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mari夫 さんのレビュー一覧 

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     2017/07/18

    レコード史上有名なリヒテルのソフィア・リサイタル。とくに「展覧会の絵」だが、多分これを聞いていないとリヒテルを聞いたことにはならない、くらいの、これぞ鬼気迫るという演奏。出だしは何ということもなく展覧会に入ってきた人、みたいな感じですが、それからどんどん鬼神が乗り移ったみたいに変貌していく。最後の方はステージに人ではない別のものがいる、ピアノと言う楽器がこんな音を出すのか、という壮絶な、というか凄絶なもの。きっと演奏会の後、この楽器は大分いかれてしまったのではないか?爆演などという品のない形容など寄せ付けない。でも上品なピアノが聞きたかったら止めておいた方が良い。音は良く知られているように良くはないが、これで最新のデジタル録音とかだったらどういうことになるのか?他の曲も名演だが、そこまで異常ではない。

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     2017/07/17

    ロッシーニからシュトラウス、更にはヴィラ=ロボスやカザルスでおなじみの「鳥の歌」まで色々なレパートリーが並んだ(ワグナーやヴェルディはないが)、知的なガランチャならではの、素敵なアルバム。飛び抜けた美声ではないが、スマートな歌いぶりでどれにも違和感がない。グローバル時代の歌手なんだなぁ。メトの「カルメン」でファンになったが、これはそれとは別の彼女の顔を見ることが出来る。私的には一番気に入ったのはヴィラ=ロボスですねぇ。

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     2017/07/11

    切り込みが鋭い骨太のモーツアルトで、ロココあるいはウィーン情緒とは無縁である。しかしかつてのようなモダンなばかりではなく、色々との表現の幅を広げている様が伺われる。決してロバート・マンのワンマンコントロールなどではなく他の三人のうまさも光る。でもニ短調の三楽章のトリオなんかのマンは本当にうまいし、精密機械とかではなくむしろロマンティックなほど。他の方のレビューでは録音について意見が分かれていて、確かにCBS録音のジュリアードには、少々弦らしい潤いに乏しいというか、きつさが残らないまでもない。この点で出色なのはこれより5、6年後のベートーヴェン全曲のライブだが、それより更に後のブラームスとかでは逆戻り気味で、このモーツアルトはそれよりはいい。どうなっているのだろう。ベートーヴェン全集との比較からすると、☆一つというか半分位は引きたいが、まぁ、やっぱり五つかなぁ。

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     2017/07/06

    大家にしてはあまり聞いてこなかった。もっているのもフルトヴェングラーとの「皇帝」とかデヴィートとのブラームスとかシュヴァルツコップとのシューベルトとか、むしろ共演者の方に惹かれて買った口である。でもこれだけ纏めてもらってこの値段ならと思って買ったのだが、面白かった。穏やかな演奏というか慈味で勝負みたいな人のような気がしていたが(勝手な想像!)、実は結構激しくロマンティックな演奏もある。ベートーヴェンの二つの協奏曲がそれにあたる。四番は初めて聞いたがなかなかの名演。ソナタの方では「悲愴」が激しい。デヴィートとのブラームスは、もっているターラ盤と比べて遜色のない音でこれだけでも元が取れる。デヴィートのヴァイオリンは本当に心に沁みるし、3番なんかでは迫力も不足する所はないし、フィッシャーも大家の芸でそれを支えている。バッハは「平均率」の抜粋で一枚にしているが、有名な演奏だけれど、やっぱりグールドを知った後だとさすがに古さを感じる。シューベルトは歌曲の方はいうまでもないけれども、即興曲、とくにソナタに通じるような作品142の演奏が骨太で立派。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/06/21

