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金山寺味噌 さんのレビュー一覧 

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     2014/12/27

    20世紀前半に活躍した音楽学者・評論家の兼常清佐(1885~1957)の伝記。”音楽格闘家”とは、よく名付けたものだと思う。奇抜にして反骨精神に満ちた過激な論説で日本の音楽界に旋風を巻き起こした人物である。『音楽界の迷信』という論文で「パデレウスキー(ポーランドのピアノの巨匠)が叩いても、猫が上を歩いても、同じ鍵盤からは同じ音しか出ない」と言い切り、「ピアニスト無用論」と呼ばれ大論争の発端となった。著書『日本音楽』では「正しい意味での日本音楽史といふものはあり得ない」と邦楽の歴史を全否定するかのような文章を書いた。そのため彼は”奇人”とか”爆弾男”などと呼ばれ異端視された。源氏物語やアララギ派を批判したり、戦時体制下での音楽教育に苦言を呈したりと、あちこちに噛み付いていた人である。当然敵も多く、それが為に現在に至るまで正等な評価をされているとは言い難い。

    その一方で兼常は自分の妻を「女神」と呼ぶ愛妻家であり、自殺した悲運の天才女流ピアニスト久野久子への追悼文を2日連続で新聞に発表するような人物でもあった。反戦主義者であり、日本の音楽教育の充実のために奔走するという面もあり、奇人には違いないが他人への思いやりもちゃんと持っていた人物であった。兼常のあまり知られていない側面を知ることが出来る本である。

    著者蒲生氏の文章は平易で読みやすく、内容も充実している。ただ、定価7560円という価格設定はいかにも高く、兼常清佐という一般には余り馴染みのない人物の伝記を読むためにこの値段で購入する人がどれだけ居るのかな、と率直に感じた。たまたま図書館にあったので借りて読んだが、そうでなかったら多分読むことはなかったように思う。

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     2014/12/27

    オリコンウィークリーチャート第7位、ついにここまできたか。着実に力を蓄えてきたのは明らかだったが、それが数字として出たのがこの結果であろう。売り方を見ても事務所もアプガを売り出すことに本腰を入れたようで、アプガが「実力を認めさせた」ということだろう。『Beautiful Dreamer』は熱烈なハロヲタとしても知られるBase Ball Bear の小出祐介氏の楽曲提供で、初めて聴いたときは「アプガもこういう曲を歌えるようになったか」と感じた。本格的なラブソングで、それだけ表現力も向上してきたのだ。一方『全力!Pump Up!!-ULTRA Mix-』と『イタダキを目指せ!』はアプガお馴染みの「上へ上へ」ナンバー。ここまで来た以上、あとはメジャーデビュー待ったなし!!

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     2014/12/27

    1985年6月29日、ヴァチカン、サン・ピエトロ寺院で行われたローマ法王ヨハネ・パウロ2世主催の大ミサでのライブ収録。オーケストラはウィーン・フィル、ソリストはキャスリーン・バトル(S)、トゥルデリーゼ・シュミット(M)、イェスタ・ヴィンベルイ(T)、フェルッチョ・フルラネット(B)。合唱はお馴染みウィーン楽友協会合唱団。「一生に一度、神の御前で演奏したい」というカラヤンの希望を好楽家であった法王が快諾したことで実現したもの。演奏は、法王自らが執りおこなったミサの一部として組み込まれており、拍手もなく開始され、ミサの式次第に従って演奏されていく。主役はあくまでもヨハネ・パウロ2世で、カラヤンはミサの参加者の一人という扱いである。演奏自体は晩年のカラヤンらしく風格ある響きで重厚かつ叙情的な演奏といえる。ウィーン・フィルは普段よりやや規模を縮小した編成だが、気合の入った表情で団員たちが演奏しており、彼らにとってもこの大ミサに参加することは晴れの舞台だったに違いない。ソリストでは当時絶好調だったバトルの透明感ある歌唱が感動的である。演奏が終了しても拍手はない。あくまでもミサの一部分なのだ。画質は当時のものとしてはまずまずで、音質は良好。

