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くるとん さんのレビュー一覧 

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/03

    天上の調べのようなこのレクイエムが、まるでモーツァルトのそれと同じような悲しみをもって響く。まるで「涙の日」で始まっているような。東ドイツのオケの渋い響きのせいも多分にあるでしょう。そこに、情緒あふれるポップの歌唱が絡み、涙をさそう。この世への永訣は現世で解決されなければいけない、そんなことを思わせる。魂は天上へと昇ってゆくのではなく、残された人々の心に再び降りてゆくのだ。コルボの演奏は、思わず「天国はいいところだろうなぁ」と思わせるが、デイヴィスの演奏は、それが引き起こす悲しみを感じさせる。自分が死んだときに何人の人が泣いてくれるかが、その人の価値なんだよと小学校の先生に教わった。それが本当に正しい見方かどうかは分からないが、それを信じたくなるような演奏である。ポップは自分のために歌ってるのかもしれない。それを思うとまた泣けてくる。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/27

    私も、この演奏が一番好きです。淡々とした上品な味わいです。デムスとDFDは互いを研鑽し合う仲だったようです。デムスの品の良い解釈が頭脳プレイに陥りがちなDFDをも納得させたのでしょう。デムスのピアノの美しさに開眼した一枚でもあります。国籍不明な冬の旅が多い中、ウィーンを感じさせるのは、ひとえにデムスの弾くベーゼンドルファーと、その才能です。素晴らしい!

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/27

    今でこそ注目されるようになった、第一番、第二番を、この当時にこれほどの確信をもって指揮していたというのは、本当に驚異的なことである。ブルックナーの響きというものがどういうことかというのを、この指揮者は完全に掌握しており、柔らかく、力まない自然な音色美は、この全集の大きな特徴である。まずこの音色が作れないと、ブルックナーは何も語らないということをこの全集は教えてくれるだろう。

    指揮ぶりは、まるで流れる水のように自然である。だからこそ第一番、第二番のような曲に適合するのだろう。「こんなにたやすいことなのだ」という感じの指揮ぶりである。

    しかし、第三番以降はこのように行かなくなる。なぜなら、ブルックナーの作風が、より多彩な内容を含むようになってきてしまったから。よって、ヨッフムの指揮ぶりとだんだんと齟齬を生じ始めてくる。

    それでも第五番はヨッフムの18番として知られており、この盤でも名演を披露しているが、曲の性格からは少し違うものであるというのが私の意見だ。それはドレスデン盤もバンベルク盤も、コンセルトヘボウ盤も意見は変わらない。第九番なんかは、完全にヨッフムの指揮ぶりはフルトヴェングラーが指揮するベートーヴェンのそれになっている。ヨッフムが変わったのではない。曲の内包する要素が、ヨッフムには表現しきれなくなってきたのだ。特に第八番のコーダ付近の指揮ぶりは、ヨッフムも何をしていいのか分からなくなっているように思える。第三楽章までは素晴らしいのに…。しかし、その他曲は、ヨッフム流儀の名演と言って差し支えない内容だと思う。特にアダージョ楽章は、どの曲も素晴らしく美しい。

    この柔らかい響きを生みだしているのは、昔ながらの両翼配置も要因しているということを指摘したい(バイエルンだけだったかな…売却してしまい手持ちがないものでして…)。また、ヨッフムの棒についてゆけず、時にオケが荒くなるという欠点がある。しかし、この荒さと言うのは、逆におおらかさという長所でもある。この「おおらかさ」が最近どの演奏家からも感じられなくなったのは悲しいことである。完璧がそんなにいいかねぇ。

    あと全部聞いたわけではないので向こうには言及しませんが、EMIの全集も、音はいいと思いますよ。ドレスデン・シュターツカペレというのは、大体ああいうくすんだ音なのです。それを録音の悪さと捉える人はちょっと残念ですね。そちらでも、指揮者とオケがミックスされた「ブルックナー音」を作ってしまうのですから、ヨッフムと言うのはなかなかすごい指揮者です。我々は2つもヨッフムの全集があり、幸せと言うべきでしょうね。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/25

