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部凛汰 さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/08/11

    2曲とも、スローテンポを維持した巨大なスケールにまず圧倒される。しかしながら、鈍重さとは無縁。細部にまで感情移入がなされ、一本調子に陥っていないのは、朝比奈の表現力が卓越しているからであろう 殊に素晴らしいのは「ライン」。大河・ライン川を小舟でゆっくり下りながら、古城を眺め歴史に思いを馳せる…この演奏を聴いていると、そんなロマンティックな体験を、あたかも本当にしているかのような錯覚を抱かせてくれる。もちろん、モーツァルトも美しい演奏であり、聴きなれたモーツァルトのシンフォニーが、これほどの内容を持っていたことを再認識させられた。 一般的な解釈ではないかもしれないが、朝比奈のファンには特に強く推薦したいCDだ。

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     2010/07/08

    私は朝比奈のアルプス交響曲が大好きだ。他の演奏できくと、ただ派手なだけで途中で飽きてくる曲なのだが、朝比奈は極めてヒューマンな感動を与えてくれる。もちろん色彩的な音色も十分だ。ほんとにこの曲との相性がいいのだろうと思う。
     朝比奈には3種類のアルプス交響曲のCDがあり、これが最も新しい記録である。1990年の北ドイツ盤と比較すると、やはりフォルテの質感、リズムの不揃いなどでこの演奏は不利だ。しかし、大阪フィルは弦を中心にまとまりのある演奏をしている。トランペットも健闘していると言ってよいし、ホルンの深い音色は特筆すべきものだ。
     さらに、細部の表現の深化はほとんど信じがたいほどである。北ドイツ盤でやや物足りなかったところ、たとえば「登り道」の入りはより堂々たるものになったし、「悲歌〜嵐の前の静けさ」などは精神的な静謐さが際立っている。何より素晴らしいのは「終結」で、名演と思っていた北ドイツ盤を大きく引き離す。表情の硬さが取れ、自然や神に対する崇高な祈りさえ感じさせる。 
     オケがうまく、全体のバランスの良い北ドイツ盤、より表情が濃厚で指揮者の愛情がストレートに伝わる大阪フィル盤。朝比奈のファンならば、どちらも持っておきたい。こうなったら、オールジャパン盤をなんとか手に入れて聞きたいと思っている。

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     2010/02/23

    これは、朝比奈が最晩年に残した録音の中でも、ブルックナーの7番(大阪フィル)、ブラームスの2番(新日本フィル)などと並び、とりわけ優れた超名演。快速のテンポながら、急かされているような印象は全くない。虚飾や力みを排しつつも、曲のあらゆる部分がはつらつとした表情で語りかける。両端楽章はストレートなインテンポで、爽やかささえ感じさせるが、それだけにアダージョの深い瞑想は特に印象的。大阪フィルも大健闘だと思う。パート間でリズムが合わないなど、細かいミスは散見されるが、なによりトゥッティの響きが心地よいし、ホルンの美しさは特筆すべきだ。朝比奈が到達した境地として、ぜひ聴いておきたい。

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     2010/01/03

    今まで数多く朝比奈の演奏を聴いてきたが、これはその中でもかなり上位にランクインする名演である。朝比奈の解釈は、途方もなく大きなスケールを持ち、細やかで濃密な表情付けも見事である。「頂上にて」の、スローテンポを維持した壮大な迫力、「終結」の回顧的なロマンティシズムは感動的。朝比奈は、われわれがこの作品に求めるもの以上をオケから引き出し、われわれに聴かせてくれる。いまわたしの手元には、名盤と呼ばれるケンペ盤があるが、残念ながら職人的な棒という範疇を出ないものであり、朝比奈の立派さには及びえない。

    この演奏のもう一つの長所は、オケのうまさである。ヴァントに鍛えられた北ドイツ放送響は、アンサンブルが精密でミスも少なく、聴き手は安心して曲に浸ることができる。パワフルなトゥッテイから、嵐の前の静寂まで、表現力も幅広く、音色も美しい。特にこの曲は、金管の難易度が高い(特にトランペット)が、見事に吹ききっていて爽快。それでいて、フォルテでも無機的なうるささはまったく感じさせず、ただ中身の詰まった濃密なサウンドが聴ける。録音もオンマイクの聴きやすいもので、この曲の代表盤として真っ先に推薦したいCDである。現在廃盤になっているのは大変残念で、早期の復刻を望みたい。

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