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白塗りのサル さんのレビュー一覧 

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     2009/11/24

     大正時代の谷崎潤一郎は、秘密を謎をテーマに帝都東京の闇の部分に妖しい光を当てた作品が多かった。
     その多くの作品は、後の江戸川乱歩が得意としたエロ・グロ・ナンセンス趣味の作品が多かったが、「途上」という作品はプロパビリティの犯罪(可能性の犯罪)を扱った当時海外の作品の中でも画期的な本格探偵小説として仕上がっている。
     この後作者は関東大震災を機に関西へ移住。直接的な秘密と謎を主題にした作品は徐々に影を潜め、日本文化の琴線に触れるような後世に残る名作を連発していくが、それでも要所要所でその名作のなかに謎解きに類する味付けをしたものが散見できる。
     戦後作者自身を投影したような高齢者を主人公にした名作があったが、その作品のクライマックス、主人公の死因について探偵小説的謎の提示をする件がある。(あえて作品名は伏せる。判る人には判ると思う。)
     後の、江戸川乱歩はプロパビリティの犯罪(可能性の犯罪)をとり扱った「赤い密室」という作品を発表しているが、本作品は谷崎のこの時代の文学に触れたことがない人に、「江戸川乱歩の未発表作品集」と銘打って発表しても納得してしまうくらい、江戸川乱歩の作品とクロスオーヴァーしているし、正当に判断するのであれば、江戸川乱歩は谷崎潤一郎の後継者であったことを確認できる作品集である。

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     2009/11/24

     大正時代、江戸川乱歩登場以前に純文学の世界でちょっとした探偵小説ブームがあり、海外の探偵小説を紹介したり、秘密と謎をテーマとした特集がくまれ、翻訳、評論、創作集が雑誌に編まれたことがあった。
     そんな中、後に乱歩が指摘するように、探偵小説に造詣の深い事を証明するような評論(随筆)を発表したり、本書籍に収録されている「指紋」の様に本格探偵小説として通用するようなクオリティーの高い作品を残している。
     「指紋」は当時海外の小説と比べても犯罪捜査において「指紋」に着目したことに関し画期的であり、その後活躍する江戸川乱歩を始めとする探偵小説家を驚嘆させたという。

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     2009/11/22

     乱歩のグロテスク文学の極致。
     エロ・グロ文化もここまで極まれり。
     現代の映像に頼る文化と一線を画し、戦前当局の監視下の基、筆力により表現することによる制限がある中、よこもここまで赤裸々に探偵小説から脱線できたものと変に感心してしまう。
     氏自身が自己嫌悪に陥る気持ちもわかるが乱歩自身の本質を垣間見る事が出来、RANPOという一人のキャラクターを魅力あるものにするための一助となる作品である気がする。

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     2009/11/22

     犯罪が起こらない諸説も探偵(推理)小説である事を実感できる作品である。
     このような作品(発想)を基に恋愛ゲーム小説、暗号小説に発展する可能性を秘めており、もしこの分野に踏み込むことが出来ていたら、昭和モダニズム文化に華を添える一つのブーム面とになっていたのではないかと思うと楽しい妄想が一層広がる。

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     2009/11/22

     あまり評価されていないが、場面転換の激しい冒険活劇として少年時代、面白かった記憶のある作品。
     妻を救出すべく明智が自ら行動する解決方法は探偵小説として疑問が残るのかもしれないが、大衆文芸としては楽しく読みやすい仕上がりになっている。

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     2009/11/22

     当時、この作品を反体制文学とか、プロレタリア文学の位置づけとしてその筋の作家から賞賛されたようであるが、本人はそれほど思想的側面をこめて発表した作品ではないようである。(後の氏本人の随筆で実証。)
     なんにしても題材が退役軍人の生活を不気味な雰囲気で綴った本作品は衝撃的であり、当局より削除、発禁のやり玉に挙がったことは有名な話。
     後の長編小説「猛獣」や、「蟲」等グロテスク乱歩の一端を担う作品である。

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     2009/11/22

     大正時代の日蔭者文化を代表する作品。現代で言うならばニーと文化になるのか。
     作品全体に流れるなにやら心地いいまでのマニアックな雰囲気。終盤明智による興味本位な謎の解明により読者まで現実世界に引きずり戻されてしまう結末。
     この時期の乱歩の作品には読者を引きずり込む筆力の高さ、谷崎潤一郎の後継者ともいうべき幻想純文学の旗手である側面を持つ名作が多い。
     探偵小説に拘ることなく純文学幻想小説として短編小説を書き続けたらどのような素晴らしい作品を残してくれたのだろうか。

