チューダー渾身の力演。ケージの『易の音楽』
1956年WDRが収録した衝撃の世界初録音音源
ケージが歴史に刻んだ問題作の1つ、『易の音楽(music of changes)』のチューダーによる世界初録音音源の登場!
『易の音楽』は、太古から行われてきた占いを体系的にまとめた東洋の書「易経、もしくは変化の書」に載っている占いの表を参考に作曲された作品。様々な音素材(単音、重音などの最小限の単位。これは易によって割り出されたものではなく、ケージ自身の作)の組み合わせや、各セクションのテンポなどを、一回一回コインを投げて決めていきます。さらにそうして組み合わされた素材が実際にピアノで演奏できるように適宜ケージが手を入れるというなんとも手の込んだ作品。結果、極めて複雑な音とリズム構造をもつ作品となっており、現代音楽の名手チューダーも相当苦心して、ストップウォッチなどと首っ引きになりながら楽譜を読み込んでいったといいます。
世界初録音の大役をつとめたのは、アメリカが誇る現代音楽スペシャリスト・ピアニスト、チューダー。チューダーは『易の音楽』の初演者であり、また、ブーレーズのピアノ・ソナタ第2番を1950年にアメリカで初演し、あのケージの『4分33秒』を1952年に初演した人物でもあります。新しい音楽の誕生の場に居合わせた人々が発する熱気と緊張感に満ちた素晴しい演奏。音楽的に素晴しく、歴史的にも非常に貴重な音源です。(キングインターナショナル)
【収録情報】
・ケージ:易の音楽 (1951)
デイヴィッド・チューダー(ピアノ)
録音時期:1956年11月
録音方式:モノラル(セッション)
WDR HISTORIC FIRST RECORDING
マスタリング:2012年