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曼珠沙華 さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/07/28

    仄かな詩情を湛える冷涼な響きは、シャンパンよりむしろ芳醇辛口な日本酒を想わせる。味わい深い逸品。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/05/06

    『皇帝』では自信に満ちたピアノの響きが輝かしく、しかし時に儚くモノローグ的にたゆたう様子には思わず心を奪われる。オーケストラは繊細至極で、弦が織り成す上品な綾模様に陶然としてしまい、聞き惚れてしまった。
    豪華絢爛であったり剛毅であったり、あるいは春風駘蕩とも言える悠然な演奏などなど、『皇帝』には数多の名演奏がありいずれも楽しく鑑賞できるのだが、この鬼才同士の演奏には孤高な風格が漂っていて趣深い味わいである。

    シューマンの方は、もはや出だしの数秒からして他の演奏とは隔絶した領域に位置するものであると感じた。本来この協奏曲はピアノの華やかな技術を前面に押し出した音楽ではなく、むしろ曲想それ自体の抒情美が売りのロマン溢れる逸品である。しかしこの演奏には人間的な肌触りや温もりはあまり感じられず、かといって無機質に整えられただけのキレイな姿形に留まっているわけでも決してない。ピアノにはとても高貴な気品があり、弦楽は芳醇な香りを纏って柔らかく、そして艶やかに漂うのだが、それらはまるで色気そのもののイデアとでも言いたくなるような穢れ無き佇まいなのだ。限りなく人間的な艶やかさを持った音楽が、限りなく強い個性(すなわち自我)と鋭い感性を持った芸術家によって演奏されると、このように純粋な美しさへと変転・昇華するものなのかと、驚嘆せずにはいられない。本当に見事だ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/04/03

    不安定な陰影の美。フォルテピアノによる決して華美にならない儚い響きと、曲そのものに備わる諦念にも似た安らかな脆さが、聴く者の心にまで影を落とすであろう。『無常観』と言えばいいだろうか。秋の彼岸の涼風の如きこの侘しさ、少なくとも私には絶品だと思われる。

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  • 11人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/01

    無伴奏チェロ組曲には名盤が数多存在するが、現在の私の感性に最も適合している演奏は、このシュタルケルの92年盤である。実に雄大かつ豪快で、チェロ演奏はかくあるべし、というシュタルケルの気概が伝わってくるような力強さを感じる。フルニエを柔とするなら、シュタルケルはまさしく剛といえるだろう(もちろんフルニエ60年盤も大変な名演!)。技術は非常に優れ、それ以上に音楽性が深いため、何度聴いてもすばらしいと感じ入ってしまう。特に第2番ニ短調が好きで、この演奏の重厚さと深さは最高である。また第5番や第6番の巧さも特筆すべきことだ。奏者の息遣いが聞こえるほど録音も鮮明で、そのため一層の緊張感を味わうことになる。基本的に情緒的な甘さは少なく、冷やりとした厳しい空気が漂い、峨峨として聳える霊峰を見るような趣がある。そのためこの組曲に対し、BGMとして聴こうとする人や温かな癒しを求める向きにはあまり合わないかもしれない。  バッハの音楽は懐が深いため、様々な演奏とそれに対する聴き方、接し方というものが無数にあって当然である。私も出来る限りいろいろなタイプの演奏に触れて、感性を磨いていきたいと思っている。だがやはり、この厳しい演奏にこそバッハの真髄の一端がはっきりと感じ取れるようで、私には安心感すら抱くことが出来るのだ。精神の拠り所にしたい高潔さを、私はこの演奏に見出(聴き出)すことになった。大切に付き合うべき音楽が間違いなくここにあるという幸福! 自らの感性に最も合う演奏を探し求められるのも、圧倒的名曲ゆえ名演に事欠かないからこそ。ああ楽しい。