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     2014/12/27

    1986年6月7日、東京文化会館でのライブ収録。ヤマカズさんこと山田一雄氏が第42回日本芸術院賞を受賞した記念のコンサートの記録。『レコード芸術』2011年10月号準特選盤、2011年度文化庁芸術祭賞・大賞を受賞した名盤である。「マラ9」は常識的なテンポでも約80分前後になる大曲だが、このヤマカズ盤は全曲演奏時間92分、特に第1・第4の両端楽章のテンポの遅さは半端ではない。できる限り粘っているような感じで、それでいて間延びしたりダレたりしていないのは流石である。特に第4楽章は他のどの録音よりもたっぷりとした演奏で、静かに燃える青白い炎といった趣き。終曲はまるで火が消えるように閉じられる。指揮台上で白髪を振り乱し、うなり声を上げながら指揮をしていたヤマカズさんの姿が眼に浮かぶようだ。リマスタリングによって音質が向上したせいか、所々でヤマカズさんのうなり声、指揮台を踏みしめる靴音が聞こえる。

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     2014/12/14

    1996年に16歳でデビューした深田恭子。あどけなさのあるキュートなベビーフェイスと天真爛漫な言動、水泳で鍛えたやや筋肉質ぎみのむっちりとした健康的なプロポーションでたちまちトップアイドルとなった。デビューから16年経ち、彼女も32歳になった。映画やドラマ、音楽活動もこなす人気女優となり、経験や年齢を重ねて色っぽくもなったが、基本的な印象は16歳の頃とほとんど変わっていない。キュートなベビーフェイスは劣化知らず、ふいに見せる童女のように無邪気な表情も相変わらず。健康的なプロポーションもしっかりと維持しており、惜しげもなく水着姿を披露してくれている。まさに努力の賜物だが、「きょーこりん姫」本人は努力とも思っていなさそうだ。好きなことを好きなようにやってきただけ、なのだろう。たぶん彼女はこれからもこんな感じで、「永遠の16歳」として過ごしていくだろう。いい目の保養になり、堪能させてもらった。買って損なし!

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     2014/12/13

    佐村河内守という稀代のペテン師と、天才と賞賛されたほどの音楽的才能を持ちながら佐村河内のゴーストライターを約17年に渡って務めてきた新垣隆。この奇妙な2人の「共犯関係」と、一連の騒動の全貌を明らかにした著作である。まず、佐村河内という男のあまりに異様で奇怪な性格に呆然とさせられる。大法螺吹きで強烈な上昇志向の持ち主で、平気で嘘がつける男。自己演出と自己プロモートに関しては天才的な才能があり、周囲の人々を巻き込みながら壮大な虚像を作りあげていった。一方の新垣隆は著者神山氏曰く「音楽バカ」で、音楽さえできれば例え貧しくとも幸せだという無欲な才人。佐村河内は新垣のこうした才能と性格に目をつけて接近、ゴーストライティングを依頼するようになる。作品が発表できればゴーストライターでも幸せだと考えていた新垣だが、結局は佐村河内に巧妙に絡め取られ、あやつり人形になっていく。その過程の描写はとてもスリリングだ。

    佐村河内を語る上でもう一人欠かせない存在なのが義手の少女ヴァイオリニスト”みっくん”の存在である。佐村河内は”みっくん”の存在に目を付け、利用できるだけ利用し、利用価値がなくなったと見るとあっさりと捨てた。だが佐村河内にとって誤算だったのは、この”みっくん”への傲慢な対応に対して新垣が激怒したことだったろう。「大人は嘘つきだ」という”みっくん”の悲痛な叫びに新垣は全てを告白することを決意する。「共犯者」としてのケジメをつけるために。こうして”現代のベートーヴェン”の虚像はもろくも崩壊していった。

