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いわごろう さんのレビュー一覧 

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     2013/04/24

    朝比奈・大阪フィルの一連のヨーロッパツアーの録音を聞いて思うことは、音楽は奏でられるものであるということだ。たしかに演奏レベルは高いとは言えない。指揮者の指示が不明確なため、いわゆるタテのラインが合わないことも多い。しかし慈しむような丁寧な演奏は心を打つものがあり、朝比奈の独善的な解釈に興ざめするような場面ですら、大きな感動が全てを包み込む。そんなときは、いちいち細かい所が気になる己の心の狭さを思い知らされる。
    ここでのシベリウスは全体的にざらついており、あまりに渋く、演奏効果もあがらない。しかし一音たりともおなざりにしない意気込みが刻印されているため、到底聞き流すことなどできない。よってスッキリと上手にパワフルに仕上げた理想的な演奏よりも繰り返し聞いてみたい気にさせる。
     中でも前半の2つの楽章はあまりにも渋い。苦難から勝利への音楽構成としてはアリだが、あまりに苦しすぎるのではないか。第2楽章の革新の部分はビシッと決まっており、その後の弦楽によるうねりもインパクトがあり丁寧でかつ美しい。
     第3楽章における場面転換での間合いも印象的だ。ここは音楽の流れが断絶するため、このような大胆な句読点は、何かに追い立てられるような緊迫した主部とほっとするような懐かしのトリオとのコントラストを際立たせるのに効果的だ。
     輝かしい終楽章はコーダが聴きものだ。速めのテンポからの金管の大胆なマクリ、そこからの雄大な再現部は待ってましたの溜飲下げ。沈思黙考のよどみからのコーダへの突入は、テンポがいい。ティンパニーの打ち込みもほどよく軽快でいやがおうにも次への期待が高まる。コーダは朗々とした金管群に近衛流のダダダーンのティンパニーが推進力を付けるユニークなもの。押し寄せる圧倒的な感動が我々を高みへ導く。終演後の観客の反応も、日本における朝比奈の演奏にありがちなブラボーの安売り合戦でないところがいい。( ̄ー ̄)

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     2011/08/26

    チャイコフスキー交響曲第5番について・・・

    第1楽章。出だしこそ大人しいが、異常なテンションと高さと劇的な展開に舌を巻く。まさに芸術は爆発だ。\(゜□゜)/ 弦の甘美なポルタメントなどはフィラデルフィアを彷彿とさせるが、いかんせんオケがいまいち。ストコフスキーの過剰な演出についていくのが精一杯で強引な荒々しさばかりが耳につく。残念ながら洗練の極みとまではいかないようだ。それにしても開始早々いきなりカットですか。せっかちですな。┐( ̄ヘ ̄)┌ そしてラストのタメはなんなんですか〜( ̄□ ̄;) かっかっこいい・・・惚れてまうやろ〜 

    第2楽章。スラブの深淵をのぞかせる男泣きのアンダンテ。ホルンの奏でる主旋律が沁みるぜ。副次旋律も哀愁が漂う。ここは無用な小細工はいらないぜ。ところがクライマックスで耳を疑う事件が起った・・・((((((ノ゚听)ノ

     第3楽章。スケルツオの代わりのワルツ。夢見心地でロマンチック、乙女チックだ。これはチャイコフスキーならではだろう。演奏はここでも仕掛け満載で容赦ない。そしてまたもや大胆なカットが・・・

     第4楽章。ソナタ形式の圧倒的な終曲。熱い展開に涙がとまらないぜ。演奏はやはり継ぎはぎだらけの強引なカットが気になる。ストコフスキーの場合、カットして粉みじんになってしまった曲はレパートリーにすらならないんだろうな。

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     2011/07/06

    清清しいプロムナードを経てまずは「小人」の絵だ。地底の不気味な様子をジュリーニはじっくりとグロテスクに描いてゆく。声高にならず落ち着いた雰囲気の演奏だ。静かなプロムナードの後は「古城」の絵だ。サックスの使用がラヴェルらしく鄙びた味をかもし出す。
    チャーミングな「テュイルリーの庭」はもう少し元気の良さがあってもいいが、ジュリーニはあくまで渋い。逆に「牛車」は遅いテンポで重々しくやるものだが、さらっと流している。落ち着いた品のある演奏は「市場」でのおしゃべりでも同様でオーケストラの腕の見せ所とばかりに煽ったりはしない。細部まで行き届いた演奏で「カタコンブ」へなだれ込む様はジュリーニならではだ。( ̄ー ̄)
    圧巻はラストの2曲だろう。今までのフラストレーションを炸裂させるかのようにシカゴ響が爆発する。「バーバ・ヤーガの小屋」でのずっしりとした重さはどうだろう。「キエフの大門」は壮麗な佇まいから3段階を経て盛り上がる曲だが、ピアノでは限界があるこの曲も、ラヴェルのオーケストレーションにかかれば豪華絢爛な大門に様変わりする。ジュリーニは息切れすることなく、次第に迫り来る大門をあますことなく表現している。力まかせでないためフォルテッシモにも余裕がある。

