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M さんのレビュー一覧 

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     2019/05/19

    当演奏の印象をひとことで言うと、凝った味付けをせず素材の風味を生かした料理といったところか。凝った味付けでないの意味はオケのモノクロ系の音色のことで、素材の風味とはシューベルトのオーケストレーションの妙味のことである。第一楽章は意識的にテンポが速めなのがやや気になる。しかし、繰り返しが多い中をダイナミックにエネルギッシュに演奏される盤が多いことに、いつも精神的威圧を感じる第2楽章では、オーケストレーションの美しさが見事にでて、ダイナミズムも抑制されており、繰り返し聴くに足る演奏となっている。フルトヴェングラーが代表するような曲のうねりを意識した演奏ではなく、一見個性がないようにみえて、各楽器のバランスを磨きぬくことによってずば抜けた曲のオーケストレーションに焦点を合わせた存在価値のある演奏といえるだろう。

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     2019/05/18

    東芝EMIから出ていたCDと比較すると、こちらが格段に音が良い。(前者がいかにひどいものかということでもあるが)それでフルヴェンのすべてのブラ1のCDで一番音が良いのが当盤ということになる。元来演奏そのものはフルヴェンが総合的に他盤より優れているとの仮定に立てば、当CDがブラ1のベストともいえるだろう。楽曲の解釈については今更いうまでもないことだろうが、それよりも、第2楽章において指揮者の耽美性と当時のウィーンフィルの耽美性が曲の性格を得て2度とないような出会いをみせているところが感動的である。

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     2019/01/05

    PC.NO2評。オケがライブならではの乗り、燃焼度をみせる。ヨッフムにこんな一面があったのか驚き。ベロフのピアノは、さしずめポリーニやツィンマーマンといった、現代のトップクラスといわれるピアニストとの比較になるが、ライブという事を考慮しても、このピアニストにこんなに豪壮、奔放な面があったのかとこれも驚き。元来、音色の魅力の点で前二者より優位性があり、又ブラームスの叙情性とのマッチング度も高い。又、若きベロフのピアニズムの特性がブラームスの晦渋なピアニズムを前二者より、より面白く聴かせてくれるという側面もある。以上の理由で私的には、この曲のベストディスクである。

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     2018/02/01

    このDVD画像を消して音だけに集中して聴くことをお勧めしたい。この人は100年後に出現した、音も技巧も進化させた21世紀のフーベルマンだといいたい。その理由は、奏者の秘められたパッションが、紡ぎ出されるヴァイオリンの音に乗り移っていく様がフーベルマン的という事である。但し楽譜的正確さ=音楽の自然な美しさの表出というスタイルが主流となっている現代では適するレパートリーを選ぶだろうし、マイナーな存在であり続けるかもしれない。ブラームスでは第2楽章のヴァイオリンの溜め息の出るような美しさ、チャイコフスキーでは第3楽章の憑かれたような、情熱の乱舞が特に忘れ難い。

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     2017/12/21

    さしずめ、比較の対象としては同じウィーンフィル、ライブのフルトヴェングラー盤だろうが、彼の曲線的な音楽作りが、ことモーツァルトに関してはどうもしっくり来ない。カラヤンも後のスタジオ録音は、いかにもカラヤン臭のする音作りで、余り馴染めなかった。それらに比べると当演奏は、カラヤンの才気は感じられても気になるクセはなく安心して聴けるものである。尚、ここで聴ける、ベリーのカタログの歌は最高のカタログの歌だと思う。

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     2017/12/04

    ヴァイオリンという楽器の性質上、発音はテヌートされているわけだが、テヌートされている間の音色の変化が、色彩感のある、ねいろ と共にボベスコの最大の特質といえる。ブラームスの協奏曲は、そのことが最もよく生かされる曲だと思う。演奏の傾向は異なるが、コーガンの演奏にも同じ事があてはまる。それと、この曲は、デ・ヴィート、ヌヴー、このボベスコ と女流に名演奏が多いのは何故だろうか。

