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miklos さんのレビュー一覧 

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     2022/12/31

    バルトークマニアが狂喜乱舞するような素晴らしい内容のBOXである。
    バルトークマニアとしてはや15年、バルトークの作曲家としてのキャリアを理解するために、なんとかしてバルトークの全作品をバラのCDで集めようと躍起になっていたが、青年期の作品や民謡編曲作品(歌曲)は録音がないものがあり、半ば諦めの境地であった。
    しかし、このボックスがリリースされたことで私の諦念は霧散してしまった。以前のフンガロトンによる全集に収録されていなかった少年~青年期の作品や、民謡を編曲した歌曲などをわざわざ(!)新録音して収録しているのである。バルトークというと「民謡の要素を研究・分析・脱構築し、自らの作曲様式に落とし込んだ」ということがよく言われるが、そこに至るまでには、民謡にただピアノ伴奏を付けた作品を作った、という途中のプロセスが存在したわけで、いきなり弦チェレのような作品には至っていないのである。
    そのようなプロセスを理解するという点で、今回のBOXには非常に価値があると考える。

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     2021/03/19

    マルティノンのドビュッシーはやや録音が古いことを除けば、今でも充分に名盤の一つと言っていいと思う。やや硬めの響きがドビュッシーの音楽と相性がいいと感じる。「海」や「子供の領分」は決定版といって良い出来栄えであるし、「夜想曲」や「牧神の午後への前奏曲」も甘すぎなくて良い。マルティノンと多くの名盤を残したフランス国立放送管弦楽団のアンサンブルのレベルも高い。
    ラヴェルはパリ管弦楽団との共演だが、あまり録音状態が良いとはいえず、「ラ・ヴァルス」などで金管を中心にブオーという音が聞こえたり、アンサンブルが怪しいところがちらほら。デュトワと比較してしまうとちょっと厳しい。なんならラヴェルの作品集もフランス国立放送管弦楽団と録音してほしかった。

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     2021/03/19

    メンデルスゾーンの交響曲を聴いて、全集にも興味を持つようになられた方には、こちらのドホナーニ/WPによる全集をお勧めする。ドホナーニのメンデルスゾーンというと意外に思われる方もおられるしれないが、このデッカ盤以外にクリーヴランド管弦楽団とも何枚かCDをリリースしており、ドホナーニの得意とするレパートリー。ウィーンフィルの演奏するメンデルスゾーンというのもほとんど聞かない組み合わせだが、意外や意外、やたらあるマーラーやらブルックナーやらの録音よりずっと良くて、もっとCDがあってもいいと思えるぐらいの出来なのだ。カップリングの序曲「静かな海と楽しい航海」やカンタータ「ヴァルプルギスの夜」は録音自体が珍しく、それらの曲の決定盤といって差し支えないだろう。

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     2021/03/18

    フランス近代音楽のマニアにはすっかりおなじみの指揮者、ジャック・メルシェがRCAに残した録音がボックスとしてまとまった形で出た。すでに廃盤で入手が困難になってしまったものが大半で、再販の可能性も低いのでフランス近代音楽マニアの方は購入を強くお勧めする。
    収録楽曲について一言で表すなら玉石混交である。フローラン・シュミットの映画音楽「サランボー」や、サン=サーンスの声楽作品集は演奏もよくかなり当たりであるといえる。一方で、ブリュノーの「レクイエム」やオラトリオは保守的過ぎて正直面白い音楽とは言えない。

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     2021/03/18

    シューベルト演奏の第一人者、ブレンデルによる2つの即興曲は、決定版と言って差し支えないだろう。ケンプやシフをはじめ、シューベルトの即興曲を録音しているピアニストは数多いが、ここまで透明感あふれ、歌心に満ちている演奏は録音から50年近くが経過した今でも見当たらない。

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     2021/03/18

    フランスの作曲家ガブリエル・ピエルネの珍しい作品が収められたディスク。この盤に収めらている「バスク風幻想曲」と「イゼーイ(日本語表記はこれで合っているのだろうか?)」は世界初録音だそう。
    「ミュージックホールの印象」は、ミュージックホールとサーカスのファンであったピエルネが音楽でそれらを表現しようとしたもの。冒頭の軽薄な響きに不安になったが、曲を追うごとに単なるミュージックホールの音楽的描写には終わっていない作品であると感じるようになった。
    「ヴァイオリンのためのバスク風幻想曲」は、名ヴァイオリニスト、ジャック・ティボーに献呈されたされた作品。スペインとの国境地帯に近いバスク地方の民謡は、スペイン情緒の音楽に多く用いられており、ピエルネも1908年に劇音楽「ラムンチョ」においてバスク地方の民謡を数多く用いている。異国情緒満載の音楽だが、オリジナリティに欠けているのは否めない。
    「イゼーイ」も紀元前6世紀のインドを舞台にした作品で、当時の異国趣味の流行を反映しているといえる作品。グロッケンシュピールがオリエンタルな雰囲気をうまく描写している。この盤の中で一番のおすすめ。
    マルティノンの録音がある「牧歌風の主題によるディヴェルティスマン」も、牧歌風、というタイトルがついているように全体的に穏やかな作品である。
    演奏も録音もよいが、これが初めてピエルネを聞く人にお勧めできるかというと正直微妙なところで、やはりマルティノンやシャンドスから出ている管弦楽曲シリーズあたりが一番良いのではないだろうか。

