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七海耀 さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/26

    4番は、2001年とごく最近の録音だけに、音の状態も良く、N響の響きも艶やかで、技術的にも高水準だ。中嶋彰子の歌唱も素晴らしい。ブロムシュテットのマーラーは、サンフランシスコ響との2番があって評価が高いが、これも良いと思う。バイオリンは対向配置。4番だけなら★5つだが、5番はさらに15年をさかのぼる1985年の録音で、まあ良くも悪くも当時のN響である。金管、とりわけトランペットが相当に情けなく、最初の二楽章を聴いている途中で、これでプロを名乗れるのかと心配になってきたが、ブロムシュテットは燃えており、厚みと力感を伴った弦の彫の深い表現がなかなかで、トランペットも途中からもちなおしてくる。第三楽章のスケルツォはかなり速いテンポ設定で、音楽が良く流れている。一転アダージェットは意外にも遅いテンポでじっくり歌う(13分かけている)。ロンド・フィナーレも、かなり細部にまで神経が行き届き、N響も良く応えている。ホルンが好調。木管もまずまず健闘。音楽がよく弾んでいる。大円団のコーダにいまひとつの高揚感とスケール感が欲しいところだが、贅沢を言えばキリがない。5番は★四つ。全体で★4つ。ブロムシュテットはN響と素晴らしいマーラーの9番をやっているが、あれを出してはくれまいか。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/25

    日本のオケによる『スラヴ舞曲』全曲録音は初めてだと思うが、これがブラヴォー級の名演だと思う。90年代初めのN響で響きも録音も充実している。曲が進むにつれ、指揮者もオケも乗ってくる感じで、それにつられて、聴いている方も上機嫌になる。大変楽しい演奏で、テンポも速すぎず、遅すぎず丁度良い。セル、シェイナ、ターリッヒ、ドホナーニ、クーベリック等の名録音があるが、それらに伍してひけをとらないと思う。『スラブ舞曲』というと、大抵オケのアンコールアイテムとして奏され、全曲が一日の演目に乗ることは稀だと思うが、こうして通して聴くと楽曲の魅力がよくわかる。『我が祖国』は、1978年とやや古い録音だが、音も聞きやすく、広がりもある。当時のN響というか、日本のオケに特徴的な地味さは否めないが、しかしこれだけ水準の高い『我が祖国』が当時日本のオケによって奏されていたことに驚く。ノイマンの同曲の演奏は、ゲヴァントハウス盤、チェコフィル盤等あるが、これはそれらと同等の水準だと思う。ノイマンとN響の相性の良さが良くわかる記録である。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/24

    ライトナーのベートーヴェンはかなり期待したのだけれど、やっぱりオケが限界になっているのは否めない。録音年代はそんなに古くないけれど、典型的な放送音源で、あまり音が広がらず、美感にも欠け、NHKホールで録った「あの時代」のN響の欠点が強調されているような感じ。金管は特に情けないし、弦も今一つ。概してテンポは遅め。5番は、第四楽章のリピートあり。踏みしめるような5番。7番も同傾向。第二楽章は特に良い出来。6番はかなり良いと思うが、ここでも録音が・・・。演奏自体は、総じて★4つとしたいのだが、録音がドンシャリ気味で、音が前に出ず、なんとも窮屈に聞こえる。当方のシステムにもよるのかもしれないが、そういうわけなので、★3つ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/07

    ナクソスの初期、まだ安かろう、悪かろうだった頃の録音。オケの音色もやや地味で、厚みに欠けており、指揮者もオケももう少しはじけて欲しいところだが、まあ及第点で鑑賞に耐えないということはない。この組み合わせなら、アバド、マルケヴィチあたりが定番だが、本番前のゲネプロみたいな味のこの録音も、まあまあ行ける。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/24

    素晴らしい。非常に明晰なマーラーだと思う。テンポも遅すぎず、早すぎず。中間の二つの楽章の出来が特に良いと思う。音がはずんでいる。一転、最終楽章は、重層的な音の波が圧倒的な迫力で押し寄せる。録音は、ワンポイント的で、客席で聴いているような臨場感。マーラーの交響曲で、弦を対向配置にすべきなのは9番だが、サラステはそうしている。推薦!

