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なげわらし さんのレビュー一覧 

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     2009/08/11

    当ライブ・アルバムは1973年暮に2日間行われたロスアンゼルスのアナハイム公演を収録したマスター・テープを使用し、2日間のベスト・テイクを選んでセット・リスト順に当初3枚のLPへ収録したものだ。

    当ライブの演奏とサウンドだが、スタジオ・アルバム曲が複雑な曲であろうが大作の曲であろうが関係なく忠実に再現しており、脅威のアンサンブルを聴く事が出来る。また、ミキシングが良いため各メンバーの演奏がバランスよく収録されている。パワーのある曲はより迫力あるサウンドで、静かな曲は雰囲気を殺さないサウンドで仕上げ、特に複雑な構成の曲ではきめ細かな演奏テクニックやアンサンブルのうまさを観察でき、演奏のバラツキがまったくない。キース・エマーソン(Key)とグレッグ・レイク(Vo・G・B)とカール・パーマ(D)の3人だけの演奏等とは思えない完璧なステージだ。

    【DISC−1】
    司会者によるMCがおわった後、軽快なインストルメンタル・ナンバーであり、おきまりのトップ・ナンバー(1)『オウダウン』が始まる。ライブの方の内容が断然よい。次に小作品ではあるが壮大なスケール感のある(2)『聖地エルサレム』を原曲を忠実に再現。この曲が終わると凄まじい迫力と複雑さの(3)『トッカータ』が始まる。物凄いメロディーの変調と移り変わり、キースの凄い効果音及びカールのティンパニー・ソロ等原曲を再現している凄い演奏だ。(4)『タルカス』はこの大変ドラマティックで複雑な構成の曲を基本的に原曲を忠実に再現しているが、少し変えている部分があるために長めの演奏でスリリングたっぷりの迫力があり、エンディングが凄い。
    ここからステージは静の雰囲気となる。(5)は複数の曲を原曲通りに単独演奏しているシーン。まずマイナー調の『石をとれ』。この後グレックはアコースティック・ギターに持ち替えてマイナー調の『スティル…ユー・ターン・ミー・オン』、次にメジャー調の『ラッキー・マン』。この雰囲気はDISC-2へ続く。

    【DISC−2】
    冒頭からDISC-1ラストの続きだ。(1)『ピアノ・インプロヴィゼイション』はキースのグランド・ピアノ・ソロで、この時のキースはピアノ協奏曲第1番を構想中であり、その一部を披露したもの。次に再び(2)『石をとれ』を演奏するがDISC-1の(5)の演奏と違い、主メロディーが主体の演奏部が主で歌の部分が少ない。別バージョンである。
    静の雰囲気が一転して活気がでる。ファンキー風というかカントリー風というかカントリー風音色でのピアノ演奏による(3)『ジェレミー・ベンダー』が始まり、グレッグは楽しそうに歌っている。曲はそのままピアノ主体のインストルメンタル・ナンバー『シェリフ』へ続いて活気よくフィニッシュする。
    (4)〜(6)は大作である組曲『悪の教典#9』。(4)第1印象はキーボード・ソロから始まりバンド全体の迫力あるアップ・テンポの演奏がスタートする。原曲を忠実に再現した演奏ではあるが、原曲よりパワーがある。実にスリリングでドラマティックな演奏だ。原曲ではグレックのギター・ソロが入っているが、ここではギター・ソロに入る前にドラム・ソロがあり、その間にグレッグはリード・ギターへ持ち替える。ドラミングがもりあがってギター・ソロの入った演奏になる。グレッグのギター・ソロもすてたもんじゃない。ギター・ソロの時のベース・パートはキースが受けもっており、ハモンド・オルガンの低域鍵盤を弾いたりペダル・ベースを弾いたりしている。ギター・ソロが終わったら再びドラム・ソロになり、その間にグレックはベース・ギターへ持ち替える。エンディングは凄まじく盛り上がって終わり、すぐ(5)第2印象であるピアノが中心となったジャズっぽくてアップ・テンポのインストルメンタルに入る。ここの部分は原曲を多少のアレンジがなされているようだが原曲の雰囲気を壊していない。第2印象の演奏がそのまま(6)第3印象へ流れ込む。壮大なスケール感のある部分でいかにもフイナレーに向かうようなメロディー・曲展開・演奏等で感動的だ。壮大な演奏が延々と続き、突然シンセサイザーによる不規則音階による自動アルペジオがゆっくりと始まり、次第に早くって物凄く高速になった時止まって曲の終了。その直後歓声の渦。