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     2017/06/08

    当ディスクを聴いて驚愕した。両曲ついての今日耳にできるすべてのCD中トップクラスの演奏であると推察できる。リストのソナタはコルトーをはじめとしてホロヴィッツ等が追及した音響、音色上の効果を最大洩らさず表現している。夜のギャスパールはギーゼキングとの類似点が感じられるのだが、スカルボでは、ギーゼキングの超絶技巧と鋭敏な耳による音響支配、音響体としてのエネルギッシュさ、と比較して、超絶技巧や鋭敏な耳はギーゼキング同様だが、ギーゼキング以下すべてのスカルボにあった、辟易するようなリスト臭は回避され、どこか水の戯れを思わせるようなチャーミングな音楽になっているのが素晴しい。演奏会はいつも満員であるのに、これ程の演奏にレビューひとつないことに、辻井の日本における立ち位置と、日本の聴衆のレベルを考えさせられる。日本初といってよい世界レベルのピアニストなのに、日本では辻井の真価は評価されずに終わってしまうのを心配する。

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     2017/01/12

    本来はここは書く場ではないが、コシュラーのことが褒めてあるレビューコーナーだったので書かせてもらう。実は交響曲8番を、コシュラー/スロヴァキアPOと定評のある セル/クリーブランドO(EMI) ノイマン/チェコPO(70年代)と聴き比べてみたが、断然コシュラーが良い。セルはアンサンブルを磨いたドイツ的なアプローチの指揮者でドヴォルザークの世界からは遠い。ノイマンはコシュラーに比べたらアンサンブルが全く雑だし音楽作りがわずかながら事務的な感じがする。コシュラーが良い理由が、オケも含めて血のなせる業だというかもしれないが、だとしてもそれは遠因である。本当の理由は楽譜の音楽的意味の理解度の差なのである。つまりまるでものがちがう音楽家の演奏だったといえるかもしれないとすら思う。こういう音楽家の演奏をCD市場の片隅においやっている評論家も含めた音楽産業とはいったい何なのだろうか?

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     2017/01/04

    第1番については、少なくともスタジオ録音としては、バックハウス、ポリーニ、アシュケナージ、ツィンマーマン、ゲルバーとか色々聴いたのは、すべて駄目で、このフライシャーのピアノにかなわない。第1楽章の第2主題の和声バランスがピタリと決まっているのは当演奏のみ。その一見地味ではあるが、和声的デリカシーがこの曲のポイントだと思われるからである。

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     2016/02/04

    ベートヴェンやブラームスの協奏曲はこれらの曲、屈指の名演奏といえるだろう。特にブラームスでは交響曲的といわれる作品の特性が、ゲヴァントハウスと言うオケによって真価を発揮している点が素晴らしい。これらの曲の演奏としてあまり有名になっていないのは、イタリア人によるドイツ物=本物でないとか、アッカルド=パガニーニ的な技巧家といった先入感によるものではないのか。

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     2015/11/05

    バッハの平均律クラヴィーアというと第1巻では集中力をもって聴けるのは前奏曲とフーガの1番から3番まで位で、それ以降を通して聴くのは仕事のような感覚がしてしまうのが過去の例だった。その理由として音楽的密度が比較の上で下がって来ることもあると考えられる(無伴奏ヴァイオリンでシャコンヌと他の曲の差のようなもの)が、どちらかというと音楽的重点があるフーガが、単なる音の運動や練習曲風に聴こえてしまっていたことが大きな理由であると思われる。そこから新たな地平を私に切り開いてくれたのが、このメジューエワの演奏である。全曲を通して何曲かのフーガは音楽的充実感を伴って聴くことができた。その理由として一般的な意味でのポリフォニーの処理の腕前の良さもあるのだが、明快なタッチと透明感のある音色でもって、ポリフォニーの中にある和声に他の演奏より克明に光を当てていることが、フーガに重層的魅力を与えていると考えられる。そのような演奏を可能にしたのは何かと考えると、彼女のエンサイクロぺディア的なレパートリーの広さから来る懐の深さではないか?限られたレパートリーの中で天才的な音楽性を発揮するアルゲリッチとはある意味、芸術のあり方が対照的ともいえるだろう。又、このメジューエワやギーゼキング、アシュケナージのように複数の作曲家の全集的録音をしている音楽家の共通する特質について一度は論じられる必要があるだろう。

