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音楽の彼方に さんのレビュー一覧 

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     2012/11/30

    とにかくベートーヴェンの序曲を楽しく聴く向きには大いにお勧めの全集です。テンポが颯爽としていて軽く、弾むように進行していくので、まるで古典交響楽の響きをそのまま体現したかのような感覚に満たされます。それによってベートーヴェンらしさともいえる重厚さやドイツロマン派の感情はあまり感じられませんし、どちらかといえばモーツァルトのようなロココ調にすら感じる演奏ですが、当時の演奏や作品そのものの響きを考えたら、これも良しと出来るのではないでしょうか?それに重厚に、ロマン的に演奏したものよりも、序曲「献堂式」や「レオノーレ序曲第1番」などは出来がいいように感じますし、序曲「プロメテウスの創造物」に関しても颯爽とした流れが作品に合っているような気がして、案外ジンマン特有の切れ味のいい颯爽とした演奏にあっているんだという事実も実感させます。「レオノーレ序曲第3番」などになると物足りなさを感じるといえ、これもロココ調のべートーヴェンにすら感じるのですから、特段抵抗を抱くことはないでしょう。何よりも全曲を貫く安定感と、ジンマンの曲の構成力、そしてチューリッヒ・トーンハレ管の透き通った響きが魅力的です。学究的かもしれませんが、他の学究的指揮者に比べれば作為めいたものもなく、「あるがままに」進行する自然な響きはよりベートーヴェン的です。私としてはこの全集を気に入っています。ただ、ジンマン自身のベートーヴェン交響曲全集を気に入れない人には、この全集にも抵抗を抱くかもしれません。

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     2012/11/30

    このCDの内容が小林さんに合っているような気がして、小林さんのCDとしては初めて購入しました。特に熱情ソナタは自分の中で過去最高の熱情ソナタです。第2楽章のホットな感情と落ち着き、それに続く終楽章の爆発的な高揚。ここはアルゲリッチ譲りかと思わされるほどに感情移入が上手い。そして悲愴ソナタに関しても、何の先入観もなくただあるがままにベートーヴェンの深層に入るような演奏で魅力的です。どちらかといえばロマン的な風情がある演奏ですが、そこに溢れる才能と若さがあることが何より魅力的。この歳で熟しきった演奏を聴かせてくれるピアニストはそう多くいません。そういう意味でも貴重だと思いますし、こういった純粋な響きと表現によるベートーヴェンのソナタというのも見直す必要があるのではないでしょうか?それほどまでに、「無駄のない」演奏です。熱情ソナタに関しては、それまで自分の中でトップにしていたバックハウスを超えました。そういう演奏を聴くと、このピアニストの将来が並大抵ではないことを安易に想像できるものであるため、その素晴らしさに浸る楽しみすら感じます。その後に入っている「子供の情景」も一つ一つの情景の表現が小林さんの感情の中で陽気に弾んでおり、アルゲリッチの「子供の情景」が名演であるなか、それに匹敵していくような巧さ。特にここでも感情移入が適切で、我々が聴く時にも客観性を失わない程度で快く浸れます。この演奏を聴くたびに、小林さんはシューマンのその先にあるブラームス、あるいはシューベルトでどのような演奏をするのだろうという期待を抱かせます。純粋な響きと無色透明なピアノのタッチの音色が何より魅力的。それとともに、感情移入の時に現れる和音の美しさは最高といわざるを得ません。

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     2012/11/30

    基本的にはEMI盤と変わらないのですが、音質がよく、ここで好き嫌いが分かれると思います、善し悪しという観点から見れば、51年録音のバイロイトの第九そのものが名演レヴェルなので、EMI盤であろうが、バイエルン盤であろうが不滅の名演です。ただ、どちらの音質を好むかの問題が生じてきます。純粋に聴く立場としては「どちらでもいい」がいいのですが、このバイエルン盤は音質がよく、EM盤よりも輪郭がはっきりし、一つ一つの音がはっきり聴き取れます。それにEMI盤に比べれば音の方向性が違い、EMI盤が深みにはひっていくような音であるのに対し、バイエルン盤は堀り下げていくような精度の高い演奏です。バイロイトの第九をどのようにして聴くかで見方が変わるCDだと思います。ただ、第3楽章の高貴な美しさ、これ限りはEMI盤でも、バイエルン盤でも全く変わりません。それに終楽章に関しては合唱の曖昧な録音状態が緩和されており、よりリアルに当時の演奏に耳を傾けることが出来るでしょう。全体的にEMI盤と評価を変える必要もなく、ここは好みの問題に止めておきましょう。取り合えず「最高!」ということで。