    もうあまりに有名な演奏だが、前奏曲開始すぐのクレッシェンドからして、指揮者のみならずオケも気合の入り方が並大抵ではない。この指揮者にはむしろ珍しく表現意欲が全面に出ており、満を持してのレコーディングであったことを感じないわけにはいかない。ただ美しい音響などというこの指揮者の音楽への通俗的な批判のあてはまるレヴェルではない。正直カラヤンは、楽曲の把握の厳しさなどは、50年代の方が充実していたように思うが、これは別格だ。初心に返った気合とその後の円熟の二つを併せ持ったような演奏である。あらゆるオケのパートが、ことばのように実に雄弁にドラマを語る。奏者は極度の緊張を要請されたに違いない。実際「ことば」を担当する歌手達はそれに追随することに困難を覚えているかに聞こえてしまうほどだ。モルのグルネマンツが若者達に語る昔話しは素晴らしく感動的だが、それを打ち破るかのように巻き起こる撃ち落とされた白鳥をめぐる騒ぎの鮮やかなこと。場面転換の音楽はクナの神秘的な音楽の起伏とは対照的に、明確な指揮者の意識によって統率された輝かしい音楽だ。クナが影の法悦を描くとしたら、カラヤンは光の眩惑を描いている。アムフォルタスの苦悩のモノローグも目覚ましく雄弁だが、あくまで人間のドラマとして描かれている。歌手ではモルとファン・ダムは好演。主役のホフマンは一幕は冴えず、二幕の「覚醒」あたりから良くなるのは、音楽の通りで納得。この「覚醒」のクライマックスは、ヴェルディの「オテロ」の最後に似た所があるが、ホフマンはちょっぴりドミンゴのオテロを思わせる(私だけか知らん?)。ただクンドリーのヴェイソヴィッチはとてもソプラノ的な声なのはいいとしても、カラヤン好みの透明な美声(ヤノヴィッツとか)なのは分るが、この役にはちょっと明るすぎるのではないか?ニムスゲンも立派な声だが、昔のナイトリンガーなどと比べると、やや凄みに欠ける。「聖金曜日の音楽」では「指輪」でもいわれた音の塊に光を通すカラヤンの至芸がもう一段スケール・アップされて音楽がドライブされる。ホフマンもここは素晴らしい(ヴィッカースでなくて良かった)。その後の場面転換の音楽もベルリン・フィルの威力全開の底力が凄い。最後のところも張りつめた緊張が徐々にピークに向って解放されていくカタルシスを感じさせるが、これもカラヤンには珍しいことではないだろうか?彼としても会心の出来だったろうと思わざるを得ない。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/06/09

    演奏に関してはいうまでもなく、オペラのレコーディング史上の金字塔とされていることは皆さんもいう通り。三人の主役もデ・サバータの指揮するスカラ座のオケもこれ以上はないような名演奏。とくにこれぞヴェリズモの興奮を伝えるカラスのタイトルロールに悪役の権化みたいなゴッビのスカルピア。デ・サバータも劇的な興奮と世紀末的な叙情の変転は見事。ただ以前にもっていた初期のCDはリマスターのせいかどうも冴えなかった。それで買い換えたのだが、これは随分鮮明さを増した。もっと上のリマスターもあるのかもしれないが、これなら不満はない。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/06/08

    諸氏のレビュー(この欄ばかりでなく)を拝見すると、どの曲を良しとするかに随分ばらつきがある。11番と12番とかを全部聞き比べているようなコアなファン(私は違います)がいるかと思うと、ベートーヴェンとかブラームスは当然、マーラーとかに比べても、一般的には各自のもっているイメージにばらつきがあるということではないか?基本的に充実した全集であることに異議はないが、私的に関心したのは、先ず14番。初演盤の方が凄いらしいが、これでも十分肺腑をえぐるような演奏だ。他には4、6、11、13番とかかなぁ。ムラヴィンスキーのような叙事詩的な大きさはないので、そうしたイメージを求めると多少物足らなさが残るかもしれないが(5番とか10番とか)、どれも彫りの深い名演。少々もの足らないのはオケの色彩感の分離ちうかメリハリ感が今ひとつであることかなぁ。録音のせいかもしれないけど、ケルンのオケは昔のクレンペラーとかミトロプーロスとかが振っていた頃はもうちょっとうまかったような気がしていたのだが‥‥

