1949年初演のブロードウェイ・ミュージカル「南太平洋」の映画化版のサウンド・トラック。序曲が映画ヴァージョンとは違う編曲の物を使用しているほかは映画の雰囲気たっぷりのアルバムである。ミッツィ・ゲイナーの素晴らしい歌唱が楽しめる。ロッサノ・ブラッツィはメトロポリタン・オペラのジョルジョ・トッツィが吹き替え、ジョン・カーはビル・リーによって吹き替えられている。この映画化で大変残念なのはファニタ・ホールの「バリ・ハイ」が吹き替えられてしまったこと。舞台版のアルバムには彼女の歌が録音されているが映画化では1951年のロンドン・キャストのMuriel Smith が映画のファニタ・ホールの吹き替えをしている。メゾ・ソプラノとして舞台やラジオで活躍したらしいMuriel Smith 。クレジットには Bill Lee(Vocals), Giorgio Tozzi(Vocals), Mitz Gaynor(Vocals), Muriel Smith(Vocals)と表記されているが映画の画面にはMuriel Smitのクレジットは出てこない。それゆえ(歌)ファニタ・ホールと誤記されてしまうことが多い。「魅惑の宵」「バリ・ハイ」「ワンダフル・ガイ」などこれぞミュージカルというほど美しいナンバーが散りばめられている。誰にでも推薦できる素晴らしいアルバム。