リムスキー＝コルサコフ：シェエラザード、オネゲル：パシフィック２３１、ラヴェル：ボレロ（４手ピアノ版）　トレンクナー＆シュパイデル

４手ピアノならではのオモシロサ！
『パシフィック231』『シェエラザード』『ボレロ』

20世紀初頭までの作曲家は、大きな編成の作品を書き上げたときに、大金の必要なオーケストラを雇わずとも、ピアノで自作を発表できるよう編曲しておくことが多々ありました。
　今回登場するアルバムでは、近代に書かれたオーケストレーションの達人による作品が４手ピアノに置き換えられて演奏されています。
　まず注目されるのは、蒸気機関車の力強い動きを音楽に置き換えた『パシフィック231』でしょうか。巨大な動輪をゆっくりと動かし始め、煙を吐きつつやがて高速でばく進する機関車の迫力と重量感を見事に再現した名曲です。もとが黒塗りの鉄の塊の機関車ということもあってか、ピアノの硬質なサウンドは作品にふさわしいとも言え、聴きごたえある仕上がりとなっています。ちなみにオネゲルは大の鉄道ファンだったと伝えられており、作品はアンセルメに献呈されています。
　『シェエラザード』と『ボレロ』にはこれまでも４手ヴァージョンがありましたが、今回の演奏は、録音状態も非常に優秀で、新たに存在を主張しうる仕上がりです。
　演奏のトレンクナー＝シュパイデルは、これまでレーガー編曲によるバッハのブランデンブルク協奏曲と管弦楽組曲の全曲を収録しているほか、マーラー編曲によるブルックナーの交響曲第３番なども録音しており、すでにかなりの実績を積んでいます。
　エーフェリンデ・トレンクナーはギーゼキングとケンプに、ゾントラウト・シュパイデルは、ロリオ、アスケナーゼ、アンダ等に師事した実力派ピアニストです。
　なお、トレンクナーはシュパイデルと組む以前に、シルフィア・ツェンカーとマーラーの交響曲第６番と第７番をレコーディングし、見事な演奏内容で話題になっていました。

【収録情報】
・リムスキー＝コルサコフ：交響組曲『シェエラザード』Op.35（4手ピアノ版：1889年）
・オネゲル：パシフィック231（4手ピアノ版：1924年）
・ラヴェル：ボレロ（4手ピアノ版：1929年）
　トレンクナー＝シュパイデル（ピアノ・デュオ）

　録音時期：2009年3月10〜11日
　録音場所：マリエンミュンスター修道院
　録音方式：デジタル（セッション）