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     2009/08/10

    1975年3月16日〜4月7日の第3期ディープ・パープルのヨーロッパ・ツアーの終了後にリッチー・ブラックモアの脱退が決定していた。リッチー・ブラックモアが脱退した後にディープ・パープルは解散すると思ったマネージメントは遺作のライブ・アルバム製作のために4月3・4日オーストラリアのグラッツ公演、4月5日ドイツのザーブリュッケン公演、4月7日フランスのパリ公演の4回をモービル・ユニットで完全収録した。しかし、トミー・ボーリンが後任として加入した第4期ディープ・パープルがスタートしたため、ヨーロッパ・ツアーのライブ・アルバム製作は中断となり全マスター・テープは倉庫へ保管状態となった。

    だが、第4期ディープ・パープルが崩壊。中断したヨーロッパ・ツアーのライブ・アルバム製作を開始するために保管していた倉庫からマスター・テープを取り出してモービル・ユニット機器で点検のため再生をした。ところが全てのマスター・テープの不具合を確認。おまけにモービル・ユニット機器まで不調だった。検討の結果、うまく再生できる箇所が多いザーブリュッケン公演を使用する事となり、一部パリ公演を含めて抜粋・編集したのが本作である。

    アルバムの具合だが、選曲は第3期ディープ・パープが発表した2枚のスタジオ・アルバム曲のみ。収録方法は1曲ごとにフェード・イン及びアウト。しかし、最高のステージをアルバムでのそまま再現させるためミキシング調整には力を入れており、音質が良くて見事な良質の仕上がりとなった。
    アルバムの内容は、スタジオ・アルバムが貧弱に感じるほどの大迫力及びアレンジ等の演奏だ。ギターはダイナミック・プレイだし、ベースはうねるサウンドで全体を包み込み、それに負けないくらいドラムやキーボードも迫力ある熱く演奏し、ヴォーカルもソウルフルで非常に熱い歌唱だ。
    第3期ディープ・パープルはライブで100%のライブ・パフォーマンスを出すと言われているが、当アルバムを聴くと正にその通りだ。
    『紫の炎』では勢いの良いギター・イントロから始まり、大迫力で突っ走る。いきなり1曲目から全員フルパワーだ。ギター・ソロがカッコ良い。『ミステリーテッド』はかなりアレンジしており、構成はドラマテイック&ダイナミックで演奏が長い。始めは普通どおりだが、中間部から静かな演奏でギター・ソロとなるが突然迫力の演奏とギター・ソロとなり最初の演奏に戻る。そして少しずつ盛り上がって行きクライマックスとなった後、ヴォーカルのみのソロとなり、最後はバンド全体で締めくくる。『嵐の女』は勢い良く突っ走るのりのりの演奏だ。ロック・ゴーゴーのイメージがある。『ユー・フル・ノー・ワン』もかなりアレンジして長い演奏となっている。最初キーボード・ソロから始まりノリの良いドラムが始まり、それに合わせてバンド全体の演奏となる。メインの演奏がすぎ、そのままギター・ソロが入るが大変カッコ良い。バンド演奏が終わってもギター・ソロが続いてしだいに狂気化プレイとなる。これが終わるとメイン・メロディのバンド演奏をワン・フレーズやったあとドラム・ソロとなる。そして最後はバンド全体で締めくくる。『嵐の使者』はカッコ良いサウンドと演奏でのりが大変良いスピードのある演奏曲だ。当アルバムのラストにふさわしいダイナミックさだ。

    とにかく最高にカッコイイ第3期ディープ・パープルのライブ・アルバムで、あまりにも演奏・アレンジ・サウンド・音質等全てが良すぎる。当時1枚物というのが残念でしょうがないファンがほとんどであったが、その後『メイド・イン・ヨーロッパ』の内容をそのまま2枚組ライブ・アルバムにしたと言っていいほどの2種類のライブ・アルバム『ザ・ファイナル・コンサート』と『ライブ・イン・パリ』が発売されたため、ファンは『メイド・イン・ヨーロッパ』の延長版としてたっぷりと味わう事ができた。