    フォーレ、ドイレク以外、未聴なので楽しみ。モツレクに期待かな。もたれない、ただただ遅い演奏が聞いてみたかったから。ミュンヘンpoなら、バッハも期待できそう。チェリのワーグナーはぜひ聞いてみたいね。そういや、彼はオペラの録音は残っているのだろうか…。僕はオペラを振らない指揮者を否定的に見ているが(たとえばジュリーニとか、ラトルも含めていいかな)、チェリぐらい「開き直って」くれると別格。「オペラなんて振らなくて結構」という態度は100パーセント本音のように思えるから。逆に、最近パッパーノとかが交響曲を振っているけれど、どうなんでしょう。オペラを長く振り過ぎるのも問題のような気がしますなぁ。セラフィンのベートーヴェンなんてものがあっても、あまり食指がうごかないよなぁ。リート伴奏者のピアノソナタが期待できないように。なんか話がそれましたな。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/25

    悲愴とバルトークを持ってますな。悲愴はとてもいいですよ。ベートーヴェンの「第五」に通じる、運命と戦う姿を描いた交響曲なんだなと思います。バルトークは笑っちゃうくらい遅いテンポで、それでもガッツで弾ききってしまうミュンヘンpoがすごい。いや、というかミュンヘンpoはすごい。もしこんなに「体力」がない団体だったら、チェリは晩年のこのスタイルを取らなかったでしょうな。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/25

    チェリのブルックナーを神格化していた時代がありました。今はだいぶ解けましたが、やはり堪能させてくれるのは事実です。つい見逃されがちなのが、このミュンヘンpoの音色美です。大体指揮者と言うのは、自分の色にオケを染めがちですが、チェリひきいるミュンヘンpoは、私達の昔から親しんできたミュンヘンpoと全く同じ音をしています。渋く、堅固で底光りするような、素晴らしいサウンドです。それをチェリは殺さなかった。もしかしたら、チェリのこの晩年のスタイルを築き上げたのは、ミュンヘンpoそのものだったのかもしれません。シュットゥットガルトrsoの時代と演奏スタイルが変わるのはそのためかもしれません。そしてこの「オケの自発性に任せる」という美意識は、実は愛憎まみえる師匠のフルトヴェングラー譲りのものなのかもしれません(←これ、新説な。利用許可してからパクるように)。

    今ではそうは思わなくなりましたが、「ブルックナーはミュンヘンpoに限る」との思いを持たせてくれた、懐かしの名演集です。

    あ、あと、ミサ3番も何気に名演な。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/25

    チェリビダッケにはハマりましたよ。ハマるといろいろ聞いてみたくなり、ぼちぼち買い集めてはいたんですが、廉価にボックス化されて、本当にうれしい限りです。当時はCD高いですから、レコ芸見ながら、予算内で「どれをピックアップして買うか」と悩んでいました。当然、コンプリートなんて、考えられるものではありませんでした。しかし今じゃ国内盤一枚分のお値段で1セットの時代ですからね…。そうなると、なぜか全セットをそろえたくなる。予算度外視でね。不思議なもんです。話はそれましたが、私はチェリはブルックナーにハマったものですから、この中では数枚しか聞いたことがありません。シューマンの2番はとても思い内容を感じさせ、新鮮でしたね。どうぞ、これだけのためにも買ってみてください。なにせ、昔の国内盤1枚分のお値段ですから…。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/21

    これ、https://www.hmv.co.jp/product/detail/3994123、が予約の段階で、期待を込めてHMVレビューに、どーしようもないダジャレめいたレビューを投稿したら、見事ボツとなってしまい、実際に購入し聞いてみたら見事にはまってしまって、その感動を伝えたくも「投稿いただいております」のメッセージ…。