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     2017/06/06

    今更レビューを書くのも、というような「定番」だが、自分的には今までもっていなかったのを改めて廉価で入手という有り難いご時勢になったのを機会に一筆。じつは基本的にバーンスタインは、とくに後年の演奏はあまり好きではない。VPOを振ったベートーヴェンとかブラームスとか、19世紀ものは今イチ心に触れてこない。基本的にバルトークとかストラヴィンスキーとかショスタコーヴィッチとか、20世紀の作品だけでいいのだが、レコード会社の政策もあるんだろうけど、その辺のレパートリーも実はそれほど完備していない。新ウィーン学派もあまりないしなぁ。でもマーラーだけは特別。世紀の変わり目だから良いというわけでもないだろうけど、感情が極端に走る彼の傾向と音楽がピッタリ当てはまる。今の指揮者はこんなにはやらない(やれない?)。所々でテンポが凄く落ちるんだけれども、多くは叙情的な箇所で音を抑えてゆっくりやっているので、意外に粘っているわけではない。『復活』の最後とかは別だけれども、あそこは粘ってくれてこそで、凄い盛り上がり。同じことは5番の一、二楽章にもいえ、分厚い咆哮を刺激的にならずに未だ「音楽」たらしめているVPOの響きもあって、あのテンポを全くだれずに聞かせるのは凄い。「アダジェット」のヴィブラートのゆっくりとした、しかし微妙な掛け方は心の震えに聞こえる。6番とか8番の最後部なんてほんと全身全霊という感じで凄いんだけれど、晩年の彼にありがちな肥大症的にならないのが作曲家との相性なのか?―とはいえ、5番や、とくに6番なんかは、美味だけれど分厚いステーキを続けて食べさせられている気分になるところもあります(アバドなんかだと脂身抜きでという感じ)。とくに素晴らしいと思うのは、通常は退屈な7番かな?ギーレンだったかケーゲルだったかが、バーンスタインがマーラーを俗悪化したと非難しているようですが、まぁ分らなくもない。でもそれがないとねぇ、「俗」と「聖」はペアなんだしとかなんとか、この辺は微妙ではないかしらん。三つのオケは、いずれもこの作曲家と縁のある名門オケだが、夫々素晴らしい。10番の冒頭の弦のVPOの響きなんかは、その練りに煉った厚い音のヒダに絡めとられるような眩惑を覚える。ずっと不調だと思っていたNYフィルもここでは往年の輝きを取り戻しているのは驚き。7番なんかはVPOかと思ったほど。正直区別がつかない(DGの音ということもあるだろうけど、管なんか巧いし)。コンセルトへボウはやや暗めの落ちついた響きだが、バーンスタインの「熱」に対する感応にも欠けてはいない。9番は熱のために崩壊気味のBPO盤よりこの方が好ましい(BPOならこの演奏の後に行なわれた、そして対照的に冷徹なまでに厳しいカラヤン盤をとりたい)ルートヴィッヒやヘンドリックスなど歌手たちもいいが、4番のボーイソプラノだけは外れ。音程もそうだが、ブレスの短さも相俟ってリズムも不安定で、聞いていられない。

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     2017/05/29

    フランス音楽だから洒落て、繊細でなくてはいけないということはない。その見本みたいな演奏。たとえば、「幻想」の一楽章は「夢と情熱」と題されているわけだが、圧倒的に「情熱」の方に傾いている。硬派の極致だが、その点でもっと凄いのは「海」。前者がそこそこ良好なステレオであるのに対して、こっちはモノだし、繊細な音を聞き取ることは出来ないが、それは録音のせいよりもそういう演奏なんだろう。こんな熱っぽくうねる「海」は初めて聞いた。「トリスタン」やマーラー、シュトラウスが背後に聞こえる。「幻想」は☆四つだが、「海」は六つ。平均して五つ。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/05/22

    DSKとの新盤はどうも音がすっきりと抜けず、こっちの方が音も良い。演奏も悪い筈がないが、同じ旧全集でも、もっと前のブラームス、ベートーヴェンと比べると、ライブっぽい(ではないのだけれど)躍動感や即興感は比較的少なく、落ち着いている。ブルックナーはロマン的というよりバロック的だというのがヨッフム説だと言うが、むしろ、美術史的にいえば、バロックの官能性よりゴシックの峻厳さというか。その分少しだけ北ドイツ的に武張った感じで、この点はヨッフムの特異性だ(この時期の、かもしれない)。DSK番ではそれが後退しているような気がする。欲を言えば、3番とか4番とか、ところによってテンポを上げると腰高になってスケールも縮んでしまうところがある。6番も後半楽章がやや集中力に欠ける。ベートーヴェンやブラームスに関してはそういう感じはもたなかったのだけれど。ライブで聞いたコンセルトへボウ(71年?)との4番はこの点で最悪で、以後来日に対しても触手が動かなくなってしまった。8番のフィナーレも随分速いことは速いので、そこを疑問に付す人もいるようだが、私にはここは許容内。エンディングは今イチだったが。むしろ、最後の三曲はどれも同曲の中で傑出した演奏だと思う。他にあまたある彼の異演と細かく比べることは出来ないけれど、全集としては未だに第一に指を屈するべき演奏ではないか。

