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七海耀 さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/03/24

    演奏年月は、40番と41番が1989年で、35番と39番が2006年で、約7年の差があり、会場も前者がサントリーホールで、後者が東京芸術劇場だけど、音の状態に関してはあまり差がない。むしろ、1989年のサントリーホールの公演のほうが、会場特性もあって柔らかい暖かな響きと言える。東京芸術劇場のほうはやや硬質の響き。演奏だが、40盤と41番のほうが練れており、総じて佳演と言える。40番のメヌエットなどかなり鮮烈な表現だ。テンポはいずれの曲も中庸。それに比べて、35番と39番は、弱音部がやや痩せて聞こえ、バルシャイの棒が曖昧だったのか、弦の揃いがやや甘い。音程も甘いと思える。他の作曲家ならいざ知らず、モーツアルトだとごまかしがきかない。39番のティンパニがハードスティックを使った強烈なものであることを除けば、あとは頗るオーソドックスである。ところどころ木管が音程を外すようなところも見られるが、うるさいことを言わなければ許容範囲内か。40番と41番は☆4つ。35番と39番は☆3つ。3.5はないので、総合で☆4つ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/03/23

    定評のある演奏。ヴァントが録音したこれらの曲の録音は、もう朝比奈隆並みに数があって、どれも甲乙つけがたいのだが、私見では、8番はこのリューベック盤が一番素晴らしいと思う。出た当時は、残響が多くて、「風呂場のよう」などと言われたけれど、金管など非常にクリアだし、弦の内声部も、中低域がやや不明瞭と言えばそうかもしれないが、聞こえないということはない。ティンパニがややゴロゴロ響く以外は、問題ないと思う。残響は計算に入れた上での近接マイクで、ヴァントも残響を考慮に入れて、ゲネラルパウゼでしっかり間を取っている。なにより、ブルックナーらしく響く荘厳に響くところが素晴らしい。9番も劣らず良いと思う。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/03/04

    最強のセットではなかろうか。1番から9番まで弱点がない。唯一普通と思えるのが、1番と5番かな。これまで、バーンスタインの旧全集では、3番、4番、6番、7番あたりの評判が高かったように思うが、意外にも、2番と8番の声楽付きの大作も良い。特に2番は、大変起伏の大きいスケールの大きい演奏である。ロンドン響との8番も推進力に富んだ、素晴らしいもの。録音も、これまでのどのバージョンより良く、各楽器の分離がよく、打楽器がクリアになるが、不自然なところはなく、トライアングルなど、実演では結構はっきり聞こえるからこれで良いと思う。声楽のソリストも優れており、VPO、NYP、RCOを振り分けた新全集より、こちらの方が良いとさえ言える。マーラーの交響曲全集は数あれど、そのパイオニア的価値もさることながら、その後、総合的にこれを上回る全集が出たとは思えない。若き日のバーンスタインのマーラーに込めた情熱が迸る演奏で、素晴しいとしか言いようがない。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/02/17

    ショスタコーヴィチに関しては、これは独特の演奏で、こういうのはこれまで聴いたことがない。このようにコントラバスが不気味に主張する演奏はまれだし、終楽章など、他の演奏には見られない緩急があったり、出だしの音にアクセントを置いたり、様々な細工がある。楽譜には格別指定がないが、レガート処理している部分もある。コーダの入りなど、金管の音型がくっきりと浮き立ち、普段聞きなれたこの曲が全く違って聞こえる。読響もスクロヴァチェフスキの要求によく応えている。金管も整理されていて、きれいだ。高弦も細くならない。録音も非常によい。日本のオケのこうした演奏が欧米で紹介されることは稀だが、これは是非向こうのファンや批評家の意見を聞きたい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/02/13

    このセットの音が一番良いと思う。非常にドイツ的な盤石のベートーヴェン。5番、6番、7番は特に良い。中でも7番はこの曲の録音のベストを争うと思う。ティンパニが質感よく鳴るし、ピチカートも実在感があってよい。奥行きのある録音。惜しむらくは、5番の第四楽章のリピートがないのと、7番のバイオリンが対向配置でないことくらいか。3番も第一楽章はリピートがあるのが望ましい。この人は、常に高度なレベルの録音を残したという意味で、安定感抜群である。なるべく長く活躍してほしい。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/22

    インバルと都響の10番は、以前ライヴで聞いたことがある(2回目のチクルス?)。これは、美麗な演奏で、弦などもう鮮烈且つ流麗。金管も遺漏なく、ともすれば、色々な要素がバラバラに聞こえるこの曲を、ひとつのまとまった作品として、一気に聞かせる。フランクフルト放送響との録音よりも、こちらの方が完成度としては上だろう。RCOとの映像もあるが、そっちはあまり熱心に聞いていない。録音がメチャクチャ良い。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/21