    その折も折、カサドシュのこのCDの告知。嬉しかったですねー。こちらに一筆啓上させていただこうかと思います。

    フレンチ・ピアニズムというと、ハイドシェックや、コルトー、フランソワの「崩れ系」(←失礼)しか知らなかったのですが、いやいや、カサドシュこそがフレンチ・ピアニズムの粋であると言われたら、はは〜、参りましたとひれ伏してしまいますね。

    カサドシュのピアノを聞いていて思いだした曲があります。ドビュッシーの子供の領分の一曲目。ピアノの練習曲をパロディにした曲ですが、あの特に音楽的に意味のないパッセージを「めんどくせーなぁ」と言った感じでポロポロと弾いている姿。あぁ、これこそが、フレンチ・ピアニズムを端的にあらわした曲なのかもしれないと思いました。

    メロディと言うのは、それ自体にうねりがあったり、湿度があったり、言葉にはできないけれど「意味」を感じさせるものです。けれどカサドシュはメロディが持っている「電磁場」を消去してしまい、音符だけをクールに的確に並べてゆきます。これは絵画で言うと、スーラの点描画にも通じるものだと思います。

    それはフランスのオケにも言える傾向だと思います。各楽器が「溶け合う」というよりは、それぞれ「立って」いるような。

    モーツァルトのメロディはご存知の通り実にこってり濃厚なものです。そこにカサドシュのピアノが絡むと、実に澄み切った天国的な音楽になる、と言うしかけなのです。バックがセルなのが、少しミスマッチな気がするのですが、だからこそカサドシュのピアノが引き立つのでしょう。

    カサドシュのピアノはほかの曲ではどのように響くんだろう。実に興味深いです。だからこれを買おうと思いますよ。

    多分、ドイツ・オーストリア系のピアノが好きな人は、最初に違和感が来ると思います。でも、そこはこらえて何度か聞いてみることをお勧めしたいです。カサドシュにはカサドシュなりの秩序で音楽を組み立てていっているのが分かるはずです。

    ハマりましたね。カサドシュ。あ、ちなみに、バツになったレビューは「カサドシュ、みんなで買うデシュ」とか書いた気がします…。この歳にもなってはしゃぎすぎてすいません。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/22

    これはブラ4の演奏史に新たな1ページを付け加えた素晴らしい演奏であり、同時に聞く人を選ぶ演奏でもあります。聞き手と共に泣いてくれるブラームスを求める人はこの演奏を受け入れられないし、理解できないでしょう。計算されつくした狡猾さや弱さ、ナルシスティックなまでの自己愛に溢れた音楽を、結婚もしないで一人でしこしこと書き続ける作曲家の姿を、もう一つの上の地点から眺め、その老獪な存在を憐れむ演奏と言ったらいいでしょうか。私はブラームスと言う作曲家を全く評価していませんが、このクライバーの棒によって、初めて「ブラームスも孤独な芸術家であったのだ」と思うことが出来ました。特に秀逸なのは第一楽章。ここでのクライバーの棒は神がかっています。ウィーンpoとは思えないほどの細身で厳しく苦い響きを主体として、絶妙なテンポの揺らぎを利用し、ブラームスという人間の小ささを描ききります。この楽章に、ブラームスが生きた人生のすべてがあると言ってもいいのではないでしょうか。第3楽章を、ただのノー天気な音楽にしてしまう指揮者が多いのは、この第1楽章でしっかりとした伏線を張れていないのです。クライバーらしい、これでもかというほどの明るい躍動感に満ちた第3楽章は、この上なくシニカルに響いてきます。これは初めからとても出来が良く演奏されたどり着いた、チャイコフスキーの「悲愴」のスケルツォを聴いたときと同じ「苦味」であるといえます。この二つの交響曲は、かなり似た構造を持っていると言えるでしょう。第4楽章は個性的に演奏しずらい曲ではありますが、やはりコーダで何の効果も狙わず、何の希望も持たせないままさっと切り上げるところなど、ブラームスの積み上げてきた音符と同様、彼の人生も何の意味もなかったんだなと感じさせ、それは私達の生きる命題と直結し、心を揺さぶられます。とにかく、これほどまでに音楽が追及され、個性的に演奏されたブラ4と言うのは他に例がなく、いわゆる「ブラームス演奏」のアンチテーゼとして、きっといつまでも孤独であり孤高であり続けるのでしょう。そうか、やはりこの曲にクライバーは自分を見出していたに違いありません。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/15

