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七海耀 さんのレビュー一覧 

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/28

    スタインバーグの録音は少ない。DGに残したホルストの「惑星」とか、ハイフェッツとかルービンシュタインとかの伴奏録音が思いつくが、彼の重要なレパートリーであったマーラーの録音はほとんど日の目をみていない。そこへきてこれが出た。CD初登場であり、正真正銘ケルン放送局の放送録音。一枚に収まっているが、テンポは妥当で、舞台裏に控えた別働隊の音も立体的に収められている。楽章のつながりがよく、バランスが良く、録音も1965年の良好なステレオ。細部への目配りが効いており、ここぞと言う時は流石の迫力である。第二楽章は特に出来がよく、声楽陣も遺漏なし。一枚におさまった「復活」としては、メータ・VPO、クレンペラー・PO、クレンペラー・BRSOらと方を並べるか、ことによるとそれらを凌駕する。数あるこの曲の名盤に、十分伍して、自己の存在感をアピール出来る、迷わず「買い」の一枚。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/13

    20番は「こういう演奏を待っていた」と言いたい。この曲はクラシカルに端正に丁寧に楷書体で弾かれる場合が多くて、ブレンデル・マッケラス盤などは、そういう伝統的アプローチで最も成功した例だと思う。しかし、この曲には嵐のような激しさが欲しく、オケ部分が非常に重要。アーノンクールだと冗談になっちゃうんだけど、このラビノヴィチの指揮はアーノンクールから毒を取って、速く、なお且つ激動している。金管も咆哮する。アルゲリッチはこの曲を古典派の枠で捉えておらず、心の赴くままに弾いている感じだ。奔放なモーツアルトで、ほとんどシューマンのようだ。アルゲリッチが弾いて一番似合うモーツアルトのピアノ協奏曲は20番だと思っていたが、予想的中である。もっと派手にやってもらっても良かったくらいである。19番も同傾向の解釈なんだけど、こちらのピアノはラビノヴィチで、アルゲリッチを聞いた後だと、抑制的に聞こえる。「2台のための」では、両者が息のあった演奏を繰り広げている。録音は、間接音控えめだが、却って演奏スタイルに合っている。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/11

    一音も揺るがせにしないとはこのこと。この演奏を比類ない造形美と捉えるか、四角四面と捉えるかだが、前者であることは疑いもない。奥行きが違う。田園の第二楽章は普通より遅いが、うたいまわしは絶妙。最終楽章など、ピチカートはこうでなくてはならない。何より、音が濁らない。低弦の動きがはっきり聞こえるし、明確な造形は金管にまで貫かれている。よって、高揚感も計算されていながら、作為的に聞こえない。ワルター盤を最高とする意見が伝統的に多いが、私にとっては、このベーム盤が他の録音を凌駕して、絶対的な規範に位置する。シューベルトの5番も同傾向で、この場合、曲想からいってやや丁寧過ぎる仕上がりのようにも聞こえるが、充実感はこれまた比類ない。録音も十分なクオリティ。掃いて捨てるほどある「田園」だが、今後現代楽器を使って、所謂バーレンライタ盤などに依拠しない伝統的アプローチを志向するなら、これを超えるものを出していただかなければ意味がない。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/20

    確かに、これまでに聞いたことのないような第9です。第一楽章など、密度はあるんだけど、なんとなく冷静な印象。バーンスタインのような熱さは皆無。しかし、物足りないかと言うとそうではない。第二楽章も同じ印象。第三楽章も耽溺しないが、歌は十分。一番面白いのは第四楽章。祝祭的雰囲気とは無縁。バランスが誠に特異で、こういう演奏にもなるのかと思った次第。マスで捉えた、ややオフ気味の録音も影響しているのだろうが、解釈自体が特殊なものであることは間違いありません。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/19

    これまで映像で出たマーラーの6番では画質・演奏・録音・カメラアングルを含めて最高ではないだろうか。録音はマスで捉えたものだが、弦はシルキーで、金管もインパクトがある。演奏は大変白熱しており、妥当なテンポ設定で見通しが良い。彼は、以前この曲をCDで出していて、あれから較べると、こちらが数段上だと思う。カメラと指揮者の距離感も適切だし、音楽をよく分かった画面の切り替わりだと思う。モネ交響楽団と言うと、そんなスーパーオケではないと思うが、超一流に聞こえる。迷わず「買い」である。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/09

