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yupi さんのレビュー一覧 

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     2018/12/12

    淡々と描かれているように見えて、どんでん返し。
    ようやく希望が見えたかのような状況でさらにどんでん返し!

    大きなテーマを扱っているわけではないけれど
    登場人物の心の動きの描き方が見事で、
    心の中にある罪悪感や自責感ゆえに過剰反応していくさまも非常にリアリティがある。

    ちりばめられた伏線を確認したくて、読了後すぐに再読。
    ここにもあったのか…という発見にわくわくした。
    最初の1文と最後の1文の呼応もシンプル。湊かなえさんらしい読み応えのある作品。

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     2018/12/12

    小さな町の中学校で、男子生徒が転落死した。その生徒はいじめを受けていたことが判明。この転落は事故か事件かー。

    いじめ首謀者とされた4人の生徒たち、その親、被害者側の家族、学校、警察、検察、弁護士、そして聞き取り調査をされるその他大勢の生徒たち。多くの視点から描かれる群像劇であり、さらに事件後と事件前の様子が自然に時間軸を行き来しながら描かれるので、読み手がどのように事件をとらえるのか、誰に感情移入するのかが都度変わっていく。

    中学生は鳥の群れのようなもので、みんなが飛ぶ方向に考えもなくついていく、という文言が出てくるが、中学生のみならず、読み手もページが進むにつれて同じように大勢に流れていきそうになる。あえて言うなら「この子だったらいじめられてもしょうがないな」とすら思わせる描き方、そしてそのように感じることへの嫌悪や反省も含めてこの作品ができあがっていると思うし、大きな悪がない(小さな悪はたくさんある)中で大きな事件が起きてしまう不幸について、人はどこまで責任を負えるのか、負うべきなのかということも考えさせられる。

    奥田英朗さんの軽やかな筆致なのでとても読みやすく、それが事件に対する関係者の温度差も見事に描き出しいていた。読み進むのを止められない作品。

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     2018/12/12

    さらりと乾いた文章で、ひとりの調律師が成長していく様子を描く、静かな作品。
    ピアノの音、ピアノがつむぎだす音楽、その音楽が人に与えるもの、音色から感じる景色。静かな文の中から豊かな音と景色が生まれてくるようで、思わず久しぶりにピアノを弾いてみた。
    読んでしまったら、ピアノを弾かずにはいられなくなる、一音一音がいとおしくなる。

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     2018/12/12

    唇が閉じられたまま生まれ、大きくなることを怖れ、小さな身体のままチェス盤の下で美しいチェスをさすリトル・アリョーヒン。
    閉じ込められたままにそれを受け入れる人々は、静かで哀しく、いまにも消えてしまいそう。小川洋子さんの独特の世界観に満ちた小説だった。
    チェスのことはなにもわからないけれど、美しい棋譜が編み出される様子は魅力的。
    リトル・アリョーヒンは幸せだったのかもしれないけれど、最後までそうは思えなかったし、インディラもマスターもミイラもとても切ない。総婦長さんの生命力ある存在が救いに感じた。小川洋子さんの文章は本当に美しい。

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     2018/12/12

    いろいろな事情で学校に行けなくなった中学生たち7人。
    とくにメインである「こころ」の気持ちの動きー同級生への恐怖、失望、大人への絶望、一縷の望み、語れない話、自責などーは、最初のうちは読み進むことができないくらいに辛かった。ひしひしと感じる親の期待、失望、それをわかっていてもなお、どうにもならないことへのやるせなさ。子供だけでなく大人の言動もリアリティがあって、本当にこの子たちに誰が手を差し伸べられるんだろう、と苦しくなっていく。

    一方で、彼ら7人は現実から離れた「かがみの孤城」で出会う。鏡を通り抜けて別の世界に行く、狼の顔をした少女がいる、パラレルワールド?異次元?このストーリーをつなげていく重要なポイントではあるのだけれど、わたしが元来ゲームファンタジーのような作品を読みなれないため、ややそのシーンはなじみのないまま読んだ。それでも、そこを読むことによって、だいたいの状況(いわゆるネタバレ?)はわかってしまうのだけれど、わかったからといってそれが何の弊害にもならない、むしろその状況を彼らはどうするんだろう?という楽しみにつながったりもするのだけれど。

