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ゆあがり さんのレビュー一覧 

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/06/06

    例えばケルテスの『新世界より』に慣れた人ならば何ともっさりとして盛り上がりのない切れの悪い演奏だと感じるであろうが、このソノリティの美しさはチェリビダッケ独自のものだ。楽器間の音量バランスが独特で、何と言ったら良いかゆっくりとしたテンポで楽譜にレントゲンを当てて構造を浮かび上がらせているような演奏だ。このドヴォルザークに限らず、ブルックナーでもフランス音楽でも同じ。だからと言って分析的な主知的な演奏とも違う。楽譜のどの箇所からも心のひだに触れる響きを生み出そうとするアプローチとでも言うのであろうか。それにしてもミュンヘン・フィルの管楽器の音色の美しさにはいつも感動させられる。奏者に対するチェリビダッケの要求は相当厳しいものがあっただろうが、常にそれに応えられる素晴らしいテクニックを持つ演奏者たちがいて初めて可能なソノリティであったことは間違いない。『新世界より』としては邪道な演奏なのかも知れないが、アメリカもチェコも関係なく純粋に音楽の美しさを味わせてくれる。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/12/16

    SHM-CD版の音質は音の分離や解像度が不自然なほどに良いけれど、音に奥行きがなくバイオリンとティンパニが同じ距離で聞こえる、つまりデジタルプロセッシングよる音の鮮明さのみを強調したものであると言えるのではなかろうか。不自然さが先に立ってちょっとげんなりするのは否めない。最近の「リマスター」全般に言えることだが、何も解像度が全てというわけでもあるまいし、音を加工してまで「音の良さ」を売りにすることはないと思う。決して音は良くなってはいないのだから古い録音なりに聴かせてもらった方がありがたいと思うのはわたしだけだろうか。音の不自然な誇張のせいで演奏がしらけて聞こえるとしたら、何のための「高音質化」なのかということになる。なお、演奏についてはいまさら述べるまでもないが、フリッチャイ自身は第一楽章のこのテイクが気に入っておらず再録音を希望していたので、このレコーディングの発売を認めていなかったということは付け加えておきたい。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/09/13

    田舎臭さや武骨さを否定した女性的で繊細なブルックナー。細部の表現にも丁寧さが溢れ、どちらかと言うと神経質で野性味の少ない演奏だが、逆にこの演奏を聴くとドイツ系の指揮者はいかに雑で大雑把な表現をしているかということを認識させてくれる。それをブルックナーらしさとしている人たちには受け入れられないところもあるでしょうが。形而上的な背後世界を強調したものでもなく、現世的なきらびやかな演奏で、だからと言って軽いノリとも違うしっかりした演奏。ヨッフムとかスクロヴァチェフスキと併せて持っていれば、自分のブルックナー像を持つ手助けとなるという意味で、「この全集がベスト」云々と関係なく持ってて損はない全集だと思う。あとチェリビダッケを聴けば、ブルックナーはそれほど単純な作曲家でないということが分かるのではないでしょうか。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/03/01

    この不自然なレンダリングを聞いて音が良いと思うのはこう言っては悪いが再生装置がドンシャリ対応のもので聞いている人だけではあるまいか。不自然に誇張された高低音と分離。それに比べて痩せた中域。古い録音を新しいものであるかのように聞かせるような工作は必要ではない。元々聞こえない音を聞かせるのはリマスタリングではなくプロセッシングと呼ぶべきだ。リートをエコーをかけて聞かせるのは演奏家に対する冒涜だと誰もが思うであろう。それと同じでクリュイタンスの演奏は衒いのない実直なものだけに残念と言わざるを得ない。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/03/22

    スタインウェイのDモデルを使用しているとのことだが、大ホール用のコンサートグランドを間近にマイクにおいて録音すればこうなるという、音は鮮明だが悪しき見本のような録音だ。音が克明に聞こえるというよりは本来は聞こえない音まで聞こえて音の洪水である。ピアノの弦がうなり声を上げ、低音は不快に感じるレベルにまでガツン・ズドーンと響く。

    しかしながら、精緻で、時に巨大な構造物であるベートーヴェンのピアノソナタを顕微鏡で観察するようなこの録音は、ひょっとしたらコルスティックの意図したものなのかも知れない。演奏スタイルも即物的で、音の背後にあるものを探ることより、音の群れの中に身を投じることを聴き手に要求しているかのようである。ハンマークラヴィーアの第三楽章はその極端な表れだ。だとすればこういう録音にもそれなりの意味があることになる。いずれにしても、この曲群に味わいや形而上的なものを求める向きには薦められる全集ではない。極上の美人も、近寄ってルーペで皮膚の毛穴まで観察すれば別様に見えるであろう。そうしたミクロ的な観方も一興と考える度量がなければ、コルスティックの強靭なタッチも卓越したピアニズムも負の効果しか持たず、聴いていてもただ耳が疲れるだけのものでしかないのではなかろうか。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 28人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/10/23

    マーラーの観念的な音楽の別の側面を知るには素晴らしい演奏。観念過剰に逆に浅薄さを感じ「マーラーはもういいや」と思っている人には彼の音楽を再評価する機会を与えてくれることだろう。巨大なオーケストラと人声を使っての室内楽的なアンサンブル、そのポリフォニックなホモフォニーの精緻さを忠実に表現した演奏である。それと共にマーラーの音楽言語のロマン性も浮かび上がってくる。ところでドラマ性や標題性に共感が感じられず、分析的に構造を顕わにすることだけがブーレーズの意図だという判で押したような評価は、ブーレーズの名前から来る先入観にとらわれた的外れなものである。これほど叙情的な演奏はめったに聴けるものではない。芝居がかって重々しくて深刻ぶったのがマーラーに相応しい演奏だと思うのは過去の指揮者が作り上げた一つのイメージに惑わされているからに過ぎない。実際はオーケストレーションの色彩感を暗い淡色で塗りつぶすようなような演奏こそマーラーにそぐわないものはないのだ。

    28人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/02/17

    全集だという点には価値がある。

    しかし、ドイツ語を母国語としない歌手も多く、発音がなめらか過ぎてドイツリートを聴いているという感じのしない歌唱が多い。表現に深みのないのは歌手としての技量が不足しているためではあるが。

    あまり聴く機会のない曲を知るためには良いが、このCDの演奏でシューマンの歌曲はこんなものかと過小に評価されるのが危惧される。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/24

    器楽奏者陣が弱い、特にオルガンが弱いのは致命的ではある。
    録音は悪くはないが特に優れてもいない。雑音が多いのと音量レベルが高すぎる。

    と以上二つ否定的なことを敢えて書きましたが、評価は躊躇無く星五つです。ポイントセールで一枚あたり100円位で買えるなんてCPが高いを通り越してタダ同然で申し訳ないくらいです。
    それに、何より曲を聴き始めると演奏がどうかなんてどうでいいことのように思えてきます。バッハの偉大さは平凡な演奏をも立派に聴かせます。

    全作品を聴ける幸せはプライレスですが、その幸せをタダ同然の値段で手に入れることができます。文句を言ったら罰があたります。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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