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     2021/03/18

    CPOレーベルはバロック期の北ドイツに花ひらいたオルガン楽派の紹介にも熱心で、今まで耳に触れる機会の少なかった作曲家のオルガン作品集を積極的にリリースしている。リューネブルクで活躍した作曲家ゲオルグ・ベームのオルガン全集もその一つ。チューリンゲン地方に生まれたベームは1698年にリューネブルクの聖ヨハニス教会のオルガニストのポストを得、1733年に亡くなるまでその任にあった。若かりし頃のバッハがリューネブルクのベームを訪ね、当地の学校に通いながらベームに教えを乞うていたという。
    そのバッハと比較するとベームのオルガン曲は、肩を張らずに聴くことができ疲れない。フランメによる演奏も歴史的オルガンを使っているだけあって、当時の響きを再現できているように感じられる。録音も良好でまるで、ドイツの教会でベームの作品を聴いているような気分にさせてくれる。

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     2021/03/18

    のだめカンタービレの劇中で使用されて有名になったチェコ組曲など、ドヴォルジャークの比較的マイナーな管弦楽曲を収録したアルバム。
    チェコ組曲は、スラヴ舞曲集の完成から一年後に作曲された作品で、フリアントやソウセツカーなど舞曲の名前がタイトルにつけられている。もともとの曲の弦の美しさとドラティの指揮の特徴といえる躍動感があふれるリズム感がうまく調和しているように思う。
    プラハワルツは、シュトラウスのウィンナワルツと比べてやや重い感じがしなくもないが、その分安っぽくなくて飽きが来ない作品であるといえる。
    アメリカ組曲は、もともとはピアノ曲でドヴォルジャークがアメリカに滞在中、現地の音楽にインスピレーションを受けて作曲したものだが、どちらかというとアメリカというよりボヘミアの響きが感じられるような気がする。演奏はチェコ組曲同様リズム感があって、弦楽・木管楽器の奏でる音も美しい。

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     2021/03/18

    ネーメ・ヤルヴィの一連のプロコフィエフ録音からの一枚。「キージェ中尉」組曲は同名の映画音楽を再構築し組曲に編み直したもの。金管楽器の音も通常のヤルヴィよりは抑えめで、バランスの取れた好演奏。
    初期の作品「秋のスケッチ」も面白い。物悲しげな旋律は、北国の短い夏が終わってしまった寂しさを示唆しているかのようである。
    最晩年の傑作だが録音に恵まれない「石の花」は、プロコフィエフが病気やらジダーノフ批判やらで精神的にも肉体的にも辛い時期に書かれた作品。プロコフィエフの凄いところは、このようなロシア民話を題材にしたエキゾティックな作品においても、音楽が決してただ民謡を編曲しただけの安っぽい音楽に成り下がらないところにある。ヤルヴィの演奏も聴かせどころを抑えてこの隠れた傑作の魅力を引き出している。

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     2021/03/17

    イベールのCDのリリースが最近増えている。お陰で寄港地以外見るべきものがないというイメージを払拭しつつあると感じる今日この頃だが、50年近く前に先陣を切って寄港地以外の作品の作品を取り上げたのがマルティノンであった。
    皇紀2600年記念式典のための「祝典序曲」だが、このマルティノン盤が世界初録音である。良くも悪くも捉えどころのないイベールらしい音楽が初っ端から展開され、最後は一応盛り上がったりもするが、全体として祝典的な雰囲気はどこへ行ってしまったのだろうという気持ちにさせられる。
    目玉の寄港地はデュトワと比較してしまうとやや弦楽セクションの響きが硬いような気もするが、十二分に地中海の雰囲気を味わうことができる。
    そして珍曲「架空の愛へのトロピズム」である。もちろん世界初録音で、初演をマルティノンが振ったという縁からこの曲を録音したのだろうが、未だにマルティノン以外の盤の録音がないというオマケ付き。調べると9楽章からなるディヴェルメントのような楽曲で、いろいろな音楽の要素を取り込んでいるらしいが、正直色々な要素が25分程度の曲に詰め込まれすぎていて、ごった煮のようになってしまっていて曲に統一感がない。統一感がないのがイベールの特徴の一つともいえるので、仕方ないと言えば仕方ないのだが。これはもう演奏家が悪いとかではなく、楽曲がそのようなものだからとしか言えないのではないだろうか。このような楽曲を50年以上も前に録音したマルティノンには先見の明があったといえる。寄港地以外の楽曲の出来自体は大したことないが、この録音の歴史的意義とマルティノンの先見性を評価して五つ星とさせていただく。