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     2017/05/22

    入手困難になっているらしい。でも、実は素晴らしい内容で、これが入手困難とは不条理なので(私は中古で入手)、書込ませて頂く。実は、ヨッフムにはそんなに関心がなかった。レコーディングでも、ライブでも、どうも生温いと感じることもあってムラがありすぎ。丸山真男氏がヨッフムは70代になってようやく円熟するまでは凡庸な指揮者だったといっているとか。そうなると私が聞いた60代では駄目ということになる。ロンドンでやった新全集は未聴だが、そんなで何となく食欲がわかなかった。旧全集にしたのは、ステレオ時代まで生きた指揮者たちの50年代の演奏に関心があったから。
       ところが、オケもモノ/ステレオも混成のこのベートーヴェン旧全集。凡庸どころか、生温いどころか、気合の横溢した名演で驚いた。とくに素晴らしいのは4、5、6、7、9。ちょっとびっくりするくらい良い。内声のきざみも必死になって弾かせているので彫りが深い。「田園」の管楽器のうまいこと!とくに第九は騙されたと思って聞いて下さい、第九と言ったらフルトヴェングラーと何とかの一つ覚えみたいにはいわせないぞという位良いから。クラスのバスとコーラスも凄い。1と2、8も良いがもう少しリラックスしてもいい位の集中力。「エロイカ」も良いが、他の曲ほど際立ってはいないと思った。ちなみにステレオ盤は結構音が良い。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/05/22

    EMIのより新しい録音もあるのにあえてこのモノ―ラルの旧全集にしたのは、ステレオ時代まで生きた指揮者たちの50年代の演奏に関心があったから。実は、ヨッフムにはそんなに関心がなかった。レコーディングでも、ライブでも、どうも生温いと感じることもあってムラがありすぎ。丸山真男氏がヨッフムは70代になってようやく円熟するまでは凡庸な指揮者だったといっているとか。そうなると私が聞いた60代では駄目ということになる。
       ところがこの演奏はまるで違う。フルトヴェングラーの生前にDGとBPOが敢えてヨッフムに委ねたということはそれなりの抱負があったに違いない。当然指揮者にも。これは壮年期のヨッフムが如何に凄かったかを感じさせる演奏。それならステレオになってからにしてほしかったとは思うが、この時期だからこの気合だったのかもしれない。演奏のみならブラ全としてはトップにランクしたい。ヨッフムは温(ぬる)いと思う人は、例えばこの2番の阿修羅のようなフィナーレを聞いてほしい。3番の中間二楽章も全く美しい(とりわけその名残惜し気なエンディング!)。とりわけ優れているのは1番と4番で(音も後のこの二曲の方が少し良い)、同曲異演中でも一際傑出した名演。迫力や推進力といい叙情の濃さといい、フルトヴェングラーに比べても全く遜色がない(実際、この両曲の出だしは随分似ている)。オケの鋼のような勁さとしなやかさは全く見事だ。後者のパッサカリアのフルートはニコレだろうか、心に沁みる。どれもスタジオというよりライブのノリを思わせ、流れと呼吸が大きな起伏で息づいている。このノリはむしろその後には失われて晩年の好々爺然として演奏になっていってしまったのかしらん?

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/05/21

    キャリアを中断する前のホロヴィッツの演奏、もちろんモノーラルで(例外は「中断」のど真ん中の59年に録音された二曲のベートーヴェンで、これは彼の初のステレオ録音。かつては音が悪かったらしいが、このリマスターでは大変良い)、「復帰」以降のステレオ録音も数あるのにとは思いますが、壮年期のこれらの演奏は凄まじい。ピアノが壊れそうな、ぶっ叩くって感じの音はさすがに後年には影を潜めるのでここでしか聞けない。まぁ、聴衆迎合の悪趣味な演奏といえなくもないけれども―リストのハンガリー狂詩曲(2番と6番)なんて笑ってしまう位のもの。そういえば「カルメン幻想曲」や「星条旗よ永遠なれ」は何故入っていない?―、鍵盤のメフィストフェレスの魔力は抗し難い所がある。トスカニーニとのチャイコフスキーのフィナーレの壮絶な盛り上がりとかは前代未聞だ。同じ組み合わせのブラームスも、トスカニーニ主導だが、硬派のブラームスの最高峰。ライナーとのラフマニノフは、超名演だし、音質もいいのに、何故かノイズリダクションをかけた復刻で、冒頭のオケなんか、かさかさに脂肪を削ぎ取られた音で興を削がれる。残念。ショパンの「葬送」ソナタは、鬼火が暗闇で青い光を放つような鬼気迫るステレオ盤も凄いが、こっちのはデーモンの巨大な黒い影が聴く者を駆り立てる壮絶な演奏。リストのソナタは確かに同様な名演であることは分るが、残念ながら真髄を味わうにはちょっと音が古い。「アパッショナータ」は、」何故休んでいたのかと思うくらい、意外なほどまともな演奏。一年後に同じカーネギーホールでリヒテルが演じた「異常」な演奏と比べたら、フィナーレなんかもむしろ遅めのテンポで弾き跳ばしがない。ただ体温は低いまま。10-3の方は曲と演奏者の距離を感じさせない。一楽章の闊達さ、二楽章の叙情の深さ、フィナーレのリラックスしたテンポの良さ、いずれも素晴らしい出来。ホロヴィッツのベートーヴェンで一番良いかも。ステレオ盤が絶品のスカルラッティは、このモノ盤もいいし、選曲が大分違っている(多分。モノはカークパトリック番号、ステレオはロンゴ番号なんで比べにくい)ので価値があるが、疑似ステレオっぽくて鮮明さに欠ける。これはやはりステレオ盤でしょう。ステレオ盤にないレパートリーが収められた最後のスクリアビンはいうに及ばないが、カバレフスキーの二曲も秘めた名曲名演奏。ドビュッシーもステレオ盤にないレパートリーで歓迎ものだが、疑似ステレオ処理がしてあるのか、ふやけ気味の音なのが惜しい

