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遊悠音詩人 さんのレビュー一覧 

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/30

    フランス音楽が真にフランス的だった時代は、マルティノンの逝去と共に終わった。彼の最後の録音となったサン=サーンスには、フランス人ならではの冴え渡った魅力がある。特に、殆ど演奏されない曲にもスポットを当て、中々なものに仕上げるのはさすが。だがやはり本命は《オルガンつき》だろう。マルティノンとしては本盤の数年前にも、アランをソリストに迎えてERATOに録音しているが、豊かな音響はEMIに軍配があがる。さすがヴァヴァッスーユの名録音!もっとも、この頃のEMIは、音場優先のため細部の情報がやや曖昧な嫌いがあり、好みを分けるであろう。ホールに鳴り響くオルガンやピアノ、ティンパニなどは迫力充分だが、弦や管の小刻みな動きにはフォーカスが絞り切れておらず、雰囲気でごまかされているようにも感じる。《オルガンつき》の名録音は、ミュンシュ指揮ボストン響(1959年)のXRCD=SHM盤だろう。オルガンの圧倒的迫力もさることながら、各楽器の分離もよく、抜けのよい高音や唸るような重低音、そして何より厚みのある中音域がよい。是非ご一聴を!

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/28

    アバド時代のベルリン・フィルは、正直いって、カラヤンとラトルの間に挟まれた不遇な時代だったのではないか。はっきり言って音が貧弱である。ライヴ録音と銘打っておきながら、会場ノイズがコロコロと変わり、音場フォーカスも不自然であり、継ぎ接ぎだらけなのは一目瞭然!これだから、RCAのリビングステレオに代表されるほぼリテイク無しのスタジオ録音と、DGの加工しまくったライヴ録音とでは、断然前者のほうがライヴ的なんだよな。ポリーニの本来輝くようなタッチが、よく“機械的”と酷評される所以は、こうした録音姿勢も多分に影響しているものと思われる。分離の乏しさにも惜しいものがある。中音域の抜けが悪く、篭ったように聴こえる。ヴァイオリン・セクションの細部情報が曖昧で、フルートを中心とした管楽セクションが威張る。バランスが悪いのだ。広い音域をカバーするピアノの音色などモロに影響を受け、抜けの悪い音に変貌している。対するお手本というべき音質なのがカーゾン/セル&ロンドン響盤(1962年DECCA)で、冒頭の一音から圧倒必至!轟く重低音、唸る管楽器、切っ先鋭い弦楽器、厚みのあるピアノなど、完璧。さすがカルショウの名録音。勿論演奏も壮絶で強烈!怒涛の打ち込みから、繊細至極な表情まで、表現の幅の広いこと!知・情・意全てが完璧!是非聴いて欲しい。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/27

    皆さんのおっしゃる通り、どうしてこうもEMI国内盤の音質はダメなのだろう。そこへ来て、救世主たるESOTERICの復刻盤が出た!もう別次元!ある著名な評論家は「今回の音を聴いて天地がひっくり返るほどに驚いたとの感想を持たれるファンは決して少なくないはずである」と絶賛してるが、まさにその通りの恐るべき超高音質!何しろ、EMIフランスに直接交渉してオリジナル・マスターテープを借り受けるところから始め、最高級機材を徹底的微調整してリマスタリングを行うという、妥協一切無しの職人技で復刻したのだから、既出盤との差は歴然。国内盤の音質が劣悪である理由は、オリジナル・マスターテープからではなくアビー・ロード・スタジオにあるコピーテープを使い、それを本国で再度加工を施すからで、つまり音質が二重に改竄されているのだ。そのため、いくら24bit化をしたりHQCD仕様にしたりしても、ノイジーな音を高密度で聴くという、チグハグなことになってしまうのだ。これでは、耳が悲鳴を上げるのも無理はない。新素材や新技術を過信する余り、根本的なことがおざなりになってしまっているのだ。そうした現実を踏まえ、畑違いのハードメーカーでありながら、何とかしてオリジナルの音を克明に蘇らせたいとしたESOTERIC盤の誕生を祝福したい。人類の至宝ともいうべきESOTERIC盤を、是非ともお試しあれ。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/27

