イエス・キリストの受難にホロコーストの受難を重ねた問題作、世界初演
メシアンに学んだミカエル・レヴィナスが新たに作り上げた受難曲。ユダヤ人としての出自や、父親である哲学者エマニュエル・レヴィナスがその家族・親族の多くをアウシュビッツで亡くしたという体験を踏まえ、ホロコースト後の世界を生きる私たち現代の人々のために、イエスの受難を再解釈する内容となっています。
使用されたテキストは聖マルコによる福音書のほか、パリ・ノートルダム寺院オルガニストであったアルヌール・グレバン[c.1420-c.1485]が著した、上演に4日を要し登場人物が400人にもおよぶという受難劇「受難の聖史劇」からの抜粋や、ユダヤ教に伝わる死者のための祈祷、ドイツ系ユダヤ人であった詩人パウル・ツェラン[1920-1970]が収容所で殺害された母親を歌った「ヤマナラシ」など。音響を音波として分析し、その倍音を解析するなどのスペクトル楽派の理論確立に大きく影響を与えたレヴィナスだけに、その作品は難解なことでも知られますが、この受難曲に聴かれる音楽には、不安定な響きの中で絡まるフレーズが不穏な美しさを作り出す瞬間も多く、語られる主題の複雑さに奥行きを与えています。(輸入元情報)
【収録情報】
● レヴィナス:聖マルコの福音書による受難曲〜アウシュビッツのあとの受難曲
テキスト:
ミシェル・ザンク訳、13世紀のフランス語聖書による聖マルコの福音
アルヌール・グレバン著「受難の聖史劇」(1452)より
ユダヤ教の死者への祈り「ハジ・カディッシュ」「エル・メイル・ラハミン」
パウル・ツェラン詩「水門」「ヤマナラシ」
歌唱:フランス古語、ヘブライ語、アラム語、ドイツ語
マガリ・レジェール(ソプラノ)
マリオン・グランゲ(ソプラノ)
ギレーム・テライユ(カウンターテナー)
マテュー・デュブロカ(バリトン)
マリー・ハマール(メゾ・ソプラノ)
トリスタン・ブランシェ(テノール)
シモン・サヴォイ(カウンターテナー)
ローザンヌ声楽アンサンブル
ローザンヌ室内管弦楽団
マルク・キソッツィ(指揮)
収録時期:2017年4月
収録場所:ローザンヌ、聖フランソワ聖堂(世界初演ライヴ)
収録時間:87分
画面:カラー、16:9
音声:PCM STEREO
字幕:仏・英・独
NTSC
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