魔術、哲学、フリーメイソン・・・
ウィーン古典派の素顔に迫る選曲、俊才クリンメルの美声で古楽器演奏と共に
ヘンデルやモンテヴェルディのようなバロック作品からRシュトラウス、ブリテンといった近代作品に至るまで、さまざまな指揮者たちとステージを重ねオペラ、歌曲、宗教音楽と幅広い分野で注目を集めている1993年生まれのドイツのバリトン歌手、コンスタンティン・クリンメル。骨太の選曲で好感を呼んだ「ALPHA」デビュー盤のドイツ歌曲集に続き、新作は実力派の古楽器オーケストラとの共演によるウィーン古典派のアリア集。今回も注目のプログラムで、モーツァルトが活躍し人気を失ってゆく頃のウィーンにどれほど精彩に富んだ歌劇世界が広がっていたか、作曲家の知名度に惑わされることなく見事に伝えてくれる選曲になっています。
テーマは「魔法」。18世紀末の大都市に暮らす人々を喜ばせた奇術的パフォーマンスの奥にフリーメイソン思想にも通じる哲学的神秘が息づく、妖術・魔法の類が題材となったオペラからバリトン歌手のためのナンバーを厳選。この分野の嚆矢となったヴラニツキー『オベロン』、国際的名声を爆発させつつあった頃のサリエリの隠れ名作『トロフォニオの洞窟』、モーツァルト『魔笛』のヒットに続いたシカネーダー劇団の合作『賢者の石』にヴィンターの『魔笛 続編』、見過されがちなハイドン後期の充実歌劇『哲学者の魂』など、ぴりっと風刺が効いた短い曲から充実の大作までの作品美をじっくり堪能させてくれます。ホーフカペレ・ミュンヘンの的確な演奏解釈も頼もしく、18世紀ウィーンの息吹を脈々と感じられる1枚に仕上がっています。(輸入元情報)
【収録情報】
● シャック/モーツァルト/ゲルル/ヘンネベルク共作:歌劇『賢者の石、または魔法の島』(1790)より
1. 序曲
2. ルバノのアリア「なんたることだ、妻が狂ってしまった!」
3. ルバノのアリア「若い娘に心を預け過ぎてはならない」
4. オイティフロンテのアリア「ナディール、きみなら勝てる」
● モーツァルト:歌劇『魔笛』 K.620(1791)より
5. パパゲーノのアリア「おいらは鳥刺し」
● ヴィンター:歌劇『魔笛 続編』(1798)より
6. パパゲーノのアリア「いざさらば! おいらは旅立つよ、愛しき者たちよ」
● ヴラニツキー:歌劇『オベロン、妖精たちの王』(1789)より
7. アルマンゾルのアリア「なんたる魅力、なんたる奥ゆかしさ」
8. シェラスミンのアリア「あれはわたしが8歳の頃」
● サリエリ:歌劇『トロフォニオの洞窟』(1785)より
9. 序曲
10. アリストーネのアリア「同じ一つの泉から」
11. アリストーネのアリア「夫があまりに陽気なら」
● ハイドン:歌劇『哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ』 Hob.XXVIII-13(1791)より
12. 序曲
● ハイドン:歌劇『遍歴騎士オルランド』 Hob.XXVIII-11(1782)より
13. ロドモンテのアリア「千もの爛々たる輝きが」
● ハイドン:歌劇『哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ』より
14. クレオンテのアリア「万物には思惑が宿っている」
● ハイドン:歌劇『遍歴騎士オルランド』より
15. ロドモンテのアリア「血気盛んな人間よ、よく聞いて慄け」
● ハイドン:歌劇『哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ』より
16. クレオンテのアリア「息があるのに希望がないなら」
● グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』(1762)より
17. 精霊の踊り
コンスタンティン・クリンメル(バリトン)
ホーフカペレ・ミュンヘン(古楽器使用)
リュディガー・ロッター(指揮)
録音時期:2021年9月〜10月
録音場所:ドイツ南西部バイエルン地方ニュルンベルク近郊エアランゲン、フリードリヒ=アレクサンダー大学教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)