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独居人 さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/12/23

    一聴してこれは凄いなと思った。
    以前の「Super Breitklang」シリーズ にも勝るとも劣らない音質だ。
    中低域の押し出し感が強く、高音もそれ程ではないがが割と鮮明だ。
    フルヴェン特有のトゥッティで歪むのはご愛嬌だ。
    ポップノイズは散見されるが、プチノイズはヘッドホン試聴でない限り気にならない。
    演奏はいつものように骨太なもので、大病を患った後とは思えない充実ぶりだ。
    よほど体調が良い日の収録なのではないか。
    N氏、Otakenさんに感謝の意を表したい。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/11/30

    当時発売されたばかりのこのLPレコードを店頭で手に取った時の事を昨日のように覚えている。
    青春時代の思い出と重なり印象深い出来事だった。
    あれから40年余りの歳月を経て再び味わえるとは感無量だ。
    曲順も収録時間の関係で入れ替わっていたのが修正され、正にライブ会場に居る様な臨場感が増加した。
    ハードロック期最後のグループで、この後はフュージョン期に移行して行くため使用ギターもストラトがメインになるのでレスポールサウンド(絶品!)の最後の貴重な記録だ。

    さてDSD リマスターという事で、前回のリマスター(’05)と聴き比べてみよう。
    旧盤はやはりベールがかかった様なモコモコした音。
    セパレーションもいまいちだ。
    新盤は張りのある音で各々のパートの分離感が良くなり聴き取りやすくなっている。
    ベックのギターのエッジがはっきりしている。
    今まで聴こえなかった小技も聞き取り可能だ。
    ベース音の分離も良い。
    ドラムもシンバルなどの金属系が抜けてくる。
    全体的にクッキリと解像度が良くなっている印象だ。

    EPサイズのジャケットだが、出来はいい。
    色合いもオリジナルのLPに近い。
    パンフレットの縮小版、オリジナルポスターなどのおまけも良い出来だ。
    読み物も充実している。
    だが、ここまでやるなら未発表テイクなども付けて欲しかった。
    まあ、ベックのOKが出るかは微妙だが…。
    さらにDSDリマスターなので、今後のSACD化、ハイレゾ配信等の展開が期待できる。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/11/30

    実のところ私はブラームスが苦手であったので今まで何となく敬遠してきた。
    しかし本作試聴後はその価値観が一変した。
    それはテンポのせいかもしれない、あるいは版の違いかもしれない。
    ただの食わず嫌いだったのかもしれないが私のブラームスに対する印象を大きく変えさせた事は間違いない。
    いわゆる後期ロマン派の仰々しさというか、大げさな表現は一切聴こえてこない。
    古典的な響きを生かした落ち着いた演奏なので大変聴きやすい。
    とは言え要所ではパンチ力も健在だ。

    音質は正に瑞々しいといって良い出来映えだ。
    透明感を保ちつつ力強さと耽美性を両立させている。
    前作ベートーベン全集と同じ様なアプローチだ。
    最近は、CDの規格を上回るメディアを鑑賞する機会が増えているが、こういう録音を聴くとまだまだCDも行けるなあと感じるものだ。
    エンジニアはベートーベン全集同様にPhilip Sineyが手がけている。
    最近ではショルティのリングのリマスターでも腕を振るった事は記憶に新しい。
    Chailly, Siney, LGO,この三者ががっちりスクラムを組めば、これからも注目を集める事は間違いない。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/10/01

    Blu-ray Audio のステレオLPCM (96kHz/24bit)を聴いてみた。
    第4番「ロマンティック(1874年)」は、第一楽章冒頭の「原始霧」と呼ばれるブルックナー開始でのホルンの豊潤な響きが素晴らしい。
    全体的に金管、木管が前に出るバランスだ。
    とは言え耳に痛くない柔らかさを保持しているために聴きやすい。
    きめ細やかなホールトーンも落ち着いた響きに貢献している。

    第7番:第1楽章の冒頭の「原始霧」は殆ど耳をそばだてても聴き取れないくらい。
    而してその後若干の性急さに気圧された感のある第一主題が効果的に立ち上がる。
    第2楽章冒頭は意外にもあっさりと始まる。
    速めのテンポで重さや陰鬱さというものとは無縁である。
    ここでの音質も適切なホールトーン効果でホルン、チューバ等が低域から柔らかく包み込むサウンドだ。
    ライブとは俄に信じ難い程の超高音質録音である。
    第7番はライブのせいか全体を通して若干速めのテンポになっているようだ。