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     2012/11/29

    このような長い間、名演の地位を不動としている演奏もあまりないでしょう。ワインガルトナーの演奏そのものは迫力不足に感じるのは仕方ないと思います。それを求めても仕方がない時代だし、古き佳きウィーンの香りと芸術とは、このような角が取れたロマンの風情にあるのではないでしょうか?そのために、わざとティンパニを抑えて有機的な響きにしたのではないでしょうか?ステレオ時代になって、ワインガルトナーの直弟子であるクリップスがロンドン響と第九をした時も同じ芸風になっていましたし、宇野さんのいうワインガルトナーの体力や気力の衰えによる迫力不足とは関係ないのではないでしょうか?そういった事情を抜きにして純粋に聴いてみても、音楽的にはもはや普遍的な響きです。前途の古き佳きウィーンの香りが第九ではこれほどまでに温かみを帯び、かつメロディーが他どの指揮者より明確に、美しく響く事実がここにあるのです。合唱や独唱も、当時の録音としては大変優秀な音質だし、オーパス蔵の復刻の素晴らしさがそれを助長します。これをそのままステレオに持っていけば、クリップス&ロンドン響の第九になるのではと思うほどです。SP時代からの不朽の名盤だけあって、やはり現代の素人若手の私としても胸を熱くさせられます。現代の第九は迫力や効果、または個性の競いあいのようにすら感じますが、このワインガルトナーの第九はそんな次元とはまるで別で、ウィーン情緒に浸りつつ、音楽をする喜びと幸せを楽しみながら演奏しているような羨ましい内容です。宮廷時代のウィーン・フィルの響きの陶酔感もさすがに魅力的と言わざるを得ません。同時にワインガルトナーの折り目正しい芸術も第九に案外似つかわしいのだということがよくわかります。

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     2012/11/29

    田園がこれまたいいんです!イン・テンポで淡々と進みますが、ナクソス盤の復刻状態がワインガルトナーの田園の風情を盛り上げ、懐かしい余情と田園情緒が古い音質の中からも感じられます。第4楽章は、ワインガルトナーをご存じなら想像しやすいそうに迫力も風情もあまりないですが、そういったサロン風の響きによる田園がこれほどまでに素晴らしいのかと、サロン風の指揮者が乏しくなった現代でそれを感じます。第4楽章など雷雨を想像するより、ワインガルトナー自身のサロンの芸術にピタリとはまった快い演奏にすら感じられます。それ以外の楽章ののびやかさや、溢れる田園情緒は古き佳きウィーンの香りの中で培われたワインガルトナーならではという感にさせられますし、その同世代と同じウィーンの香りを知るワルターの不朽の名演となる田園との親近感すら感じます。もちろんワルターのようなドラマはありませんが、どちらも感情を大いに満たしてくれます。第5楽章の最後の飾りがあっさり斬るように終わってしまうのには少々驚きますが、これも良しと思わせるワインガルトナーの芸術と、ナクソス盤の復刻状態との相性も見事です。第5番はワインガルトナーが何度も楽団を変えて録音した中のブリティッシュ盤で、同じナクソス盤からロイヤル・フィルとの第5番も出ています。比較しても大差はありませんが、ブリティッシュ盤がロイヤル・フィル盤よりやや端正に仕上がっている感があります。基本的にワインガルトナーの芸に変化はありませんが、ドラマティックな要素を見いだしたい人にはロイヤル・フィル盤の方がいいかもしれません。12のウィーン舞曲もワインガルトナーの芸のよさ、品格のよさが十分表れており、この復刻CDの全体としての満足感は、恐らく期待を上回るか、満たしてくれるものでしょう。