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/04/02

    HMVのサイトで入手不可のCDのレビューを書くってどうなんだろうとは思うが(中古で入手)、書込めるようになっているのでそうさせて頂く。そもそもこの名演を入手不可能ってどういうことなんだろうと思うからだ。この時期にスカラでDGが入れた物としてはセラフィン指揮の「トロヴァトーレ」と双璧である。両盤に共通しているバスティアニーニとコソットがとりわけ傑出した歌唱。イタリア・オペラのバリトンとメゾに関して、この二人以上の美声はそれ以降もない。美声のみならず歌唱としても実に傑出している(強いていえば前者はルーナ伯爵の方がより合っているかな?私的にはロドリーゴのキャラとしてはカプッチルリがより好み。コソットはアズチェーナよりはこれが理想のエボーリ)。それとクリストフも獰猛な声ともの凄い存在感でドラマの集点をつくっている。ラボーのタイトルロールもちょっとドミンゴを思わせる明るめの美声(そこがこの役には、という説もあり得るでしょうが)で悪くない。NHKのイタリア歌劇団で聞いたカラフはもっとつまった声だったような記憶しかないが。ステッラも同じイタ歌でアメリアを聞いたが、何せ美人で逆に暗めの美声。積極的な表現ではないが、この微妙な立場の役としては十分だ。コソットの夫君のヴィンコの宗教裁判長はちょっとクリストフとは対抗し難いが、まぁ仕方がないかも。相手が悪い。サンティーニの指揮は火刑の場のスケールの大きさなどという点ではさほどではないかもしれないが、スカラの素晴らしいオケと相俟って目のつまった表現で、この重厚な歴史劇を引き締めている。グランド・オペラというよりはむしろ対話劇のようなこのオペラの指揮としては申し分ない。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/03/25

    しなやかで透明なブラームスだ。先き頃Great Concertosでオイストラッフの脂の乗りきった名演を聞いたばかりだが、こちらはその脂を抜いた、渓流に反射する光の煌めきのような演奏である。ヴィブラートを控え目にした髭のないブラームス。ただ、とくに一楽章などは、ベートーヴェンの協奏曲(ライブではなくCD)でも感じたが、同じ女流でもデヴィートやヌヴーの名演と比べるとまだ何かが足りない。この二人の先輩女流の忘我的な打ち込みに比べると、ファウストのこの演奏はまだクールでありすぎるように聞こえる。逆にデヴィートらの方がロマンティックに過ぎるのだという説もあり得るだろうが、ではティンパニがどろどろと鳴り続けるブゾーニのカデンツァを演奏した理由は何だろう?今回(2017年)のトリオの演奏会ではケラスという素晴らしいパートナーを得て更に一際スケールが上がった感じがしたが(ヴィブラートも結構かけて弾いていた)、ブラームスの協奏曲は来年やるらしいので、確かめたい。ハーディング指揮のオケは室内オケというには、録音のせいもあるのか随分音、とくに低音が厚い。その分透明度は減退して聞こえる。「アガーテ」はファウストの特徴が遺憾なく曲想と合っており(一番だったら違う感じだろう)、とくに一楽章はノン・ヴィブラートの弦のハーモニーが美しく、文句のない名演。もっと以前のピアノ四重奏曲(ブリリアントの)では録音のせいか、こういう透明性は感じなかった。この辺もファウストの進化ということなのか。

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