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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/29

    ブルックナーが微笑んだ ブルックナーがシンフォニーで書こうとしたものは何かを解き明かした演奏 8番以外は初稿スコアを用いている へ短調00番から既にブルックナー音楽の魅力を引き出して見せた 創作の習作期・初期に置かれる6曲が一際光彩を放っている 中でも4番「ロマンティック」は秀逸だ 理解を得られず改稿が重ねられた4番 その初稿にこそブルックナーが息づいている オーストリーの風土が生んだブルックナーの幻想世界が広がっている ブルックナーの楽才と創意の未来が駆け巡っているフィールドが4番だ そこには紛れもないオーストリーの風が吹いていた ボッシュは真実世界への扉を開いた この初稿が喝采を持って迎えらる現実があったら その後のブルックナーと世界の音楽は別の相貌を有することになっただろう ブルックナーは音楽言語の整理整頓をした上で中期・後期の5曲を書いた 時代に受け入れられるための妥協は拍手を得たが 指揮者による解釈という名の改変が始まる 横暴は百年を超えて続けられ常套手段と化した その音楽は耳から耳へと受け継がれていった 四楽章版9番を全集に組み込む先進性あるボッシュも例外ではない 全11曲真正なブルックナー演奏でありながら 5番7番で落とし穴に落ちている どちらも第一楽章(5番は第二楽章も)が遅い アラ・ブレーヴェ(2/2)を4/4でテンポを取ってしまっている 実に残念だが それでもこれは聴く価値ある労作と言える SACDの特性を生かした音響もブルックナー鑑賞に適している きっとお気に召すと確信する 一聴をお奨めする   

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/21

    樽の中から飛び出したディオゲネス宜しく これは面白いと膝を打って小躍りした 協奏曲系の楽曲で親しんでいたブルッフにかくも生きのいいクァルテットがあったことを知らなかった不覚を恥じた ディオゲネスSQの演奏が水を得た魚のように躍動している Op.PosthとしてOp.9と類似する一曲が加えられているのも嬉しい クァルテット2曲はブルッフ20〜22歳の作品で80代まで生を全うしたブルッフが再びこの形式で曲を書くことがなかったことは悔やまれる もしわたし同様未聴の人あらば ぜひ耳を傾ける機会を設けられることを願うばかりだ 

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/21

    真のブラームス・サウンドへの挑戦である ピリオド楽器と奏法を以てブラームスのシンフォニーに挑む指揮者と楽団が少ないのにお気づきだろうか このガーディナーとORRの演奏への世評も一つの回答となった 諸手を挙げて喝采を贈った風がない その美点を褒めながらも決定盤の印を押せないでいる 19世紀ロマン派の音楽はポルタメントの多用という特徴を有する ブラームスとワーグナーはその奏法を多用した最右翼にいる作曲家だ これをピリオド楽器奏法で奏すと音響の増幅へ至る 重量感のある巨大な響きを生成する ガーデイナーとORRがブラームス交響曲は「歌」を基盤として成り立つ音楽だと関連作曲家の「歌」を含めてディスクに織り込んで示しているが 時にその奏でる響きを五月蝿いと感じさせてしまうことも事実だ だが この第4交響曲はバロック音楽への傾倒を示した分 ポルタメントは少なく音の濁りを回避して見事な仕上がりとなった 第1から第3交響曲までも同様だが 清冽で鮮烈な音が滔滔と流れくる様は爽快そのもの 清らかな奔流に身を晒して見えてくるものがある それはブラームスが抱き続けた夢と熱情か 己の心の形か知らん 衷心より一聴をお勧めする また交響曲のみのアルバムできればBlu-ray Audioでの発売を望む

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/13

    プラジャーク・クァルテットの名を不滅にする傑作 ベートーヴェンが注ぎ込んだ作曲技法の全てを完璧に楽音として届けてくれた稀有な作品 聞こえない音がない 見えない楽句がない たった四人のアンサンブルだが全員が為すべきを為し一個の音響体として調和したクァルテットに遭遇した経験は数える程しかない プラジャークQは四つのパートのバランスが奇跡的に崩れない もちろん彼らの哲学あって齎され保たれている姿勢なのだが 言うは易し行うは難しで 人間のエゴイズムによる侵食腐食はスマートな容姿の裏を覗くまでもなく随所に根を下ろしているものだ リベラリストベートーヴェンの音楽を奏でるに最もふさわしい四人が傾注した結果は実に味わい深い演奏記録となった 速い楽章はより速く 遅い楽章はよりじっくりと奏でるが 決して急かずもたれず常にリズムの生き生きと脈打つ運びが心地よい でもここぞと云うときは驚くほど濃い味わいを持って歌う 全16曲スコアに忠実に奉仕している 頻出する「cresc. しては急に p へ戻る」書法を正確に演奏したからこそ浮き上がってきたベートーヴェンの音楽像がある 彼の音楽から湧き出る力は波動のようなもの 寄せては砕け引く海浜の波 波が繰り返し運動する浜辺を歩むベートーヴェン 無窮動にも千変万化あり 波打ち際を歩めばドラマは生まれる それが人生となる この浜辺へまた幾度も帰ってくるだろう ベートーヴェンと並んで歩くために 衷心より何よりも最高の推薦をする  

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/07

    ここにあるハイドンの明快な音の喜びを聴こうよ 思わず知らず行き逢う人に声をかけてしまいそうな魅力に溢れている ロンドン・ハイドンQua.が真正のピリオドアンサンブルであることは言うまでもない それにしてもこの清澄な気と明るい光に満たされた世界は何物にも代えがたい 寛ぎとウィットが伸びやかな抒情の中から止め処なく流れ出る爽快感にため息が漏れた 作品33は疾風怒濤の作品20から9年を経て書かれた 「太陽Qua.」を不惑で書いたハイドンは「ロシアQua.」をものしたとき知命を目前にしていた 弦楽四重奏曲形式の完成には未だ至っていない 以前過渡期にあった作品33だがハイドンが自己の世界に回帰してわたしたちを楽しませてくれる no.4までとno.5からは楽章構成を異にするが 作品33の特徴であるスケルツォをLHQは全て第二楽章に置いて演奏している これは音楽に面白い効果を与えた no.4まではフィナーレはPrestoで軽妙洒脱 緩速遅急の楽章構成 no.5からは急遅速緩と構成をひっくり返したハイドンだった これをLHQはスケルツォを第二楽章にして急速遅緩の流れにした これによってno.5と6のフィナーレ シチリアーノと変奏曲が際立つ事になった 自ずと別の情緒が漂う 「冗談」や「鳥」の楽しませ方とは違うハイドン音楽の深みを垣間見せた 衷心より一聴をお奨めする 

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/02

    アラ・ブレーヴェこそブルックナー音楽の根幹だと認識して演奏された初めての全集と言える 存命中から演奏不能と烙印を押され度重なる稿の改訂を強いられたブルックナーの書法だが 第2交響曲フィナーレに初めて登場してから 以後全ての交響曲の第1と第4の両端楽章に指定される速い2分の2拍子(alla breve)は 現在も多くの指揮者によって無視されている ヴェンツァーゴはスコアに忠実な演奏をするどころか 未だalla breveが用いられていない第1、第0、第2の第1楽章で4分の4拍子を明らかに2分の2拍子で演奏している ブルックナーは細々とテンポの変化を書き込んでいる ヴェンツァーゴはここぞというときは大胆に速度を変えるが ブルックナーがしばしば求めるテンポを落とせの指示には従わない これによって感情過多の波にのまれずに済む だから第9のAdagioがセンチメンタルな渦に嵌らなかった ヴェンツァーゴは速すぎてはいない このテンポはスコアから読み取れた適正な速さだ ただ第0で無用な揺らぎがあり残念 また第7の第1楽章のテンポが遅いのが玉に瑕 練習記号Bに〔C ruhig〕の記載があるので多くの指揮者はテンポが落ちる この変化を嫌って冒頭からBのテンポで開始した為楽章全体が一本調子になったのが惜しい だがヴァンツァーゴが5つのオーケストラを駆使して現出させたブルックナー10曲全てが美しい 俗世では150年間理解されないまま居もしないブルックナーの偶像が建てられてしまった ヴェンツァーゴが描き出したブルックナーは人生を謳歌し日々前進する人そのものの姿だ ブルックナーは佇んだり跪いたりしていない 神への感謝や祈りは今歩みつつ積んでいる人だ ブルックナーの眼前にはいつも未来に立つべきfieldが広がっている 単売時に幾曲かは聴いて居た 最後に出た第5が最高傑作でありエポックとなると吹聴していたが 全集刊行にあたり全曲をスコアを繰りながら改めて聴いてヴェンツァーゴが稀に見る大仕事を成し遂げたのだと確認した ここからブルックナーの真影が世に広まることを期待する 衷心よりこれまでで最高の推薦をする   

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/09/30

    モーツァルトは音の色糸によるゴブラン織だった クラヴィーア・コンチェルトを聴いた実感がない 全パートを独奏するスホーンデルヴィルトとクリストフォリによるアンサンブルは古楽器の音色の魅力と音力の勢いが絶妙の均衡を保つ フォルテピアノが要にいても音楽の主人ではない 全ての楽器が奏でる楽句が同価値で意味を語りだす 主役と脇役では成り立たない「群像劇」を観ている面白さとでも言おうか 協奏曲嫌いのわたしであればモーツァルトの新作を聴いた思いだ 奇しくもモーツァルトの天才を今更ながら思い知った こことは違う畑で音楽を耕す人にこそ聴かせたい また演奏してもらいたいモーツァルトがここにいる 衷心より最高の推薦をする