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     2011/06/14

    ・・ベートーヴェン・・
    泰然自若とした折り目正しい演奏。しなやかで重厚な響きは聴き応えがある。第2楽章で魅せるジューシーな味わいはどうだろう。これぞ一流の芸術品の証だ。指揮者の個性よりもオケの上手さが際立っているのも注目すべき点だろう。言い方をかえるなら指揮者が何もせずともオケにその色合いが染み付いているということだろう。
     しかし総じてまじめすぎるためワクワクするような新たな出会いはなく、面白みに欠けるきらいはある。フルベン印の折り紙つきは保守派の印籠。奇を衒わない正統派の深みを味わうのが醍醐味ということか。終楽章は一部弦パートに1オクターブ高いアレンジが施されており少々違和感がある。

    ・・ブラームス・・
    第1楽章。そろりと忍び寄るような出だしからただならぬ気配がする。そしてこの情念の渦。これは何だろう。全編にみなぎるオーバーリアクションは聴いていて赤面するほどだ。こうなると神経質なピアニッシモも楽器の追加による無理やりな盛り上げも鼻持ちならなく聴こえてくるから不思議だ。

    第2楽章。慎重かつ神妙な出だしから謙虚さが出ていて良い。場面転換も遅いテンポを生かしたもので、二転三転と移り変わる景色にため息が出る。フォルテでは第1楽章さながらの自我も出てくるがやり過ぎの一歩手前で手綱を抑えている。暴れ馬のベルリンフィルを制御しながら紡ぎ出す音の世界はまさに芸術だ。

    第3楽章。スケルツオ的アレグロ。ここはパワー全開でやりすぎてもらっても差し支えないが、フルベンは渋く決めている。地下にうごめく溶岩マグマは内に秘めたエネルギー。爆発寸前にまで高められ、いやがおうにも次の楽章への期待が高まる。

    第4楽章。主部の絶叫を聞け。まくしたてるテンポにくらいつくオケはなにかにとりつかれたように一心不乱だ。同じオーバーリアクションでも第1楽章のように集中力を削がれないのは、根底に流れるさみしさ、寂寥感がものを言っているからだ。夕暮れのブラームスにはやはり渋さが必要だ。我を忘れた怒涛のラストも全てを包み込む夕闇があるからこそ映える。

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     2011/04/25

    ワルツ『芸術家の生活』
    ・・・お気楽で余裕しゃくしゃくな演奏。まるで目をつむっていても演奏できるぜと言わんばかりだ。ぬるま湯につかっているような演奏は気迫がなく、ほどよくいい加減だ。

    『こうもり』序曲
    ・・・第2部の開始にいきなり持ってくるあたり、ナイスな選曲だ。演奏は気の抜けたシャンパンのように可もなく、不可もない。キレがあるわけでもなく、刺激的でもなく、奇をてらうこともないスタンダードな演奏だ。夫人の嘆きも控え目で、その後のらんちき騒ぎもどこか品がある。ワルツのリズムも常識的なウィーンなまりでやり過ぎることはない。怒涛のラストも必要以上に熱くならない。

    『常動曲』
    ・・・終わりのない曲で、演奏は途中で投げ出されるように終わる。今回もいつものように2回目の最初(3分弱)で止められる。指揮者が止めても、オーケストラがマシーンのようにひたすら続ける、そんな演出で聴いてみたいものだ。

    ワルツ『ウィーン気質』
    ・・・繊細な主題がノスタルジーを誘う。演奏はこじんまりしているが、良い意味でのノリがあり一級品だ。この曲はくそまじめにやってこそ良さが出てくる。

    『チク・タク・ポルカ』
    ・・・スポーティなスピード感と弱音部での張り詰めた緊張感はオザワならではだ。ラストは楽員たちによるティク・タク・ティク・タク・・・の合唱のおまけがついている。

