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音の手帖 さんのレビュー一覧 

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/05/11

    バッハの曲はどうしてこうも鋭角的で、リズミックに仕上げなければならないのだろうと思わせる演奏が大勢を占めている。情感に溢れ、しっとりした演奏でなぜ悪いのだろうかと、ずっと思っていた。そのことがバッハ敬遠の原因だった。それがこのボックスのブランデンブルク協奏曲を聴いて目からうろこが落ちた気持ちだった。あったんだ。なんとそれをカラヤンがやっていた。同様の感想はすでにこのページに出ているが、私もこの演奏を支持する。こりゃBG音楽だという意見も出るかもしれない。しかし、心のすきまにしみじみと染みとおってくるこんな演奏を渇望していた私にとって、自分の中でバッハが蘇ったという感が強い。やさしい、美しい、そして静かに聴衆に語りかけるように曲を進めるカラヤンという指揮者に、心からのブラボーを贈らずにいられない。おっと、それから、ベートーベンの第5、この録音はすごい。へたなSACDが裸足で逃げ出すほどのひろがり、透明感、たっぷりの音場感にひたれる。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/16

    特筆すべきは録音の良さである。ピアノ録音で、この盤を上回るものはめったにない。なんのまじりけもないピュアなピアノの音がダイレクトに耳に届いて、快感この上もない。
    もともとSACDのセットして売り出されたもので、注文を受けてから「通常のCDのまちがいでした」とのメール。まあこの値段ならいいか、とそのまま到着を待った。
    低音の量感と間接音がたっぷりのピラミッド型だが、鮮明で、ぼけない。緊張感が少ないためリラックスして聴ける。ドイツ・グラモフォンとデッカの中間的な音である。
    拡がりも十分で、ppの美しさも群を抜いている。ハンマーが、軽々と弦を叩いているという感じだ。
    このピアニスト、学者肌の人らしいが、音楽は無味乾燥な印象はなく、柔軟で、いつまでもこの演奏の中にひたりきっていたいという気持ちにさせられる。月光ソナタなど、弾かれ尽くして手垢まみれの感があるが、その垢がきれいにぬぐわれてぴかぴかに光っている。
    さて、この盤のSACDヴァージョンとなると、どういう音になるのだろう。いずれそれもBOX発売になるのだろうが、発売の順序を逆にしてもらいたかったなあ、という気がしないでもない。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/09

    買ったまま長くCDラックで眠っていたセットだが、この度ようやく全部聴き終わった。すばらしい!」のひとことに尽きる。なんという演奏だろう。
    ベートーベンのピアノ・ソナタ全集は、アシュケナージに始まって、ポミエ、ブレンデル(デジタル録音盤)、その他いろいろ聴いてきたが、ここで初めてベートーベンのピアノ・ソナタに出会った気がする。なんと遠回りしたことか。これがベートーベンのピアノ・ソナタだったのか―という思いである。
    大上段にふりかぶった姿とは似ても似つかない、小振りなピアノである。夏の昼下がり、散歩の途中、通りかかった垣根の白バラの向こうで、この家のお姉さんらしい人が弾いているピアノの音がもれてくる。「いいなあ」という気持ちに足止めされて、立ち去りがたく聴いている―そんな演奏である。素人の拙い演奏という意味ではない。こんなに身近にベートーベンに接することができた喜びで胸がいっぱいになった。
    美しい。ひたすら美しい。中でも第6番、そして最後のハンマークラヴィアなどに、このピアニストの持ち味がよく出ている気がする。
    録音がまたいい。低音の音量を抑えた余韻の少ないON気味の音だが、それだけに、きれいに旋律が浮かび上がってくる。多くの人に一聴をお勧めしたい。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/08/19

    第4番もすばらしかったが、圧巻はやはり「大地の歌」。終楽章ではこみあげてくるものがある。最後の一音に向かって、ひたすら、淡々と歩を進めるクレンペラーの姿には崇高ささえ感じさせられる。音についてはなにも言うことはない。広がりといい、管楽器群のつや、弦楽器の繊細さ等見事である。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/08/01

