大先輩の「歌うアレグロ」とそれに魅せられた少年の才覚を、名手たちの連弾で!
大バッハの末子として1735年に生まれ、オペラの本場イタリアで最前線の音楽様式を身につけたのちロンドンに渡り、大きな成功を収めたヨハン・クリスティアン・バッハ[1735-1782]。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト[1756-1791]は父に連れられロンドンを訪れた少年時代、この大先輩が紡ぎ出す流麗な旋律美に魅了され、その作品を編曲するなど大きな学びを得ました。その崇敬は後年まで続き、ウィーンで身を立て始めた1782年の元旦にJ.C.バッハが亡くなった時にも、父レオポルト宛の手紙で「音楽界にとって大きな損失」と嘆いています。大バッハ同様に鍵盤音楽でも才能を開花させたJ.C.バッハは、特にロンドンで早くから普及し始めたピアノ向けにも数多くのソナタや協奏曲を出版、意外に18世紀の曲が残っていない連弾のためのソナタも手がけました。それらの作品とモーツァルトの連弾作品を集め、18世紀当時のモデルによるフォルテピアノで録音したのがこのアルバム。
エンシェント室内管弦楽団の指揮者およびチェンバロ奏者として圧倒的な経歴を誇り、フォルテピアノでも熟達した腕前を披露してきたエガーと、そのデュオ・パートナーであるネポムニャシチャヤによる解釈は、音域ごとに異なる特性を持つフォルテピアノならではの魅力を存分に際立たせ、両作曲家が巧みに織り上げた低音部と高音部での軽やかな対話を隅々まで堪能させてくれます。ほどよい残響の中で楽器の直接音を的確に捉えたエンジニアリングも「LINN」ならでは。(輸入元情報)
【収録情報】
● J.C.バッハ:ソナタ ハ長調 Op.15-6
● モーツァルト:ソナタ ニ長調 K.381
● J.C.バッハ:ソナタ イ長調 Op.18-5
● モーツァルト:変奏曲 ト長調 K.501
● J.C.バッハ:ソナタ ヘ長調 Op.18-6
● モーツァルト:ソナタ 変ロ長調 K.358
デュオ・プレイエル(古楽器使用)
アレクサンドラ・ネポムニャシチャヤ、リチャード・エガー(フォルテピアノ)
使用楽器:
ウィーンのアントン・ヴァルター1795年頃製モデルによる5オクターヴのフォルテピアノ、アムステルダムのへイス・ヴィルデロムによる再現楽器、2000年製作
ピッチ:A=421Hz
録音時期:2020年1月14-16日
録音場所:オランダ、ハーレム、ルター派教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)