    ワルツ『美しく青きドナウ』
    ・・・お決まりのアンコール2曲目。この曲が始まる前に指揮者による新年の挨拶があるが、この年の挨拶はやたらと長い。(-。−;) 団員一人ずつが計13カ国の言葉で「新年おめでとう」をやってのけるとは・・・いやはや。
    曲は魅力ある旋律が矢継ぎばやに出てくるウィナーワルツの傑作。オザワはウィーンフィルからマッシブでいぶし銀の響きを引き出している。その恰幅の良い堂々たる演奏は、正にこの曲がオケの血となり肉となっていることを表している。

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     2011/04/02

    それにしてもひどい音質だ。オケの音割れがひどく、歌唱のゆがみも部分的には聞くに堪えない。しかしながらdies iraeにおける激烈なテンポや直線的な容赦ないラッパ、大地を裂くような大太鼓の衝撃など、ライナーならではの演奏は実にエキサイティングだ。続くtuba mirumの圧倒的な金管はどうだろう。実際にこんな音で鳴っていたとすれば恐ろしい。( ̄□ ̄;) rex tremendaeではオペラチックな独唱陣の歌声がすばらしく、バックの切り込みも痛烈で思い切りがいい。オケはシカゴリリックオペラと記載されているが、鉄壁のアンサンブルや指揮に対する反応の良さ、強靭なブラス群といい、全盛期のシカゴ交響楽団であることは間違いない。
    一般的には繰り返しの鑑賞に堪えるものではないが、そんな音質のハンデを乗り越えて迫る気迫に鳥肌が立つ場面は数知れない。そして何よりもこの曲をライナー・シカゴ響のキレのあるライブ演奏で聴けるのはうれしい限りだ。
    想像力である程度補正できる人なら愛聴盤になるかもしれない。次に聴くときは音質が良くなっていることを祈りつつまた手に取り、そして裏切られるのもマニアならではの自虐的な喜びか。

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     2011/02/11

    第1楽章 颯爽としたテンポでオケの見通しも良く、管楽器を抑えたマイルドな音色が高級感を漂わせている。( ̄ー ̄) 一方、幾分重心の高い演奏はこの曲に求めたい重厚さとは対極にあるため、全体的に軽薄な印象を与えるかもしれない。精神的な凄みを感じたい人には不向きな演奏であろう。金管の鳴りのよさは出色で、オーディオ的には大満足だ。o(^-^)o

    第2楽章 葬送行進曲はとても静かにしめやかに始まる。精神的な深みはそれ程ではないが、音楽的には完璧な演奏で聴かせる力を持っている。泣きの入った弦、節度のある管、もたれないテンポ、そして絶妙なバランスと文句の付けようがない。特に、ここぞという時の金管の音圧は凄まじく、並みの録音では感じられない圧倒的な感動を生み出す。エンジニアはカルバーハウスだろうか。

    第3楽章 スケルツオ。これ以上はないギリギリ限界のテンポでまくしたてる。小気味良いため全く破綻はないが、随分せわしない演奏だ。トリオは控えめで意外に大人しい。

    第4楽章 フィナーレはアタッカで入る。立派なものだが、少々まじめすぎるようだ。ここは思い切り大見得を切って欲しいところだ。全体の印象は第1楽章同様で、マイルドで高級感が漂う。しばらくはこれといって何も起らないが、オーボエのまったりとしたソロの辺りからやってくれる。特にその後の朗々たる金管の鳴りっぷりは凄まじく、まさに威風堂々。思わずオーディオのボリュームを下げること請け合いだ。

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     2010/12/21

    第1楽章。出だしの霧は過剰な精神性を求めずあっさりしている。続くアタックはテンションが高い。竹を割ったような演奏で明快でドライだ。対照的に第2主題はかなり粘りがあり男泣きだ。緩急を付けた手馴れた表現で一気呵成に進みつつ、再現部での嵐、コーダ直前での減速など聴き所満載の演奏が続く。

    第2楽章。ティンパニーが活躍するスケルツオ。こもったような音質が惜しまれる。演奏は提示部こそ全体的に落ちついており好印象だが、展開部での第2主題の金管のド派手な増強、中間部のロマンチックで幻想的な表現など、かなりユニークでおもしろい。

    第3楽章。透明感のあるアダージョ。奇をてらわないまじめな演奏だ。テンポを遅めにとり、じっくりと曲に対峙している。それにしても、この共感あふれる弦楽の表現はどうだろう。(T_T)