    デュトワ―モントリオール盤の音に惹かれて久しくなる。眼前、さながら音の万華鏡となった「春の祭典」を久し振りに聴き終わって、興奮と感動さめやらぬまま「マーキュリー・リヴィング・プレゼンス」CD12をプレーヤーのトレイにのせた。1956年録音のイーストマン・ウィンド・アンサンブルである。驚いたことに音の差が感じられない。左右のひろがりといい、低音の力感、弦の繊細さ等、デュトワ盤とほぼ同等に対峙していて違和感がない。3D的に小型打楽器が浮き出してくるところなど、はっとさせられる。ステレオ録音が始まったと同時に録音技術は完成の域に達し、その後50年以上も停滞しているのだろうか。いや、そんなはずなはい。「マーキュリー」がこれだけやるのだから、最新録音の盤はもっとはるかにすばらしい音を内蔵しているにちがいない。いや、技術者たちは、CDに限界を感じたからこそ、CDに見切りをつけ、SACDというフォーマットを開発したのではないか―などと複雑な心境になった。それにしてもSACD、普及は遅々として進まない。機器のほうはずいぶん販売されているのに。ソフトの高値安定が足かせになっているのだろうか。いっそ、このボックスをそのまま50枚組のSACDボックスにして発売してはどうだろう。SACD普及の一助になるのではないか。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/06/28

    このセット、発売当時、予約し忘れて、思い出したときはすでに品切れ。それで、手に入れるのにずいぶんかかった。

    駄目を承知で、注文し、長い間、音沙汰がなくて、キャンセル。それからまた注文。たまたま「品切れ」の表示が消えていたからである。またしてもずいぶ待たされて、忘れたころにひょっこりメールが届き、「送りました」とあって、びっくり。しかし、待ったかいはあった。

    ギターの音は好きだが、目当てはそれではなく、CDの仕様。前代未聞である。記録面は通常通りだが、レーベル面が45回転LP(いわゆるドーナツ盤)そっくりになっている。

    取り出してみて、またびっくり。なんと溝まで切ってあるではないか。それだけではない。曲間の無音部分が幅の広い帯になっている。線を印刷したものではない。指でふれると、感触まである。ここまでやってくれたか! さすがソニーの仕事。泣かせるデザインだ。このセット専用の小型電蓄型CDプレーヤーがほしいところ。

    最初の1枚がLiving Stereo。あとはRed Sealということで1959年録音のCD1(スカルラッティ)に期待していたのだが、音のほうはなぜかさえなかった。輪郭があまく鈍い。しかし1965年録音のCD2(バッハ)をかけると、こちらはすばらしい。24ビットの威力もあってか、音抜けが良く、高域も美しくリアルである。

    こんなかわいいドーナツCDを作ってくれたデザイナーに大拍手。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/06/12

    「SNAPSHOTS」に続くMembranの現代音楽作品集。タイトルはCD5に収録されているBENT LORENTZENの作品からとられている。

    音は第1集同様、抜群である。非圧縮SACDに負けない。軽々と出て実にスピーカー離れがいい。

    CD6は武満徹追悼集として武満のほか久田典子、新実徳英、福士則夫など4人の日本人作曲家で占められていて、好感が持てる。

    ただ、私のような打楽器好きには、第1集同様打楽器の出番が少ないのが残念である。現代音楽は打楽器の活躍あってのものではないかとさえ思っている。

    とはいえ、無機質な作品の多い現代音楽の中で、このシリーズはメロディーを軽視しない曲がほとんどで、聴きづかれしない。

    たとえばCD9は、RUDOLPH SIMONSENという作曲家の管楽と弦楽による3曲の四重奏曲で、スピーカーの存在をわすれるほど楽器の音がなまなましく、曲想が実に美しい。

    最後のCD10は合唱曲だが、いま自分のいる部屋が一気に広がった気にさせられる。ステレオの魅力は、まさに広々とした開放感を味わうところにあったのではないかと再認識させられるのである