    「共犯者」という観点で言えば、新垣よりはるかに悪質なのがNHKである。第11章『疑義まみれのNHKスペシャル』(222ページ〜 )にはその一部始終が詳細に記述されているが、NHKスタッフの佐村河内への無批判な迎合ぶりはあまりに情けなく、ジャーナリズムの魂を全く喪失していたとしか言いようがない。神山氏も「NHKは佐村河内という悪魔に、完全に手玉にとられ弄ばれたとしか言いようがない。ジャーナリズムの屈辱といっていい。」(233ページ)と手厳しく批判している。久々に読み応えのあるルポルタージュだった。

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     2014/12/13

    とりあえず、無事に最終回を迎えてほっとした。19年間の長期連載とは言いながら、途中で休載が何度もあって、「ちゃんと終われるのかな?」と不安に思っていたからである。内容的にはほぼ満足。旧劇場版の殺伐としたエピローグを貞本氏なりの解釈でより温かみのあるストーリーに仕立て上げている。抜群の画力、構図の
    大胆さは相変わらず素晴らしい。旧劇場版の刺激的な展開を良しとする人には「ちょっとヌルい」と感じられるかもしれないが、貞本氏のスタンスは第1巻の頃から変わっていないので、僕自身はこの締めくくり方は十分納得がいった。19年間お疲れ様でした。

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     2014/12/12

    1972年8月7日、ザルツブルク、モーツァルテウムでのライブ収録。当時のライブ収録としては満足できる音質で、ワイセンベルク独特の極上のクリスタルガラスのような冷涼感ある端整な美音を十分に堪能できる。CD1枚目冒頭の『クープラン墓』のキラキラと輝くような美しさと鮮やかさが心地よい。シューマンの『幻想曲』もヘンにロマンティックにせずにクールにキメてみせるのもいかにもワイセンベルクらしい。CD2枚目の『展覧会の絵』は幾分速めのテンポ設定で、颯爽と、しかし緻密に演奏してみせる。アンコール集はさすがにライブらしい熱気とノリの良さで、5曲も演奏する大サービス(笑)。ワイセンベルク全盛期の実力の凄まじさにシビれてしまった。

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     2014/12/12

    ピノックと手兵イングリッシュ・コンサートによるモーツァルトの交響曲全集からの分売。第40番は1994年6月、『ジュピター』は1995年1月、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホールでの収録。古楽器によりながらも古臭さはなく、むしろモダンでスマート、絶妙のバランス感覚がピノックの身上であり、古楽器が苦手という人も安心して聴けるはず。両曲ともテンポ設定はかなり遅めで、かのワルターやクレンペラーの録音よりもゆったりと演奏している。ただ重苦しさはなく、音符の一つ一つを丁寧に拾い上げ音化しているという感じ。ピノックの誠実な性格がよく現れた演奏であろう。音質良好。

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     2014/11/30

    昭和41(1966)年公開、高倉健・鶴田浩二・藤純子という、東映仁侠映画路線を牽引した3大スターの共演による豪華な作品。この作品のプロットは翌年公開された『昭和残侠伝 血染の唐獅子』と共通点が多い。大正末期の東京が物語の舞台、伝統を守る鳶の一家と悪辣な新興ヤクザとの諍い、ヒーロー健さんとヒロイン藤さんの悲恋、祭の晩の殴りこみ、などなど。両作品ともマキノ雅弘監督作品なので当然かもしれない。当時の東映は仁侠映画を文字通り量産していたのでこうしたプロットの流用はごく当たり前のことだった。

    この頃の仁侠映画を見る上での楽しみとしてはキャスティング、誰がどんな役どころかを確認するのが見どころである。中心の3大スターを支える脇役陣も非常に豪華だ。大木実、里見浩太郎(現・浩太朗)、長門裕之、中原早苗、野際陽子、山城新伍、柳生博、 潮健児などお馴染みの面々が続々と登場。河津清三郎、山本麟一、内田朝雄など普段は悪役の面々が今作では善玉、健さんサイドで登場しているのも興味深い。浪花の喜劇王藤山寛美も登場、とぼけた演技でコメディリリーフをこなしている。悪のラスボスは甲賀幻妖斎こと名優・天津敏。お腹一杯になるキャストである。