    再発見が待たれる人だろう。熱狂的なオペラファン、ドナルド・キーン氏が高く評価しつつも、オペラにおいては「蝶々夫人以外は…」というロス・アンヘレス。氏は生の舞台に接しての感想であり、このように音だけのCDで聞くと、どの役にも適合するような声のキャラクターと、カリッと上品な砂糖菓子のような軽い声質は唯一無二の個性だろう。強烈な個性を打ち出そうとうは決してせず、自分の「素材」の良さをしっかり知っていた人だったのだろう。同じスペイン出身の重量級のカバリエの陰に隠れてしまいがちな人だが、この肩肘張らない楽しい歌声は、「無い個性」をむりやり絞り出している最近の演奏家に慣れた耳に、だまし絵的にストレートに響いてきます。「どうしてあの時気付かなかったんだろう」私もまさにその通りだと思いますね。「蝶々夫人」も、ディ・ステーファノとのものでなく、ビョルリンクとのものが多く選ばれているのも「分かってらっしゃる〜」。オペラ初心者にもお勧めです。まず彼女の歌声に嫌悪感を抱くことはないだろうし、かなり豊富なレパートリーが入っているので。音もとても良いです。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/22

    祝・復活United Archives。そしてこの盤はUnited Archivesの看板商品だったですよね。倒産するときに、在庫一掃で安価の卸値で流通しましたが(その時に私も買ったのですが)、素晴らしい演奏・復刻と思ったものです。とにかくカルテット全体が揺れるように歌う、暖かい演奏です。ちょっと隙がなさすぎて「ふー」と一息つきたくなるところはありますが。新盤も安価で出回っているので聴き比べるのも面白いです。新盤は技術が明らかに衰えていますが、その中で楽聖の精神に迫ろうとする張り詰めた緊張感と言うものは、なかなか他では得難い音楽的感興をもたらしてくれます。こちらも別の意味でなかなか聴き疲れする演奏ではあるのですが。しかし、新盤の価値は、この旧盤を聴くとさら理解できると思います。考えてみれば、ビジネスライクになってしまった現在、新旧の聴き比べ(しかも持ち味が違う)ができる団体と言うのも珍しいですよね。それだけ、彼らは「カルテットに生きた」というわけだし、だからこそカルテット全体で「老い」も含めた「人生」をも自信を持って表現できるのでしょう。このカルテットの手抜きなしの「熱さ」には、多少の踏み外しを感じても、納得させられてしまうものがあります。ベートーベン弦カルの決定盤とは言いません。けれど、とにかく納得はさせられる力強い演奏です。 音をいえば、西のオーパス蔵と言われたこともありますが、もっと板おこしのぬくもりがこちらにはあり(ただしプチノイズはほとんどない)、それが弦楽四重奏にはことさらフィットしておりとてもいい雰囲気を醸し出しています。 United Archives、頑張ってください。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/12

    私これ持ってます!マイナーオペラ好きにはたまらないボックスです。これ全てばら売りされていて、原語のリブレットもついているんですよ。それがそのままこの巨大箱に納められています。こんなに安価で買える皆様がうらやましい…。『エルナーニ』で、デッシー(notデセイ)さんのエルヴィラが聞けるのもうれしいですなぁ。プッチーニと決裂の原因となったレンカヴァッロの『ボエーム』も面白い。こっちも全然悪くないんだよなぁ。かく言う私も全部聞きれてないですが…。残念な点を。メノッティ『ゴヤ』がマスターに起因するのか「プ」というノイズがよく混入します。プレスミスではないと思うのですが、マケプレで買ったので問い合すことも出来ず。nova eraの連絡先も分からないので、確認できませんでした。ちなみに『ゴヤ』はそう古くない作品ですが、カスタネットや打楽器が使われたりして面白いです。それともうひとつの問題点は、この箱は構造上、フタと本体をつなぐ部分(写真の小さいほうの「OPERA」の「O」の左横)が裂けやすいようです。開封されたら、いくら邪魔(←!)だからって、上にものは置かない方がいいと覆います。とじたフタをストップさせるものはないので、上に物を置くと、重力で蓋が沈んで行き気付かぬ間に「ビリ」です。お気を付けを〜。しかし、しかしこんなに貴重な音源目白押しなのに安い安い。お金があれば5セットくらい買っておきたいよ。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/10