    言わずと知れたエバーグリーンな名盤。但し、復刻の違いによって受ける印象が全く変わってきてしまう。通常盤は、ARTリマスターにしても24bitリマスターにしても、「熱演」という側面をクローズアップさせたかのような音作りをしている。重低音を強調させ、耳をつんざく金管に象徴されるように、いささかうるさい程の音になっている。また、全体的にがさついた質感であり、評価の分かれ目になっている。ゆえに「熱演だが、精妙さに欠け、デリカシーがない」などと不当な評価に甘んじることもあるし、「サウンド・クオリティとしてはボストン響の方が上」などと言われることすらある。ところが、今般オリジナル・マスターテープまで遡って丁寧に復刻されたESOTERIC盤を聴いて、驚いた。今まで、一部のパートを強調した挙げ句埋もれてしまった微細な音の一つ一つが、理想的なバランスに修復され甦っているのだ!第一楽章のドラマティックなうねりや強打なども、音がよく分離しているせいもあって、音の波に飲まれそうになるし、繊細な部分での細やかな楽器の動きもよく分かるので、意外にも手の込んだ音作りを垣間見ることが出来る。何より、従来盤ではやや金属的だった弦楽器が、ふっくら艶めいた音色に生まれ変わっていて嬉しい。第二楽章のハープの弾けるような質感やベースのリズム感など、音楽そのものが躍動している。第三楽章の木管のやりとりにおける独特の“間”にも空気感を感じるし、囁くような弦楽器もただならぬ気配を感じさせる音になっている。第四楽章など、従来盤では金管がきつく耳障りだったが、正しい復刻によって、その裏で忙しなく動き回る弦楽器の音や、ティンパニの一打一打に至るまで手に取るように分かる、驚異的に抜けの良いサウンドになった。第五楽章など、魑魅魍魎うごめくさまが、恐ろしい程の質感を伴って再現される。チューブラベルの音の奥行きや余韻も絶妙だし、後半現れるコルレーリョ奏法など、弓捌きまで目に映る程の音の良さだ。こうして聴いていると、今まで言われていた「精妙さに欠ける」云々の批判が、ミュンシュの指揮に起因するものでも、ましてやオケに起因するものでもなく、つまるところ、復刻方法に因るものであったのだと思えてくる。ゆえに、今後もESOTERIC盤に代表されるような良質な復刻盤が出て、過去の名演が洗い直されることを切に望みたい。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/23

    カラヤンを好きか否かと問われたら「嫌い」と答える側の筆者だが、ウィーン・フィルとの共演でステレオ録音されたものは、後年のベルリン・フィルの華美一辺倒なサウンドとは一味違った魅力があり、大変好ましく思っている。昨今ESOTERICからも復刻されているドヴォ8&ブラ3がとてもよかったので、本盤も入手。じつに立派な演奏に大満足!ベト7は冒頭から、分厚い音にノックアウト!速めのテンポながら忙しくなく、堂々とした風貌であり、ドラマで流行ったような演奏とはまるで対極である。重低音を活かしきったサウンドは、とても1959年収録とは思えないほどで、当時のDeccaの技術力(プロデューサーはカルショウ!)には頭が下がる。ハイドンの104番もこれまた名演で、古楽器主体の軽い演奏が跋扈する中で、全く別次元のスケールである。厚みのある低音に支えられつつ、弦が時折蠱惑的ともいうべき豊潤な音色を出す。さすが往年のウィーン・フィルである。こちらも音質はすこぶる良い。まさに伝説の名演である。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/26