    第8番 (1887):第1楽章は非常にゆったりとした歩みで始まる。
    だが進むにつれてアッチェレランド等も取り入れて、この辺りは臨機応変に対応している。
    この宇宙創世の様な趣のある楽章に劇的な展開で生命力を与えている。
    第2楽章で惑星の運動にも似た第一主題はここでもゆったりと開始される。
    第3楽章の壮大な叙事詩は天国的な美しさに溢れており、深い悲しみと慈愛を感じさせる。
    ナガノは巨匠の域に達したと確信するに足る演奏だ。
    第4楽章は第1主題が躍動感を伴って演奏される。
    その後は緩急をつけた展開となる。
    フィナーレは壮大なクライマックスとなる。

    総じてナガノのタクトはゆったりと落ち着いたテンポながらも深い味わいを引き出している。
    基本はインテンポで進みながら、随所でアッチェレランドをかけたり、クライマッックスではキッチリと鳴らし切っている。
    また長い残響をものともせず、各楽器の分離が凄く良いので官能的とさえ言える音の拡がりを実現している。
    そのせいか冗長さ等全く感じさせないうえに、鑑賞後の満足度が非常に高い。
    岩盤浴、森林浴、いろんな浴があるが、これは正に音響浴と呼ぶに値するサウンドだ。
    セラピーやストレス解消にうってつけだろう。
    この辺りはハイレゾ音源の真骨頂だと言える。

    版については4、8が第1稿という事で多少のしつこさは感じるが、ブルックナーの気合いの入った想いが伝わってくる。
    何よりも作曲者の頭の中で最初に鳴っていた音には興味をそそられる。

    f特は豊かな低音、柔らかみのある高音まできっちり押さえてある。
    マルチチャンネルは未聴だがその効果たるや絶大なものであると想像するに難くない・・・。
    まずい・・・システム構築したくなってきた・・・。

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/06/12

    「春の祭典」の第一部は鳥の鳴き声にも似た木管群が異世界への誘い水となる。
    そこに異教徒の集団が現れて様々な競技で春の訪れをお互いに祝い競い合う。
    やがて大地のダンスが始まり、雷鳴にも似たティンパニのロールが地鳴りをあげる。
    第二部は不気味な雰囲気で始まる。
    やがて一人の選ばれし乙女が輪の中央へと進み出て賞賛される。
    そして太古の祖先達を召喚し儀式を執り行う。
    選ばれし者は命の灯火が途切れるまで踊り続ける。
    終には大地が裂ける様な壮絶なクライマックス。

    ガッティはストラヴィンスキーの見た白日夢を眼前に再現するのに成功している。
    野性的なバーバリズムと精緻なリリシズムの共存。
    かといって耽美的にはならず、より有機的な構成となっている。
    初演100周年の記念の年にふさわしい、理想的なパフォーマンスである。

    「ペトルーシュカ」はすべてのフレーズを明確な表現のもと丁寧に描き切っている。
    ポリリズム、ポリフォニー等の構成が手に取るようにわかる。

    両曲とも各セクションの表現力が豊かでリスナーのイマジネーションを喚起させるのに成功している。
    音質はもちろん最高水準。
    あたかもスタジオの空気を丸ごと切り取ったかのような印象で非の打ち所がない。
    ただ、この音質の素晴らしさを最大限に発揮させるにはSACD等のDSD音源の方が好ましいという事は言うまでもない。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/05/30

    オペラ歌手のアルバムはあまり買わないのだがガッティの伴奏という事で買ってみた。
    が、聴いてみて驚いた。
    まるで切れ味の鋭い剣のような光沢をたたえた声。
    オーケストラ音の絨毯の上に置かれた大理石の彫刻のように、硬質でありながら深い造形美をたたえている。
    コルラトゥーラ・ソプラノの技巧ととリリック・ソプラノの深さを併せ持つ歌唱法で変幻自在の歌を聴かせてくれる。

    ガッティの演奏は派手さを押さえつつ解像度を高めたもの。
    一本調子になりがちな歌に深い安らぎと空間を与える事に成功している。
    選曲の良さ、録音の良さも相まって素晴らしい空間を演出している。
    余談だがハリウッド女優顔負けのエキゾチックな外見も人気の一因だろう。
    美貌にそそられ、声にそそられ、オケにそそられる、三そそられ状態の一枚だ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/04/16

    まさに目から鱗、否、耳から鱗が落ちた様な印象を受けた。
    高域の良さは今までのモノラル盤とは一線を画している。
    デッドな音質なのだが不思議と広がり感がある。
    何よりも声楽陣が臨場感を伴った生々しい歌声を聴かせてくれる。
    エルプによる復刻作業の過程で見つかった微弱な2チャンネル目の信号が功を奏しているのであろうか?