    ブラームスが素晴らしい。冒頭から気宇壮大であり、第一楽章の主部から最後まで、音楽に張りつめた気力とテンションが素晴らしい。これはまさにアレグロ・コンブリオである。中間楽章の繊細な歌の表出も見事。終楽章も音楽は推進力を失わず常に前進する。それでいて、エリシュカ独特の内声部の表出も聞かれ、聞きなれたこの曲の違った魅力が現出する。ドヴォルザークも、バックのスケールが大きい。ソロの石川祐支は、札響の主席ということだが、でしゃばらず、さりとてオケに埋没せず、なかなか音楽的に聞かせている。録音も、札響の響きを十全にとらえており、ソノリティも分厚く、「日本のオケ」という但し書きはもはや必要ない。当然、全集になるべきである。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/11/22

    初出の時聞いた印象は、イマイチの感があった。音楽に生硬さが感じられ、アダージョなど音楽が流れていないなと思ったものだ。しかし、一枚になって、さらに音もよくなっていて、音像に三次元的な奥行きが出ていて、この演奏は本来こういうものだったかと納得せざるをえない。ティンパニも実にクリア且つ明確なインパクトで鳴っていて、金管も力強く、それでいて美しい。この曲の5本の指に入る見事なものではないだろうか。版の違いを度外視すれば、ヴァントのリューベック盤、朝比奈隆のN響盤、シューリヒトのVPO盤、ムラヴィンスキー・レニングラード盤があれば、私は満足である。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/04/25

    ラザレフだから、わりと情熱的で高カロリーな表現なのかと思うと、さにあらず。室内楽的というか、第一楽章なんて、音価をわりと短くとった、淡泊な印象の表現。最初は地味かなとおもったが、音楽が進むにつれ、力が入って来る。マイクは4本使用。弦はわりとオン気味に捉えられているが、量感はそれ相当にあって、線の細さはそれほど感じない。スピーカーで聴くと、やや音が中央によっているような感じもするのだが、ヘッドフォンで聴くとそうでもない。録音レベルがやや低いので、ボリュームを高めに設定しないといけない。第一楽章の7分過ぎたあたりで、断続的に咳き込むお客さんが一人いて、これがわりと長く続く。音楽が静まっている経過句の部分だから、目立つことこの上なく、「なくもがな」と言うほかない。全体に速めのテンポで、設計がよく、ともすればラプソディックに聴こえるこの曲の、シンフォニックな構築性がよく表出された演奏で、過剰な耽溺のようなものとは無縁で見通しが良い。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/04/25

    何でこれまで出てこなかったのか不思議。日本のオケをこのように鳴らすことの出来るのは朝比奈を置いて他にいないでしょう。朝比奈隆という指揮者には、とにかく「武骨」「不器用」、或いは、もしかすると「鈍重」というような印象がついてまわっている感じだけど、私は逆に「透明感」「清涼」というイメージが強い。朝比奈のそういう側面がいかんなく表出された演奏がこれで、弦の動きが、内声部まで非常に明瞭に聞こえ、細部まで感情が入った情報量の多さに、ブルックナーを聴く醍醐味ここにありという気がする。とにかく、上機嫌のブルックナーで、スケルツォのトリオなど素晴らしい。ピチカートも、ただ弦をはじいているような演奏が多いのに、ここでは、明確な意志のもとにしっかりコントロールされているし、楽員も確信を持ってやっているから、いちいち語りかけてくる。東京文化会館とオーチャードホールの録音のつぎはぎだけど、整音はちゃんとなされていて、音の傾向としての統一感は損なわれていない。「第三稿改訂版」の演奏としては、チェリビダッケ&MPO(EMI)と並んで手元に置きたいが、チェリの磨き上げた美しさの代わりに、朝比奈の演奏には馥郁とした素朴な情感がある。朝比奈はスケルツォにコーダのついた、1877年版も大阪フィルとやっていて、あれも、オケは完璧ではないが捨てがたい。第一稿も是非朝比奈で聴いてみたかった。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/04/03

