや降参!こんなにゆったりと、それでいてリズム感溢れる格調高い歌を誰が歌えようか。その歌を包みこむセッション・メンバーの演奏のすばらしさ。もう、これは幸福の時間としかいいようがない。このアルバムは彼女にとっても、ポピュラー音楽史にとっても黄金の記念碑であることはまちがいないだろう。なお、日本発売のLPでは12曲収録だったので、最後の2曲はこのCDでだけ聞くことができる。