    第4楽章。出だしはカオスだ。演奏は音圧が凄まじく気迫が伝わってくる。有名な第1主題が低弦で示され、各楽器に受け渡され威勢良く盛り上がる様はキビキビとしたテンポで心地よい。
    主部はバリトンの独唱でカオスを突き抜けるようにかっこよく始まる。( ̄ー ̄) 演奏は確信に満ちたティンパニーがビシッと決まっている。男らしく勇壮なテノールの行進曲の後のフガートは演奏の乱れなどどうでもいいほどに荒々しい。その後の歓喜の合唱はマッシブだが、意外ににあっさりしていて芝居じみていないのが好ましい。続く抱擁の主題は音楽が停滞するほどにスローだ。( ̄□ ̄;) この緩急のつけかたはなんだ・・・
    その後も船酔いしそうなほどのアクセルとブレーキの繰り返しで聴き手の心をわしづかみにしてゆく。が・・・素直に感動に浸れない忙しなさが気になる。

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     2010/12/15

    第1楽章。陰気で曇り空のような重々しい序奏をバルビローリはこれでもかと念を押していく。手探りのような第1主題がしだいに高揚して主部に突入するが、ここまでガッツリやられると仰々しい。演奏は録音のせいもあり全体的にザラついているが、オケの反応が良く、指揮者の意図が明確に伝わってくる。第1主題と対をなす第2主題がこれほど生命力に満ちた演奏も珍しい。とくにシルキーな弦と表情豊かな管楽器が聴きものだ。

    第2楽章。第1楽章の雰囲気を残しつつイングリッシュホルンで導かれる主旋律がもの悲しい。演奏は副旋律を際立たせることで空間に広がりをもたらしている。指揮者の感情移入も相変わらずで、弦と木管も期待そった演奏をしている。

    第3楽章。快活なアレグロ。流れるような第1主題と朗々とした第2主題がからみあい曲が進行していく。途中、要所要所でインパクトの強い過去の主題が回想されるため、ドンヨリとした雰囲気がいまいち吹っ切れないのが残念だ。再現部からコーダにかけての力強さは聴き応え充分だ。
    演奏は最後の最後でやってくれる。( ̄□ ̄;)!!

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     2010/11/07

    原爆の父、オッペンハイマーを主人公とした問題作。歌詞やセリフは実際の関係者の手記等に基づいたもので、かなりリアルに原爆実験前夜当時の模様が描かれている。音楽的には演劇性が重視されており、セリフに無理やり歌をつけた部分が多く、少々疑問が残る。しかしながら、一方でオペラアリア的なシーンも所々にあるため、難解な部類には入らない。

    第1幕 序曲 ノイジーな出だしはいかにも現代音楽風だ。そこに爆撃機のエンジン音やノスタルジックなラジオの歌が重なって行く。その後重量級の重々しい主題が奏され、これから起こりうる悲劇を提示する。

    第1場。研究所。第1曲は人々による合唱だ。核爆弾を正当化する歌が軽快で狂気に満ちた旋律にのせて歌われる。続くオッペンハイマー(バリトン)とテラー(バス)を中心としたやり取りはかなり演劇性が強い。開発に突き進むオッペンハイマーと反対派の緊迫した情景の中でも、バリトンによる原爆投下目標を淡々と読み上げるシーンは、まるで何かにとりつかれたように悪魔的に表現されており、かなり印象的だ。

    第2場。自宅での夫婦のシーン。ソプラノ(妻)が入るため、かなりオペラらしくなる。主人公もやはり一人の人間なのだ。しかしながら、妻の狂気に満ちた反戦の歌もむなしく、事態はブレーキなど全く無いかのように突き進んでゆく。

    第3場。実験前夜。悪天候の中、着々と準備が進んでゆく。気象学者を脅してでも任務を全うしようとする将軍がアイロニカルだ。ただひたすらに慌ただしく暴力的なリズムは、雨による被爆の恐怖に怯え足並みがそろわない人々の心理を見事に表している。相変わらず歌ともいえないセリフが続く中、ラストのオッペンハイマーによるアリアが心を打つ。悪魔に心を売った苦悩が神への告白と言う形で歌われるのだが、音楽も悲劇的かつロマンチックで、客席の控えめなブラボーも納得の出来映えだ。ここでオペラを終わりにしてもいいくらいだ。