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/06/01

    フォリア (folia)というのは、曲名ではなく音楽の1形式であり、Wikipediaによれば、「 イベリア半島 起源の 舞曲で、15世紀末の ポルトガル あるいは スペイン が起源とされるが、いずれかは定まっていない。 サラバンド と同じく3拍子の緩やかな音楽。フォリアとは、「狂気」あるいは「常軌を逸した」という意味があり、もともとは騒がしい踊りのための音楽であったことが窺われるが、時代を経て優雅で憂いを帯びた曲調に変化 した」とある。

    「音の世界遺産」ができたら、一連のパニアグワ氏の仕事を真っ先に登録申請したい。ワタクシのパニアグワ遍歴はこの一枚のLPから始まった。そして、手に入る限りの盤を聴き、パニアグワ病を進行させてきた。

    LP盤では、A面が車の爆走中で終わっていて、オートでアームが上がらない限りえんえんと走り続ける―というはた迷惑もパニアグワ氏は平然とやってのける。

    とはいえ、氏はただの冗談と、はた迷惑だけの人ではない。このメロディーのそこはかとないメランコリーはどうだ。手元を離れた風船がいくつもいくつも、いわくいいがたい哀調を帯びて上がっていく―。

    LPでは感じなかったが、CDではカッティングレベルがかなり低い。そのため、この盤の広大なダイナミックレンジに浸ろうと思えば、相当ボリュームを上げなければならない。

    そうすると、ドカーンときた時が恐ろしくて、ひやひやものである。ツイーターよ、風船といっしょに飛んでうれるな。笑いと恐怖の競演になる。

    愛用のアンプはサンスイのプリC-2105 VINTAGE。スピーカーは音圧93dbというJBLのS3800なので、メモリの位置を30まで上げるソフトはめったにない。その分、響きはかなり深い。

    しかし、いくらなんでも(8)の4分を過ぎたあたりからは、いかな大音量好きでも、もうボリュームレベル30というわけにはいかない。36に下げる。

    この人、よほどサービス精神の旺盛な人なのだろう。思いつくままなのか、思考に思考を重ねての結果なのか、出るわ出るわ。車、風船のほかに、ピストル、オルゴール、鐘、雑談の人声に、馬鹿でかい笑い声、と盛りだくさん。

    音の品性(?)はLPで聴いていたときよりずっとおとなしく、繊細な感じがして、その点がCDでは物足りない気がする。あの、やんちゃで、荒削り、傍若無人、非常識な音が今となっては恋しくもある。

    フィナーレはやはり車。大きな音でドアがバタンと閉まり、ひとまず走り去ってから、何を思ったのかクラクションを鳴らしながら、また戻ってきておしまいになるという手のこみよう。

    パニアグワ氏の快挙、いや怪挙。これを「音の世界遺産」に推さないという手があるものか。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/05/26

    手持ちのCDコレクションの中で機器が何に変わろうが音の良さで1位の座を降りたことはない。この演奏グループのCDが9枚あるが、全部1位である。他の盤と次元の違う音がする。

    業界の発展のために録音技術の公開をすればCD全体の音のレベルが上がるのにと思う。しかし、デジタルになり、SACDが現れたが、このアナログ録音のカミソリの刃のような鋭い、そして繊細、音場広大と、すさまじいほどの魅力は色あせない。最初の一打でのけぞる。

    LP時代、オーディオ誌で評論家故長岡鉄男氏が絶賛して広まったが、その後このグループの消息を聞かなくなった。ハルモニア・ムンディに主として録音していたようだが、エラートにも録音があるらしい。氏の本に紹介があって、探しているのだが未だ目にしない。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/05/26

    以前、テレビでシンバル入りのトルコ行進曲を聴いたことがある。ピアノとシンバルが奇妙な相性を見せて、ほほえましく思った。

    昔はピアノにシンバルのペダルがついていたものがあったというナレーションに驚いた。いつか、そのシンバル入りトルコ行進曲をCDで聴いてみたいと思っていたが、そんなCDになかなかお目にかかれず、CDでは出ていないのだろうとあきらめていた。そのCDがこれである。まさかツァハリアスが録音していたとは。