    こんなに胸に染みいるソロはありません。ミシェル・ペトルチアーニは基本的にはスタインウェイのピアノを用いて、ブルー・ノートのソロなどは、それでガツンガツンと弾いていて、それも迫力があっていいのですが、このアルバムではベーゼンドルファーのピアノを用いていて、それがまるで京菓子のような甘味な音色と音楽を醸し出しています。3曲目を除いて、気の赴くままに、そして昔を回顧するように弾いています。おそらく完全即興だと思います。1曲目に録音機のメーターを振り切ったのか、歪みが生じますが、おそらくこの演奏は一世一代だと思い、販売に踏み切ったのでしょう。録音レベルを誤るエンジニアには少し憤慨ものですが、それでオーケーを出したプロデューサーはとても偉い。「あー、ミシェル…ちょっと録音が…」と言ったら、なにかがこの日のミシェルから消えてしまうと感じたのでしょう。これほどまでに、ミシェルが感傷に浸ることはなかったし、心の内を明かすことはなかった。ジャケットの通り、このアルバムは、ミシェルからのファンへの手紙である。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/08

    たまたま中古屋で見つけた『Voice of the Blood』を持っております。適当に聞いていたのですが、その癒される響きに、しっかりと作曲者、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンについて調べてみようと思った矢先に、このCDの告知に巡り合いました。このCDでいろいろなヒルデガルト・フォン・ビンゲンの音楽を聞いてみようと思います。単旋律がほとんどですが、グレゴリオと違って、女声も入るので、もっと神秘的な感じがします。そして楽器も入ってきますので、よりカラフルです。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/01

    私は、私のレビューの下にいるつよしくんさんの宇野さんっぽい言い回しのレビューが好きでよく読んでいるが、この演奏はおそらく聞いてらっしゃらないで書かれたんでしょうね…。この「幻想」の第一楽章は驚くほどテンポの変化が多用されており、びっくりしてしまいます。その変化がベルリオーズのとりとめもない楽節に説明を施してゆきます。テンポも早めです。クレンペラーという指揮者がインテンポを基調としているというのは嘘で、生理的な快感に甘んじるテンポ変化を許さないということです。ですから、第四楽章など、気持ちが高ぶってしまうような音楽を、あえてインテンポで奏するのです。その時には、確かに、クナッパーツブッシュのような雄大さを感じますね。私はそもそも大評判とされるミュンシュの幻想が好きではありません。どうしても、ベルリオーズが狙った音楽とは違う気がするのです。私にとっての「幻想」のスタンダードはこれです。こんなにオケを統率しきって、「幻想」の細かい表情を引き出した演奏はないと思います。クレンペラーの過小評価三部作は「幻想」「フランク」「新世界」だと思いますが、「フランク」と「新世界」はまあ分かるとして、「幻想」のような「非ドイツ的」な構築性のない音楽をクレンペラーが理解した、理解しようとしたところが、まず私には信じられない。そして、その結果は、細部まで読み込み、意思を浸透させた、一部の隙もない素晴らしい演奏だった。そして、「幻想」をクレンペラーが指揮するということ自体に、宿命的にユーモアをはらんでしまっている。聞くたびに、私はなぜか楽しい気持ちになって来る。第三楽章の、ティンパニのそっけなさなど「うん、クレンペラーだよなぁ」と笑みがこぼれます。録音の良さ、弦のしなやかさも特質ものです。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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