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     2009/08/10

    『イエスソングス』はライブ・アルバムとしてはロック史上初の3枚組ライブ・アルバムで、1972年12月15日と16日に行われたロンドンのレインボー・シアター公演を2日間とも収録したマスター・テープからベスト・テイクを選んで当時のセット・リスト順に3枚のLPへ収録したものだ。

    『イエスソングス』のジャケット仕様は特殊だった。4枚のジャケットを本のように綴り、背の部分も本のようにきれいに仕上げている。1枚目から3枚目のジャケットは各1枚ずつLPが収納され、4枚目のジャケットは日本語解説書とロジャー・ディーンの絵が1面いっぱい描かれた12ページのブックレットが収納されていた。4枚のジャケット自体も両面ロジャー・ディーンの絵になっている。以上のような仕様なので、アルバム自体厚みがあって重量がけっこうあった。おまけに値段も高かったが、イエスが大好きなファンは真っ先に買い求めて聴きまくったものだ。『イエスソングス』はライブ・アルバムの3枚組であり高い値段だったにもかかわらず、かなり売れ続いたそうだ。もちろん現在でも売れ続けている。

    前記で記載したとおり、セット・リスト順に収録されているわけだが、オープニングとして御決まりの『火の鳥』をテープでながしている。曲目を見るとコンサート構成に強弱がない事がわかる。かろうじて、スティーブ・ハウのガット・ギターによるソロ演奏曲『ムード・フォー・ア・ディ』があるくらいだ。続いてリック・ウェイクマンのキーボード・ソロ演奏曲『ヘンリー8世と6人の妻からの抜粋』は強弱があるが基本的にはスケールの広い演奏をしている。

    選曲内容を見てみると『こわれもの』と『危機』の2枚からが特に多く、選曲した曲自体が大変複雑な曲ばかり。
    演奏とサウンドを分析してみるとたしかに『一紙乱れぬ演奏集団』と言われている演奏である。ジョン・アンダーソンはスタジオ・アルバムと同じハイトーンで綺麗に歌っている。スティーヴ・ハウのギター・プレイは演奏法や音を演奏箇所ごとに自由自在に変えて高度なテクニックで弾きまくっている。クリス・スクワイアのベース・ギターは曲によって普通の音に弾いたり唸る音に弾いたりし、各メンバーの複雑な演奏をうまくカバーしてよりいっそうサウンドを素晴らしくするベース・プレイだ。リック・ウェイクマンのキーボード・プレイは格別である。1曲に対していろんなキーボードを弾きこなし、驚異的な指使いをする。特に複雑な曲を演奏するときは全身パフォーマンス的な動きでハイ・テクニックなキーボード・プレイを見せる。『危機』では圧倒的なテクニックを見せ、バンド全体を包み込む壮大なサウンドを出す。当時新加入のアラン・ホワイトに対するドラミングも全体のバランスを考えながらプレイし、曲の構成にあわせた高度で確実なプレイをしている。

    アルバムを聴いていろいろ分析した結果、5人全員のアンサンブルは完璧と言っていいし、全体のサウンドも良い。これはバンドのライブ自体を言ったのであってアルバム自体の仕上がり度を言ったわけではない。『イエスソングス』の仕上がり度は最低である。せっかくのアンサンブルがめちゃめちゃになって聴こえる部分がかなりあるし、メンバーの演奏が各独立した感じに聴こえる部分も多い。また、コーラスの部分なんかぜんぜんかみ合っていない。サウンドがシンプルに聴こえたり貧弱に聴こえたりしてる部分もある。まだまだあるがきりがないのでここで止める。これは『イエスソングス』を製作したスタッフの責任である。処理したエンジニアのミキシングがまずかったのだろう。せっかくの素晴らしいライブがだいなしである。

    しかし、いろんなバンドでマスター・テープをデジタル・リマスターしたと同時にミキシングも高度な技術力をもつエンジニアがやり直しているのも多くなってきているので『イエスソングス』もそうなるであろうから時を待つことにしよう。
    でも全盛期のイエス・ライブ『イエスソングス』はいつ聴いてもすばらしい。あれだけの複雑なスタジオ・アルバムの曲をライブで完全に再現できるなんて驚異的だ。現在のイエスはこうもいかないと思う。もめ事の種と言うべきクリス・スクワイアが在籍している限り…。