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     2009/11/22

     当時乱歩は執筆時、真夜中薄っ暗い土蔵の中で蝋燭を灯しながらおどろおどろしい装飾を施した環境で書き綴っているとまことしやかに噂されていたという。
     この作品に登場する大江某はまさしく当時の自身の噂を逆手に取ったキャラクター設定で、作品全体のトリックに反映させる斬新な試みに成功。
     「一寸法師」以後のスランプの中、当時「新青年」編集長の横溝正史に励まされながら書き上げたこの中編小説は乱歩を代表する名作となった。
     異論はあるとは思うが、本格探偵小説の側面もあれば、純文学の幻想小説の範疇にも入る名作だと思うし、乱歩の文章力の才能を実感できる。

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     2009/11/22

     大衆文芸として有名な作品であるが、三島由紀夫の戯曲、三輪明宏による主演映画、舞台でも有名である。
     この頃の明智小五郎には当初の金田一耕介にも通ずる変わり者の面影はなく、警察当局等の体制への影響力もある超人に仕立てられていて、本作も冒険活劇の色彩が強い仕上がりになっている。

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     2009/11/22

     作者自身、この作品に関しあまり評価していないようであるが、谷崎潤一郎の「金色の死」と比較し、純文学の視点で幻想小説としてとらえると面白みが出てくる作品であると思う。
     後年「大暗室」のような同系統の作品が登場するが、まだこの時点では発端の作者独特の日蔭者の生活者の視点から、大正時代の都会生活者の思想が垣間見え興味を引く。(谷崎、宇野浩二に通ずる世界。)
     作者の力は長編より、中編、特に短編に素晴らしき輝きを感じる。
     この後、名作「一寸法師」執筆後、作者はしばらく休筆の後開き直り、大衆文芸としてのスリラー長編を発表して行くことになり、分岐点となった作品としても面白みがある。
    (休筆後の蜘蛛男以降のスリラー長編にも大衆文芸としての輝きは十分に発揮されている。)

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     2009/11/22

     おそらく日本のミステリー界で孤島物のパイオニアではないだろうか。
     シャム双生児のエピソードは横溝正史の晩年の作品「悪霊島」を思い浮かべるし、クライマックスにおける財宝の出現は、それ以前に翻訳等で有名な「宝島」を想起させる。
     作者は自身の長編小説に対して自己嫌悪を持っていたきらいが感じられるが、大衆文芸として、又はミステリー・スリラーとしてこの作品を読むと、作者の長編小説の中では最も優れた作品である事を感じることが出来るし、日本ミステリーベスト10に入ってもおかしくないほどの仕上がりになっていると思う。

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     2009/11/22

     懐かしい。ただ、ただ懐かしい!
     私がまだ小学生低学年の頃、学校の薄暗くてかび臭い図書館の一隅に発見したこの一冊。子供心に気を引く題名・装丁の仕上がり、思わず借りてむさぼるように読み、このシリーズの虜になった発端の一作。
     この本がなければ、乱歩の少年ものから一般作品、横溝正史、果ては谷崎潤一郎、佐藤春夫へ続く文学少年の歴史は開かれなかったであろうと思うと感慨深いものがある。

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     2009/11/22

     作者の作品テーマ「血の因習」も極まれり。
     戦国時代まで遡ること尼子一族の滅亡・落人から端を発し、戦前の連続殺人事件の実話も盛り込んだ、伝奇ロマン小説ともいえる名作。
     当時連載されたのは、あの点説の雑誌「新青年」。戦前の全盛期とは違い、戦後間もなく廃刊。本作品も一旦中絶となるが、別の雑誌に継続連載し、完結にこぎつける。
     野村芳太郎監督、萩原健一主演による映画が印象的で、特にクライマックスすべて事が終った後の、とある事務所での金田一耕介扮する渥美清が事件に関係した人々の生い立ちを調査した結果を報告するシーン。「調べるの止めました。」という淡々とした言葉で終わらせる一言が「運命」という恐ろしさを一層際立たせ印象的であった。(詳しく知りたければぜひ作品を見ていただきたい。)
     映画のヒットにより一層この作品のイメージが定着。名作に箔がつくことになる。

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     2009/11/22

     戦前の人気シリーズ由利先生登場の代表作。
     当時氏の作品に頻繁に登場する美少年が登場する作品、但し、単純なスリラー小説に留まることなく、美少年実は・・・。といったトリックも加味し、戦後本格探偵小説につながるいったんも垣間見え、必読に値する一冊である。

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     2009/11/22

     岡本綺堂の「半七捕り物帳」に始まる捕り物小説。
     江戸情緒豊かな文脈は流石ストーリー・テラーとしての評判が良かった作者ならではの政界を醸し出している。
     作者本人時代物には乗り気ではなかったようであるが、「喰う為の仕事」にしては出来の良い連作集である。

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