    かがみの城なしに、全部本当にリアリティのあるストーリーだったら、どんなお話になっていたのだろう?ものすごくへヴィで読めなかったかもしれないけれど、とても興味がある。個人的にはスロウハイツの方が好み。でも「誰かを助けたい」という思いはとてつもなく強く伝わってきた。

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     2018/12/12

    「善意は悪意より恐ろしい」という帯のインパクトが強すぎた。
    田舎町に暮らす3人の女性(地元で生まれ育った女性、夫の転勤によって暮らし始めた女性、ユートピアのような場所だと移住してきた芸術家の女性)とふたりの子供たちを軸に話が進んでいくのだけれど、はじめの方はむしろ安穏としているようにみえて読み進むのに少し時間がかかった。彼女たちの間に少しずつ温度差や亀裂が生じ始めてからは、いかにも湊かなえさんらしい、女性の負の感情がじわじわと描かれていく。

    おそらく、わたしにはこれは善意とは思えなくて、もちろん悪意でもないのだけれど、小さな意地悪心や嫉妬心がちくちくと気持ち悪くて、帯にかかれているような感覚を抱けなかったのだと思う。

    いわゆる「女性どうしの面倒な人間関係」でじわじわと窒息させられそうな感覚なのだけれど、自分自身は女性どうしの嫉妬や意地悪とほぼ無縁で生きてこられているので、小説の中(特に湊かなえさんの小説の中の女性たち)の心情がデフォルメされて描かれているのか、あるいは自分自身が人的環境にはるかに恵まれているのか(あるいは非常に鈍感なのか?)、とにかく読み終わって全く爽快でないところが湊かなえさんだよね、と思いつつも、人間こんなに悪いことばかりじゃないのにね、と今の自分の環境に感謝すらしてしまう、そんな感覚。あるある的に描かれているけれど、現実はそんなに悪いものではないのでは?と。小説としては怖いもの見たさで面白かったのですが。

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     2018/12/12

    脳死、臓器移植、延命治療などについて考えさせられる小説。
    自分の家族、特に小さな子供が脳死状態となったら?
    あるいは、臓器移植が必要な病となったら?
    長期脳死の娘をもつ母親を中心に、周りの様々な視点から問題提起がなされていく。

    脳死状態の娘に様々な延命治療(東野圭吾さんらしく、最新のハイテク機器で筋肉を動かしたりもする)を施す母親を「狂気」のひとことで片づけることはできないし、周りの困惑、機械で動かすだけなんてと薄気味悪く思う気持ちも否定できない。

    ひとにはそれぞれの価値観があって、自分と異なる価値観のひとを責めてはいけない、という当たり前のことを、あらためてずっしりと感じる。そのことが関係者の腑に落ちてようやく彼らが歩み始めることができたように。

    臓器移植、脳死判定については非常に難しい問題だなと。ざっくりとわりきるならば、ポイントオブノーリターンの段階で臓器提供というのが医学的には理想なのだろうけれど、そこに「何をもって死とするか」という哲学的な問題が絡んでくるのでこの小説のような事態が多々起こっているのかも。こういう医療にかかわる仕事は本当に大変そう。誰も悪くない、誰も責められない。そんな状況がますます切ない。

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     2018/12/12

    久しぶりに、かなり読みごたえのある恩田陸さんの長編小説。

    国際的なピアノコンクールの予選から本選までを、主たるコンテスタント4人を軸に描いていくストーリー。と言ってしまうと非常にシンプルなのだけれど、彼らのバックグラウンド、音楽への思い、コンテスタントを回りで支える人たちの思い、長丁場のコンクールの期間中にも刻一刻と変わり進化していく音楽と音楽家の繋がりなど、心情や情景の描写は非情に濃密で時には息苦しくなるほど。

    小説がただ残念に思えるのは、そこに音楽がリアルには存在しないことで(この小説にはたしかに音楽が存在するのだけれど)、読みながら、彼らが演奏する曲を耳からダイレクトに聴けたらいいのに、と何度思ったことか!何度もyoutubeを検索してしまった。でも、youtubeにある音楽ではなくて、マサルの、亜夜の、そして風間塵の生きている音楽を聴きたい、本当に心から聴きたいと思うし、自分もピアノを弾きたくなる。

