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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/10/02

    血の郷愁があったブゾーニはイタリアの郷土色を宿しながらもドイツ音楽への憧れに満ちている その錯綜した心理矛盾からある意味時代を超えたとも見える 後期ロマン派時代を生きながら過去と未来へ飛んでいたとも言える作風だ ノルディオの歌うヴァイオリンに相応しい一曲だろう そしてマリピエロの二曲 録音の少ない音楽であれば有難い 20世紀アヴァンギャルドの風は鳴りを潜め 擬古典あるいは印象派の風情が30年を隔てる創作時期の違いを埋めている 瞑想し思索する音楽は抒情詩でもある イタリア人によるイタリア音楽演奏なのでカンタービレに寄りすぎた感もあるが これも一つの美だろう 美しいことは請け合う あなたも如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/10/01

    ハンブルクのエルプフィルハーモニーホールの特性が十全に生きた演奏録音だ 特に第三楽章の終わりからFinaleまでのソノリティはこの新音楽堂無しには生まれなかっただろう pppからfffまで楽器の音色と響きさらにパート感の立体性あるバランス その全てが聴き取れる 豊かに広がる深い響きと音切れの良さ どんな時も混濁なく透明感を失わない音響特性を示して驚かされる ウルバンスキは音楽の個の抒情部分と取り巻く社会の情勢部分とを意識して描出する しかも客観の視点を外さない 音楽は自ずと清濁併せ持つ知的な大きな世界となった その創出の根底には”みだりに楽観もせず悲観もせずじっとよく見る”精神があり その上に自己の生を全うしようとする強くしかも大らかな姿勢が表明されていると言える それはショスタコーヴィチの生き様であり それに共感したウルバンスキとNDRエルプpoの主張が伝わってくる この第5番は楽天的勝利の音楽にも悲愴的抗議の音楽にもなっていない これでいい あなたも如何

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/09/30

    歌に満ちたプロコフィエフ 表現主義やアヴァンギャルド性は背後に隠されている それはイブラギモヴァの演奏が導いたプロコフィエフの表情であり 作曲者の一面性に過ぎないが 多くの聴衆が聴く場合拠り所となる最大の長所でもある 聴き始めて詩が読みたくなった 書棚から”青猫”を持ち出して 音楽はそのままに朗読した 朔太郎の世界とシンクロナイズして詩も音楽も輝きストンと胸に落ちてきた 思えば同時代の人だ プロコフィエフの”歌”は抒情以外の何物でもなかった イブラギモヴァの情に溺れない客観的運動性に支配された”歌”は宇宙が持つ冷徹なまでの繊細さと柔軟ですらある強靭さを体現する美しさだ 同時にオズボーンが見事に表出して見せたピアノ・パートの重要さを思い知った プロコフィエフはやはりピアニストなのだ この楽器に仮託してこそ最も雄弁たり得ると再確認した 交響曲に匹敵する楽曲と演奏だ あなたも如何 

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     2018/09/29

    ヘンヒェンのマーラーといえば5番6番を聴き掛け替えのない好印象を持ち続けていた この4番は聞き逃していた もう27年前の録音だと言う なんと言う不覚 聴けば予想を大きく上回る核心を突いた名演奏だった 一つもレビューがないと言うことは多くの人が聴いていないのだろう マーラーは常々凡てのパートの動きが聞こえるようにスコアを書くことに努力していた これはマーラーの音楽観と作曲指針を伝えている だから旋律線を辿るが如き演奏はマーラーの表現しようとした何物も伝え得ていないことを示している 単に主旋律と対旋律を聞かせるに留まらない ヘンヒェンの指揮の下から聞こえてくる音の多様さとその意味はあまりに深い 自ずと交響曲の姿が一変している この4番をわたしをして後回しにさせた因はこれまで聴いた他の演奏から作られた先入観だ 大曲第3番の残滓を拡大したもの おまけ付録だと無意識のうちに軽く見ていたと気づく 清新で研ぎ澄まされた詩情に満ちた結晶物なのだ マーラー創作前期の集大成というべき傑作なのだ こんな当たり前のことに改めて気付かされた さあ あなたも如何  