    デッカの優秀録音の勝利!名プロデューサー、ジョン・カルショウが手掛けたこともあり、音の唸り方が実に生々しい(一部レビューにウォルター・レッグがプロデュースしたかのような書き込みがあるが、これは誤り。レッグはEMIのプロデューサーであり、フィルハーモニア管との録音で有名)。カラヤンは歳を経るにつれて媚びた演奏をするようになり、正直嫌いな方の指揮者なのだが、若い時の指揮には求心力があり、加えてウィーン・フィルの美点が活きた演奏になっており、大変好ましい。ドヴォルザークは、チェコスロヴァキア系のオケによく見られる土臭い演奏ではなく、エネルギッシュでありながら繊細な所はこの上なく繊細な演奏をされる。性格の異なる各楽章の表現の幅が広く、後年の華美一辺倒な表現とは比べものにならないほど多彩だ。ブラームスも、とかく悲劇に偏った表現をされがちであり、“ブラームスの英雄交響曲”とのイメージから乖離した女々しい演奏が跋扈している憾みがある。だが、カラヤンの手にかかると、決してそのような弱々しいものにはならない。雄渾で、かつみずみずしく、颯爽としたブラームスである。二曲とも兼ねてから名演として知られているものなので、いくつも復刻盤があるが、とりわけ優秀なのがESOTERIC盤である。通常盤では物足りなかった低音域の凄みが増したばかりか、音が四方に伸びやかに広がり、各楽器の動きが克明に感じ取れるほどの明瞭さである。「LPの音は、CDよりも良かったはず」とおっしゃる向きには、特にお勧めである。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 11人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/19

    雄渾のエロイカ!古今屈指の大名演!往年のシュターツカペレ・ドレスデンの深々とした、それでいて躍動感にも事欠かない絶妙なサウンドは、現代のどのオケからも求め得ないもの。最初の和音からして、音楽に対するひたむきな想いや情熱がこもっている。重心を低く保ちつつ、細部まで音が意味を持って動き、なおかつ全体が一つに溶け合うようなコクのある演奏が展開される。時折見られるティンパニの強打なども、気宇壮大さを醸すのに一役買っている。さて、指揮者はコンヴィチュニーである。ある著名な評論家は、コンヴィチュニーを以下のように酷評している。曰く「古いオーケストラの持つ古い味をそのまま発揮させるというのが目的であるとすれば、それはもはや音楽とは何の関係もない博物館行きのものでしかない」と。だが、氏の批評は全く的外れと言ってよい。ここでのコンヴィチュニーは、シュターツカペレ・ドレスデンの美質たる内声部の豊かさや重低音の豪快さを活かしつつ、なおもこの曲の持つ推進力と深遠さを完璧に引き出している。それは戦後の復興期、いまだ廃墟の残るドレスデンで、逞しく生きる希望を音楽に託しているからではないだろうか。そう考えると、例えば第2楽章など、戦没者への追悼の想いがシンクロしているように感じられる。作曲家自身の狙い以外に演奏家のメッセージを発することもできるのは音楽の魅力であるが、それを博物館行きと酷評するのであれば、現代の演奏など須らく博物館行きであろうし、そもそも音楽をする意味がない。この演奏は、何故音楽をし、音楽を必要とするのかを、類い稀な説得力を持って教えてくれる。その素晴らしさはフルトヴェングラーやワルターといえども及ばない程!シュターツカペレ・ドレスデンとしては、他にブロムシュテットや若杉、コリン・デイヴィスなどがあるが、その中でも突出した出来である。もっとも音質は後年の録音の方がいいが、モノラルにしては大変立派なもので、余韻をたっぷりいれた奥行感のあるサウンドは、殆ど擬似ステレオといってもいい程だ。しかも音像の揺れもないので、黎明期のステレオより断然に聴きやすい。オススメの一枚だ。

