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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/01/17

    音楽につきまとう迷信・迷妄の最たるものがジャンル観だ 実際このM.グールド&CSOの6CD中5枚がイージーリスニングに分類され表示されている 分類して整理することを厭うているのではない ”色眼鏡付き”のイヤフォンで聞くのをやめようということだ 音響の”造り”が非クラシックだと”色を塗って”鑑賞の場から追い出してしまう愚を犯すなと言いたい これらを聴いていないならば不覚を悔いることになる 幸運にもクラシックには縁遠かったという方から先ず聴こう またそういう友人があったらこのディスクを贈ってやろう 知らぬ作曲者や題名が並んでいようと怯むことはない グールドとCSOが音楽の生命を爽やかな息吹にして吹き掛けてくれる 音楽を聴く喜びが”あなた”の内奥から湧き上がってくる クラシック音楽が難解でも退屈でもないことをグールドが証明している 音楽がつまらないのは演奏家がそうさせているだけだ さて この名曲名演奏を聴く喜びに浴せないのではと心配になる御仁がある DGは◎でEMIは✖などと宣うクラシックディレッタントの方々よ あるがままを歌い聴き 心合わせられ この幸福なる衷心より推薦する   

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/01/07

    何より印象に残るのはモルクのチェロだ コンチェルトである「幻想曲」に加え オラトリオ「聖処女」から「最後の眠り」そして劇音楽「復讐の三女神」から「宗教的場面」と弾く オペラ作家マスネの個性は「タイス」の瞑想曲に代表されるように宗教性を内包した水平的旋律線だ これをモルクのチェロは自然な息づかいと敬虔な語り口でしかも軽やかに歌うのがいい またこのディスク 中央の「幻想曲」とともに聴きものは冒頭と掉尾に置かれた「ル・シッド」のバレエ組曲と組曲「絵のような風景」だろうが 途中に挿入された「ラオールの王」と「フェードル」の二つの序曲も聞き応えがある佳品であり N.ヤルヴィの指揮の下 スイス・ロマンドO.が一本芯が通った弾力ある響きを奏で 豊かなタイスの世界を伝えている 衷心より推薦する

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/01/07

    作曲者や曲名を知らないから聴かないなんてもったいない 有名無名に関わらず聴いたら愉しい気分になること受けあいの佳曲が並んでいる ウィンナワルツやポルカに引けを取らない愉悦と諧謔が溢れ出す 耳に入れば身体が自ずと揺れ出すこんなに美しい音楽をボヘミアの軍楽隊員が書いていた ニューイヤーコンサートの記憶も消えぬ時期であれば 時を待たず 声高に「聞いてごらん」と言わずにいられない 小品を振らせたら天下一品のネーメ爺さんとRSNOが興に乗って大きな感動の振幅を描き出している さあ昔馴染みのレコード屋へ跳んでいこうよ  

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/01/06

    クルレンツィスとコパチンスカヤにとってチャイコフスキーは最も遠くにある存在だと思っていた 協奏曲嫌いのわたしにも取り立てて聴きたい音楽でなし 触れずに過ぎるのが自然だった ただムジカエテルナである ピリオドアプローチであればと耳を傾けた なんということだ 心揺さぶられ手に汗握る羽目に陥った チャイコフスキーの憧れを見 その孤独を思い知らされた コパチンスカヤは千変万化する音色を駆使して語り出した そうだ歌ではない ロマンチストではないリアリストとしてチャイコフスキーを蘇らせた 彼は苦悩する魂を映した相貌をしていた そして ストラヴィンスキーの結婚 声とピアノを含む打楽器で表出されるバレエ音楽は日頃わたしが強欲いかさま師と誹謗する作曲家の最高傑作だが ストラヴィンスキーの真実と真価を伝える演奏に出会えていなかった クルレンツィスは言葉こそが音楽のすべてと捉え その推進力のみで見事にバレエ音楽史上至高にして最も美しい音楽を現出して見せた この二曲の演奏を持って”ロシア”とは何者なのかを知った 音楽は時間の原野をどこまで行っても風土や民俗と乖離することはない そこにはそこで暮らす人々が辿った歴史と追い求める夢が反映している 見えてくるのは人そのものだ 衷心より一聴をお薦めする 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/12/21

    三者を聴いて観るディスク チェロ協ではイッサーリスを シンフォニエッタではマーラーCO そして第1シンフォニーでクルレンツィスとなる それぞれが如何なる芸術家[集団]であるかを知らせている イッサーリスは歌を紡ぐ人 クルレンツィスは気の流れを手繰る人 MCOはアンサンブルを織り上げる集団 各人が美しい創造物を生み出せることを証明している この三者が一堂に会したチェロ協奏曲が面白い 歌い出してさらに歌いこもうとすると風邪を吹かせて妨げる者がいる 踊り出し熱して狂乱しようとすると立ち止まって彼方を見やる人がいる 歌舞への欲求と拒否がぶつかり合うところで均衡が保たれる演奏 それにしても芸術は恐ろしい ショスタコーヴィチの第1交響曲とブリテンのシンフォニエッタは二つの大戦の間にあった世界の安寧と不安を映し出していたことに驚く 戦後のチェロ協奏曲がショスタコーヴィチ個人の心境により深く根ざしていることも明白だ 衷心より推薦する