    巨匠は52年に病に倒れるのであるがそれ以前の録音という事で、アグレッシブな指揮ぶりが堪能できる。
    火を噴く様なタクト捌きが大胆かつ繊細な表情を醸し出す。
    オケの技術的な瑕疵を差し引いてもRAI盤よりも上であろう。

    絵画の修復にも似た復刻作業は、歴史的録音を色鮮やかな音質へと蘇らせる事に成功している。
    もちろん音質重視のためノイズの除去は最小限に止めてある。
    ところどころに盛大なポップノイズやスクラッチノイズが入るが鑑賞の妨げになるレベルではない。
    それよりも何よりも、この音質の良さを享受したいところだ。
    ここに至るには制作者である中山氏の幅広い見識と耳の良さが伴っての成果であろう。
    今後のリリースに大いに期待したいところである。
    もしくはDSDファイルの販売というのもありだろう。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/29

    一言で言うとダークな色だが、それでいて気品を失っていない。
    はにかみがちだがセンスが良い、まるでアール・ヌーヴォー調の絵から飛び出てきた美女のようである。
    これが1924年製ベーゼンドルファー・インペリアルなのか!
    今まで聴いた中でドビュッシーに一番相応しい音色だ。
    こういうのを一目惚れ…否、一耳惚れというのだ。

    シックで美しい「映像」は適度なデフォルメも実に効果的。
    「版画:パゴダ」はゆったりと静かに意外性を伴って始まる。
    すごくゆっくりだが音色・テンポが完璧にシンクロナイズしていてドビュッシーの生きた時間を彷彿とさせる。
    オマージュ作品もドビュッシーに捧げてあるだけあって特徴を良くつかんでいる。
    もちろん録音も最高なので、ぜひ全集を発売していただきたいと切に願うものである。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/07

    第一印象としては前に出てくる明るい音で、周波数レンジやダイナミックレンジはややナローだが好感の持てる音だ。
    やはりプチノイズも皆無という訳にはいかず、リマスタリングでかなり取り除いてあるらしいが時折聞こえてくる。
    これは取り過ぎると音質に影響してくるので致し方のないところである。
    残響のないデッドな音質だが高音に伸びがあるせいか、時たま金管の咆哮や各パートがもの凄くリアルに聴こえる瞬間がある。
    静かな場面の方がより効果的で、第一楽章の出だしの低弦のピチカートなどは明確に聴き取る事が可能だ。
    やはりこれはLPレコードの性質上仕方のない事ではあるが、内周に行くに従って音質は劣化する。

    音の分離感はかなり良いみたいだ。
    主旋律と対旋律など、各楽器が団子状にならず明確に聴き取れる。
    モノラルにしてはかなり聴きやすい音質といってもよいだろう。
    ライナーノートで中山実氏が解説している通り、2チャンネル分の音(ステレオではない微弱な音)が入っている効果なのだろうか?
    レーザーを用いたこの方法は将来において技術的な改良の余地がまだまだあると思われるので、板起こしの方法としてはかなりの可能性を秘めていると言って良いだろう。
    演奏内容は、いつもの巨匠らしく完全燃焼ライブで一気に聴き通してしまった。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/16

    70年〜80年代初頭のクロスオーバーへのオマージュか。
    そこはティルらしくストリングスなどをちりばめて幻想的な雰囲気も忘れていない。
    Rhodesのサウンドにどっぷりと浸かるとJazzyな雰囲気がそこはかとなく郷愁を誘う。
    70年代アクション映画のサントラにありそうな雰囲気でM7.Condor (Dave Grusin)は同名映画 (Three Days of Condor)のテーマ曲。
    今回はボーカルはなしでオールインスト、全編に渡って統一された雰囲気が流れている。
    レーベルもVerveへ戻り久々のJazzへの原点回帰となる作品と言えるだろう。
    Limited Deluxe EditionのTill’s Blues はティルの一人多重演奏、Body&Soulは独奏、Little Sunflowerはライブの熱気が伝わってくる演奏だ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/10

    第一印象はやけに古臭い音色だなというもの。
    芯のある音なのだがぶっきらぼうというか華飾を排した音だ。
    がしかし、テンポの緩やかな曲や静かな曲を弾いた時の呟く様な美しさは他の追随を許さないものがある。
    ことに音質に関しては盤ごとに若干の差異があるようだ。
    CD1~2は古色蒼然とした音質でぼやけた印象。
    CD3~4は音場の拡がり、定位とも優れており現代的な音質。