    この録音は、初出の時酷評されたと思う。あの当時、朝比奈はまだ関西限定のローカルな指揮者という感覚が色濃くあったと思う。実は、私も、あの当時、友人が所有していたこの盤を聞いて、妙にがっかりした記憶がある。ところがどうだ。あれから4分の1世紀。再び聴いてみたが、印象は激変。朝比奈らしい、腰の据わった演奏で、語り口は上品ではなく、オケも洗練されているとは言い難いが、スケールの大きなは比例なく、最後の高揚も、派手に盛り上げるというより、地の底から湧きあがってくるような感じである。朝比奈は、この曲を大阪フィルとキャニオンクラシックで再録していたが、演奏はいずれも甲乙つけがたい。キャニオン盤が現在入手不能なので(映像はあるようだが)、朝比奈の「復活」を手頃な価格で入手できるという意味で、本盤の再発は嬉しい限りである。阪神淡路大震災の時は、数日を置いて東京でシューベルトをやった朝比奈だったが、今度は、大植と大フィルでぜひこの曲を取り上げ、「復活」ならぬ、「復興」への狼煙を上げて頂きたい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/08

    マーラー自身、「三重の意味で故郷を持たない」とか何とか自分の事を言っていたと思います。そういう意味では「本物」云々という発言自体妙です。アメリカ人は、よくニューヨークフィルを世界を代表するマーラーオケの一つみたいに言いますが、ヨーロッパの人はあまりそうは思っていないのではないでしょうか。VPOやACOこそがマーラーオケだと言いたいかもしれません。ですが、VPOはマーラーの演奏歴が長そうに思えますが、実際はそうでもないようです。何より、世界で初めてマーラーの4番が録音された場所は日本です。あるイギリスの批評家が、この事実を指して、“a rum affair”(奇妙な事)と呼んでいました。でも、近衛と新響の4番と、フリードの2番を較べてみると、少なくとも私には、どっちもどっちというレベルに聞こえます(まあ、正確な評価は難しいほどに録音がアレですが)。アメリカ人が、フィードラーやバーンスタインが演奏したガーシュインとかを「本物」と称するのはなんとなくわかりますが、今や、ベートーヴェンを「我らの音楽」と称する人は、余程ナショナリスティックなドイツ人くらいでしょう?マーラーも、21世紀の今日、それほどに脱中心化しているのだと考えれば、インバルの発言こそ、ある種の辺境意識と言えなくもないです。チェコフィルとインバルのマーラーなら、それ相当には良いでしょうけれど、「本物」という言葉を使ったからには、当然、その対概念として「偽物」が想定されているわけでして。EXTONの録音は、今海外市場に乗っている筈なのですが、日本のオケのものも流れているのでしょうか。それとも、流しても売れないのでしょうか。欧米での評価を聞いてみたいと思うのですが。それこそ、一連のインバル・都響のマーラーシリーズの評価です。かなり高水準だと私は思うのですが。「本物」か「偽物」かはともかく。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/28

    これは非常に良い演奏です。シュナイダーハンは、言わばスターではなくて、古き良き独墺の伝統を引き継ぐ演奏者ですが、ビブラートは控えめでやや即物気味かと思いきや、第二楽章や第三楽章では、フレーズから十分な歌を引き出しており、芳しく誠に魅力的。カデンツアはこの曲のピアノ版のそれをバイオリンに編曲したもので、最近ではテツラフ・ジンマン盤がそれを採用しています。第三楽章など冒頭から、クライスラー版と異なるのですが、それが面白い。ヨッフムも、重厚な、それでいて引きずらないバックをベルリンフィルから引き出しており、総じて出色のベートーヴェンと言えます。録音も62年とは思えないくらい鮮明。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/24

    もうこれはこれで上等でしょう。マズア・シュミットとどちらかと言われれば、こちらをとります。ピアノもなかなかセンスが良いですし、オケも室内楽的にまとまっているし、25番あたりでは十分なスケールを感じます。録音も、これなら、わりとチープなシステムでもちゃんと鳴ってくれるでしょうし。NAXOSのヤンドーの全集と較べても、こちらかな。ヤンドーも良いですけどね。内田やラローチャほどの陰影を感じませんが、逆にイノセントな感じで、フレッシュです。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/24

    「良好な状態の新たに確認された録音セッションのアナログ・テープ」って、大元のEMIがそれを過去半世紀知らなかったってのはあるのでしょうか、という野暮な疑問はさておき、8番なら、最晩年のVPOとのザルツブルグ音楽祭ライヴ盤で補えば良いと思います。演奏も非常に力強く、何より音が良い。このSACDに関しては、6番はもともとそう悪くないので、これだけの音にすることが可能だったのでしょう。3千円超える値段かあ。2千5百円くらいにならないかなあ。音源自体はもはやバブリックドメインですからね。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/21