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     2021/03/17

    バルトークの声楽作品は基本的にハンガリー語で歌われることを前提としているためか、なかなか取り上げられる機会も少なくCDも多くない。しかしバルトークの民謡編曲作品は、主にピアノ独奏曲と声楽曲という2つのジャンルに多くの作例が見られる。この民謡編曲が、作曲家バルトークの技法の発展に大きな役割を果たしているという事実を鑑みれば、彼の声楽作品もやはり無視することができないというのが自然な結論であるといえる。
    この盤に収録されている作品の中では、27の合唱曲から7つの曲を選んでオーケストラ伴奏をつけた作品が面白い。演奏もバルトークの作品に対する意気込みが強く感じられる。

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     2021/03/17

    ノックレベルクによるグリーグピアノ曲全集第4弾は、「ホルベアの時代から」や「スロッテル」などを収録している。管弦楽版がよく知られる「ホルベアの時代から」は、ベルゲン出身でデンマークで活躍した作家・劇作家ルズヴィ・ホルベア(1684-1754)の時代に流行した様式で書かれた作品である。バロックの時代へのオマージュという点ではラヴェルのクープランの墓と類似しているのかもしれない。この盤で初めてこの曲のピアノ版(もともとはピアノのために書かれた作品)に触れ、何回か聴いているうちにもしかしたらピアノ版の方が管弦楽版よりもいいかも知れないと思えるようになった。
    「スロッテル」はフィドルで演奏されるノルウェー農民の舞曲をピアノ用に編曲したもので、その大胆なリズムはバルトークの15のハンガリー農民の歌を思い出させる(余談だがバルトークは生前ソ連への演奏旅行時にハンガリーのグリーグと紹介されている)。
    ノックレベルクの演奏はさすがスペシャリストだけあって、説得性があるし、彼が執筆した解説も専門家だけあって多くのことを我々に教えてくれる。

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     2021/03/17

    ノックレベルクによるグリーグのピアノ曲全集第2弾は、ノルウェー民謡を編曲した作品が収められている。25のノルウェーの民謡や19のノルウェー民謡など、グリーグは小品でこそメロディメーカーとしての才能を発揮しているように思う。若かりし頃、同世代のスヴェンセンの交響曲を聴いて自身の交響曲を封印したというエピソードがあるが、自身の適性が小品にあることを理解したからこその決断だったのではないかと思う。ノックレベルクはグリーグのスペシャリストとして著名なピアニストで、自らこのCDの解説を書くなど音楽学者としての顔も併せ持つため、演奏の説得性が極めて高いように思う。

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     2021/03/17

    リストの「荘厳ミサ曲」は、1856年にハンガリーのエステルゴムで初演された作品ではある。後に新教皇の就任のお祝いとして、当時のピウス9世にも送られている。
    リスト自身はこの荘厳ミサ曲を最も好きな作品の一つで、自身が生み出した最上の作品であると述べているが、いかんせん演奏ないしは録音される機会が極めて少ない。そもそもリストが宗教音楽を書いていると言うこと自体知られていないのであるから、仕方がないといえば仕方がないのだが、このような宗教音楽の傑作が全く取り上げられないのはあまりにもったいない気がしてならない。リストの宗教音楽を数多く録音している“スペシャリスト“フェレンチークもこの曲の良さを引き出しているように感じる。録音から60年近く経過しているが、この曲の決定版と言って差し支えないだろう。

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     2021/03/17

    フンガロトンから新バルトーク全集ということで10数年前から継続的にSACDがリリースされていたが、ハンガリーが先のリーマンショックで財政危機に陥ったこともあって、新盤が出るのか心配だったが、2016年に待望の新盤(この盤)が出た。ただ2016年の年末にこのプロジェクトに指揮者・伴奏者として関わっていたコチシュが亡くなってしまったので、このプロジェクトの行く末が心配なこの頃である。2016年以降、新盤が出るという話も一切出てきていないし。。。
    前置きはともかく、普段あまり、というより全く取り上げられないバルトークの合唱作品を収めたディスクである。バルトークの合唱作品は民謡を編曲したものが多く、その作例も比較的初期から晩年にまでわたっている。このディスクに収められている合唱曲もそのほとんどが、民謡編曲か、民謡に見られる音型を用いて作曲された作品(過ぎ去った時より)である。民謡編曲と言うと、安っぽくディレッタントで物悲しいというイメージが先行するが、此処に収められている作品は決してそんなことはなく、芸術作品として十分に鑑賞に耐えうる出来であると思う。コダーイの声楽作品と比較しても面白いだろう。

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