    CD1の「忘れられた映像」「スケッチ帳より」などはしっとりと聴かせて、心に染み入ってくるようだ。
    CD2「映像 第1集、第2集」「喜びの島」は特に素晴らしい。
    CD3 「夢」は左右にワイドに音場が広がり、とても独奏とを思えないほど音が豊かである。
    「バラード」「夜想曲」「練習曲集第2巻」なども素晴らしい。
    CD4 「ロマンティックなワルツ」「ベルガマスク組曲」「子供の領分」は特に良い。
    M20,M21のSteinwayは言われないと分らないくらいだ。

    しかしながら、何故か「前奏曲集」(特に第1巻)はしっくり来なかった。
    これには理由があって、ライナーに「注意」として明記してある。
    (以下ライナーより)
    『注意:ドビュッシーの24の前奏曲のこのレコーディングは、フランス国立図書館の後援で Roy Howatt によって監修されたDurand Costallat社(1985年刊)の版に基づいています。
    序文で編集者は、「その起源を遡って調べ、続いて全ての既知のソースと既存のバージョンを聴いて、重要な音を楽譜に採用します。」と指摘している。
    スコアは、証明され得うる限りにおいて最終バージョンにするための作曲家の意図したものを示唆しています。
    使用可能な単一の初期のフランスの版と比較して、今日に使用する和声、アクセント、テンポ、およびダイナミクスに、いくつかの注目すべき興味ある変更を含んでいます。』

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/15

    さて前奏曲集は、第1巻と第2巻ではかなり曲調が違う傾向にある。
    第1巻では亜麻色の髪の乙女など有名曲が多く、内容も分かりやすいポピュラーなものが多い。
    反対に第2巻ではほとんど無名な曲が多くて、内容も不協和音を伴って難解なものが多い。
    従って人によっては得手不得手が生じる結果となる。
    ビアンコーニはどうだろうか?
    両巻ともに幻想性と客観性の調和のとれた演奏を聴かせてくれている。
    時には美しく、時には憂鬱に感性の豊かな演奏を繰り広げている。
    私は第2巻は殆ど聴いたためしがないが、これは違和感なく通して聴ける。

    ライナー(日本語!)にも書いてある通り楽譜に忠実な演奏を心がけているようだ。
    強弱、メトロノーム指定など、誠実に守ろうとしているらしい。
    昔あった新即物主義に近い考え方なのかもしれない。
    しかしここではその手法よりもイマジネーションの方が先行していて成功しているようだ。
    この辺りは技術と創造性の絶妙な調和がもたらすものではないのだろうか。
    ピアノはヤマハのコンサートモデルらしいが、暖かみのある良い音色だ。
    ペダルトーンの残響成分が豊かで幻想的な雰囲気に拍車をかけている。
    この音色の良さも特筆すべきだろう。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/10/23

    ショルティの指輪は持っていなかったのでロスレスファイルに惹かれて購入。
    演奏は定評通りで当代随一のメンバーで指輪のスタンダードとして揺るぎないものだ。
    音質はまさに眼前にステージが展開するようだ。
    音の鮮度が高く密度が濃い上に、ソフィエンザールのホールトーン余すところなく捉えている。

    さてブルーレイ・オーディオの音を視聴してみた。
    皆さんが書いているようにラインの黄金の出だしの重低音には度肝を抜かされる。
    これ程の音が50年以上前のマスタテープに記録されていたとは、にわかには信じがたい位だ。
    ワルキューレの出だしの弦のアタック感が凄い。
    創造の瞬間に立ち会えるタイムカプセルだ。
    試しにラインの黄金の出しの部分をヘッドホンでCDと比較視聴してみると、ブルーレイの方がノイズが目立っている様に感じた。
    この辺りの理由は後記のライナーノーツで明らかになっている。
    ただしスピーカーでは殆ど気にならないレベルだ。

    (以下ライナーノーツから *訳者注)
    「この生誕100周年記念のデラックス・ショルティ・エディションをリリースするにあたり、私たちにとって特に重要であり続けた事はオリジナル・レコーディングチームによって意図されたサウンドに可能な限り近づく事でした。
    ノイズリダクションの現代の技術は何年も前に登場したテープ・マシーンや当時のミキシング・プロセスからの望まれないヒスとノイズを(完全に除去しないですが)減少する為に適用される事が出来ました。
    そして複雑なアルゴリズムを、耳障りな咳や衝突音、その他の望まれないグレムリンたち(*機械に影響を及ぼす小鬼)の個々の実例の影響を減らす為にソフトウェアを通して適用します。
    しかし望ましい第一のポイントは、常にオリジナルのマスターである必要があります。
    2009年に日本の会社の為の転写(*デジタルコピー)作業をしている間、デッカのテクニカルプロデューサー、フィリップ・シニーはマスタリングエンジニア、ベン・ターナーと一緒にテープの作業に多くの時間を費やしましたが、マスターテープはできる限り最高の維持をされたにもかかわらず、悲しいことに劣化が著しくあって、そしてそれらから優れたオーディオ転送をすることは不可能と判断されました。