    コンクールをずっと聴いているような、あるいは参加しているような、緊張感と疲れが心地よく襲ってくる小説。この小説を題材にコンサートをひらけば、小説を読んで彼らの音楽を求めた人たちがどっと押し寄せるのではないかしら。恩田陸さんの緻密な取材、音楽への造詣にも、ただひたすら感服。

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     2018/12/12

    登場人物の軽やかな会話や、実際にはあり得なさそうなのにとても共感できる何気ないエピソードに、なんだかうれしくなるような、人間っていいよねと思えるような、そんなユーモアと温かさのある読後感。そして連作短編集ならではの登場人物のつながりが、時間軸すら越えているので、あ!と気づいたときのうれしさ。
    昔のいじめっ子に出会った窪田さんのお話や、困っている人を救うときの某の娘作戦、時を越えて出会ったもと恋人同士のお話など、とてもよかった。
    伊坂幸太郎さんの、いろんなところが実は繋がっているという設定には、驚きと見つける楽しさがある。

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     2018/12/12

    原田マハさんは、美術系の作品がやはり最高にいいと思う。

    ゴッホの星月夜を表紙にしたこの本は、短い期間にひたすら絵を描き続けたゴッホを、経済的にも精神的にもただひたすら献身的にゴッホを支え続けた弟のテオ、そして日本美術をパリでひろめた画商・林忠正らの視点から描いたもの。アカデミーで認められた画家だけが幅を利かせていた時代に、日本の浮世絵に影響を受けて新しい画風で絵を描き始めた多くの印象派の画家たち、そしてゴッホ、ゴーギャンなど、絵画史としては大きな転換点であったのかもしれない。
    歴史としてみれば「転換点」といってしまえるけれど、そのさなかにあった画家や画商たちがどのような状況に置かれ、どのように苦しんでいたのか、それでもひたすら自分の描きたい絵を描いていたのか、ひしひしとつたわってくる。
    そして兄を支えつづけたテオの真摯さ、葛藤は切なくなるほど。テオなしにゴッホという画家はあり得なかったのだろうなと。

    2017年のゴッホ展、ゴッホの映画(ゴッホ最期の手紙)とこの作品を合わせて、ゴッホ3部作、といえそう。ゴッホという作家をいろいろな角度から見ることでどんどん立体的になっていく。興味も増していく。

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     2018/12/12

    鎌倉で、思いがけず先代の営んでいた文具店、代書屋を営むことになった鳩子(ポッポちゃん)。
    素敵なお隣さん、小さなお友達、男爵などとゆったりとした心温まる時間を過ごすポッポちゃんは、ゆるやかで穏やかで安らかだし、先代との確執をふり返るポッポちゃんは少し痛々しくて切ない。

    鎌倉のお寺、お花、美味しい食事、海、描写が丁寧でやさしくてその空気に触れているみたいな気持になる。
    そしてなんといってもポッポちゃんが請け負う代書、すべて手書き(活字でないという意味で)で本の中に存在するのがいい。文字の選び方、切手の選び方、便箋の選び方、何で書くか、どんな文体で書くか、知らないことがたくさん出てきてとっても興味深い。近所にポッポちゃんがいたらいろいろ教えてもらえるのに。

    そして文庫本の左下ページがぱらぱらになってる!
    鳩が飛んでいたり、花火が打ちあがったり。とても丁寧に大切に作られたこの本も大好き。

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     2018/12/12

    歌手として将来を嘱望されていた若い女性の突然の失踪、そして発覚する殺人。しかし、黙秘を貫く容疑者は処分保留に。
    挑発的な容疑者の態度に、被害者の周りの人々が立ち上がる。そして起こっていく悲劇、想像もつかない過去の出来事…

    犯人はわかっている、と思いながら読んでいたけれど、まさかのどんでん返し。今回のガリレオ湯川先生は、とても情に厚い。「容疑者Xの献身」が今もなお心にかげを落としていることが読み取れて。
    被害者の回りにいる人たちのやりきれない思いが随所に滲み出ていて、この事件にガリレオ先生が関わったことはひとつの救いだなぁ、と思う。好きな作品です。

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