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/23

    文句なく星5つである。さすがに、N響はマタチッチや他のドイツ系指揮者のもとでワーグナーを演奏していただけあって、慣れており、初顔合わせとはいえ、シュタインの棒に応えて、堂に入ったワーグナーを聴かせている。「神々の黄昏」はやや手探りの感なきにしもあらずだが、ローエングリンあたりはもう陶酔の音楽である。シュタインとN響は、このようなワーグナーアイテム集を他にも二種類出していて、デジタル初期にはスタジオ録音もあり、現在も入手可能のはずだ。完成度ではそちらのほうということになるのだろうが、これは、東京文化会館における1973年のN響とは思えないくらいに、弦の響きに透明感があり、音自体にも適度な残響があって、奥行きがある。金管は完璧ではないが、音楽の出来が良いから気にならない。しかし、それから30年ほど経過した1990年録音のロシア音楽集は、N響も録音技術も飛躍的に進歩しており、観客ノイズがなければスタジオ録音かと思えるくらいに完成度が高い。シュタインによるロシア物の商業録音は知らないが(シベリウスの2番はあるが)、演奏年代を考えれば、彼の重要なレパートリーの一部だったのだろう。『仮面舞踏会』の組曲からもうすでに、雰囲気万点の表現で、繊細さの表出も十全だ。何より『シェラーザード』が凄い。かなりスケールの大きい演奏で、これまで出た日本の団体による同曲のベストワンであるのみならず、数あるこの曲の録音の中でも出色のものであり、コンドラシン盤やライナー盤などの名盤と較べても劣るものではない。シュタインとN響の音源は他にもあるはずだが、わざわざこれを持ってきた理由は聴いてみれば明らかである。最後の第4曲はもう少しテンポが速いほうが切迫感が出てよいかもしれないが、しかしそのぶん雄大であり、難破のシーンも妙にやかましい演奏が多い中、品格を感じる。金管もより奥行きのある音を出しており、弦も艶やかで、1960年〜1980年あたりまでのN響であればこうはいかなかったであろう。客演指揮者や名誉指揮者の音源を出すにあたり、この度のシリーズでは、初顔合わせ時から、ある程度時間をおいたものが選ばれており、その間のN響の進歩も確認出来る構成となっており、第二段、第三段が予定されているようだが、今後サヴァリッシュ、ライトナー、デュトワ、ワルベルグ、ブロムシュテッドらも出るはずで、大いに楽しみとなってきた。ライトナーなら『家庭交響曲』、ワルベルグならチャイコフスキーの『悲愴』、ブロムシュテッドならブルックナーの3番、マーラーの9番などの名演が思い出されるが、どうだろうか。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/23

    一通り聴いた。ヴァントの両曲の録音は既に複数あって、『グレート』ならBPOやMPOのものの評価が高いが、このN響との録音は、それらと同等とは言わないが、肉薄しており、評価は出来ると思う。録音状態も良い。ブルックナー8番は、私見では、リューベック大聖堂での録音がベストで、ケルン放送響との最初の録音も捨てがたいと思う。N響は、1983年時点での彼らのベストを発揮しているが、NHKホールの放送音源だし、金管が生すぎというか、強奏でうるさく聞こえるのはやはりマイナスだと思う。N響自身のこの曲の録音は、他に朝比奈とマタチッチによる2種があると思うが、やはりオケの状態と録音年月の新しさで、朝比奈盤が一般的には推せると思う。いずれも、晩年神格的な地位を獲得する直前の、ヴァントとN響の貴重な記録である。ブルックナーのフィナーレは鮮烈な表現で、かなり良いと思った。アダージョも良いのだが、響きにいま一歩透明感が足りないと感じる。N響がヴァントを招聘「しそこねた」経緯のようなものがブックレットに書いてあるが、スイトナーやシュタインに並んで、ヴァントがN響の常連になっていたら、色々と面白い演奏が残されたのだろうが、歴史はそうはならなかった。と言うわけで、とりあえず、この2曲は、彼らの共同作業を代表する音源で、これを出すのは妥当だと思うし、大変興味深く聴いた。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/23

    サンサーンスやハイドシェクとのモーツアルトを収めたDisc1が秀逸で、星5つ。フランス名曲集とも言うべきDisc2は星4つ。4.5というのはないので、4にする。いずれも録音は1978年で会場はNHKホール。まず、モーツアルトのK.491だが、出だしの弦の音に驚く。まるでN響じゃないみたいだ。羽毛のように柔らかいが、芯がのある音。音楽が激しくなっても、あくまで上品で、よく歌っている。デルヴォ−はその実績に比して録音が少ない人だが、残されたどの録音を聞いてもわかるのは、オケからなんとも優雅な音を引き出し、歌わせることに長けていることである。フルネについてはよく言われるが、「デルヴォ−マジック」と呼んでもよいのではないか。ハイドシェクは、当時からこんな自由なモーツアルトを弾いていたわけだ。遅めのテンポを維持した「歌のモーツアルト」。ラルゲットなど本当に美しい。サンサーンスの「オルガン付き」だが、これもまた渾身の表現で、オケも良く応えている。弦の音が、金管はまあいつもの感じなのだが、弦が本当に美しく響く。音楽も安定しており、やや遅めのテンポで、じっくり音楽を構築している。あの舞台に向かって、右上方にあるNHKホールのオルガンの音が鮮明に録られている。アンコールのヘンデルも面白い。さて、Disc2だが、こちらは競合の演奏が多いので、普通に考えればマルティノンとかアンセルメとか他にも良い演奏は多い。しかし、最後に収められた「ボレロ」など、悪戯に騒々しくなく、じっくりしたテンポで音楽を構築し、しっかりまとめている。いずれにせよ、N響がデルヴォ−をもっと呼ぶ機会がなかったは残念だ。デルヴォ−の正規録音には、メンデルスゾーンの「イタリア」とか「幻想交曲」などがあるけれど、モーツアルトやハイドンの交響曲を彼で聴くとさぞや面白かったに違いない

