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Phronesis さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/09/09

    まず聴いてみて気がつくのは、ヴェンツァーゴがブルックナーのスコアから非常に繊細で、しかも雑味のない澄みきった響きを抽出していること。とくに弦楽器パートは弓使いからヴィブラートのかけかたまで非常に神経が行き届いて、繊細である。そうした演奏スタイルが最高の成果を上げている例としては、第9の第三楽章をあげることができる。ここで強烈な不協和音が柔らかく溶けあって響くさまは、たしかに他に例を見ない美しさだと思われる。
    また、概してテンポは速めで、とくに第3主題でのリズミカルな書法のパッセージはかなり速い。おもしろいとは思うが、ただブルックナーの音楽は一般にリズムパターンの積み重ねによる発展を特徴としており、とくに第3主題やスケルツォだけでリズムを強調しながら、それ以外ではあまりリズム的な要素の処理に印象的なものが見つかりにくい、というのには、ちょっと疑問をもった。
    それと、響きが澄みきって繊細であるのはよくわかるのだが、あまりポリフォニーの綾を立体的かつ明晰に聴かせてはくれない。これはポリフォニックな書法を全体の響きへと溶かしこむべき素材としてしか見ていない、結果、各パートの独立性をあまり重視していないような印象を与えてしまう点にはちょっと不満がある。
    結局、ヴェンツァーゴにとってのブルックナーは、たとえばギーレンがとりあげる第4の第一稿が聴かせるような、明らかに二、三世代先を予感させるような凶暴で荒々しい生命力に満ちた性格のものではない。むしろ、版の選択は一貫して保守的であり、その範囲で響きの純化とスリム化を追求した演奏、と言えば一番しっくりくるように思われる。

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     2016/08/12

    ウルリーケ・アニマ・マテは、ムターとほぼ同年代のドイツのヴァイオリニストで、RIAS新人演奏会にも出演した経歴をもっており、かつてはドイツ出身のヴァイオリニストのなかでとりわけて将来を嘱望されていた存在だった。
    残念ながら、その後、現在に至るまでのマテの位置づけは、ヴァイオリン演奏の世界で常にスターダムの中心にあってその一挙手一投足に注目が集まる、といったものではなく、むしろ地味ながらも堅実な活動を続けている存在に落ちついてしまったようである。レーガーという作曲家は、一方で「ソナタ形式」や「フーガ」「シャコンヌ」などの伝統的かつ古典的な構成技法をよく知っていて、これらを使いこなすスキルにかけては同時代の中でも抜きんでていたが、他方でレーガーは、たとえばシャコンヌの変奏主題が7小節である、といったふうに、古典的な形式感のもつ安定感や均衡、規則性の束縛から常に自由であろうとし続けた(レーガーの代名詞というべき半音階の多用や大胆かつ自由な転調もその一例である)。そして、こうした音楽づくりはレーガーのペン先から流れ出てくる音楽に独特の大きな情感の振幅を与えている。
    だが、マテの演奏は、むしろレーガーの音楽をその形式感から把握することで、楽曲のなかの情緒の振れ幅をその全体的な構成のなかに位置づけられる限りにおいて表現しているように聴こえる。マテは節度をもって個々のフレーズを弾き、こうしたフレーズを構成することで楽曲の全体としての情緒を描き出そうとしている。こうしたアプローチは非常に知的なものだと言うことができるように思われる。
    しかし、レーガーの楽曲には、長調の楽曲ならば悪ノリに近い(やや狂気を含んだ)突き抜けた愉悦感のほとばしりから静謐で敬虔な安らぎまで、短調の楽曲では、独特の深く沈潜するようなメランコリーから激しく荒々しいクライマックスまで、非常に幅広い情感の振幅があるはずなのだが、どうもマテの演奏はこの点に関しておとなしいように思われる。
    ただし、マテのアプローチには積極的に評価すべきところがあることも否定できない。その最大の美点は、この曲集をしめくくるOp.91-7の最終楽章の「シャコンヌ」を弛むことのない集中力で弾ききったところによく表れている。他の曲でも、レーガーの不協和音を多用した分厚い重音をしっかりと鳴らしきり、ポリフォニーのあやもくっきりとしている。この意味ではマテの演奏は優れて現代的なテイストですっきりとまとめられ、よく整理されたかたちで楽曲を再現している。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/09/02