    第2幕。第1場。自宅で待つ妻のシーン。舞台には妻と家政婦(メゾソプラノ)と子供たちが登場する。このシーンは脅かされる人々の日常の象徴として第2幕全体にオーバーラップして登場する。

    第2場。実験場。雷雨という悪天候の中、鉄塔に爆弾が設置される。人類初の実験に様々な憶測が飛び交い人々の不安を煽る。ここで歌われるメゾ・ソプラノの深い祈りの歌が心を打つ。音域的にはおそらく最低音だろう。
    雨は天の恵みか、それとも死の恐怖か。人々の絶叫をよそに、ついに実施が決断される。

    第3場。カウントダウン第1部。ここでは恐怖のあまり錯乱するオッペンハイマーの幻覚が主要なテーマになっている。紙の上の計算がついに実行に移される時が来た。その破壊力など誰一人知る由も無い。

    第4場。カウントダウン第2部。ついにカウントダウンが始まる。天気は晴れ渡り、あたりに不気味な静けさがただよう。

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     2010/10/23

    第1部。出だしからいきなり荘厳なサビで始まる。まさにつかみはOKだ。演奏も充実の響きでグッジョブだ。(’-^*)/ ソプラノが出てくるあたりからだいぶまったりとした演奏になるが、ここをもうすこしキビキビとやれば80分以内に収まり、CD1枚で全曲が収録できたのに。(大きなお世話だが)
    圧倒的なラストは録音の良さも手伝い鳥肌ものだ。(T_T)

    第2部。アダージョで静かに始まる。にぎやかな第1部とは対照的だ。曲は次第に悲劇的な様相を呈してくる。ここでは歌は入らず第九番にも通じる主題を中心に純音楽的な表現に徹している。次第に曲が展開を見失ってくると場面が変わり静かに合唱が入ってくる。その後のバリトンのソロと劇的なオケの掛け合いは、第1部の第1主題(サビ)を基調としながらも「大地の歌」につながる歌曲としての一面もうかがわせる。ここでは児童合唱団も大活躍でワルシャワ少年合唱団の澄んだ歌声を堪能できる。
    曲はその後テノール・ソプラノ・アルトをはさみのらりくらりとした後、感動的なコーダへ突入する。ヴィットは急がずあわてず、無理に煽ることもなく圧倒的な音量で曲の真髄に迫る。各合唱団の美声も聴きものだ。
    荘厳で凝縮された第1部の後にこの曲を聴くと、散漫で冗長な部分が耳につく。要所要所を無理やりサビに結び付けて曲に統一感を出しているため、流れが良くなく曲に必然性が感じられないのが致命的だ。しかしそんな不満もこのコーダを聴けば一気に吹き飛ぶ。終わりよければ全てよし!? (^_^;)

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     2010/10/23

    ピアノ協奏曲第7番 ライン川への挨拶 op.151  

    思わずにんまりしてしまう楽しく気楽な曲だ。出だしはさわやかでスケールが大きく、それでいておおらかだ。複雑な中間部も凝っており聴きものだ。
    世界初録音がグロッド率いるニュージーランド交響楽団の質の高い演奏で聴けるのがなによりうれしい。ピアノのヒンターフーバーはこれといって主張はしないが目の覚めるようなテクニックと美音で颯爽と駆け抜ける。

    第2楽章。品のあるラルゲット。弦楽合奏が心にしみる。懐かしい第1主題はどこかで聴いたことがある。ピアノパートには後にシューマンのピアノ協奏曲に転用されたフレーズも出てくるぞ。

    第3楽章。激しい出だしはサン・サーンスばりだ。すぐにおおらかな第1主題になるが、その後の展開が劇的で推進力があるため聴き手を離さない。明と暗、静と動、強と弱、緩と急の対比が見事な名曲だが、ラストはあっさりと終わってしまうため少し物足りない。師匠ばりに粘っこく念をおしてほしいところだ。ピアノパートはテクニック全開ばかりでなく、叙情的な部分がバランスよく配置されているのがいい。ヒンターフーバーにはもう少しメリハリを付けて演奏して欲しい部分もあるが、ないものねだりだろう。



     この曲を第8番とする説もあるようだ。

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     2010/10/23

    出だしは悠然として余裕が感じられる。ウィーンフィルも力みがなく、整然として品のある演奏を繰り広げている。展開部からはフルベンの真骨頂。より深みを増した表現でただ事でない気配をかもし出す。( ̄□ ̄;) この金管の強奏はどうだろう。これぞ真実の響きか。それとも単なるやり過ぎか。ラストのたたみかけはらしくていい。