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     2012/11/29

    英雄そのものは大変素晴らしく、ワインガルトナーの芸術がよく出ていると思います。オーパス蔵からも出ていますが、こちらナクソス盤は全体的に丸みを帯びた響きで、オーパス蔵の復刻よりバランスが取れた響きになっている分、オーパス蔵のような弦楽器における迫力はありません。しかし、その分だけ全体の美しさをよく見通しやすい復刻になっています。第4楽章などでも比較的現代の指揮者と変わらない感覚で聴けますし、他のワインガルトナーの録音と比較してもバランスが取れたイメージを強くします。ナクソス盤では英雄よりも第4番を私はお薦めします。英雄ではオーパス蔵とナクソス盤と聴き比べが可能ですが、第4番はロンドン・フィルの演奏のため、オーパス蔵からの復刻はまだ出ていません。ただ、そんな状況の話を抜きにしても、第4番の美しく明るい響きはワインガルトナーの単刀直入の指揮ぶりにぴったりあい、折り目正しく演奏した第4番は作品のあるがままの美しさを際立たせています。ナクソス盤の全体的に丸みを帯びた復刻そのものも第4番には非常に好都合で、これが古き佳き香りとしても、英雄でのウィーン・フィルで感じる香りと遜色はありません。格調高くエレガントに響く第4番は大時代的かもしれませんが、これほど美しく平和的に整った第4番もワインガルトナーぐらいではないでしょうか?このナクソス盤の復刻により味わいが増したことも嬉しい話です。

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     2012/11/29

    交響曲もそうですが、ここはエグモント序曲を最も高く評価したく思います。オーパス蔵の復刻の素晴らしさで、弦楽器が迫力ある響きになっていますし、ワインガルトナー自身の演奏もエグモント序曲では一気呵成ながら、復刻状態と相まってだんだん高揚していく迫力を持っています。エグモント序曲のフィナーレではテンポは早めでも、内容が濃く、とても充実しきった高揚に導かれるので、今の世代の若いリスナーが聴いても、それなりの感動が得られます。一方、交響曲は第1番に関しても、第7番に関しても迫力不足が際立ちます。オーパス蔵の復刻のお陰で大変素晴らしい弦楽器の響きを堪能できますが、ティンパニも弱打だし、ドスが効いていないワインガルトナーの指揮ですので、第1番や第7番ではあまり冴えない色に終わっています。しかし、このような淡白な香りの中にもウィーンの美しく陶酔的な響きが隠れていることを考えてみれば、最初から迫力や個性の躍動を期待する方が期待外れなのかもしれません。そういう意味では、この時代のウィーン・フィルに着眼する形で鑑賞する向きにはいいのではないでしょうか?第1番もウィーンの古き佳き香りに彩られていますし、第7番にしても第2楽章の内容の濃い美しさは、今のウィーン・フィルの響きからは出せない高貴なものです。次元の違いすら感じるウィーンの響きですが、このオーパス蔵の復刻のお陰で、輪郭がはっきりし、内部の深みや美しさが手に取るように分かる楽しさをリスナーに提供してくれていることには、感謝せずにはいられません。

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     2012/11/29

    宇野功芳さんが高く評価していたので、それにつられる形で購入した初歩者時代ですが、あのとき聴いても、成長ない今聴いても、ワインガルトナーの英雄と第8番には惚れ惚れします。英雄の迫力というのは最初はわからなかったのですが、聴き込むにつれて弦楽器の勢いがさすがとしか言いようがなく、そこに甘いウィーンの香りがする木管楽器が絶妙に加わり、ティンパニの弱打もひとつの有機体を作るのに効果を出しています。このような香りが、今や古き佳きウィーンの香りとなった現在としても十分迫力あるし、大変貴重な逸品だと思います。葬送行進曲の美しさも際立ちますし、第3楽章の進行の迫力も胸に迫ります。第8番はこの当時の録音とは思えないほど優秀な音質と、今聴いても新鮮に感じる演奏。これは英雄にも第8番にも言えることですが、オーパス蔵の復刻が大変素晴らしく、失敬ながら他社の復刻CDと比較しても、ワインガルトナーの素晴らしさを「生々しく」伝えた復刻CDはオーパス蔵の復刻あってこそと思います。弦楽器の迫力はオーパス蔵ならではです。第8番では木管楽器の美しさが陶酔的に際立ちます。今の時代の人が聴いても、第8番の前ではこの古き佳きウィーンの第8番に憧れを抱くこともできるでしょう。私のような若者には新鮮に響きますが、そういった世代を越えて、この2つの交響曲の演奏は感動的に響くものを持っていると思います。同時に、ワインガルトナーの実力をこのCDで実感することも可能です。SP録音とはいえ、復刻が良ければ時代を超越します。これは若者のリスナーとしてお薦めします。

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