『いばら姫』全曲　シルマー＆ミュンヘン放送管（２００８　ステレオ）（２ＣＤ）

フンパーディンク『いばら姫』全曲
シルマー＆ミュンヘン放送管

マーラーの6年前に生まれたドイツの作曲家、エンゲルベルト・フンパーディンク[1854-1921]は、ワーグナーのもとで働いて多大な影響を受け、屈指のワグネリアンとなったことでも知られています。
　代表作『ヘンゼルとグレーテル』でも、ワーグナーの影響を受けたと思われる充実したオーケストラ書法が見られますが、それから9年後に書かれたこの『いばら姫』も、同じくメルヘン的な内容と、雄弁なオーケストラ・サウンドが組み合わされたスタイルとなっており、よく知られた童話が題材になっているという点も同様です。
　ただし、この作品では、曲間をナレーションで繋いで筋書きを説明するという形がとられているので、その意味ではオペラと劇音楽の中間的な存在といえるかもしれませんが、曲種は「メルヘンオペラ」とされています。
　当ＣＤでは、そのナレーションを往年の名歌手ブリギッテ・ファスベンダーが受け持っているのが注目されるところです。ショルティとの名盤『ヘンゼルとグレーテル』のヘンゼル役からちょうど30年を経て再びフンパーディンク作品の録音で大役を果たすことになってファスベンダー。まさにメルヘンのようなお面白いめぐり合わせと言えるかもしれません。（ＨＭＶ）

【収録情報】
フンパーディンク（1854-1921）:
・歌劇『いばら姫（眠り姫、眠れる森の美女）』全曲

　ブリギッテ・ファスベンダー（朗読）
　クリスティーナ・ラントシャーマー（ソプラノ）
　クリスティアーネ・カイザー（ソプラノ）
　シュテファニー・ハンプル（アルト）
　トビアス・ハークス（テノール）
　アンナ・ボルヒェルス（ソプラノ）
　ミリアム・クラーク（ソプラノ）
　ブリギッテ・バイヤー（ソプラノ）
　バイエルン放送合唱団
　ミュンヘン放送管弦楽団
　ウルフ・シルマー（指揮）