歴史あるオルガンの音色で作曲当時に思いを馳せる
フリードリヒ・ヴィルヘルム・マルクルは音楽を学び始めた幼少の頃から神童として名をはせ、弱冠20歳でダンツィヒ(現ポーランドのグダニスク)にある聖メアリー教会の首席オルガニストに就任しました。その当時ダンツィヒの音楽文化は完全に衰退していましたが、その後の半世紀にわたるマルクルの音楽家としての活動がその興隆に大きく寄与しました。バルト諸国のこの精力的な作曲家が自身とダンツィヒの教え子のために作曲した作品を採り上げたこのアンジェイ・シャデイコの2枚目のディスクは、これまで実際に知られていなかった音楽の歴史の一幕に再び光を当てます。
マルクルは若いから自信に溢れていたという事実が、ベルリン旅行の際に書いた記録で明らかにされています。彼はロルツィングを批判し、ワーグナーを才能ある作曲家と評価していました。また、ブラームスに多大な影響を与えていて、その影響はオルガンの作曲だけにとどまらず、『ドイツ・レクィエム』にも及んでいました。マルクルのオルガン曲の多くは、実用的な演奏目的か自身のオルガンの教え子のために作曲され、聖メアリー協会のオルガンのロマンティックな音色で奏でられました。アンジェイ・シャデイコはそのダンツィヒの楽器の代わりとなる優れたオルガンをシュトラールズントでみつけました。それが聖ニコライ教会の1841年製ブッフホルツ・オルガンで、今回の録音で演奏されています。このオルガンは第二次世界大戦で完全に破壊されましたが、その後専門家の技術により復元されました。(輸入元情報)
【収録情報】
マルクル:
1) 後奏曲第1番ロ短調
2) トリオ Op.124-1
3) トリオ Op.124-2
4) 後奏曲 Op.62-4
5) コラール Op.123 Heft 1 Nr.1-12
6) トリオ Op.124-5
7) アンダンテ
8) 後奏曲 Op.62-5
9) ソナタ Op.56
アンジェイ・シャデイコ(シュトラールズント、聖ニコライ教会の1841年製ブッフホルツ・オルガン)
録音時期:2017年
録音場所:シュトラールズント、聖ニコライ教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND