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Tan2 さんのレビュー一覧 

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     2021/03/04

    「白鳥の湖」全曲盤を聴くには、このバレエのたどった歴史を知る必要があります。
     チャイコフスキーのオリジナル(初演版、ほとんどの「全曲録音」はこれを用いている)は失敗に終わり、作曲者の生前には再演されていません。
     チャイコフスキーの没後、「眠りの森の美女」や「くるみ割り人形」を演出して成功させた振付師のマリウス・プティパとレフ・イワーノフは、「白鳥の湖」の蘇演にチャレンジします。そのため、ストーリーを変え(これには作曲者の甥のモデストも協力している)、それに伴って曲順の入れ替え、カット、チャイコフスキーのピアノ曲から編曲した3曲の追加(編曲は「眠りの森の美女」「くるみ割り人形」の初演で指揮をしたリッカルド・ドリゴ、「ドリゴのセレナード」で有名)などの手を加えました。その蘇演は成功し、以後「白鳥の湖」はバレエの主要な演目として定着します。
     その後、ロシアではモスクワのボリショイ劇場でも、ペテルブルグのマリインスキー劇場でも、バレエ上演はこの蘇演版(プティパ/イワーノフ版)をベースに上演され続けています。演出・振付によっては、さらに手を加えたもの、逆にチャイコフスキーのオリジナルに戻そうというものもあるようで、いろいろな演出が乱立しているようです(その際に、チャイコフスキーの遺品の中からシェバリーンが編曲した「チャイコフスキー・パドドゥ」と呼ばれる No.19a を追加したものもある)。「バレエ」という舞台は、音楽とは別な次元で、常に現在進行形で動いているようです。
     ということで、音楽だけの全曲録音ではチャイコフスキーの初演版が多く、「バレエ上演」を前提とした全曲録音(映像付きのDVDなども)では「プティパ/イワーノフ版」に基づくものが多い、さらに演出・振付によっては曲の追加・削除・順序入替もあるということで、いろいろ混乱も生じているようです。
     このゲルギエフの演奏は「プティパ/イワーノフ版」によっており、「バレエの舞台に即した、音楽的な演奏」ということができると思います。
     その意味で、他の全曲録音(プレヴィン、デュトワ、小澤など、初演版)と聴き比べてみるのも面白いと思います。

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     2021/03/03

    なかなか全貌を聴くことができなかったフランツ・シュミットの交響曲の優れた全集が出ました。クラシックの本流であるドイツ・オーストリアの音楽も、何故か20世紀ものになるとほとんど取り上げられません。耳で聴く機会がないと、近づく機会も限定されます。
     その意味で、この全集はフランツ・シュミットという作曲家に近づくためのよい道案内になると思います。
     決して親しみやすい作曲家ではありませんが、シェーンベルクらの革新的な音楽と同時に保守本流として豊かに流れていたドイツ音楽に耳を傾けてみるのもよいと思います。

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     2021/03/03

    クラシック音楽の本流はドイツ音楽といわれながら、20世紀のドイツ音楽はほとんど知られていない。もちろんリヒャルト・シュトラウスは健在だが、それ以外の保守本流のマックス・レーガー、プフィッツナー、フランツ・シュミット、そしてこのシュレーカーなどはとんど演奏されることがない。せいぜいヒンデミット、カール・オルフの一部の曲ぐらいか。
     フランス音楽が、ドビュッシー、ラヴェルに始まって、サティ、ルーセル、フローラン・シュミット、フランス6人組やイベールからメシアンなどに連なる豊かな流れがあるのと対照的である。
     その意味で、ファレッタ女史がベルリン放送響を指揮したこのCDは、自分の耳でシュレーカーの真価を判断するには十分な立派な演奏である。
    シェーンベルクらの革新的な音楽と同時に、このような保守的・正統的なドイツ音楽の豊かな流れが存在することを、もっと認識してよいのではないだろうか。

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     2021/03/02

    東京藝大は、大先輩である橋本國彦(1933年のとき29歳で当時の東京音楽学校教授、ヨーロッパ留学後の1937年から作曲科主任教授)、その先生であったが自らは作曲科教授にはならなかった信時潔などの作品を積極的に取り上げて録音している。
    橋本は、皇紀2600年奉祝曲として作曲された交響曲第1番や、南京陥落を祝して作曲された音楽詩曲『光華門』などの戦争協力の責任をとる形で母校を辞職し、1947年の新憲法公布を祝してこの交響曲第2番を作曲したが、その2年後に44歳で早世した。
    こういった日本のクラシック音楽の歩みを、直接音の形で聴くことができるのは大変ありがたいことだ。それをどのように評価し、位置づけるかは人それぞれではあるが、その前提として現実の演奏として聴くことができること、それも一流のレベルの演奏であることが何よりも大事なことである。
    その意味で、このCDを含めて Naxos のシリーズの果たしている役割は大きいと思う。
    戦前の不幸な時代の曲も含め、もっと聴かれ、そして演奏されることを望みたい。

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     2021/03/02

    イタリアの珍しい曲の数々をドイツのオーケストラが演奏した1枚。ライブ録音ゆえの傷もありますが、ライブでこれだけの演奏ができるということはレベルの高いオケです。
     曲は、レスピーギがバレエ・リュスの依頼でロッシーニの晩年の未発表曲から選んで「おもちゃ屋の人形たちの一夜」のバレエに仕上げた「風変わりな店」がメインでしょう。最近なかなか演奏されない曲です。
     その他の曲は、さらにめったに演奏されない希少な曲たちですが、イタリアの「歌」の伝統と音楽を楽しむ心を感じさせる出来栄えでお勧めです。

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     2021/03/02

    これはガーシュインもグローフェも、この曲の最高レベルの名演です。
    「ラプソディ・イン・ブルー」は、フィリップ・アントルモンのピアノで、当時慣習的に行われていたカットのない完全全曲版です。演奏は堂にいったもので、かなりのカットのあるバーンスタインやプレヴィンの演奏よりも模範的な演奏といえるでしょう。

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     2021/03/01

     ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」「パリのアメリカ人」の最もスタンダードな模範的名演だと思います。マゼールもクリーヴランド管も楽しみながらのびのび演奏しているようです。
     「ラプソディ・イン・ブルー」は、バーンスタインやプレヴィンの演奏で行われている慣習的なカットや改編のない完全全曲演奏です。
     「ポーギーとベス」は、作曲者自身による「キャットフィッシュ・ロウ組曲」ではなく、ロバート・ラッセル・ベネットが編曲した「交響的絵画」の方です。これのみアンタル・ドラティ指揮デトロイト響の演奏。

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     2021/03/01

     日本では「本場もの」の演奏が尊ばれるので、こういった演奏は話題にもならないが、これはこれできちんと音楽的に演奏した名演である。ワイセンベルクやベルリン・フィルのガーシュインって? という感じではあるが、それっぽく安易に崩すことはせず、かといって硬直した無色透明の演奏にもならず、一流演奏家が楽譜に書かれた音楽を演奏するとこうなるという見本のような演奏。
     「ラプソディ・イン・ブルー」では、バーンスタインやプレヴィンの演奏では行われる慣習的なカットもなく、ピアノを意図的に大きく録音することもなく、おそらくコンサートホールの自然なバランスで楽しむことができる。
     「アイ・ガット・リズム変奏曲」(ガーシュイン自身の編曲)では、ワイセンベルクのピアノ、カール・ライスターのクラリネットと豪華メンバー。
     「キャット・フィッシュ・ロウ」組曲は、歌劇「ポーギーとベス」から作曲者自身が演奏会用組曲に編曲したもの。
     いずれも「アメリカ的」というよりは、ベルリン・フィルの豪華な音での「インターナショナルな演奏」と呼ぶのが適切なのでしょう。オザワのオーケストラドライブも堂に入っています。

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     2021/03/01

    「ラプソディ・イン・ブルー」は、ガーシュイン自身が残したピアノロールを使い、それにMTTが指揮したオリジナルのジャズバンド(当時のポール・ホワイトマン楽団と同じ編成)が伴奏を付けたもの。「バーチャル初演版」に近いともいえるが、ガーシュインの弾いたものは、ガーシュイン自身がピアノ独奏用にアレンジしたもの(オーケストラ部分もすべてピアノで弾く)の「独奏ピアノ部分」を抜き出したものなので、厳密にはオリジナルとは言えない。オーケストラ部分も一人で弾いているのでかなりの快速であり、実際のオーケストラでそれに伴奏するのにはかなり「てんてこ舞い」している。
     ガーシュイン自身の演奏を聴くなら、ポール・ホワイトマン楽団とともに録音したものがあるのでそちらを聴けばよい(ただし収録時間の制約からかなりカットがある)。
     MTTは、後の1982年に自身のピアノとオリジナル編成のジャズバンド(ロサンジェルス・フィルのメンバー)でもこの曲を録音しているので、「初演の雰囲気」をよい音で聴きたいのであれば、そちらを選択する手もある。

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     2021/03/01

    この演奏が「ラプソディ・イン・ブルー」の最右翼の名盤とされていますが、どうなんでしょうねえ。バーンスタインは颯爽とカッコよくピアノを弾いていますが、ちょっと引きずるように粘るし、妙にスウィング風に崩して弾いているところも多いし、かなり楽譜とは違うことをやっています。5’40’’、7’40’’ あたりには慣習的なカットもあります(合計約60小節)。
     ということで、この曲を最初に聴くなら、カットのないオーマンディ/フィラデルフィアとか、マゼール/クリーヴランドをお勧めするかな。
     もちろん、いろいろな演奏で聴いてみたいとか、バーンスタインのファンであれば(ガーシュインではなくバーンスタインを聴く)、一聴以上の価値はあるのでお勧めです。

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     2021/02/28

    プレヴィンは、ロンドン交響楽団の指揮者になる前はハリウッドで映画音楽の仕事をし、ヘップバーンが主演したミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」でアカデミー編曲賞も受賞しています。また、ジャズの「アンドレ・プレヴィン・トリオ」でピアノの演奏活動もしていましたから、この手の音楽はお手のものであり、さすがにうまいです。バーンスタインの演奏と並んで、最右翼の演奏といえます。ただ、オケがちょっと重いような気がします。重厚な響きといえばそれまでですが。 4’55’’、6’37’’ あたりに2カ所慣習的なカットがあります。(バーンスタインの演奏でもほぼ同様の箇所にカットあり)その意味で星1つマイナス。

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     2021/02/26

    「アパラチアの春」は、1944年のバレエ初演時には13人の小編成の演奏者用に作曲され、翌1945年に作曲者自身が2管編成オーケストラ用の演奏会用組曲に編曲して有名になりました。通常はこの「組曲版」が演奏されます。
    録音データに「Appalachian Spring, Ballet for 13 Instruments」と書かれていて、下記のレビューにも「小編成版」と書かれているので、これはおそらく「初演版」のバレエ全曲ですね。組曲版よりも約10分長いはずです。
    初演版は、クリストファー・ホグウッドが指揮したものを持っていて気に入っています。ホグウッド盤は既に廃盤のようなので、小編成の初演版による演奏が聞きたい方には、このMTT版がお勧めですね。私は聞いていませんが、MTTの演奏なら間違いないと思います。(星4つは、聴いていないため)
    アイヴズに関しても、MTTは第一人者なので間違いないと思います。

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     2021/02/26

     ショスタコーヴィチの歌曲は、歌詞がロシア語だということでかなり損をしています。国内盤CDが発売されて「歌詞対訳」が付属しないと、その真価を味わうことが難しいから。
     このCDには、いわくつきの「半形式主義者のラヨーク」が収録されています。演奏内容は非常に優れていて、この曲の真価を味わうのには十分です。
     ただし、この曲の真価を味わうには、自筆譜に書かれた作曲者自身による「序文」とか、歌詞(もちろん作曲者自身による)に込められた皮肉やイヤミ、付けられたメロディーの妙(スターリンの愛したジョージア民謡の引用や、ジダーノフが演説の中で「リムスキー・コルサコフ」の抑揚を間違えたとおりにメロディーを付けている)など、ショスタコーヴィチの「意図」を理解することが必須です。
     その意味で、この曲は全音楽譜出版から出ている「反形式主義的ラヨーク」の楽譜の解説や対訳を見ながら聞くのがよさそうです。
     ショスタコーヴィチがいかに「ユーモアのセンス」にあふれた作曲家であったかがよく分かります。こんな曲を残すなんて、命がかかっていたと思うのですが。

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     2021/02/26

     「アパラチアの春」は、バレエのために13人の演奏者用に作曲した「初演版」(1944)を、作曲者自身が翌1945年に2管編成オーケストラ用の演奏会用組曲に編曲して、一躍コープランドの代表作となった。一般にはこの組曲の形で演奏されることが多い。このスラトキンの演奏は、「バレエ全曲」とあるように、組曲版で削除した初演版も含めて1956年に大編成のオーケストラ用に編曲したもの(?)を用いている。そのため、通常の組曲版では25分程度の演奏時間なのに対して 37 分超である。(演奏の版についてはブックレットにも一切記載なし)
     シェーカー教徒の聖歌である「シンプルギフト」の変奏曲から終曲に至る間に初演版にあった何曲かが挿入されるとともに、「シンプルギフト」の変奏曲の構成や順序も入れ替わっている。初演版どおりではなく、組曲版に近いがそれとも違うようである。
     この版での演奏は他にはほとんど見かけない。
     演奏は、編成が大きい分充実した響きで、スラトキンの指揮できびきび颯爽としたものである。
     「アパラチアの春」を聞きなじんだ方も、一度聞いてみてはいかが?
     「聞け!汝ら!」は1934年のバレエ用の作品で、演奏されることはめったにないので、これも貴重な録音といえる。

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     2021/02/26

     指揮者のアントニ・ヴィトは、Naxos レーベルにたくさんの優れた演奏を録音しています。特に同郷ポーランドのペンデレツキやルトスワフスキは他の追従を許さない名演ぞろいです。では、ロマン派のウェーバーはといえば、これもきっちりと要点を押さえた手堅い演奏です。ニュージーランド交響楽団が、機能的できびきびとよい演奏をしています。
     このCDには、他にはあまり録音の少ない劇付随音楽「トゥーランドット」からの音楽が収録されています。聴いてみれば分かるとおり、ヒンデミット作曲の「ウェーバーの主題による交響的変容」の第2楽章の主題はこの曲からとられています。ここで聴かれる東洋風のちょっと変わった主題を、ヒンデミットがどのように料理して変容させているか、聴き比べてみるのも面白いと思います。

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