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     2009/08/08

    マイケル・シェンカーは自分が関わったバンド(スコーピオンズ、UFO、マイケル・シェンカー・グループ、マッコーリー・シェンカー・グループ、コントラバンド等)のレコーディングに参加したアルバムから1曲ずつ抜き出し、それを参加した年代順に演奏して音楽活動ヒストリーの形にした特別企画のライブ・ツアーを遂行した。これは”ストーリー・ライブ・ツアー”と命名され、マイケルがプロ・デビュー25周年を記念してのものだ。
    1996年に新メンバーによるアルバム『リトゥン・イン・ザ・サンド』を発表してライブ活動を開始した一環のもので、この新メンバーはリーフ・スンディン(リード・ヴォーカル兼サイド・ギター)、マイケル・シェンカー(リード・ギター)、セス・バーンスタイン(サイド・ギター兼キーボード兼バッキング・ヴォーカル)、バリー・スパークス(ベース・ギター兼バッキング・ヴォーカル)、シェーン・ガラース(ドラム)の5名。特別企画ライブ・ツアーにはディヴィッド・ヴァン・ランディングというヴォーカルリストを同伴させる事とした。アルバムによってヴォーカルリストが違うため、その歌唱・特徴をコピー出来るシンガーが必要だと言うことで起用したらしい。

    ”ストーリー・ライブ・ツアー”の中から1997年3月に行なわれた日本公演を収録したものが当ライヴ・アルバムである。アルバムの仕上がりとしては当日演奏された全30曲を全て2枚のCDにびっしり収録されており、DISC-1の(1)〜(16)全曲とDISC-2の(1)〜(3)がメイン・セット・リスト曲だ。DISC-2の(4)〜(14)がアンコール曲で(4)〜(9)が1回目・(10)〜(12)が2回目・(13)〜(14)が3回目となっている。コンサートの始まりと終わりのMCとアンコールを催促する長いMCのみをカットした形となっており、ほぼ完全版的な編集となっている。各メンバーの演奏バランス及び音質等のミキシング調整は良く、良質で迫力のライブを味わえる。

    アルバムの内容としては、相変わらずマイケルのワイルドな凄いギター・プレイ及びサウンドが中心となっているが、全体のバランスを考えて聴かせるプレイをしている。それを補佐するセスのサイド・ギターやキーボードもマイケルとマッチした音を出した良いプレイをしている。バリーのベース・ギターはバンド全体のサウンドをまとめ上げるテクニカルなプレイをしており、ベース音も良好。シエーンのドラムもパワフルなプレイでバンドの迫力を強めている。バンド全体からみてみると大変まとまった演奏で、いろんな異なるバンドの曲をやっても違和感なく迫力の良質な演奏を聴くことができ、ましてやハードで押しっぱなしではなくて聴かせる演奏をしている。名曲がずらりと演奏された聴き所満載のライブ・アルバムであり、普段ライブで聴くことができないのも演奏されている。すなわち各バンドの名曲をじっくりとMSGサウンドで堪能しながら聴くというタイプのライブ・アルバムであろう。

    各曲でのリード・ヴォーカル担当だが、リーフはDISC-1の(16)とDISC-2の(1)(2)(8)のみで、あとはディヴィッドが担当している。ハスキーぎみのリーフだと曲のイメージが変わりそうだが、多彩な歌唱法を持ったソフトでパワフルなハイトーンのディヴィッドが数段上であり、いろんな曲を見事に歌いこなしている。ディヴィッドがリード・ヴォーカルを担当している時のリーフはセカンド及びバッキング・ヴォーカルとサイド・ギターをやっている。

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     2009/08/08

    スタジオ・アルバム『ザ・アンフォーギブン』発表記念として全米ライブ・ツアーが行う計画が進められた。それも、前座のバンドを従えてのツアーである。しかしMSGのメンバー全員がツアー開始前に脱退。急遽考え出した方法は前座のバンド出演が終了後、そのバンドの数名をそのままMSGのメンバーとして演奏する事だった。この案は今のMSGの事情にピッタリであった。マイケル・シンカーの今までのゴタゴタ問題でコンサートは公演中に中止となるトラブルを起こし、その後の公演は中止になるという事を何回も繰り返し、大騒ぎになっる事件をおこしたりして多額の賠償金をはらったり入院したりたりして金銭的にピンチだったからだ。この方法だと低予算ですむし、ツアーも出来て資金が入る。