    11人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/14

    後にも先にもこれしかない、というべき決定的名盤!世に「カリスマ〇〇」が跋扈して久しいが、真のカリスマとはカルロスのような人を指すのだ。《未完成》など、「帯に短し襷に長し」と言われていたデクレッシェンド記号をアクセント記号に読み替えた解釈で知られているが、その効果は歴然!エッジの効いた演奏は、まさに、シューベルトの中に渦巻く魂の衝突そのものであり、強く心を揺さぶる。第3番も特徴的で、殊に第2楽章のテンポが速いことで知られる。まるで陽気な若者がスキップをするような気楽さ・軽さだ。賛否両論あるだろうが、理屈を外に置けば素直に楽しめる解釈だろう。音質もDGステレオ後期の優秀なものだ。但し、OIBP盤の短所として、やや音が硬くなる憾みがあった。今般、ESOTERICからSACDハイブリットで限定盤が発売されたが、ついに最高の音質で名演に浴すこととなった。ハイブリット仕様で、通常CD層もオリジナル・マスターからDSD方式24bit96kHzのマスタリングが施されているし、エンジニアはXRCDのプロデューサーとしても知られる杉本一家氏がクレジットされている。とにかく、艶やかさや奥行感はもとより、分離も素晴らしく、今まで聞き取れなかった微細な音の一つ一つが確かなリアリティをもって響いて来るさまには驚かされること間違い無しである。通常盤をお持ちの方にも是非薦めたい一枚だ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/23

    演奏は良い。だが音割れはひどい。筆者は1500円の国内通常盤とオイストラフ・ボックス17枚組輸入盤、更にはESOTERIC盤と三種類聴いている。ご参考までに個人的な比較結果を述べれば、ESOTERIC盤が断トツの高音質。音割れもかなり軽減され、そればかりか、オケの質感やオイストラフのヴァイオリンの厚みもいきいきとしている。反対に一番ダメなのが輸入盤。そもそも音が痩せており、キンキンした高音偏重型のマスタリングだ。音割れも至るところで散見される。国内通常盤も、音の痩せを改善しようとパワフルにしたのはいいが、依然音割れはひどく、結果、単に厚ぼったいだけという状態である。さて、三者三様の音質だが、この差はどこから来るのか。結論から先に申し上げれば、超高音質のESOTERIC盤のみがオリジナル・マスターテープからの復刻、その他はコピーマスターからの復刻であるからだ。ESOTERIC盤の場合、音源の所有者と直接交渉をしてオリジナル・マスターテープを借り受けるところから始め、最高級機材を惜し気もなく投入、ケーブル一本単位まで調整し、しかもカッティングはルビジウムという、妥協無しの徹底ぶりであり、職人魂すら感じる。EMIとは元々は提携関係にない畑違いのハードメーカーがここまでして復刻に乗り出す理由は、オリジナル・マスターテープと現行CDとの音質の差が余りにも大きく、何とか自分達の手でオリジナルの音を蘇らせたいとする、プロデューサー大間知基彰氏の情熱に他ならない。蛇足。マスターテープの入手は本家EMIの方が明らかに楽なはずなのに(そもそも所有している張本人であるはずなのに)、わざわざコピーマスターを使い、音割れを残すとは、自社に対する評価を下げる一方ではないかと思う。長文失礼。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/18

    XRCDの底力!杉本一家復刻はやっぱり超高音質!「オリジナル・マスターテープからリマスタリングした高水準な音質」という謳い文句はDENONの廉価盤でも言われていたが、はっきり申し上げて杉本復刻と比べたら雲泥の差で違いは歴然。1961年の2chステレオで、よくもこれだけの臨場感を創出出来ると思う。DENON盤も決して悪くはないのだが、ざらつき感があり、響きに艶がなかったのが難点だった。殊に高音域の抜けが悪く、鈍い音に聴こえてしまう憾みがあった。しかし、XRCDときたらどうだろう。テープヒス自体かなり軽減されているし、余韻が何とも豊かではないか。普通マスタリングでヒスノイズを軽減すると、ノイズの周辺帯域の情報も同時に剥奪され、結果、高音域が金属的に成り下がることが多い。ところが杉本氏は、ヒスノイズを抑えつつも、抜けのよい高音域や地鳴りのような低音域を活かし切るという離れ業をやってのける。 勿論中音域の情報量も並ではなく、細々と動く各パートの絶妙な掛け合いも驚くほど明瞭に分かる。例えば第3楽章の管楽器の掛け合いなど、本当に面白い。DENON盤では笑っちゃうくらいバフバフいっていたクラリネットなども、仄かな余韻を伴って味わい深く響く。その他の楽章でも、往年のチェコ・フィルならではの、艶やかでいて素朴な質感がよく現れている。フォルテシモでは力感たっぷりでありながら煩くならず、ピアニシモでは音の消え行く先までも見えてきそうなほどである。至るところにノスタルジックな雰囲気が溢れているが、同時に、優秀極まる復刻によって、今まで聴こえて来なかった音や響きに出会う新鮮さも持ち合わせている。稀有な一枚と言えよう。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/08