    当時35歳の健さんの匂い立つような男臭さ、鍛え上げた肉体のダイナミックな躍動感、デューク東郷のモデルになったとも言われる精悍な風貌と鋭い眼光、絵に描いたような「男の中の男」である。クライマックスの立ち回りでの健さんの動きの切れ味!!晩年の重厚で静謐な健さんしか知らない人がこの頃の若き健さんの姿を見たら驚くのではなかろうか。一方の鶴田御大はクールでスマート、旧海軍仕込みの洗練されたダンディズム。今作では大阪から流れてきた一匹狼の渡世人役だが、どんな役であろうと御大のダンディズムが失われることはない。マキノ監督の内弟子として演技を学んだというヒロイン藤さんの艶やかさも美しい。

    平成26(2014)年11月10日、健さん逝去、83歳没。お疲れ様でした。ありがとう、健さん。

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     2014/11/30

    『序』や『破』のような冒険活劇路線でいくのか、と思いきやいきなり旧劇場版の
    ようなすさんだ雰囲気の作品になっていて少し驚いた。おそらくこれから公開される第4作と対になっている作品だろうと思われるので現在の評価は過渡的なものにならざるを得ないが、正直ちょっと見るのが辛い作品かな、と。他サイトのレビューにもあったのだが説明不足の点が多すぎてねぇ。クライマックスの戦闘シーンの
    迫力はさすがに凄いと思ったが。新キャラもまだ使いきれていない感じ。

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     2014/11/17

    Berryz工房のラストライブが3月3日の日本武道館公演だと発表された。嗣永桃子はカントリー娘。改めカントリーガールズの、須藤茉麻はハロプロ演劇女子部のプレーイング・マネージャーに就任することもそれぞれ発表され、他のメンバーの進路も順次発表されていくという。ラストシングルのリリースがこの時期になったのも活動停止後のメンバーの進路に向けての準備期間を作るためだったのだろう。彼女たちの人生はむしろこれからの方が長いのだから当然だと言える。

    『永久(とわ)の歌』はベリ10年の歩みを振り返るような内容で、ノリのいいアップテンポの曲調ながらどこか切なさも感じさせる。この曲でのコスチュームはチェック柄なのだけれどこれはメンバーからのオーダーであるという。デビューシングル『あなたなしでは生きていけない』のコスチュームがチェック柄だったので、ラストシングルもチェック柄を着たいという事らしい。MVにはデビュー当時のメンバーの姿が随所に挿入されていて、ベリ10年の歩みと厚みを実感させる作りに仕上がっていた。一方『ロマンスを語って』は時期的なこともあってかクリスマス・ソング的な内容で、ベリには珍しいスウィートでロマンティックなラブソング。これまでベリの「歌」を牽引してきた夏焼雅と菅谷梨沙子のツイン・ヴォーカルでしっとりと歌い上げている。やっぱり彼女たちにはこれからも歌い続けて欲しいし、そうしてくれるものと信じている。

    有終の美へ向けてラスト・スパートに入ったBerryz工房。しかし彼女たちは解散ではなく無期限活動停止だといい続けている。今回は第1章の完結で、いつか来るであろう第2章へ向けての準備期間に入る、と捉えておこう。

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     2014/11/12

    デビュー当初の頃はどこかしら「大人に決めてもらった事をやらされてる」感があったLoVendoЯだけれど、デビューして1年以上経ってだいぶ自主性が出てきたように感じる。けれん味のないまっすぐなロックサウンドに乗ってれいな&おかまりのツインヴォーカルが華麗で力強い歌唱を披露している。全5曲の中で唯一のオリジナル曲『UNDERGROUNDER』は宮澤茉凜の作曲だが、曲調は彼女が影響を受けたというメタリカのテイストを思わせる硬派なハードロック。結成当初からのナンバーでライブではお馴染みの『この世に真実の愛が一つだけあるなら』はこのアルバムが初収録。『少年』は書き下ろしのフォークロック風ナンバーで、魚住有希曰く「テレキャスによるアルペジオなどもこだわった」とのことで、ドラマティックな仕上がりとなっている。中島卓偉提供の楽曲でアルバムのタイトル曲でもある『イクジナシ』のキレキレぶりも聴き応えあり。

