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もにりくちなし さんのレビュー一覧 

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  • 13人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/20

    大半がパルマ歌劇場での最新の収録で、初期の珍しい作品も含めすべてのオペラが日本語字幕付き。1作品当たり2000円もしないというお得なボックスということで、中身は玉石混交かと思って購入したところ、あくまで個人的な好みにもとづく感想だが、予想以上に良いものが多かった。3分の2ほど鑑賞した中では、『リゴレット』『シモン・ボッカネグラ』『ドン・カルロ』の3作品を特に推奨したい。『リゴレット』も『シモン』も今時珍しいほど伝統的な演出が好ましく、どちらの作品も娘を熱愛する初老の男親の苦悩を吐露するレオ・ヌッチの熱唱には心底魂を揺さぶられる。ヌッチは全部で7つもの作品に出ており、『2人のフォスカリ』でも圧倒的な存在感だ。『ナブッコ』『マクベス』でも素晴らしいヌッチ節が聴ける。マニアなら知っている程度の歌手しか出ていない『ドン・カルロ』は、このボックス唯一のモデナ歌劇場の公演。5幕イタリア語版をゆかりの地の威信をかけて、まさしく全員の力で最高に盛り上げているのが好ましい。カルロ役のマラニーニもロドリーゴ役のピアッツォラもまさに一世一代の熱唱ではないか。歌手陣だとテナーでは往年のカレーラスを思わせてくれた『運命の力』と『群盗』でのアキレス・マチャドが文句なしに素晴らしかった(風采こそ上がらないが)。前者は他の歌手もそれぞれに良く、ともすれば散漫な印象を受けるこの曲を緊張感持って聴き通すことができたし、後者はソプラノのガルシアが良く(やはり風采こそ上がらないが、全体にソプラノが良くないこのボックスの中では屈指の出来で、前半のコロラトゥーラも力強くこなす)、この南米カップルの奮闘で演出のひどさを補って余りある舞台となっていた。『エルナニ』のマルコ・ベルティも実に良かった。ただしこの映像はすでにDYNAMICからリリースされているものと同一であることと(全部新作じゃなかったのか?)、エルヴィラ役のスーザン・ネヴィスが歌も容姿もさえないので(シルヴァ役のジャコモ・プレスティアもひどいが)、全体としては満足できるものではなかったが。『ジョヴァンナ・ダルコ』のエヴァン・ボウラーズも光るものがあった。女声陣だと『オベルト』のレオノーラ役のフランチェスカ・サッスが良かったし、『オテロ』(ザルツブルグ音楽祭ライブ)のポプラフスカヤは美しいデスデモーナで、「柳の歌」はいつものこの人よりもだいぶ良いものだったと思う。指揮者では『アッティラ』のバティストゥーニが若さを前面に出した颯爽とした指揮ぶりで好感が持てた。脇役では『ルイザ・ミラー』のヴルム役のラファル・シヴェクが印象に残る。歌ではなくその半端ではない憎々しさだからだけれど。個人的には今のところ一番のハズレは『シチリア島の夕べの祈り』。レオ・ヌッチもこの曲に関しては窮屈そうで並みの仕上がりだし、指揮はたるいし、歌手陣もダニエラ・デッシをはじめとして不満が残る人ばかりだった。

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