    1956年のステレオ黎明期の録音を、XRCD-SHMの技術でどう蘇らせるのか、期待を胸に購入。聴いてみて、確かに録音年代からすれば頗る良好ではあるが、原盤に起因する音場の変化ならびに音飛びを完全に払拭出来てはおらず、やや痛々しい部分も散見されるのが惜しい。もっともXRCDの基本理念とは、原盤に加工を施して高音質化を狙うというものではなく、原盤そのものの持ち味を現代の技術で可能な限り再現しようと試みるものである。だから、例えばリストにおけるトライアングルが余り強くなかったとしても、それは逆に原盤のバランスをそのまま活かした結果であり、変に強調した挙げ句他の音を埋没させてしまうような安易なイコライジングが跋扈する中で、このポリシーは特筆に値するものとして、むしろ肯定的に評価すべきなのかも知れない。しかし、必要に応じて適宜人為的な修正を加えることも、現代に通用する音質で復刻するための手段として充分有効とも考えられる(もっとも、昨今の復刻は余りにも人為的に過ぎてしまって、原盤の味わいをすっかり剥奪してしまっているものばかりだが)。この点を勘案すると、もっと聴きやすい音で聴けるのではないかという欲望が先行するので、ワンランク評価を下げることにする。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/07

    恐るべき高音質!これ程のサウンドが半世紀以上前に収められていた!RCAのリビング・ステレオの技術は兼ねてから評判であるが、XRCD-SHM仕様になって最高度に磨きがかかった。最新録音に勝るとも劣らないという宣伝通り、いや、それ以上の驚異的な音質だ。冒頭のホルンからして厚みがある。驚くべきはクライバーンのピアノで、繊細なタッチから豪快なタッチまで、彼の幅広い表現力がダイレクトに再現されており、さながら彼がその場にいるような錯覚さえ覚える。速いテンポもさることながら、ゆったりとした部分での情感や透明感は絶品であり、よくもこれだけ多彩な音色を収録出来たと思う。これも偏にJVCのエンジニアの妥協なき職人技の賜物と、敬意を表したい。と同時に、一聴すれば、貴方の中の録音と音質の歴史が、大きく書き換えられることは必至だ。「録音が新しい=音質が良い」、あるいは「録音が古い=音質が悪い」というような定義などもはや通用しないことを悟るであろう。更に言えば、世に蔓延する様々な“高音質化”ディスクに向ける眼が、かなり厳しいものになるはずだ。それだけに、安易なリマスタリングによって音質劣化を余儀なくされた名盤(特にEMIとSONYの国内プレス!)を、瀧口・杉本両氏に復活して頂き、名盤の真価を改めて世に問うて欲しいと思うのは、筆者だけではなかろう。最近杉本一家氏はESOTERICでRCA以外の歴史的名盤も復刻されているが、本当に素晴らしく、これぞ復刻の神髄と敬服している。これからの更なるご活躍を祈りつつ、レビューと代えたい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/29