    MSGの前座バンドとしてヴィニー・ムーア(ソロ・ギタリストとして活躍している名プレイヤー)が選ばれた。そのヴィニーのバックを勤めてMSGとしても勤まるメンバーを厳選した結果、バリー・スパークス(ベース・ギター)、ウェイン・フィンドレイ(ベース・ギター及びキーボード)、シェーン・ガラース(ドラム)の3人が選ばれた。しかも3人はバッキング・ヴォーカルが出来る。そして、MSGとなった時ヴォーカルリストとして出演するのがなんとキース・スラック。スティールハウス・レーンに所属している有名なヴォーカルリストであり、ハード・ポップでありパワフルかつソフトな声質をもつ歌唱の持ち主である。バリーとシャーンはイングヴェイ・マルムスティーン・ライジング・フォースに在籍した事のある実力派プレイヤーだ。ウェインはいろんなバンドのレコーディングやライブ・サポートに参加してきたスタジオ・ミュージシャン兼アディショナル・プレイヤーである。

    ライブの進行手順は次の通りとなっている。最初はヴィニーとバック3人の演奏で8曲が披露され、終了後にメンバー4人は一旦さがる。このあとブィニーを除く3人とキース及びマイケルの5人がステージにたってMSGのステージをはじめる。途中、スペシャル・ゲストとして『ザ・アンフォーギブン』でヴォーカルを担当していたケリーが『ザ・アンフォーギブン』収録曲を中心に数曲披露することとなっていた。

    当ライブ・アルバムは全米ライブ・ツアーを行った数多くの公演の中から一番出来の良い公演を1ヶ所選んだものでMSGのフル・ステージを収録したものである。場所はカリフォルニアのパロ・アルトにある大型のライブ・クラブ(普通のコンサート・ホールをやや小さくしたかんじだそうだ)で1990年5月5日と6日に行われた公演からだそうだ。2日間公演しているからセット・リスト順に編集しているか、どちらかの日をまるまる収録しているかは残念ながらわからない。ヘッド・ホンで注意深く各曲の音量や曲と曲の間等聴いてみると、どうやらどちらかの日をまるまる収録しているように思える。あくまでも私の意見だが...。

    サウンドとしては各演奏のまとまりが良く、全体バッチリきまった迫力のステージを体験できる。音質も良い。またマイケルのギター音量は普通MSGでは全体の演奏バランスに影響しないところまで全面に出した音量で収録しているのだが、当ライブでは多少音量が低めではある。だが、かえって全体のサウンドや各メンバーとのアンサンブル等バランスが整って良く聴こえる。ここで、不思議な事を感じた。演奏曲はMSGとUFOの曲が半々だが、バンドのサウンドがMSGのライブ・サウンドというかマイケルがいた頃のUFOのライブ・サウンドというか、どっちにもとれるサウンドだという事だ。当アルバムで聴ける各メンバーの演奏スタイルも同様だ。キース・スラックのヴォーカルも非常にバンドにマッチしており、歌う曲によって原曲ではヴォーカリストがそれぞれ別人だが、キースは原曲のヴォーカルや歌う曲全体のイメージをまったくといっていいほど壊していない。

    もっと詳しく説明すると、UFOの曲をやるとUFOのバンドに聴こえ、MSGの曲をやるとMSGのバンドに聴こえる。これは不思議だ。打合せでこうなったものなのか、プレイヤーのセンスの力なのか…。とにかく凄いヴォーカル・演奏内容であり、驚異的なコンサートである。

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     2009/08/08

    当ライブは2006年7月15日に行われた第40回モントルー・ジャズ・フェスティバルのヘッドライナーとして出演した時のものである。その時のディープ・パープルはそのトリにふさわしい堂々たるステージを見せたということだ。このパフォーマンスはDVD版で既に発売されていた。しかし、なぜか『パーフェクト・ストレンジャーズ』がカットされていた。その後、CD盤が外国で発売され、内容は12曲収録した1枚物のダイジェスト盤だった。

    そして、日本でもCD盤が発売される事となり、当日のステージを2枚のCDにフル収録されて発売された。フル収録といってもセット・リストを全17曲収録するため、曲と曲の間のMCが一部カットされているということだが、カットしているように聴こえず自然にステージの進行が流れていく。