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     2015/07/30

    当録音集の中で判断すれば、ケンペの演奏の白眉は交響曲におけるベルリンフィルとのステレオ録音にあるといえるのではないか。のみならずベルリンフィルの演奏の白眉も録音の悪い、しかし演奏は神格化されているフルトヴェングラーのものを別枠とすれば、このケンペとのステレオ録音だと言いたい。このベルリンフィルとの一連のステレオ録音では歴史上の名指揮者群の中でケンペがケンペたる所以が明確に示されている。それは曲の解釈者としてではなく、オーケストラの各楽器奏者が我を忘れて楽器を奏することに夢中にさせるようなカリスマ的な力量である。これはジャズやロックの奏者にあるようなドライブ感にやや近いのかもしれない。以上の特質は偉大な解釈者であったフルトヴェングラーのもうひとつの側面でもあり、その意味では純音楽的にはケンペこそフルトヴェングラーの後継者にふさわしかったといえるのではないか。歴史はカラヤンのようなオーケストラの楽員に塗り絵をさせるような全く逆のスタイルの道を歩んだが、ケンペにもっと政治力や健康があればと思うと痛恨の極みである。

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     2015/05/27

    著名な奏者でありながら、従来LPでドビュッシーのソナタ位しか聴いたことがなかった。それで、ほぼ先入観なしで聴いて最初に思ったことは「この人のヴァイオリン、ステレオ録音だったらどんな音だったか更に聴いてみたい」ということだった。名バイオリニストといわれる人の殆んどが、しなやかな音を武器にしているが、ヌヴーのは硬質なダイヤモンドの赴き。色彩感にも欠けていない。このことだけでも独自性のある奏者だったのではないのか?テクにつても難曲を楽々弾きこなしているように感じられる。まあこの曲のみ繰り返し録音している理由を察するに低音から高音にかけてヴァイオリンのタッチ(ピアノでいうところの)や音色の変化を発揮するには最も適した曲ということもあるだろう。(この辺の事情はコーガンと似ているような気がする)。一方で、曲の交響曲的側面からすると録音状態からいっても不充分であることも含めて、少なくとも私がこの曲らしさと感じているものを味わうには、他にも沢山の演奏がある。その意味であくまで一人の天才ヴァイオリニストを聴く演奏である。(オイストラフがコンクールで彼女に負けたのも何となくわかる気がする)

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/04/25

    鈴木先生の推奨文よろしく購入の至りとなったが、期待以上の内容。特に良かったのがピアノソナタで、ワクワク感はホロヴィッツのステレオ録音以来のもの。新鮮さの最大の理由は音符に書かれた一音一音の和音の多くが、奏者のオリジナリティを施されたバランスで入念に処理されていることだろう。従って大抵は退屈な葬送行進曲も集中して聴くことができた。現代の世界には技術、音、過不足のない音楽性を具えたピアニストは沢山いるだろう。だが、このフォークトのような斬新な切り口で音楽にアプローチできる奏者は、かつてギーゼキングを輩出したような、文化的先進性を持った国ならではのものであろう。そのギーゼキングについても、個人の能力と同時に一つの文化から生み出されたものであるという記述が、吉田氏や小石氏の評論にみられるのである。とすれば、フォークトのような傑出した演奏家にもかかわらずディスクが少ないことに現代の聴衆のマジョリティーの傾向を窺うことができるだろう。やはりそれはカラヤンをはじめとするクラシック音楽の大衆化ということと無関係ではないだろう。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/04/17

    モントゥーのダフニスは第一部が超名演である。なかでも「全員の踊り」は何人も真似のできない、これぞダフニス の世界。永遠の名演奏!較べて第二部の演奏は少々野暮ったい気がする。ダフニスの核心部はどうやら第二部の「パントマイム」にあるような気がしているが、この部分の溜飲の下がるような演奏を聴いた経験はない。従って現時点でのベストディスクは小生にとっては、モントゥーである。

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