近代日本の地下水脈 哲学なき軍事国家の悲劇 1 文春新書

保阪正康

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784166614400
ISBN 10 : 4166614401
フォーマット
出版社
発行年月
2024年01月
日本
追加情報
:
256p;18

内容詳細

なぜ日本は太平洋戦争を始め、敗戦に至ったのか。なぜ「玉砕」「特攻」といった無謀な作戦で多くの人命を失ってしまったのか?――
著者が昭和史の研究に携わるようになったのは、こうした謎を解明したいとの強い動機からであった。今まで5000人近くの昭和史関係者にインタビューを重ねてきたのは、それはこの根源的な問いに対する答えを探す旅でもあった。そして、敗戦に至る道筋を調べれば調べるほど、昭和だけでなく、明治維新以降の歴史をもう一度つぶさに検証しなおす作業に迫られることになった。
その結果、著者は「地下水脈」という歴史観にたどり着く。
近代日本の始まりである明治の初期に遡ろう。
徳川幕府が倒れて明治新政府が誕生したものの、新政府内の指導者には、日本が進むべき「国家ビジョン」が明確にあったわけではない。明治22年に大日本帝国憲法ができるまでのほぼ20年間は、「日本という国をこれからどのように作り変えていくか?」をめぐって、さまざまな勢力の主導権争い≠ェおこなわれた時期だった。
著者はこの間に、次の5つの国家像が模索されたと考えている。
<1>欧米列強にならう帝国主義国家
<2>道義や倫理を尊ぶ帝国主義的道徳国家
<3>自由民権を軸にした民権国家
<4>アメリカにならう連邦制国家
<5>攘夷を貫く小日本国家
実際の歴史では、日本は<1>を歩み、すべてが軍事に収斂していくことになる。その結末が、昭和の悲惨な敗戦であった。
では、残る<2>?<5>の国家像は、そのまま消えてしまったのか?
そうではない。4つのそれぞれの思想やビジョンは、いったん日本社会の地下に潜りながら、いまも脈々と流れ続けている。そして歴史の重要なターニングポイントを迎えるたびに、噴出してくるのである。
「地下水脈」という歴史観でとらえれば、現在の日本の窮状――経済の迷走も、終身雇用サラリーマン社会が変わらないのも、政治がダメなのも、エリート教育がダメなのも、150年以上繰り返されてきたことがわかってくる。
本書は、「地下水脈」をあらためて見つめることで、日本の近現代史を再検証する。

【著者紹介】
保阪正康 : 昭和史研究家。1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒。編集者時代の1972年に『死なう団事件』で作家デビューして以降、一貫して日本の近現代史を検証し続け、約5000人もの歴史の証人を取材してきた。2004年、昭和史研究の第一人者として第52回菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • KAZOO さん

    つい最近までかなり長期にわたって月刊文藝春秋に連載されていたものです。私は時たま読んでいましたが、やはりまとめられた方を読むのが好きな方で、この新書版を読んでいくことにしました。初めのところで「失敗の本質は「軍事主導」にあった」といわれて戦争がビジネスであった戦前日本と喝破されています。おっしゃる通りで戦争がないと日本は発展していかなかったのでしょうね。さらには西南戦争からその後の軍の暴走や天皇をないがしろにした様をよく資料をあたり書かれていると思いました。

  • kawa さん

    最近読了「明治は栄光の時代、昭和前半は汚辱の時代」とする日本の近代史観に異議を唱える中塚明著「日本人の明治観をただす」は印象的だった。本書はそんなスタンスに加え、さらに長期スパン日本史から明治以降の近代史を分析する点に納得感高く参考となる。ただ、軍部やそこに寄生する産業界が戦争を欲し、多くの庶民が犠牲になった論、確かにと思うのだが、その論拠がいまいちなところが残念かな。次巻もあるようなので期待して待ちたい。

  • Go Extreme さん

    失敗の本質=軍事主導 戦争≒ビジネス・賠償金獲得 五つの国家像:歴史の地下水脈 司馬遼太郎・攘夷の地下水脈 主権線・利益線 不平士族・民権運動 小日本主義 無自覚的帝国主義 征韓論 天皇の武装化→近代日本の特徴 武装する天皇制:統帥権・輔弼→軍人やりたい放題 政府に都合のよい天皇 ああ、そう 軍事哲学なき軍の暴走:フランス陸軍→プロイセン方式 石原莞爾・世界最終戦論 日本型資本主義:藩士→サラリーマン 渋沢栄一・合本主義 安田善次郎・禁欲的労働観 資本主義より先に軍 日本型民主主義:石橋・わが5つの誓い

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