    演奏は実にうまい。長年やってきたキャリアにより実に脂ののった演奏をしている。この演奏陣のパフォーマンスの練度はむしろ1970年代の演奏をしのぐクォリティに仕上がっていると言っていい。スィーヴ・モースはテクニカルなプレイを身上としつつも決してテクニック一辺倒に終わらない幅広い音楽性を演奏するスタイルでやっている。イアン・ペイスのドラミングは往年と変わらない確実でキレとスウィング感をもってドラミングをしている。ロジャー・グローバーのベースもいつもと変わらぬスタイルであり、演奏する曲の雰囲気に合わせながらいろいろな奏法でバンドの肉付けをしている。ドン・エイリーはジョン・ロードの後継者として加入したメンバーだが、ジョン・ロードがいたディープ・パープルを強調させた演奏をして決して自我を出さない。ここぞという場面ではドン・エイリーの武器である驚異的なプレイが光る。イアン・ギランのヴォーカル自体はさすがに高年齢のためか往年の鋭さが感じられなくなっているが、多くのライブをこなしているからこそ当ライブでは歌いこなせる独特の技が光る歌唱している。以上5人の当ライブでの印象だが、いつもと変わらぬスタイルにいっそう磨きをかけた熟練の演奏である。余裕でやっている印象もあるが、ディープ・パープルだからこそ当たり前の事なのだと思う。

    普通30年以上もバンドをやっていると、どこかに経年劣化してしまう部分が出てくる。すなわち、高くなった年齢には身体的に勝てないということだ。演奏能力やテクニックや歌唱の低下及びパワーの低下などいろいろである。しかし、ディープ・パープルは違う。イアンの歌唱低下は前記で記載した部分にあてはまるのだが、彼は劣化の部分を独自の歌唱法でカバーして克服しているのだ。ギランを含め、高年齢のわりにはパワフルでかつ健康であり、ましてや演奏が劣化するどころか逆に年とともにレベルが上がっている。その事により全体的にはキャリアならではの重みと深みがしっかりと感じられるし、実に味わいのある演奏を聴かせてくれる。

    サウンドは重圧でパワフルである。スィーヴ・モース色が強くなってきているが、これは当たり前である。リッチー・ブラックモアがいたディープ・パープルはリッチー色があまりにも強かった。しかし、スティーブはディープ・パープルというバンドのイメージを壊すような演奏はしていない。するわけがないのだ。スィーヴ・モース色が強くなってきていると記載したが、ディープ・パープルの持ち味をいかしつつ、スティーブの持ち味を加えたプレイをしているだけなのだ。

    全体的に見て、どの曲もそれほど長く演奏していない。演奏パワーが落ちたわけではないので、演奏自体と曲自体を重要視しているためだと思われる。とにかくどの曲の演奏も素晴らしく、メンバー全員楽しんでいるようだ。
    アルバム自体の音質も良く、以前と変わらぬパワーを楽しめるライブである。
    年なと感じさせないパワーと熟練のディープ・パープルを是非とも皆に聴いてほしい。当アルバムは本当に素晴らしい演奏を聴かせてくれる。また、いかにも彼らは一生涯パーフェクトなバンドで突き進むであろうし、この先もファンをより一層楽しませ続けてほしい。

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     2009/08/08

    BBCスタジオの倉庫から第2期ディープ・パープルのBBCスタジオで行われたライブ(観客を大勢呼んで行われた)を完全収録したマスター・テープが2本偶然に発見された。

    検証してみると、1本は1970年のもので、BBC放送局のスタジオ・ライブ用中ホールに観客を大勢呼んでコンサートをやり、それを完全収録したもの。もう1本は1972年のもので、BBC放送局のスタジオ・ライブ用大ホールに観客を大勢呼んでコンサートをやり、それを完全収録したもの。どちらも保存状態が良くいため、支障なく完全に再生する事ができる。また、ミキシング状態や音質も良かった。両方とも観客が大勢いる前で行ったスタジオ・ライブで、どちらにも司会者がおり、所々曲の始まる前に司会者によるMCが入っている。すなわち、司会者によってコンサートは進められたようだ。その方法の考えは、ただコンサート内容を放送するのではなく、FM番組としての放送用の楽しいライブという考えから来たものらしい。