    45年かそこらにわたってこれらのマスターから多数の転写が作られてきており、シニーの明確な見解では、これらの非常に最高のものは、ワルキューレのジュニア・エンジニアであり、 ”デッカサウンド”の精神を具現化するためによく知られていた伝説のデッカエンジニア、ジェームス・ ”ジミー”・ロックによって1997年に作られたものであったということでした。
    確かに、シニーはロックの指導の下で彼の技術を開発しながらこれらの転写に居合わせていて、彼は細部にロックのケアと注意を思い出します。「ジミーは、音の偉大なマスターでした、そして彼と一緒に仕事することが魅力的でした。多くの人がアウトボード(*外部機器)のヒス除去装置をただ動かしているところで、ジミーは慎重に、常にリアルタイムでコントロールを調整していました。
    彼はいつも音楽が最初に来ることに細心の注意を払いました 。 彼はそれを削除すると、音楽やバランスにダメージを与えた場合は、常にノイズを残すでしょうし、そして同様にとにかく逆効果になる結果の可能性がないヒスだけを取り除くでしょう。 」

    この2012リリースのためにシニーは再度これらの1997の転写のデジタルテープを取りあげ、手に入る最も近代的なマスタリングツールの利点と共にそれらに立ち戻りました。
    ロックの精神を常に意識 して(音楽とパフォーマンスは常に第一で主要でなければならないこと)シニーは徐々に迷惑なノイズを軽減し、(貧弱な編集を補正し、ラインの黄金の第2幕におけるドンナーの入場の抜けているビートを置き換えてでさえ)オリジナルのレコード転写から経験した暖かさと透明性のマッチングを目指しながら最終的な結果を習得しています。
    我々はジェームズ・ロックが red-book CD(*CDの標準仕様)の一般的な低い発行品質(*16bit)よりも高いビット深度(24bit)で彼の転送を行うための先見の明があったことは、とりわけ幸運でした。だからマスターテープのようにフルダイナミックレンジが維持されます 、そして同封されたブルーレイ・ディスクにロスレスのデジタルファイルとしてここに公開しました。
    Alexender Van Ingen (Executive Producer, Decca Classics)」

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     2012/09/05

    ラベルのピアノ協奏曲では、ボラーニのピアノは派手さはないがしっとりとした音色で絵画的なフレーズを紡ぎだしている。
    第二楽章のアダージョの美しさがよりいっそう際立つ演奏だろう。
    オケは重すぎず、しかし軽くもなくドライブし、フランスのエスプリを醸し出している。

    ストラヴィンスキーのTangoはピアノ独奏と、より多彩な表現の管弦楽版の2ヴァージョンが入っており、各々比較が楽しめる。

    クルト・ワイルの2作品はポラーニの独奏で、まるでショパンかドビュッシーのような叙情的な調べを紡ぎだす。
    サバトの千夜一夜はまるでブロードウェイのようなショービジネス界を彷彿とさせるゴージャスな演奏である。
    アラビアンナイトというよりアメリカンナイトであろう。

    録音は各楽器を鮮明に捉えつつ、柔らかみのあるサウンドを聴かせる。
    ここぞと言う時のパンチ力のあるデッカサウンドも健在である。
    音楽性、音質ともにハイクオリティな一枚となっている。

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     2012/06/05

    海は懐の深い演奏だ。陰影を生かしつつ線の太さを感じさせる音色。
    カンタービレを生かしつつ詩情豊かに歌い上げている。
    細かいパッセージの聴かせ方が絶妙で有機的な音のつながりを聴かせてくれる。
    オケのドライブ感が圧倒的だ。

    牧神は異世界への誘い。
    けだるい夏の午後、パンの神のフルートの音に誘われて木々がざわめき始める様子が手に取るように分かる。
    そしてつかの間の夢想の果てにドラマは終わり、何事もなかったかのように再び深い午睡の微睡みの中に戻るという、まさに神話的世界を体験させてくれる。

    映像でも、ダイナミクスやカンタービレを駆使して、各フレーズが生きているかのように飛び廻る。

    録音も各種レンジ、残響ともに豊かで素晴らしい。
    後期ロマン派から近代にかけての他の作曲家の演奏も聴いてみたいものだ。

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