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Erdinger さんのレビュー一覧 

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     2022/07/27

    新発見や異稿ではなく、あまりにも有名な曲ばかりで、「今更何故録音?」と思ったのだが、聴いてみて納得。クイケンの著書『Bleib bei uns, Bach』に記された理念が、見事な形で実践されている。和声の表現に最大限配慮し、複雑で旋律的な左手のポジション移動は回避され、長過ぎるヴィヴラートやエネルギッシュな弓の打弦も使われていない。和声の土台は低音(バス)という原理からだろう、低音部はヴィオローネが使われ、その安定した豊かな響きに乗って鳴り響く上三声は、あたかも天空を浮遊するがごとく軽やかに舞い踊る。実に優美で典雅。また、第1ヴァイオリンがコンチェルト風のソロを奏する時は、過剰にならず誇張もしないヴィヴラートが繊細なニュアンスを醸し出す。全体として、誰もが知っているこれらの曲に、奇抜で新規な表現など一切使わず、「普通に」演奏しているのだが、新鮮で瑞々しい響きに、とにかく魅了された。こういう演奏法、ロマン派や近代の楽曲にも適用出来るのではないか。なお、蛇足ながら、クイケンは「ピリオド奏法」なる用語は決して使っていない!

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     2022/07/27

    バッハの無伴奏に続いてテレマンの無伴奏も登場。1つ1つの曲の規模は小さく、楽想も平易だが、その分、ハーモニーの美しさ、曲想の表現力が要求されるのではないか。ほぼ同時期に、バロック・ヴァイオリンの名手による録音も出たが、自分としては、川田さんの音の美しさ、音楽の充実度の方に一日の長があるように感じられた。

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     2022/07/27

    同年生まれのJ.S.バッハとヘンデル、生涯相まみえることはなかったそうだが、同じ楽器編成の曲目を並べて聴くと、両者の特徴が明確になるのを実感。バッハの方は知らす知らず居住まいを正して聴いてしまうが、ヘンデルが鳴り出すと緊張が解けて伸び伸びした気分になる。ボネのヴァイオリン、神経質にならず淀むこともなく、からっとした明るく華やいだ気分が横溢して、短調の曲でも重過ぎず、沈み込み過ぎないのが好ましい。エスパーサのチェンバロも、1つ1つの音の繊細な余韻が心地よい。

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     2022/07/27

    「クロイツェル」を聴きながら、往年のフーベルマンとフリードマンの協演(競演)を思い出してしまった。丁々発止のやりとり、鮮やかな剣舞を思わせるスリリングな展開。演奏する二人が往年の名演を知っているか否かはわからない。しかし、1楽章95小節と416小節のターンで、下方補助音を半音で弾いているのは、フーベルマンと一緒だ。また、ピリオド楽器の演奏らしく、1楽章27小節に、34小節のピアノと同様の小カデンツァを入れたりしているのは、成る程そう来たかと納得できる工夫。一方、第10番のソナタでは、一転して、口数少なく、しかし、一言一言に深い意味を込めた親密な会話が聴かれる。もし、ソナタ全集を録音したら、この二曲へのアプローチも違っていたかもしれないが、両者の対称性を際立たせたこのディスク、秀逸な出来映えで満ち足りたひとときを過ごせた。

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     2022/07/25

    第1集のレビューで書いたことの繰り返しになるが、三声・四声の和音のハーモニーが豊かで美しい。多くのヴァイオリニストが必ず取り組み、録音する曲集だが、川田さんの演奏は、間違いなく聴く価値のある演奏、バッハ好きなら是非とも聴くべき演奏であると信ずる。