    さっそく手に入れて聴いてみた。しかし、シンバルはKV331の第3楽章の最後の数十秒だけ。とはいえ、実にいい味を出している。よくをいえば、もっとシンバルに活躍の場を与えてほしかった。と、思わせるところがいいのかもしれない。みつまめに入っている、さいの目に切った寒天みたいなものか。

    当節は同曲異盤の横行。こんな異色の盤で差別化をはかってもらいたいものだ。モーツァルトのピアノ・ソナタ全集を何組も持っている人も、これほど異色の盤なら買おうという気になるのではないか。なお、演奏はいうに及ばず、録音もすばらしい。鮮明に雰囲気よく録れている。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/09

    ジョン・ケージのプリペアド・ピアノ曲集はデンオンの高橋悠治盤を持っているので、今回の新装盤は少々躊躇した。

    というのも、考えが浅すぎてプリペアド曲なんてどれもこれも代わり映えはしない、1枚持っていれば十分だという気がしたからである。が、実際に手に入れてみると違った。すばらしい。

    まず音の良さに驚かされる。音場感、定位が抜群。両手いっぱいの宝石を天井に向けて投げ上げたようなものだ。きらきら光りながらさまざまな色をまきちらして宝石は空間をただよい、ゆっくりと落ちてくる。ということは、このボックスは音の宝石箱か。現代音楽には疎くても打楽器好きにはお勧め。

    届いて、たちまち4枚聴いた。撥(バチ)の音やブラシ、鉄琴、そして太鼓のうなりと、ベートーベンやブラームスを聴き過ぎたときには良い気分転換になる、などといったら失礼だが、静かな「時」が瞑想の闇を浄化し、深めてくれる。「音、沈黙と測りあえるほどに」といったところか。

    なお、高橋悠治盤の「ピアノのためのソナタとインターリュード」はこの全集では3枚目になる。ボックスのデザインは今回は青地だが、初出の白地のほうが良かった。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/24

    ルガーノ音楽祭ライブである。制約の多い会場録音なのに、よくここまで鮮明に録れたものである。ピアノの透明感、シンバル等の切れ込み、全体の音場感と、申し分ない。とりわけ、ショスタコーヴィッチ、ファリャ、プレトニョフ等の曲の入った4枚目がおもしろい。その中でもプレトニョフが気に入った。カッティング・レベルはかなり高いが、可能な限り音量を大きくして聴きたい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/05

    雑誌等の録音評を頼りに、録音の良さそうなクラシック盤をあれこれ聴いてきたが、このセットには仰天した。まだ最初の5枚しか聴いていないが、これはオーディオマニア向けに機器のテスト用として発売されたものかという気さえする。
    3枚目のバーンスタイン編では、金管楽器の抜けの良さ、各種打楽器の実在感等、バーンスタインの管弦楽曲はこのくらい良い音で聴かせてくれなきゃなあ、という感じで爽快感抜群だったが、ショパンのピアノ協奏曲1,2番にいたってはのけぞってしまった。とりわけ第1番のほうは録音のむずかしい曲らしく、なかなか満足できる音の盤に出会わない(モーツァルトのピアノ協奏曲第5番もそうだが)。
    同曲異種盤のどれも再生に困難を極める中で、このセットの5枚目は、数々の問題点を軽々とクリアしたではないか。みじんも混濁を感じさせない弦群の分厚い低域といい、広大な空間、全体の音の透明感と楽器の分離……。
    大きなグランドピアノがそのままの大きさで目の前に出現する。高音のカキーンというピアノ特有の美しい音が天井からさらに後方に消えてゆく時の快感は言葉にならない。ただ、装置のセッティング、部屋の問題を含めた慎重な調整はぜったい必要である。
    このボックスセット、30枚組で約3000円だが、この盤1枚で3000円といわれても私は買うだろう。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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