    東京シティフィルのフランス公演のライヴ録音。指揮は矢崎彦太郎。ラジオフランスによる録音で、会場もラジオフランスのオリヴィエ・メシアンホール。会場自体あまり大きくないようで、観客席の一部を移した写真を見ると、聴衆の3分の1はパリ在住の日本人なんじゃないかと思えるくらい日本人が多いようにみえる。日本のオケの進歩は、ここ20年で著しく、ライヴで聴くと、そこらの時差ぼけ外来オケよりちゃんとしていたりする。録音の怖いところは、明らかなミスの修正はともかく、ライヴでは気にならないオケの脆弱さなどがしっかり記録されていて、実力がかなり客観的に分かるところである。音色などは再生装置にもよると思うが。さて、この盤のメインはブラームスの2番である。どこにもタイム表記がないが、やや遅めのテンポで、第一楽章はリピート込みで22分近くかけている。ロマン的雰囲気は良く出ている。いつものことで、やや線の細さを感じるが、流れは悪くない。ホルンをはじめ、金管も木管も健闘。まあ、ブラームスの2番を聴くのにわざわざこの盤を買う必要はないが、東京シティフィルが正統ドイツ音楽でフランスで勝負した記録として聴くなら、演奏はまずまず良く、十分満足出来る。アンコールのマスカーニあたりで、オケの限界が露呈している感じである。むせかえるような情感に乏しく、オケの薄さがしっかり記録されている。ビゼーは、普通にやれば盛り上がる曲で、ここでこけたらプロオケの資格はないし、当たり前に弾いている。冒頭のベルリオーズもきちんとしているし、フランス在住という吉田進の曲も、ロマン的な情緒を感じる良い作品である。録音は、ラジオフランスによるもので、マスで捉えたワンポイント放送録音(たぶん)であり、ティンパニの音がやや籠り気味でドロドロ響く以外はクリアである。マスタリングは、エクストンの江崎氏によるものである。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/19

    コシュラーに初めて接したのは、20年前以上、高知でチェコフィルとの新世界を聴いた時。それから10年後、横浜でスロヴァキアフィルとのドヴォルザークの8番とチャイコフスキーの「悲愴」。派手さはなかったけれど、手堅い音楽の作りで、一定のスケールを感じさせる正統派と感じた。彼は、都響に客演したり、国際的な地歩を築きつつあった途上で世を去った。ノイマンの影に隠れているけれど、実力的には勝るとも劣らず、それはこの9番と5番を聴いても分かる。格別エキサイティングなドヴォルザークではないけれど、郷愁に富んだローカルな味わいで、安心して聴ける。5番は、聴いている間はそれと分からないが、楽章間で聴衆ノイズが入り、最後はブラヴォーなしの「暖かい」拍手も入り(あまり聴衆がいなかったのかもしれない)、ライブ録音である。録音も、ルドルフィヌムの残響がうまく取り込まれており、十分なクオリティ。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/15

    フライングですがひとこと。エクストンの商品化に際してのポリシーは良く分からないけれど、なぜ、これはSACDではないのでしょう。5番はSACDだったのに。おまけに、HMVオンライン価格だと、CDのほうが高い。基本的なポリシーに一貫性が感じられない。後から、SACDで全集化(選集化)してプライスダウン再発売なんてことにならないですよね。マーラーは、今度5番がチェコフィルから出ることからすれば、全部都響とのコンビで完成させるつもりはないのでしょう。5番、6番が既にフォンテックからリリースされていることも理由でしょうか。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/10

    インバルと都響のマーラーサイクルの録音は6番から始まったと記憶しているが、あの時フォンテックからリリースされたディスクは、録音が妙に冴えず、8番が出た時はエクストンに変わっていた。この「復活」だけれど、第一楽章からルバートを多用し、インバルなりの自己主張がある。2人の歌手が今一つという気もしないではないが、合唱は充実している。終楽章のマーチも、弦の刻みが克明で、かなり微に入り細をうがった表現となっているが、全体像を見失うようなことはない。バーンスタインやテンシュテットのような巨大な表現ではないが、最後は、当たり前に盛り上がる。およそ、復活の演奏で、あそこで「盛り下がる」のでは話にならない(そういう演奏が稀にある)。録音は、サントリーホールということもあり、ややマスで捉えた感じだが、オフ気味ということはなく、インパクトは十分ある。ライブ録音だが、都響の技術は万全であり、ライブでこれだけのマーラーを聴かせるとは、流石日本を代表するマーラーオケである。拍手入り。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/04

    フルトヴェングラーの第9を最新のステレオで聴こうったって無理だ。なんぼオリジナルマスターにさかのぼってSACDを作ろうが、板起こしをやろうが、モノラルをステレオには出来ない。演奏は素晴らしくても、精神性が無類の高みに達していようとも、どこかを想像で補わなくてはならず、隔靴掻痒の感は否めない。そこへきてこれである。バーンスタインとVPOのこの第九はかなりいい線行っている。コーダのアッチェレランドも思わず身を乗り出すほどで、フルトヴェングラー並とは言わないが、近いところ行っている。先行の三楽章も充実している。合唱も、独唱も良い。録音も良い。モダンオケによる伝統的解釈で、熱く歌う第九なら迷わずこれでしょう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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