サロネン/ストラヴィンスキー・ボックス
最近ではドイツ・グラモフォンに、グリモーと共にベートーヴェンやペルトをレコーディングしたり、自作の録音までおこなったりするようになったサロネンですが、30代前半にソニーにおこなった一連のストラヴィンスキーの録音は、サロネン初期の偉業として、オーケストラ・ファンには見逃せない傑作が揃っています。
フィルハーモニア管弦楽団の特質もあってか、ここでは、ストラヴィンスキー特有のオーケストレーションの色彩感や繊細さが見事に浮き彫りにされており、サロネンならではの細やかなリズム・アプローチもあってテクスチュアの多彩さには格別なものがあります。
また、小編成の作品では、ロンドン・シンフォニエッタを起用して、ユーモラスな音からアグレッシヴなパワフルさまで、室内楽的な面白さを存分に引き出しているのが印象的。『プルチネッラ』の美しさなど歌の巧さもあって素晴らしい限りです。
なお、今回のボックス・セットでは、サロネンのSONYへのストラヴィンスキー録音から6枚のアルバム(16作品)が選ばれていますが、『火の鳥』(と『カルタ遊び』)のアルバムが選から漏れたのはなんとも残念なところです。とはいえ、これはこれでやはりお買得なボックス・セットだといえるでしょう。
CD1
・バレエ音楽『春の祭典』
・3楽章の交響曲
フィルハーモニア管弦楽団
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1989年デジタル録音
CD2
・バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1947年版)
・バレエ音楽『オルフェウス』
フィルハーモニア管弦楽団
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1991年デジタル録音
CD3
・バレエ音楽『プルチネッラ』(1965年改訂版全曲)
・11の楽器のための『ラグタイム』
・歌と踊りによる道化芝居『狐』
・管楽器のための『八重奏曲』(1952年改訂版)
イヴォンヌ・ケニー(S)
ジョン・エイラー(T)
ナイジェル・ロブソン(T)
デヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(BR)
ジョン・トムリンソン(BS)
ロンドン・シンフォニエッタ
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1990年デジタル録音
CD4
・バレエ音楽『ミューズを導くアポロ』
・弦楽のための協奏曲ニ調『バーゼル協奏曲』
ストックホルム室内管弦楽団
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1990年デジタル録音
・古いイギリスのテキストによるカンタータ
イヴォンヌ・ケニー(S)
ジョン・エイラー(T)
ロンドン・シンフォニエッタ
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1990年デジタル録音
CD5
・ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ(1949年版)
・管楽器のシンフォニー(1947年版)
・ピアノと管弦楽のための協奏曲(1950年版)
・ピアノと管弦楽のための楽章
ポール・クロスリー(P)
ロンドン・シンフォニエッタ
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1988年デジタル録音
CD6
・オペラ=オラトリオ『エディプス王』(ソフォクレスの悲劇による)
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(MS)
ヴィンソン・コール(T)
ニコライ・ゲッダ(T)
サイモン・エステス(BS)
ハンス・ゾーティン(BS)
パトリス・シェロー(語り)
オルファイ・ドレンガー男声合唱団
エリク・エリクソン室内合唱団
スウェーデン放送合唱団
スウェーデン放送交響楽団
エサ=ペッカ・サロネン指揮
1991年デジタル録音