    れいなのしなやかで柔軟性に富み、しかし芯のある歌声はさらに表現力を増したように感じる。「れいな、大人にはなりたくないけん」などと発言してる通り、いい意味でのヤンチャさ、可愛らしさも相変わらず。一方のおかまりはデビュー当時の硬さはさすがに取れていて、しかし彼女独特のまっすぐでパンチの効いた歌はさすがにひとつの個性となった感がある。DVDで『Stonez!!』、『愛の儀式』、『だけどもう一度それでももう一度』の3曲がライブヴァージョンでの収録となっている。れいなの余裕綽綽のステージングはさすがに百戦練磨だ。次は是非フルアルバムを!

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     2014/11/09

    日本史上最大の有名人といっていい聖徳太子。しかしその生涯はぶ厚い伝説のベールで包まれており、等身大の人間としての彼がどんな人物だったか分かり辛くなっている。これまでほとんどの日本人が知り、教わってきた聖徳太子の事績というのは、専ら『日本書紀』の記述に基づくものであった。しかし、『書紀』の記述の信頼性は近年大きく揺らいでおり、様々な論者が聖徳太子の実在性についての持論を発表してきた。元毎日新聞記者で古代史研究家の渡辺康則氏もそうした論者の一人である。

    渡辺氏が本書で展開している主張は大体、以下の通りである。
    ・聖徳太子は天皇に即位していた。そしてその正体は蘇我蝦夷であり、皇極(斉明)天皇と結婚していた。
     ・『万葉集』に掲載されている斉明天皇の恋の贈答歌に登場する「軍王」とは蝦夷=聖徳太子のことである。
     ・蘇我氏vs物部氏の宗教対立は存在せず、物部本家は滅亡していない。むしろ蘇我氏と物部氏は密接な連合関係にあった。
     ・聖徳太子の父である用明天皇の正体は蘇我馬子。聖徳太子の息子山城大兄王や崇峻天皇は実在しない。
     ・推古天皇の正体は蘇我馬子の妻で物部守屋の妹鎌姫。
     ・舒明天皇は捏造された天皇で、当時天皇位についていたのは蝦夷=聖徳太子=「豊浦皇子」
     ・『日本書紀』は蘇我本家を滅ぼした藤原氏によって大きく改竄されており、資料としての信用性は極めて低い。

    などなど、これ以外にも大胆な主張が目白押しで、非常にエキサイティングな本である。渡辺氏の論考自体は極めて綿密で説得力もあり、面白く読める。ちょっと大胆すぎるかな、と思えるところもあったりするが、興味深い仮説の一つとして読める本である。それにしても聖徳太子という人物は、なぜこれほどまでに多くの人々を引きつけるのか。こんな人が本当に居てくれたらいいな、という無意識の願望だろうか?読みつつ考えてしまった。

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     2014/11/08

    椎名林檎待望のオリジナル・フルアルバム、期待通りの出来映えで大満足。1曲目の『静かなる逆襲』からエッジ立ちまくりの切れ味の鋭さ!疾走感あるまっすぐなロックチューンあり、けだるいジャジーなアレンジのナンバーあり、『カーネーション』のような流麗なストリングスによるクラシカルテイストのナンバーあり、とリスナーを飽きさせない構成。レトロな雰囲気を出しつつ、時にねばっこく時に激しく時に可愛らしい、彼女独特の「林檎節」とも言うべき歌唱も痛快だ。ブルーレイ・ディスクによるMV集はさすがに画質・音質が素晴らしく、わざわざ選んで購入した甲斐があった。

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