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/09/29

    然うだこれが”マンロウ”だ 大昔の人ではない 自ら幕を引かなければ今年76歳だったのだから 同時代の人だ リコーダーを主軸に中世とルネッサンス バロック以前の音楽と楽器の研究者であり同時に再現演奏者として先頭を走っていた 三十代半ばで世を去った その三ヶ月前のそして最後の録音 レコードが擦り切れるほど聴いた 再びこうして聴こうとは思わなかった 友から手渡されて少し戸惑った 懐かしさの中に躊躇が出た 内容は彼の古里イギリス音楽集 前半はルネッサンス 後半は20世紀 スタートはどちらも”グリーンスリーヴズ” リコーダーのソロからアンサンブルまで見事だ 笛がいっぱいに鳴っている テヌート奏法の前半と最後はポップに終わる後半の対比が面白い ”パイプのための組曲”を仲間と吹いた記憶が蘇る ただ純正調のリコーダーと平均律のピアノが作り出す歪みは不快だ マンロウはこれをどう捉えていたのだろうか もうこんな笛吹きは現れないだろう 私も笛を吹かなくなって久しい 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/09/28

    よく晴れた日に聴きたくなる ”グラン・パルティータ”の13管楽器によるハルモニームジークだけが青空を渡っていく白雲と吊り合う豊かさと美しさを持っている シュトゥットガルトRSOの木管セクションによるこの演奏が素晴らしい グルメ・リポートのような持ってまわった褒め言葉はいらない 味付けを云々する前にこの料理は美味しいものだと言うことに尽きる モーツァルトがいかに優れた音楽家だったかを称揚するにとどめを刺す セレナードなのに演奏時間50分 全七楽章は両端をアレグロで囲み 中に二つのメヌエット メヌエットの後は二つの下属調のアダージョ そのどちらもが全く性格の違った曲想なのに驚く 3度目にはメヌエットではなく豊かな変奏曲を経てアレグロヘ帰結する 5種9本の木管と4本のホルンが千変万化の音色を紡ぎ出す面白さは他に類を見ない 闊達で調和のとれた演奏に加えて TACETのBlu-ray Audioの音響の面白さと美しさは想像を絶する これは繰り返し聴きたい あなたも如何 

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     2018/09/28

    こんな晴れた日にはパート・ソングが聞きたい いや歌いたい 小型の四部合唱で8人から16人でパートの人数も均一にして無伴奏で歌う 主旋律はほぼ高い声のパートにあるホモフォニーだ どの曲も同じような響きになるから たくさんを一度に歌ったりしない だからメンデルスゾーンは曲集を編む時六曲にした ”野に歌う”と題されたパート・ソング歌曲集が三つある 無題だが同一趣向で組まれた曲集も含めて ザクセン声楽アンサンブルが歌っている 素晴らしく清々しい響きを愉しんだ TACETの録音とBlu-ray Audioの優秀さを書き添えない訳にはいかない サラウンドで聴くと合唱の中に入ってしまったように感じられる 一緒に歌ってしまう あなたも如何 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/09/27

    フランス人でフランスのオーケストラの常任指揮者になれなかった人を多く見る カンブルランもその一人だ 経歴の大半をドイツで過ごしている それでもフランス音楽を振らせるとかくも見事な仕事をする このリズム この歌 何よりも音楽から飛び出す色彩は異邦人では紡ぎ出せない血の所産だ SWR-soの音色まで変わってしまったかと錯覚するほどに”フランス”なのだ ”イベリア”にそれは横溢している だが情緒を醸すに留まらないのがカンブルランだ スコアの解析と構築を忘れていない 俊敏な運動性が行き渡りディテールの切り出しが鋭いから音楽は雰囲気に流れず明確な主題を表出していく 実はこれも存外フランス気質の為せる業なのだ カンブルランは余りにフランス人なのだ だから同国人に煙たがられるやもしれぬ ”海”は稀に見る名演だ これは拾い物の一枚 あなたも如何      