    尾高二度目のブルックナー7番。朝比奈隆が存命中は、彼のブルックナーがすべてみたいな空気があって、本当は、尾高や小泉あたりもブルックナーにはこだわりがあって、やってはいたはずだが、イマイチスポットが当たらなかった。しかし、朝比奈亡きあと、尾高は、小泉和裕と並んで、ブルックナー指揮者として注目すべき存在だと思う。この7番は、要は、微細に楽譜を読み込み、旋律線の重層的な動きを極めて明確に表出した演奏である。朝比奈のような、スケールの大きさで聞かせる恰幅の良さのようなものはないが、考え抜かれた様式美を感じさせ、シベリウスにも適性を見せる尾高ならではのブルックナーである。札幌交響楽団は、高弦にややボリュームのなさを感じる以外は、実にすばらしく、コントラバス、チェロは特に美しい。低弦が美しいと思わせる演奏はそうないと思う。金管も良いが、今一つの精度の高さを求めたい。次は、9番でお願いしたい。3番も聞いてみたい。要は、全部聴いてみたい。思うに、今日本ほど、ブルックナーの録音が、各方面から出てきている国はそうないんではないだろうか。世界のブルックナーファンは、日本に注目したほうが良いのではないか。飯森と山形響、小泉と日本センチュリー響がやっている録音は、相当にレベルが高く、日本だけにとどめておくのはもったいないだろう。そこに尾高も加わる可能性が出てきている。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/04/02

    普通ならリンツ稿を聞くことのほうが多いわけだけど、あえてウィーン改訂稿。もちろん、日本のオケでは初。山響は、人数は少ないけれど、スケール感は犠牲になっておらず、大変立派。弦の響きも瑞々しく、ブラスも綺麗だ。昔と違って、日本のオケの全体的水準があがっているのだろう。しかし、金沢とかならまだわかるけど、山形というような地方都市で、オケが運営出来ているところが、今のご時世奇跡に近い。残りは、0番、2番、8番、9番だが、これまでの版の選定から行けば、2番はキャラガン改訂稿、8番は初稿、9番はフィナーレつきとなるのかしらん。ここまでやったなら、全集にすべきでしょう。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/04/01

    プレヴィンとN響の共演は、国際的にみても、超一流の出来だと思う。N響がVPOのように鳴っているというのは本当で、柔らかな弦の響き、押しつけがましくない音楽的表現。どれをとっても一流だ。テラークとのR.シュトラウス録音やドヴォルザーク録音に見られる、プレヴィン独特の音楽性の良さが際立つ。オケの団員が、本当に楽しく演奏してる様子が目に浮かぶ。NHKホールは、オーケストラ録音に適したホールではないけれど、さりとて、録音会場としてダメということもなく、NHKの録音スタッフは、ホールの音響特性を理解した、良い音に仕上げている。N響も、さすがに90年代に入ると、音そのものにも磨きがかかり、モーツアルトのような古典派を、欧米一流の楽団に匹敵するレベルで端正に奏でている。ピリオド演奏とは無縁の典雅なモーツアルトの最良の姿がここにある。この水準なら、海外のリスナーにも喜んでもらえるだろう。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/03/31

    これで充分です。ディヴィスとの新録音より、こちらのほうが音楽に勢いがあり、オケもディテールに秀でてます。ですが、星5つとならないのは、ピアノの音像が大きすぎるというか。まあ、そんなに大した問題じゃないのだけれど、「でかいな」とは思いますね。しかし、ハイティンクは、色々な人と、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の伴奏をやってますね。ブレンデル、シフ、アラウ。モーツアルトのコンチェルトの伴奏はそんなにやってないのだけれど、ベートーヴェンやブラームスとなると、この人を指名する人は多かったんでしょう。自己主張が強くないのに、スケールはそれ相当にでかい人ですから。

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     2014/03/30

    デュトワと言えば、CD初期は、フランスものやロシアの標題音楽等に関しては、だいたいこの人の録音を買っておけばよしみたいなところがあった。オーケストラビルダーとしての実力も云々された。彼が常任‐監督となって以降、N響は以前には見られなかったような洗練さと柔軟さを加えたように思える。クラシック音楽産業の衰退期と重なっていたので、N響とDeccaから出る筈だったプロジェクトは、プロコの6番だけで終わってしまった。この「幻想」は、彼らの共同作業の中でも特筆すべきもので、ブラスも木管も大変良いし、旋律線がしなやかに良く歌う演奏である。細部までよくコントロールされており、危なげがない。また、モントリオールとの録音はより色彩的だが、N響とのこの演奏は、ややモノクロ調である。だが、地味ということはなく、N響が持っていたドイツ的な味が、デュトワの感性と出会って、うまく中和されているように感じた。より爆発的な演奏はいくらでもあるけれど、安定感抜群の、国際水準に到達した良い録音だと思う。

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