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/22

    早速聞いた。2番が星5つ。4番は星3つで、総合で4つ。まず、このCDの裏面の録音データだが、Disc2とDisc1の順番で記載されているので紛らわしい。当然逆であるべきだ。言いたいことは、4番の録音が71年(東京文化会館)で、2番が80年(NHKホール)で、十年の開きがある。つまり、この4番と2番を聞くと、N響が高度経済成長後期からバブル期にかけてどう変わったかが分かるのである。スイトナーとN響の音源は、わざわざこの4番にしなくても、他にも優れたものがあるはずだが、あえてこれを出したのは、ブルックナーで揃えると言うことのほかに、「初登場」という記録面を重視したからだろう。演奏だが、71年の4番は、早めのテンポだが、やはりN響が窮屈に響くし、金管も不安定だ。トロンボーンが特に弱い。弦も色気がない。しかし、演奏としては悪くなく、スケルツォの粗野な迫力は聞きごたえがあるし、アンダンテも流れは良い。ただ、4番には数多名演があるし、スイトナー自身もスタジオで再録しているから、これでなくてはという積極的な意義は見出しにくい。ところが、である。2番を聞くと、N響が長足の進歩を遂げていることがわかる。音の重心が低くなって、アンサンブルの厚みがましているし、所謂ブルックナー的なイディオムが板についている。音職も豊かになっていると思う。スイトナーの商業録音は1番、4番、5番、7番、8番とあるが、この2番は、スイトナーのブルックナー交響曲全集を作るとしたら、それに加えても良い秀演だと思う。N響との3番も、演奏は今一歩の感が無きにしも非ずだが、一応出ている。つまり、どこかで良い状態の6番と9番を探してくればスイトナーのブルックナー交響曲全曲が揃うことになる。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/22

    3000円を超す値段に戻った今、星5つにするのは躊躇する。しかし、音楽そのものは立派だし、音も良い。ポニーキャニオンから出ていたマーラーの2番が廃盤状態の今、朝比奈の『復活』を聞きたければ、これか、キングから出ている昔のやつしかない。映像は、ありとあらゆるテクニックを駆使して見ましたというわけで、「原光」のところで「紅の」と歌詞に出てくるところで、画面が赤く染まったり、朝比奈の円形スポットが出てきたり、セキュリティ画像のような画面四分割が出てきたり、舞台裏の別働隊もしっかり四角の枠に写し出されたり、今となっては陳腐とも言える映像テクをあらんかぎり駆使して見ましたというような感じだが、まあそこのところを少々我慢すれば、朝比奈とオケの写り具合もそここだし、音は非常に良いし、映像はやや荒いが、それほど酷くないし、朝比奈が『復活』の全体構造を俯瞰して、しっかり振っていることがわかる良い記録である。本当に休符は全部振っていて、打点が曖昧で、縦の線がずれるところも散見されるが、聞き終わった後、曲の全体像が焦点を結ぶと言う意味で、貫禄のマーラーと言ったところか。大フィルもよく弾き、吹き、叩いている。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/21