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     2022/07/25

    バッハの無伴奏ヴァイオリン曲集を聴いていて、三声・四声の和音の演奏法がいつも気になっていた。例えばソナタ第1番の冒頭、g・d・b・gの四分音符の和音、4つの音を同時に音価を保って鳴らすのは不可能。そこで、ヨアヒムの校訂版では、gとdが十六分音符、bが八分音符、高いgだけが四分音符に記譜されている。要するに最初にg線とd線を鳴らし、続いて、a線とe線を鳴らして次につなげて行け、という指示だろう。ジギスヴァルト・クイケンが「Bleib bei uns, Bach」の中で『四和音は、よく好んで二音ずつに分解される。これによってこの和音は力のこもった男性的とも言える表現が与えられる。』と述べているやり方に該当するのだろう。クイケンは続いて『一方で和音というのは、アルペッジョ風に一音一音で演奏すると、多彩なニュアンスからなる豊かな音色のパレットを提供する。ここで重要なのは、あくまで和音が聴き取れることである』とも述べている。モダン・ヴァイオリンによる演奏の大半が、クイケンの言う「男性的な表現」で演奏されることが多く、バッハの堅固な構成の音楽にはそれがふさわしいと考えられてきた。しかし、堅固な構成=筋肉質なムキムキの音楽、というわけではあるまい。「多彩なニュアンスからなる豊かな音色のパレット」もバッハは用意していたはず。そういう点で、川田さんの演奏は、今まで自分が聞き逃していたバッハの世界に気づかせてくれた。バッハの無伴奏は好きな曲集なので、LP時代からずいぶん色々な演奏に接してきたが、モダン・ヴァイオリンによる演奏で、三声・四声の和音の持つ「多彩なニュアンスからなる豊かな音色」に留意しているのは、他にイザベル・ファウスト位しか思い浮かばない。川田さん、よくぞ録音してくださった。バッハ好きな方々、是非お聴きになっては如何。

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     2022/07/22

    小林道夫氏のリサイタル会場で購入。同行した知人が、「このCDは小林さんのオファーで実現した」と語っていて、「それならば」と思った次第。モーツァルトのソナタは、初期と後期では相当に特徴が異なる。当CDのソナタ群は、ピアノ主導だが、と言ってヴァイオリンが単なる装飾係ではなく、やってみると演奏はなかなか難しい。川田さんのヴァイオリンは、美しい音で小林さんに寄り添っていてバランスが絶妙。雅な宮廷音楽の雰囲気を醸し出している。小林さんは武史建志氏とソナタ全曲を録音しているが、そちらとは別の魅力がいっぱいである。

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     2022/07/22

    左手のポジション異動の度に聞こえるポルタメント、しばしば使われるルバート・・・・、これがピリオド楽器を使った最新のブラームス演奏なのか? そんな違和感が拭えない。ピリオド楽器使用がロマン派の作品にも及んできた昨今だが、数年前、シューマンのヴァイオリン曲集でこういう演奏に出会った。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の冒頭、あの有名なテーマでもこういう演奏があった。こうした演奏法が研究の成果なのだろうか? 音質を均一に保つために、同一弦上でポジション移動をする結果生じるポルタメントなのだろうが、そればかりが目立つことのないよう演奏するのがここ数十年主流だった。それに変化が生じたのか? 何とも割り切れぬ気分で聴き終えた。

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     2022/04/07

    最初にモーツァルトK.563を購入し、水際だった演奏にすっかり魅了され、ベートーヴェン、シェーンベルク&ヒンデミット....と入手して聴き入っている。弦楽トリオは常設の四重奏団のメンバー3人で演奏・録音されることもあるが、ソリスト3人が臨時に結集しての演奏であるケースが多い。それに比べ、トリオ・ツィンマーマンは継続して演奏活動をしており、アンサンブルの精度は極めて高く、どの曲も決定盤と言える出来映えだ。ベートーヴェンのトリオは弦楽四重奏曲の陰に隠れて、彼の室内楽を論じた本にも採り上げられないことが多いが、紛れもないベートーヴェンの作品であることが実感できる。(特に作品9-3など) シェーンベルクも、ラ・サール四重奏団員による名盤以来、やっと次代の真打ちが登場した。SACDのまま5枚で廉価になっているので、未聴の方々、是非入手されては如何。