    11人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/18

    とにかくピアノ協奏曲を聴いてほしい。第1楽章の静謐な美しさはどうだろう。癒しなどと言う生半可なレベルではない。疲れた心も、荒れ果てた精神も、穢れた魂さえも洗い清めてくれる、そんな音楽である。「なにを大袈裟な」とは言わないでもらいたい。吊り木さんの「湖の上を音もなく歩く」との表現は素晴らしく、よく言い得ていると思う。私も聴き始めて本当にそんな印象をうけたのだ(しかも冷たい湖、清冽という感じかな)。つまり禊ぎの音楽。第2楽章は実に荘厳であり、まるで宗教音楽のようだ、と思ったらまさしくコラールと表記してあった。闘争的な第3楽章トッカータには『怒りの日』の旋律まで出てくる! 協奏曲としては異色の存在かもしれない。なにせ協奏曲らしさといった要素が皆無に等しいのだから。だがしかし、これほど趣深い音楽もそうそうあるものではないと思われる。演奏は引き締まっていてとても良く、録音も上質。ナクソスもやるなあ。ぜひとも多くの人に聴いてもらいたい傑作である。(いや、本音としては、『知る人ぞ知る音楽』に留め、ひっそりと味わっていたいのだが...)

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/10

    まずいことに、ケーゲル指揮のこの演奏を聴いてしまったがため、もはや他の『第9』を鑑賞することが難しくなってしまった。この演奏には冷ややかな霊気が漂い、とてもとても祝祭的な歓喜とは言いがたい表現である。しかしそのことが、俗世と隔絶した孤高の世界を描き出すかのようであり、人を容易に寄せ付けぬ厳かな空気は、作曲家が晩年に弦楽四重奏において目指した神韻縹渺たる境地と相通ずるものであろう。ケーゲルがどういう意図でこうした演奏を設計したのかはわからないが、結果的に、数多ある『第9』演奏のなかでも極めて異質で、それでいて作品の本質を見事に照射したものとなったと高く評価したい。だいたいここまで宗教的静謐さをもった演奏が、今まで存在したであろうか。合唱の精度の高さがそれを見事に支えている。作品自体に対する認識と向き合い方とが完全に変わってしまうきっかけとなった、私にとってはとても意義深い盤である。お陰様で、クラシックを聴く上での楽しみの一つである聴き比べが、この作品だけは当分出来そうにないかも(これだけはホントに困るのだが)。感動というにはあまりにも肌寒く、歓喜というより呪縛になりかねない神秘の芸術だ。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/10

    私はこの演奏がとても気に入っている。特に第4番についての感想を述べてみたい。この曲はブラームスの濃厚なロマンに満ちた傑作であり、じっくりどっしり、且つしんみりとした演奏が多くの聴き手に愛されてきたことは、至極当然であると思う。だが私は、ちょっと他のリスナーと聴き方が異なるのであろうか、ハーディングの指揮する爽やかとすら形容できるこの演奏でこそ、ブラームスの儚さが活きると感じたのだ。颯爽と進む音楽は、それ故に一期一会の切なさを感じさせ、さらりとした叙情が漂っている。第1楽章の終結など実に見事で、怒涛のテンポと熱情に思わず興奮し、目頭が熱くなってしまった。軽量級の編成により生じがちな線の細さや弱さは感じられず、引き締まった音色は鮮やかで力強い。ハーディングは古楽にも通じているらしいが、いわゆる古楽派の演奏とは違い、学術的な再現を優先するあまり音楽が退屈になるということもなく、逆に突飛な演出で聴く者を驚かせるような恣意性も、この演奏には含まれていない。とにかく生きているというのか、活きがいいというべきか、始めから終わりまで音楽が確かに脈動していると感じられた。しかも何度鑑賞しても変わらずに感動してしまうのだ。大事にしたいと思える演奏が一つ増えることは、実に嬉しいね。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/01

    第2楽章は、この世のものとは思えぬ虚空の響きが闇の底から伝ってくるかのような演奏である。第3楽章は実に凄い。ここでは暗黒それ自体が踊っているのだが、なんとも言えない不気味な楽しさがある。相性というか価値観が合いさえすれば、きっと病み付きになるに違いない。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/01

    こういう演奏こそが芸術と呼ばれるべきなのだろう。飄々として力みの無いたたずまいは、しかも高貴な儚さに彩られている。モーツァルトの一つの理想像と言えるのではないかな。本当に見事で感動する。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/01

    これほど情感豊かな『新世界より』は他に存在しないだろう。そう思えてならないくらいの圧倒的素晴らしさと言いたい。フリッチャイが帰らぬ旅に立つ前に「この世界」へ残してくれた最上級の演奏(とそれを支える上質の録音)に感謝する。やはり終楽章はこうでなくては!!

