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ずの さんのレビュー一覧 

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     2010/06/06

    最初、オーケストラの質の低さを感じてのめり込めなかったが、第一楽章の再現手前、弦が柑橘類を搾るように歌を滴らせたところで、これは! とおもい、気を取り直してプレイ・バックしてみたところ、どこにどう陋劣さを感じていたのかまったくわからぬほど、オケは望みうる最高のアンサンブルを誇っていると感じ、全篇を爽快に聴きとおした。その点では不思議なCD。そんな出会い方をしたディスクだから、音の精度にのみ言及し、音楽について語らない評には、当方として聞く耳を持たない、持てない。また、曲の多面性、多様性を小林の演奏が阻害している云々も、採れない意見。当方もそうで、小林もまたそうだとおもうが、マーラーのとくにこのシンフォニーについては、音楽がいかに多様多彩に展開しようとも、否、多様多彩に展開するほどに、どうしようもなく孤独な、ひとりぽっちのマーラーその人の姿が髣髴とする。したがってこれは、曲の持つ奇怪な多面性を小林が貶めているのではなく、むしろ、この曲のいかなる面も、マーラーという人の不器用な愛情表現という一点に収斂する、との一貫した解釈に基づく演奏なのだ。両端楽章で必要以上に響きを広げないのも、小林の失態でもなければ、オケの力量不足でもなく、指揮者は、まさにこういう小回りの利く演奏をこそ求めているのだと断言したい。そして、これほどカラフルな音彩を繰り出しながらにして、迫力更新に次ぐ迫力更新を成し遂げた日フィルの献身ぶり。おなじマーラーでも、たとえば5番などは、オケの響が剥き出しになった豪胆たる演奏を聴きたいが、7番にかんするかぎり、こういうこぢんまりとした演奏のほうが曲趣を的確に当てているとおもう。

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     2010/06/05

    コンサートは2日とも聴いた。
    こうしてCDになってみると、姿容の端麗さに愕かされる。とくに第一楽章は、はじめに決めた遅めのテンポを、にじるようにしておわりまでもってゆく。横綱相撲をみるような安心感だ。オーケストラは絶えず力いっぱいだが、そのこと自身がもうしあわせで、だから、曲の悲劇性はむしろその端麗な音楽性の内に封印されている。それは、音楽の在り方として非常に高踏的なのではなかろうか。すくなくとも、小林は運動的な音楽性の持ち主である、との世上に流布している固定観念では、この演奏を完全に説明することはできない。“主観的”との評もみえるが、どうだろう、これがただ主観に塗り潰されただけの演奏なのだろうか。如上の方法論――と呼ぶのも憚られる、そういう演奏態度が持ち越される中間楽章では、指揮者の執念すら感じられるが、それをもって“主観的”と云うのなら、あきらかに言葉足らずだ。そして終楽章、もはや小理屈を捏ねている暇はない。
    終演後のながいながい沈黙も良き想い出。20余年の人生で、初めて己の心の臓の在り処を知った。CDを鳴らしても静寂が続くのみだが、客席を埋めたわれわれの胸は早鐘を打っていた。
    しばしば悪評にも出会うこのCDだが、そういう人等は聴き方を誤っているようにおもう。もちろん、個人的な体験を盾に取ろうというのではない。ただ、マーラーの9番などという曲を、篤く思い入れずして演奏してなんとしよう。そして、その思い入れ様として、繰り返しになるが、これほど高踏的な演奏が外にあるだろうか。いずれにせよ、通り一遍の悪罵では、当盤の価値を挫くことはできない。早晩、同曲演奏録音史上に燦然と耀く、不朽の名盤のひとつとなるだろう。 

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