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/09/28

    紡錘形の珠玉が連なり稀に見る美しいラフマニノフが生まれた 紡錘形の喩えは発声発音に当てている 現代では失われたと云ってもいい演奏法だ P.ヤルヴィはパリO.奏者の内奥に眠りあるいは息づく感性を引き出しあるいは目覚めさせた 勢いラフマニノフの歌心が開かれおおらかな情趣があふれ出た 情に溺れないのは言うまでもない クランドオーケストラの機能をひけらかすがごとき意識を捨ててこそラフマニノフの美点は翼を広げることをP.ヤルヴィは承知している 作品44と45はラフマニノフの最高傑作だが これほど身近から親密な口調で語りかけられた演奏に出会ったことがない ラフマニノフとの対話を愉しもうではないか 衷心より最高の推薦をする 

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/09/28

    デュティユー逝去して3年 そのコンチェルタート書法を見事に音化した名盤がこれだ 次々に浮かび上がる楽音の美しさは特筆ものだ P.ヤルヴィがパリ管と出会ってこその雄弁さは一つ一つの奏での背後に広がる沈黙の虚空をすら意識させずに置かない それにしてもパリ管のなんという豊かさだろう 上手綺麗では事足りない 一個の人格に備わるべき美徳に等しい麗しさだ この美しい演奏を以てデュティユーを聴くべきだ ラヴェル ルーセルに匹敵する20世紀フランス音楽の旗手だが デュティユーの名も音楽も耳にする機会はまだまだ少ない そこはわたしたちが生きて無意識に押し流してきてしまった感情や感慨にあらためて出会う場となる デュティユーに縁のなかった人にこそ衷心より最高の推薦をする    

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  • 15人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/09/20

    記憶の草原から掘り出された宝箱≠開けた 清浄の気がわたしを包む A.ジョルダンが世を去って10年 その命日に彼と再会した エスプリは消えず清々しい語り口がまたわたしのこころを潤す 箱の中には11人の楽曲が収められていたが 1曲のみのラボーもあれば3盤にわたるラヴェルもある ルーセルやサン=サーンスはないが フランクからジョベールまでフランス音楽のたおやかな姿と絹の肌触りを感じさせる歌を見せ聴かせてくれる 興奮ではない感動と深く共鳴するこころを以て最高の推薦をする また ジョルダンのマーラー集の復活を期待する

    15人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/08/18

    黄金のコレクションとは言い得て妙だ 四半世紀を越えて過去のペシェック&チェコPOの演奏記録が蘇った 四枚のDISCは無窮の闇から放たれた不滅の宝珠の光そのものだ この澄んだ響きは何だ その美しい音の前に釘付けになった まずドビュッシーとラヴェルの音像が明晰に紐解かれていることに目を剥く 続く得意のエルガーとスクリャービンのコンチェルトの叙情は深くわたしの胸をえぐった だがこのペシェックの逸品DISCで聴くべきものはスークだ 「夏物語」から漂うかそけき夜気を誰が掬えようか ペシェックはスークを称揚したのではない 語らい共鳴しその声を具現したのだ 「リンゴの樹の下で」「弦楽セレナード」「おとぎ話」の真影を見聞できる そしてしかし 最後にとんでもないものが待っている ブルックナーの第7交響曲がそれだ わたしはこれほど驚いたことがない ブルックナーのスコアを完璧に読み解き見事に再現した稀に見る演奏なのだ ブルックナーのスコアがいかに完成されたものか証明した演奏である 聴けば分かる 衷心より最大級の推薦を述べる   