    第2楽章。葬送行進曲。決してやりすぎる事はないさっぱりとした演奏。ウィーンフィルの美音は堪能できるが、演奏のスケールが小さくあまり深みがないのが残念だ。慟哭の中間部はそれなりではあるがそれほどでもない。ここぞと言う時の金管の強奏が明るすぎてしらけるのだ。これはウィーンフィルが伝統的に使用してる楽器の問題でもある。ラストはグッとテンポを落とし精神的な深みを見せるが、表現に手垢がついていて新鮮味に欠ける。

    第3楽章。スケルツオ。主部は端正で正統派の演奏だ。中間部のホルン3重奏もまじめでいい。グッとテンポを落とすところなど心憎い演出だ。

    第4楽章。思い切りの良い出だしに期待が高まる。鼻につくテンポのゆれも主題の変化に応じてよく考えられており一部の隙もない。さすがフルベンだ。( ̄ー ̄) それにしても力みのないウィーンフィルの演奏がすばらしい。これで耳をつんざくトランペットの強奏がなければ、なおいいのだが。

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     2010/10/08

    ■ピアノ協奏曲第2番

    劇的かつどこかのどかな序奏はしっかりとしており、ショパンやグリーグを思わせる。なんと第2主題は『たんたんタヌキの金時計』 だ。( ̄□ ̄;)!! ピアノパートも所々かなりロマンチックでショパンやグリーグに影響を与えたことが伺える。チャンのソロはかなり大人しく的確だ。パール率いるブダペスト室内管弦楽団もレベルが高い。生気にあふれここぞという時の迫力にも不足しない。

    第2楽章。ラルゲット。シンプルな楽章。深みはなく箸休めといったところだ。チャンのピアノが心を打つ。

    第3楽章。切れ目なく入るピアノソロの主題が印象的だ。のどかな第2主題はシューマンのよう。中間部は動機が多すぎメリハリに欠ける。ピアノパートもだらだらして冴えない。ラストはピアノがエンジン全開。縦横無尽にかけまくる。

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     2010/09/03

    ■ブラームス 交響曲第2番。

    1978年10月26日録音。放送用音源だ。オーケストラは手兵の大阪フィル。

    ライブ録音のCD化という朝比奈ファンのためのCDである。第1楽章は思い入れが有り、男泣きに泣いている。前半のスケールはあまり大きくなく意外にさっぱりとしている。この楽章のリピートは果たして必要なのだろうか。この振り出しにもどる感が私はあまり好きでない。曲が退屈なだけになおさらだ。後半からラストにかけては朝比奈ならではの表現が随所に聴かれ心を打つ。

    第2楽章。打って変わって、出だしから超一流の演奏だ。この粘り、そして絶妙な間。相変わらずオケの下手さが目立つが、音楽がすばらしい。まるでメンゲルベルクでも聴いているようだ。後半はパンチは効いているが落ち着きがなくなる。どうしたことだろう。こうテンポを揺らしてはかえってスケールが小さくなってしまう。とても残念だ。

    第3楽章。抑制の効いたいい演奏だ。

    第4楽章。武骨で渋い演奏だ。主部でのテンポは快速、オケは必死に食らいつくがついていけない。細部も磨かれておらず、響きが薄い。展開部からラストにかけての組み立てはすばらしく、一つの理想の形と言えよう。これだけ考え抜かれた表現ができる指揮者が他にいるだろうか。終わりよければ全てよし!?

    ■メンデルスゾーン 序曲 フィンガルの洞窟。

    交響曲第3番のように曇った感じの曲調が全体を支配している。

    そっと入る出だしから感情豊かだ。録音は焦点が合わず、かなりぼんやりしている。1980年9月17日のライブの放送用録音だ。主部に入ってからの活力はここぞと言わんばかり。手兵の大阪フィルも必死の名演を繰り広げている。このスピード感、激しいティンパニーの打ち込み。( ̄□ ̄;)!! こんな演奏は前代未聞だ。主題との対比が強調され、執拗なまでにスローとアグレッシブが繰り返される。・・・んん、ちょっと聴き疲れがしないでもないな。異常な気迫に聴衆もあっけにとられ、終演後の拍手もまばらだ。(  ゚ ▽ ゚ ;) 

    それにしても、大阪フィルは上手いな。( ̄ー ̄)

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