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/12/01

    男と女そして神の物語と故淀川長治さんは言った その映画「道」組曲を深い感慨に浸りながら聴いた 人間の深淵を覗き見た峻厳と悲哀に胸が詰まる 悪人と純粋な魂の持ち主にキ印が交錯して悲劇が生まれる だが何事もなく過ぎた日常が楽園にあったかといえば違う 平素こそはすでに悲劇を孕んで進行している 視点をずらせば人の世は悲劇という喜劇の舞台でもある この象徴劇を撮ったフェリーニは黒澤と同じように同胞に理解されなかった ジェルソミーナはイタリアにはいなかった だが巷の片隅に息をひそめて夢見る人間の良心があることをフェリーニは大戦後の世界に示したかった ロータの音楽には共感の涙が溢れている 「夕べの協奏曲」も素敵だ 協奏曲嫌いのわたしでも肩の力が抜けて愉しめる ヴィスコンティの「山猫」のために書いた舞曲はもっと憩える音楽と演奏になっている 映画好きもそうでない人も耳を貸されますように 衷心より推薦する  

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/11/30

    コロベイニコフのピアノは叫ばない 語らう人のように歌い弾く それはシヨスタコーヴィチのピアノ語法でもある 感じ考えている人の言葉はアクセントが打たれても概ね呟くようだ 押し付けたり説得したりしない 訴えたりおもねたりしない 時に走り出す勢いも見せるが行方をくらます心配はいらない わたしが見つめ歩めば肩を並べて進んでくれる それぞれが自己を見失わない存在でいられる ショスタコーヴィチとは共に歩んできた仲だ 久しぶりにゆっくり顔を見ながら話ができた まず24の前奏曲から聴こう 清澄な空気のなかで機知に富んだ言葉が交わされる この心の軽さは何としたことだろう 協奏曲の同伴者カム&ラハティSOが伸びやかに紡いでゆく音の綾もコロベイニコフのピアノの歩みを妨げない このパロディに彩られた音楽がショスタコーヴィチの本体だから 彼との語らいは言葉を失う窮地を踏んでゆく時もユーモアと進むべき方向を見失わない 涙や笑いに装われた風貌はない どこまでも澄んだ眼差しを向ける哲人がいる 衷心より推薦する

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/11/29

    ロト&南西ドイツRSO 4枚目の R.シュトラウス『アルプス交響曲&ドン・ファン」を聴いた 音の鳴りと伸びに驚きため息が漏れた 音響の渦にのみ込まれてはいない カオスなどない どこまでも透き通って全ての音型が聴き取れる 混濁もない 描写もない 構築された音型が音像を生みそれが歩みだす それが山歩きであるのか人渡りであるのかの違い しかし音楽は進む 目的地はなく進み立つことに存在の意味があることをわたしたちに示す クライマックスを目指していない 先に構築と言ったが 決して建築物ではない 豊かに感じ知り 世界と呼び交わし応え合う「もの」として発せられた音楽がここにある ぼくらは何を語り合うのだろう 誰といや何と交信するのか 衷心よりこの美しきものを推薦する 

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/11/27

    どうしても「5番&6番」が手に入らず鬱々とした年月を重ねていた これを除く1〜8番を愛聴してきた 6年ぶりに「9番」を加え全集が完成した 心躍らせて発売を待った 今日手に入れ早速聴いた まさに歓びの歌が全身を駆け抜けた 作曲者の記したスコアに恣意を挟む演奏を好まない者に至福の時が訪れた 「9番」は音を織りなすあらゆる糸の来し方と行き方が見通せる 織り成された響きの絢は軽やかな鼓動を打ち悠久の昊に息づく わたしに語りかけてくる音楽は千変の思いを受け止めてまた歌い返す 尽きることのない対話を繰り返した先をわたしは生きる 「5番」は想像通り引き締まったフォームを躍動させるも歌に満ちいてた 「6番」は想像を覆し劇性や描写性を排し舞踏の精髄へ至っていた ライスキ&PCPのベートーヴェンは音楽礼賛であり祈りである この美しさの前で人は何を見何を聴くのだろか 見えたもの聴こえたものを語り合いたいものだ 音楽の友は真の友である 衷心より推薦する またTACET社にはSACDあるいはBlu-ray Audioの製作を希望する 

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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