    このシリーズは、旧東ドイツのドイツシャルプラッテンと日本の徳間コミュニケーションズの共同作業の裏話がライナーノーツに書いてあって面白い。例えば、チャイコフスキーのバレー音楽をレーグナーで録音する企画を持ちかけたのは日本側で、その後はラヴェルとドビュッシーの管弦楽の全曲録音が予定されていたが、東ドイツの崩壊でダメになったのだそうである。しかし、その後レーグナー自身が読響でやろうと提案したのだが、オケがベートーヴェンの交響曲全集を優先し、ベト全の後はオケ側の事情でお流れになったのだと書いてある。レーグナーとラヴェル、ドビュッシーというのは良さそうな組み合わせで、それは惜しいことをした。それはともかく、この「くるみ割り人形」だが、抜粋である。合唱は入らない。この形での競合盤となるとオーマンディということになるが、録音レベルがやや低いせいか、東ドイツということもあるのか、やや地味で、オーマンディ盤が持っているようなきらびやかな華やかさというようなものは希薄である。では、シンフォニックなのかというとそうでもなく、全体に柔らかく、落ち着いた表現である。それから、このキングの1800円原音シリーズだが、既存ものと変わり映えがないものと、劇的によくなっているものとある。この場合、前者かな。いずれにせよ、この原音シリーズの「舌の根?」も乾かぬうちに、これらの音源の多くは、現今新しい1000円シリーズで再発売されつつある。この「くるみ割り人形」に関して言うと、曲の性格から言って、やっぱりもう少し元気なほうがよいかなと思う。メルヘンチックと褒めることも出来るが。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/15

    改めて聞いてみてますが、ストレートで好感のもてる演奏です。でも、やっぱり、ピアノの音がオンすぎるというか、大きすぎる気が。マズアの伴奏もストレートなもので、格別癖はないので、なんというか全体に、直球ばかりと言う感じ。つまり、陰の部分は後退して、明るさが際立つ演奏で、こういう演奏だと、13番や16番などの10番台が特にあっている一方、20番以降はやはりもう少し暗さとか悲しさが欲しいなと感じること多々あり。でも、この値段で、水準以上のモーツアルトのピアノ協奏曲全曲が入手出来るのだから、価値はあります。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/02

    確かにたまげる。両方の『未完成』が同等のレベルで素晴らしい。数ある両曲の録音でも最上位だが、特にブルックナーは凄く、計算されたデュナーミクがまさに凄絶な迫力に結び付いている。そのあたりは、金子氏の解説に詳しい。音色も美しく、やっぱりヨーロッパの年季の入ったオケの実力は凄く、指揮者次第でこれほどの演奏が出来るのかと恐れ入る。日本のオケもうまいなと思う時があるけど、こういうのを聞くと、やっぱり「錯覚」かな、と思ってしまう。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/29

    ナクソスは、ドラホスとの全集前、レーベルの初期に、リチャード・エドリンガーとミヒャエル・ハラースでベートーヴェン交響曲全集を作っている。全体的に後者のほうが良く、中でもエドリンガー担当のものが優れている。オーケストラはザグレグフィルで金管などやや非力だが、かなり頑張っており、テンポも速めで小気味よく、ハラースの3番と6番がやや貧弱なだけに、全てエドリンガーでまとめて欲しかった。従って、当番もお勧めは5番である。第4楽章のリピートが励行されているのも好ましい。ただ、その後ナクソスは、エドリンガー、リーパー、ガンゼンハウザーなど初期に活躍しいた人材を使わなくなってしまった。エドリンガーは、サントリーホールで「こうもり」をやるなど、日本にもお目見えしており、しかるべき在京オケあたりがそれなりの地位で遇すれば、結構活躍出来たと思うのだが、残念ながら昨年、47歳の若さで世を去ってしまっている。痛恨と言うほかない。シューベールトも、ブラームスも、モーツアルトもエドリンガーで聴きたかったのだが・・・

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/27

    この演奏、『未完成』はともかく、『運命』は大変な名演奏だと思う。批評家筋からは無視されていても、カタログから消えたことは案外少なく、常になんらかの形で入手可能だったのではないか。この度、EU発の新シリーズで再発売となったということは、ある程度の固定ファンがいるということだろう。名古屋での録音だが、わりとオン気味のバランスで、直接音がクリアで、適度な潤いもあって、重量感がある。なにより、あの当時独特のマゼールの細部を透かし彫りにしたような内声部の表出は他の演奏にはみられないものだし、低弦が綺麗に分離して聞こえ、金管もきっちり鳴ってくれるのは、録音のせいだけではなく、マゼールだからだ。オケが手を抜いておらず、本気を出した時のマゼールは凄いぞと思わせる何かが、この録音からは伝わってくる。カルロス・クライバーの有名な演奏のような「勢い」ではなく、「どっしり」とした安定感の中に、マゼール独特の疾走感もあるという見事なものだ。マゼールがBPOの音楽監督の地位に拘っていたのは、音楽ファンの間では周知の事だが、それはポストカラヤンのBPOを手中に収めれば、彼の考えていた音楽が作れると思っていたからではないか。例えば、ベートーヴェンの交響曲の再録音とかである。マーラーの交響曲も、7番や6番あたりを、マゼールとあの当時のBPOで聴いてみたかったという思いは確かに残る。ただ、この「運命」に関して言えば、第4楽章のリピートがあればなお良かった。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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