    よくここまで徹底したコルトーの録音集成をつくりあげたものだ、というのがなによりも一番うれしい。しかも、この程度の価格であれば、従来の所蔵品とのダブりも大目に見られる。LP末期にアナログのコルトーの音を求めて買いあさったのが懐かしい。。。。
    とはいえ、これでも音楽家コルトーの全体像としてはまだまだ不充分だが、これだけまとめてあれば、ある程度の復元も可能か、とも思う。コルトーは、どうしてもショパンおよびロマン派の録音のイメージが先に立つが、これこそは甚だしく歪んだものである。コルトーといえば、まずはフランスにおけるワグネリアンの先駆けともいうべき存在(この意味で、本当はもっと指揮者としての録音が残っていればいいのだが)、そして、リスレルと並ぶフランスにおけるベートーヴェン弾きの代表格、さらにはディエメあたりから続くフランス・バロックの再生に尽力した人物、といった側面が忘れられてはならない。こうした観点からすれば、たんなるピアニストではなく、ハンス・フォン・ビューローあたりに匹敵する大きさをもつ大音楽家、と称するべき存在と言ってよいだろう。
    残念ながら、20世紀前半のレコード文化は、この巨人の全体像をとらえるだけの成熟にはほど遠かった。スタジオ録音の欠落を補うものとして、戦後のレッスンで学生のために弾かれたベートーヴェンの一連のソナタの録音が収録されるのも当然だろう。まだ掘り起こすべき放送録音音源などないのだろうか?

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/05/21

    この中で、80年のブラームスのドイツレクイエムを懐かしく聴いた。当時はLPだったが、CD化されると音の広がり、スケール感が違う。その当時はバランスが良く、クリアで緻密で・・・といったあたりで止まっていた理解が、実はダイナミクスとスケールがとてつもないことがよくわかり、圧倒された。元来、ハイティンクはスコアをくっきりとバランスのとれた構成感で音に作り上げるのを特徴としていた。その見通しの良い音楽作りは、しかしながら奇を衒う向きに「平凡」「凡庸」と蔑まれてきたが、どうして、次第にスケール感と音の迫力を増してくる80年代以降の録音はもちろんのこと、60年代70年代の壮年期の録音でも基本的な音楽設計はすでに出来上がっていることがよくわかる。まずは、自らの耳で聞くべし!

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/05/21

    この中にエゴン・ペトリの最晩年のステレオ録音によるベートーベンのソナタが入っていただけで、買わないわけにはいかなくなった。・・・・何というベートーベンだろう、古典的な造形感、80歳と思えない鮮やかなテクニック、畳み掛けるような迫力、どうしてこれが長く忘れ去られていたのだろうか?? このほか、ヨーロッパ版はユリナッチ、シモノー、シルズといった声楽陣の録音が収められている。その意味で、シュティヒ=ランダルを起用してのヘンデルの「ロデリンダ」全曲録音も忘れてはならない。

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     2014/05/21

    クナッパーツブッシュのワーグナーがCD化されて聴けるだけでも大満足。あいからず残響は少ないけれど、オーケストラの柔らかく繊細な響きが蘇っていて、違和感なく聴ける。他にも、シェルヘンのバッハは聴きもの。ただ、まだWestminsterには眠っている忘れられた名録音があるはず。そういう意味では、ヨーロッパ版には負けている。