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/29

    このサティは良い。『5つの夜想曲』が目的で購入したのだが、まず『グノシェンヌ』にしびれてしまった。もともと特に第1番が好きなのだが、この演奏はとてもゆったりとしており、響きは限りなく澄んでいてやわらかい。どの曲も独特の揺らぎというのか、たゆたいがあり、そのため微妙な陰影が生じている。澄んでいるのに陰影というのも何だか矛盾している感じではあるが、とにかくこのピアノは素晴らしい。有名な『ジムノペディ』や諧謔的ユーモアに満ちた他の曲など、いずれもが高い次元で完成している。この演奏によって改めてサティの良さというものを実感することができた。ただし困ったことに、今までは本当に楽しく聴けていたチッコリーニの演奏(EMIの名盤)が、硬いというか(録音の責任?)、一本調子のようでどうにもつまらなく感じられるようになってしまった。比較できることの善し悪しというべきかな.... 人の感覚というのは勝手なものだと我ながら複雑に思いながら、今『夜想曲』第1番を聴いている。いいねー。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/29

    シベリウスの交響曲第3番、私はこの曲が大好きだ。これほど素朴で美しく、繊細且つ清らかな音楽には滅多にお目に(お耳かな)掛かることができないのではないだろうか。私はこの第3交響曲こそが、シベリウスの作品においてだけでなく、他のあらゆる音楽のなかでも最も好きな作品なのだ。第1楽章の躍動感はまさに自然の息吹を感じさせ、どことなく民謡的な曲想にも親しみを覚えることができる。第2楽章の儚さや仄暗さはたまらなく美しい。聴く者の精神をぎゅっと鷲掴みにして泣かせるという類のロマン派なメロディーではなく、そっと心に寄り添うかのように慎ましく、たおやかに揺らめく名旋律である。変奏の効果もあって、しみじみと全身に染み入ってくる。私はこの第2楽章が好き過ぎて、『黄昏の明滅』と勝手にあだ名までつけて楽しむという有様だ。夕暮れ時や寝る際に聴くとなお良い。終楽章にあらわれるコラール風の旋律は、自然と敬虔な気持ちを抱かせてくれる晴れやかさが本当に素晴らしい。ムストネンによる当演奏は、上記の要素を全て満たしており、地味と言われがちなこの第3番の評価を高めるのに大きく貢献している。オーケストラの編成は小ぶりのため、清潔感ある響きがシベリウスの神秘の世界にふさわしい。思うところを徒然なるままに記してしまったが、つまるところ、私はこの演奏による第3交響曲がとっても好きだということ。どなたか共感してくれる方はいないものかなぁ....

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/29

    Franckの『前奏曲、フーガと変奏ロ短調』について。これは大変素晴らしい作品である。本来はオルガンのための小品である当曲に、奏者自身の編曲によってピアノならではの繊細さと清澄さが加味され、更には孤独で仄暗い精神世界を表出するに至った、極めて優れた演奏であると感じられる。ヴェデルニコフの当演奏には誇張や恣意性といった要素はほとんど無い。そのため演奏という「行為」すらを感じさせず、ただただ美しい音の綾が紡がれ、深みへの沈潜と高みへの飛翔とが感知されるばかりである。録音はモノラルだが良好で、虚飾を排した素朴な響きがむしろ美しさを際立てているとも言えて、不思議なほど趣がある。あまり有名であるとは言えないこの作品ではあるが、Franckの真の芸術的逸品として、多くの人に聴かれることを期待している。ただし聴くときは一人で静かに。ホントにいいぞー!!

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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