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     2022/04/01

    このセットが欲しいと思った理由は、@ヒンデミット「フィルハーモニー協奏曲」とAツィンマーマン「静止と反転(静寂と反転)」が入っていること。前者は1932年のベルリン・フィル創立50周年委嘱作、後者はミヒャエル・ギーレンがN響に初めて客演したときのプログラムに入っていて印象に残っていた作品だから。前者は初演(フルトヴェングラー指揮)以後、ベルリン・フィルはほとんど演奏していないのではないか。録音もLP初期の作曲者指揮によるテレフンケン盤くらいしか記憶がない。その他の作品も、名前は知っていても聴いたことのない曲ばかりで、とても貴重だ。(シマノフスキーの交響曲第4番は比較的知名度が高いか。)シュテフェンスとラインラント=プファルツ州立フィルのコンビは、シューマンの交響曲でも見事な演奏を聴かせていたが、今回のセットの演奏も充分に練り上げられて秀逸な仕上がりになっている。他に類盤のない貴重な曲集として推薦!

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     2022/04/01

    ベートーヴェンの交響曲全集を入手すると必ず第3番と第5番を聴いてみる。これら両曲の出来映えで全集の仕上がりが概ね判明すると思うから。ジョルダンとヴィーン響、ここぞという箇所に先立ってクレッシェンド或いはディミヌエンドを効果的に使ったり、時にはグッと溜めを作ったり、様々な工夫で生き生きとした音楽を生み出している。(但し「田園」では些か煩わしく感じるけど・・・・。)また、第5番ではカルロス・クライバーの演奏のエコーも聞こえて、彼の影響力の一端を垣間見た思い。

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     2021/12/10

    「ロザリオのソナタ」は今や数多くの録音が存在し、バロック・ヴァイオリン奏者として名を為すのならなら録音するのが当たり前といった状況で、まさに隔世の感がある。数年前のボネの来日公演をテレビで視聴し、その演奏振りがとにかく印象的で探したところ、このディスクに行き当たった。何とも清々しい演奏。大袈裟な身振りや過剰なのめり込みがないことが、作曲者がこの曲集に込めた思いをストレートに伝えてくれる。ジャケットの写真やデザインも工夫が凝らされていて、いつまでも手元に置いておきたいアルバムである。

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     2021/10/21

    過去に単発で発売されていたもののセット化。幻想小曲集がお目当てだったので、抱き合わせ販売を買わせられるようで、些か不満を抱えつつ購入。だが、3枚とも素晴らしい演奏で堪能した。手元に何枚もあるので不要なのにと思っていたヴァイオリン・ソナタだが、これは名演といえるのではないか。ゼペックは本当に優れたヴァイオリニストなのだと思い知らされた。シューマンの好きな方々、これらの曲は既に持っているから、と思っても、コレクションに入れて後悔はしませんよ、きっと。

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     2021/09/11

    ベートーヴェン生誕250年で多くの新録音が世に出たが、それらの中でこのセットには満足できなかった。トランペットやティンパニの強奏がやたら耳を刺すし、聞こえるべき(と思われる)内声部が全く聞こえなかったり、第5交響曲の冒頭のテーマで2つ目のフェルマータの方が短いのは何故・・・・等々、挙げればきりがないが、どういう意図でそのように演奏するのか、どうしても合点がいかない所が続出してしまった。

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     2021/08/27

    ジュリアード弦楽四重奏団発足時のメンバーによる演奏の集成。中でもバルトークとシェーンベルクを是非聴きたかった。LPも中古市場にそこそこ出回っているが、如何せん状態の良い物の入手は今や非常に困難。半ば諦めていたので、今回の復刻はありがたい。古い録音がCDになると固く潤いのない音質になることが多かったが、このレーベルの復刻シリーズは、どれも丁寧にリマスタリングされていて十分満足できる。今回のセットも立派な出来映え。しかも、LPで発売当時のレーベルデザインまで復刻されているのは嬉しい。ジュリアード以外の演奏が含まれても、初版LPを再現している点も貴重。LPは演奏の記録だけにとどまらず、その時代の記録(record)でもあるからだ。演奏は、リーダーのロバート・マンをはじめとする腕利きの4名による、綿密な楽曲分析と徹底した練習が生み出した精緻の極みに到達したもの。何物も加えず何物も引かず、曲の正確な再現をひたすら追求した結果生み出される音楽の力に圧倒される。

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