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     2018/09/27

    夢見るヴァィオリン ラヴェル集である前に 夭折したルクーのソナタが聴けるのが嬉しい ラヴェルより5歳年長だったが24歳で没したルクーが残した曲は10曲にも満たない 21歳の作品Vnソナタはイザイの委嘱で書かれたことは 天才の名が世に知られていたことを示す事象だろう 30分を越える大振りな曲だが 曲想は憧れに満ちたメルヘンと呼べるほど優しく繊細な歌に終始している ルクーがフランクに師事したのに対してラヴェルはフォーレに傾倒した Vnソナタ第1番はルクー同様若き22歳時の作品でラプソディックな単一楽章曲だ 一つのテーマから展開するこちらも優しく幽けき作風を示している 30年後に書かれた第2番はブルースを取り入れるなど変化に富んだ三楽章になった イヴラギモヴァは続く”ツィガーヌ”も含めて 歌うことに主眼を置いて朗々と弾ききっている 細やかな表現が行き渡っていることは言うまでもないが 楽曲全体の姿を鮮明に映し出すことを心掛けている 所謂民族性のような性格描写は控えている ここが好悪の分かれるところだろう わたしはこれを愛す あなたは如何

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     2018/09/27

    雨が降っている 昨夜は虫が鳴いていた 早い朝は鳥の囀りに囲まれる 風の吹く昼もある 雷鳴が轟く夜もある 月影だけが明かに差して閑かな時もある こうした自然音と吊り合う音楽(録音)は然う然うないものだ TACETのDiscはその数少ない例だ CDでSACDでその優秀さに舌を巻いていたが Blu-ray Audioはさらに一頭地を抜く音響の世界をもたらした このシルマーが弾くFazioli F-278の深く広い倍音が創る世界を物の見事に再現してみせる 音と音の間の所謂行間にある音なき音を聞かせてくれる 余韻の減衰していくその先まで見えるように だからたったひとつの音がそしてPPが語りかけてくる どこまでも透き通った空間が広がっている 広い広い空のように深い深い海のように 5.1 Surraund 2.0 Stereo の他に5.1 Moving Surraundという聞き方ができる 音が空間を飛び回る わたしはいつも通り2.0 Stereoで再生して アンプで7.1chに変換して聴いた なんども聴いてしまった あなたも如何  

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     2018/09/26

    20世紀の前半は一際妖しい時代だった 前世紀末のデカダンスは新世紀に入って現実に広がる不安と驚異となって立ち現れた 人々の内面は均衡を欠いた不健康な情緒をもって閉塞していった コパチンスカヤとレシチェンコが編んだプログラムはその悪魔的な時代に産み落とされた作品群だ 演奏者には面白く技量の見せ場となるが 聴く者に意気軒高で爽快な気分は醸成されない コパチンスカヤとレシチェンコの演奏が輪に輪を掛けて面妖な雰囲気を醸す バルトークが1922年 ラヴェルが1924年 プーランクは1943年の成立初演だが Vnソナタ作曲の試みは第一次世界大戦から始まっており 再三の取り組みにも拘らず完成できなかった 1940年にヌヴーの依頼を受けて漸く日の目を見たのだった プーランクはスペイン的なるもの バルトークは無国籍 ラヴェルはハンガリー・ロマ風と素材は異なれど 頽廃的な風が吹いている ”二人”の演奏は客観の支点に立ちながら想像力の翼を広げ羽撃かせている あなたも如何  