    これが半世紀以上前の録音か!?RCAの驚異的な技術もさることながら、それを完璧に再現してみせたJVCの職人技には頭が下がる。抜けの良い高音や迫力の重低音もさることながら、通常のCDでは埋もれてしまいがちな中音域の微細な音に至るまで、演奏家の息遣いさえ聴こえてきそうな程の明瞭さをもって再現される。テープヒスを敢えて残したのも好判断で、仮にヒスノイズをリダクションしたら、音の伸びや抜けを司る超高音域の音楽情報が剥奪され、結果、頭を押さえ込んだような音に成り下がることは明白だ。巷に跋扈する復刻盤の多くは、如何せん、過度なノイズ除去や悪趣味なイコライジングによって、すっかり異質なものに変貌している。その癖、新素材の使用やBit数の向上等を看板に高音質を標榜するセールスに走るのである。そんな中、一切の妥協を排し、オリジナル・マスターまで遡り、ケーブル一本から素材の厳選をし、己の耳一つで原盤そのままのサウンドを蘇らせようとするJVCのエンジニアこそ、本物の復刻技師であり、彼等が作り出すXRCDこそ、正真正銘、唯一無二の高音質復刻盤と断言出来る。と同時に、贋物リマスター盤を蔓延させる音楽業界と、それを手放しで賛美する評論家や自称音楽マニアに対し、憤りを覚えるのは筆者だけではなかろう。閑話休題。演奏はまさに音の一大絵巻を見る思いである。光彩陸離、絢爛豪華、仰天動地……言葉をいくら並べても言い尽くせない。殊に、“アッピア街道の松”や“昼のトレヴィの泉”など、音の風圧に吹き飛ばされそうになるほどの、恐ろしいくらいの大迫力!未曾有の音響世界を、是非一度堪能あれ!

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/26

    これが本当に1959年の録音か!?当時のRCAの恐るべき録音技術もさることながら、それを完璧に再現したJVCの職人魂には、ただただ感服の一言。微細な音から壮大なクライマックスまで、鮮烈極まりないリアリティだ。第1楽章第1部からして、異次元の音響だ。忙しなく動き回る木管など、普通なら埋没してしまいがちだが、それが演奏家の指遣いまで目に映るような程、克明に鳴らされるのだ。第2部は冒頭のオルガンからして、深い。弦楽器の蠱惑的なまでの魅力も光っている。第2楽章第1部では、ティンパニが迫力満点だ。極め付きはやはり第2部のオルガン!ホール一杯に鳴り渡るオルガンの重厚な響きには身震いがする程で、さながらリスニングルームがシンフォニー・ホールに様変わりしたかのような錯覚すら覚える。優秀録音として知られる有名なデュトワ盤といえど到底及ばない。もっとも演奏には、多少粗削りと思える点も無きにしもあらずであり、より洗練されたものを求めるならばデュトワやマルティノン、プレートルあたりを選ぶことになろう。しかし、洗練さに気を取られすぎた挙げ句、迫力に欠けつまらない演奏になってしまうこともある。そうした点からも、豪快で華麗で、尚且つ音の一つ一つに生命力のこもった当演奏を、第一に推したい。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/10

    個性的でニュアンスに富んだ名演!ドイツ的か否かを議論するまでもなく、よくある初心者向けのサントラ的演奏とは一線を画した、ドラマティックな演奏だ。重心を低く保つサウンドはさすがドイツのオケといったところだが、リズム感や躍動感にも事欠くことなく、エッジの効いた起伏もピカ一だ。殊に《カリヨン》における小気味よいアクセントや弦の微妙な色彩の変化などはさすが。有名な《ファランドール》では、曲のダイナミクスを打楽器だけに頼らず、コシのあるベースによって表現しており、この点も独特。録音も直接音と間接音とのバランスが豊かだし、輸入盤に見られるような金属臭は皆無。もっとも、ベルリン放送響の音はSKDやSKBなどよりドライだし、余韻も乾いているが、ギクシャクした感じは微塵もなく、むしろ鋭敏な感じさえする。お勧めの一枚だ。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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