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     2014/04/16

    まだまだ甘い。バウアーにはまだ室内楽の録音もあったはずで(例えばブラームスのピアノ五重奏曲)、たったCD2枚でコンクリートとは、APR の名前が泣く。忘却の彼方に葬り去られるにはあまりにも惜しい。すばらしいピアニストなだけに、もっと頑張って欲しい。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/31

     たとえば、K.466第一楽章のピアノの入りで奏でられるささやくように漂う哀歌は、枯淡という形容では尽くされない深みをたたえています。K.595の「死」A想いがいってしまうような静寂と哀感は、強く迫ってくるものでなく、静かなる独白のようです。このあたりの音楽の呼吸は、ゼルキンの録音のなかでも晩年のこの録音にて到りえた境地なのでしょう。そしてまさにこの点で、アバドのスタイルがここに到りえず、なんとなくかみあわない印象が生まれるのもしかたがないでしょう、たしかに、ベートーヴェンの協奏曲における小澤のバックだったら最高だったろう、という思いは禁じえないのですが。

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     2013/01/27

    ギトリスって、エネスコの弟子じゃなかったっけ? あるところで、ふと何の気なしに聴いてみて強く思ったのが、空間的広がりをともなったヴィブラート、つねに前のめりのテンポ感覚、にごりのない重音、あたかも野辺の草笛が奏でるがごとき旋律線、一音一音の繊細な音色のつくりかた、どれもこれもがエネスコを彷彿とさせる、ということ。たんなる個性派で片付けられない、偉大なる表現技法の体現者、とみることも可能なのでは。

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     2013/01/17

     筆者は、特にヘーゲル研究で優れた業績を積み重ねているが、ドイツ観念論全体にも優れた見識をもっていることを示す一冊。特に、フィヒテの読みかたと位置づけかたは明快で、ここにヘルダーリンを加えた構図の見通しのよさは、類書に抜きんでている。カントとヘーゲルのあいだをいかに描くか、という大問題を考える上で一つのスタンダードとなりうるものであろう。

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     2013/01/16

     無駄なものを切り捨てたカミソリのような切れ味と、極限にまで高めた集中力をこめた凄絶なるヴァイオリンは、たとえようもなく高貴な調べを奏でる。これにくらべるとDG盤には緩みを感じてしまう。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/16

     マッシヴで重厚な響きよりも、線的なしなやかさとリズムの歯切れのよさ、各パートの明晰さとアンサンブルの緻密さに魅力がある。スウィトナーの指揮は自然な音楽の流れをつむぎだしたもので、ライヴの高揚感はないものの、活き活きとした躍動感にみちている。録音も良く、空間的に拡がりがあって、遠近感のとらえかたもすばらしい。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/16

     ん〜、マゼールって人は、「音楽の自然な流れ」っていうものから一番遠いところにいるのだ、ということを実感させられた。すべてのフレーズをいっぺん解体してから人工的に再構築した、有機体というよりはむしろサイボーグ的なブルックナーに思える。ある意味、ブルックナーの音楽を力でねじ伏せた演奏といえるのではないか。おもしろくない、ということはないが、違和感は残った。

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     2013/01/16

     私は、寝る前にこれを睡眠薬代わりにしています。柔らかく、滋味に満ちたオリジナル楽器の響き、のびやかな録音、そして、聴くたびに新たな発見をもたらすテレマンの曲づくり、静かながら心地よい精神の愉悦に誘ってくれます。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/16

     たったこれだけの量の録音で歴史にその名を刻む存在となっているフェリアー。粗めて聴きなおすと、決してシュヴァルツコプフのような音楽的教養と解釈力をうかがわせる存在ではないと思うが、もって生まれた声の美しさと音色表現の豊かさで聴き手をその世界に引きつけて離さない。「アルト・ラプソディ」や「四つの厳粛な歌」のたとえようもない深みもさることながら、イギリス民謡や小唄の類で聴かせるなつかしい遠い世界は、他の誰が聴かせてくれるだろうか。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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