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     2018/09/26

    喜寿に垂んとする延原武春は生涯大阪で音楽家人生を全うするのだろう 50年を越えて小さなアンサンブルを牽引してきた その名を大阪人でも知らぬ人は多い だが少数でも彼の活動を愛し演奏の場に足繁く通い詰めている人たちもいる そのテレマン室内アンサンブル(時にオーケストラとなる)は現代奏法とピリオド奏法をこなす楽団だ すでにピリオド楽器によるベートーヴェン交響曲全曲の録音を成している これは見事な演奏でわたしの宝物になっている 添えられたパンフレットに掲載された同九曲の解釈には刮目すべき点が多い 今回不意に現れた”田園”は日本センチュリーsoとの演奏だった 10年前のTCOと比べて演奏時間が伸びている 第一楽章で1分弱 第三楽章で30秒長い しかし延原の解釈と指揮に齟齬はない 漲る生命力と安らかな愛の歌が全曲に染み渡っている 先年大阪psoとの全曲演奏も稀に見る名演だった あれもDiscにならないだろうか ともあれ あなたも如何  

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     2018/09/25

    ヘンヒェンは長くCPEバッハCOのディレクターをしている 彼らのモーツァルトの協奏曲集は聴きものだ バロックのコンチェルト・グロッソの名残を留めながらもモーツァルトのシンフォニズムが行き渡ったダブル以上の独奏楽器を伴うコンチェルトを集めている ピリオド楽器による演奏ではないけれども コロロの趣向と精神を表出してモーツァルト・スタイルを体現している Vn&Vla 2 Vn Fl&Hrpのための(合奏)コンチェルトも爽やかで味わい深いが 4本の管楽器をソロとするシンフォニア・コンチェルタンテに注目がいく Ob Cl Hrn Fgのソロ部編成が Fl Ob Hrn Fgに変わっている K.(ケッヘル)の作品表にはKV 297bとして名はあってもスコアが存在していない曲だ ヘンヒェンが儀作(偽作)として分類されているK.Anh.9(C14. 01)から復元したとある 当初FlだったものがClに書き換えられてスコアが残ったと伝えられてきた 聴けば納得がいく Cl→Flに戻したことで音楽は立体的になり透明感が増した あなたもご一聴を   

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     2018/09/24

    久し振りにスクリャービンを堪能した 俯瞰から見たスクリャービンのライフワークだったピアノ曲が並ぶ ピックアップされた楽曲は作曲番号順に配列されその作曲技法の変遷が眺められる スクリャービンのピアノ曲は三つの時期に分類される @〜1900年 A1903〜1907年 B1910〜1914年 @はOp.13&16の前奏曲集 AはOp.30&53のピアノ・ソナタと悲劇的&悪魔的の両詩曲そしてOp.42の練習曲集 Bは詩曲「炎に向かって」Aの時期に大きな変化を見ることができる 第4と第5ソナタとの差異がその象徴となっている 43年しか与えられなかった人生がいかにも惜しい 世に立つに当たってスクリャービンを提示してくるホロデンコと言うピアニストに興味が尽きない 明解明晰なピアニズムに注文をつけたくなる諸氏もあろうが 虚心坦懐耳傾ければピアノを通して作曲家が新たな響きを探し求めていく旅模様が見えてくるではないか そしてこの弾くピアノの音の味わいも印象深い あなたも如何   

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/09/22

    ヴァイオリニストが出発に際して ハルトマンを取り上げるだろうか イブラギモヴァ21歳22歳の時の録音だ ロシア生まれイギリス育ちの奏者がナチスに人生を翻弄されたユダヤ系ドイツ人ハルトマンの当に”反ファシズム”の旗を掲げた〈葬送コンチェルト〉で世に出たのだ 彼女の歩もうとする音楽家の道が着飾ったお嬢様の花道ではないことを予告している 歴史の闇に隠されている音楽の魂をも見逃すまいとする精神はどこで培われたか その演奏は知的で情の通った美しさに包まれている そして驚くのは残った全体の3/4に当たる余白をソロで埋めていることだ ハルトマンのヴァイオリンによる無伴奏組曲とソナタは手持ちの作品名辞典にも紹介がない リフレットに4曲凡て1927年の作とある ハルトマン22歳の年だ そしてこれを録音した時イブラギモヴァも22歳だった 単なる偶然だろうか ここに彼女の孤独と決意を見る 新しい何ものかを見つけまた生み出す人生が待っている もしまだなら あなたも如何

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