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/07/23

    思いもかけなかった出会いが最後となった ひょっこり現れたギーレンのブルックナー交響曲全集は未だ開けぬ梅雨空の下 わたしの“カルモヂイン”の田舎に鳴り響いた 南西ドイツのオーケストラの明るく軽やかな音色とオーケストレーションの細部も明晰に聞かせるスタイルが相乗して透明で爽快なブルックナー・サウンドが生まれた 引退を表明したギーレンが45年間にわたって残した演奏記録がまとめられたことを歓ぶ 演奏録音順は2-7-5-4-3-6-8-1-9 2は40代初め 7は50代終わり 4&5は60代 3&6は70代 1,8&9は80代 9番は86歳での演奏 まるで作曲者の軌跡を辿るかのように中年を迎えてからデビューしたようだ 演奏したスコアは多岐にわたっている 1番はウィーン稿 4番と8番は初稿を用いている それぞれの稿の魅力と演奏頻度の多い稿との差異を明確に伝えていて面白いが欠如感も顕にした ブルックナー交響曲様式が確立した5番からそれ以降を見ると演奏の成否が見える 5番は惜しいことにアダージョが遅い これはアラ・ブレーヴェを4拍子風に演奏したがためだ 6番7番は非の打ち所がない快演 8番は初稿使用とはいえ95分超えはいかにも長い スケルツォでレガート奏法を強調した間違いとアダージョの遅すぎさは老いたるが故と揶揄されても仕方がない 音楽から生命の躍動が消えていることは一聴にして明らかだ 9番も全体に躍動感が失われている やはりアダージョが遅すぎる これはギーレンに限って見られる現象ではない 8番9番でブルックナーが多用した ‘Feierlich’ を誤解している これを「荘厳な・儀式ばった」と思うと重くなる 「祝祭の・晴れやかな」の意を忘れている さらに ‘langsam’ と ‘nicht schnell’ は「遅くしろ」ではない「興に乗ってテンポを速めすぎるな」の注なのだ なぜか スコアを読めば分かる 付点音符や連符を多用するモチーフは自然のアチェレランド以上に 細部の短音符が疎かにされる危惧が予見されたからだ ギーレンの仕事を尊敬している 卒寿を前に引退をしたのは賢明な英断と称揚したい この全集はブルックナー交響曲の魅力を伝える見事な成果であり いつの日かブルックナーの「詩と真実」を解き明かす希望へ向かう道となった 衷心より一聴をお勧めする  
       

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/07/03

    盛夏の今聴きたい音楽がここにある 望楼の窓辺で風に吹かれている想いと言おうか 辻のかたえに立つ楡の木陰の草地に足投げ出し流れる雲に目を遊ばせる風情と言おうか 火照った身を休ませつつも過ぎ行く時を愛おしいものに感じて生きている己と世界とが平衡を保ってそこにある その美しい音楽の数々はレスピーギ作品集の蔵の隅に埋もれていたもの ディ・ヴィットリオが補完編曲して演奏している レスピーギ音楽への愛がわたしにも届いた ロッシーニをはじめ故国のいにしえの音楽への敬愛を失わなかったレスピーギをディ・ヴィットリオも慕っている アメリカでロッシーニの名を冠したオーケストラを組織して心情を示した 血の通った姿態を持つ美しい演奏に心揺さぶられた 衷心より推薦する  

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/07/02

    孤独はブラームスの友だが 作品67と34ほど孤独の影を曳いている作品はない 先に書かれた二曲と趣を異にした弦楽四重奏は演奏者に新たな緊張を強いる 幻想的で協奏曲風な曲想は四人の奏者の性情を炙り出すようでそれぞれに孤独を強いる この危うい美しさの幻影はわたしの衷心に住み着いて離れない 豪快に鳴らすプラジャークQに最もそぐわない楽曲だが 冒頭から燻し銀の音を以って歩み出す 立体感のある音響と聴きあい歌い返す楽節の構成が見事だ 主情を抑えて音楽に語らせようとする勇気に姿勢を正した 作品成立までに紆余曲折があったと聞くピアノ五重奏では 本来プラジャークQが持つ推進力が前面に出てドラマチックな演奏となった 第三楽章で「ラインの黄金」のミーメが叩く鉄床のリズムが鳴る時 最も遠い存在と巷間流布していたワーグナーにさえ友情の眼差しを送っていたブラームスのいじらしさに胸を突かれた いかに孤独に苛まれようと人と音楽への愛を見失わなかったブラームスに勇気付けられる 衷心より推薦する

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/06/24

    王が帰還した そして告別の時 そこはヴィーンであり ベートーヴェンと向き合うことになると分かっていた 古楽の復興にとどまらず浪漫の海へ漕ぎ出でたニコラスが戻るべき終焉の湊だ 生涯の了りまでベートーヴェンの交響曲をピリオド楽団で振ることがなかった彼に交響曲の聖典を巻頭から繙く時間は残されていなかった さて選ばれた変ロ長調とハ短調の二曲はそれぞれ適切な演奏時間の外郭いっぱいまで達している テンポは適切だがスコアにない”間”が随所に挟まる 好悪の分かれるところだが わたしは惜別の懷(おもい)が漏れ出たと受け取った わたしもハ短調のスケルツォで落涙したことを告白する 人は死せども芸術は死なず いや 音楽も死す いかなるテクノロジーの発達があろうと音楽は生まれた次の瞬間には消え去る運命を変えることはない もて囃された名演奏家の演奏も時の彼方に霧消していく 音楽は儚い存在だ 音楽は常に今生まれる それを知るからこそアーノンクールの去りがたい懷があふれたのだ 残念だが彼は天に召された 彼以上の音楽の冒険者が現れることを期待して今日も音楽と向き合おう 彼もきっとそれを願っていたと信じる 衷心より哀悼の意を捧げる  

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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