    【イン・コンサート 1970】
    4曲のみ演奏されているが4曲とも長い曲のためである。この4曲はコンサートの時に必ず演奏する曲で、通常は非常に長い演奏をしている。この頃のディープ・パープルのライブは1曲に対する演奏時間が非常に長く、曲によっては30分を超えるものもあった。なぜ長いかというと各メンバーのソロ・パートが異常に長いからであり、熱心なファンじゃないと聴けない。しかし、BBCイン・コンサートである当収録の演奏は普段コンサートで演奏している方法と違う。ソロ・パートもあるがあくまでもバンド全体の演奏とサウンドを聴かせ、また、曲自体を聴かせる演奏をしている。FM放送を聴くリスナー及びBBCスタジオに見にきている観客はディープ・パプルのファンだけではないからだ。しかし4曲とも迫真の演奏で、さすがディープ・パープル!アレンジもよく抜群のアンサンブル力と迫力のある演奏だ!と思うであろう。
    なお、司会はジョン・ピールで1曲1曲ごとに司会者の話があり、それは曲が始まる前に解説者的な言い方で話しをしている。司会者の音量は高い。

    【イン・コンサート 1972】
    8曲演奏されており、この中の6曲が名盤『マシーン・ヘッド』からの曲だ。この時は新作の紹介的な意味でこのようなセット・リストになったのであろう。めったにライブで聴くことができない『メイビー・アイム・ア・レオ』や『ネヴァー・ビフォア』が原曲を忠実に演奏している。その他の曲は基本的に原曲を長めのアレンジで演奏しているが、原曲の持つイメージを壊すことなく実にいい演奏をしている。1970年のライブ同様、いろんなリスナーを飽きさせないアレンジ内容となっているため、ソロばかりが目立つ極端に長い演奏にはなっていない。『スペース・トラッキン』は当コンサートの目玉の曲のため、長い演奏となっているが初めから最後まで迫力ある演奏となっている。名盤『ライブ・イン・ジャパン』での演奏構成が似ているが、どちらかといえば当ライブの方が構成上のアレンジが数段上であろう。最後の『ルシール』は今までのバージョンより当ライブの方が一番大変素晴らしいアレンジとのりの良い演奏だ。
    ここでの司会もジョン・ピェールで、司会は大変明るくて楽しい雰囲気のコンサートを展開させいおり、どの部分でも楽しそうに話をしている。なごやかな口調で1曲終わるたびにメンバーや観客に話しかけて次の曲を演奏してもらい、大変なごやかでいいスタジオ・コンサートになっている。

    上記でも記載したが、当アルバムは普段のコンサートの時の長い演奏と違い、ソロ・パートもあるがあくまでもバンド全体の非常にまとまった演奏と構成力とサウンドを聴かせ、また、曲自体を聴かせる演奏をしているため、どんなファンでもディープ・パープルの演奏の素晴らしさを聴くことができ、彼らの技術も知る事ができる。

    当初は収録時間の関係上によりカットされた観客MC・司会MC・演奏曲の2曲『メイビー・アイム・ア・レオ 』と『スモーク・オン・ザ・ウォーター』のすべてが収録されたため、コンサートの全容をノー・カットで聴くことができ、しかも良質サウンドで味わえる。

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     2009/08/07

    当時人気絶頂のディープ・パープルが新作『マシン・ヘッド』を発表した記念にテレビ局の企画(ライブをテレビ放送する)で、1972年1月13日にデンマークで開催したライブを映像収録(モノクロ)したものである。
    会場は大きなコンサート・ホールで、ステージをぐるりと観客席がかこむ会場だ。

    テレビ局のディレクターによる収録なので音声部のミキシングが大変良い。しかし、カメラ・ワークがとても醜く、イアン・ギランのアップ映像かジョン・ロードとロジャー・グローバー側の映像がほとんどで、肝心のリッチー・ブラックモアの映像は少ししかない(リッチー側にもカメラは設置していたのだが...)。アングル操作もお粗末で、”もう少し右...もう少し左...”と思う映像だらけだ。もう見るに耐えない。

    これはTV局が撮影したという大きな問題があり、ロック・バンドのコンサートに対する撮影法と映像コントロール法の未熟さが大きな欠点となった。そのため大変素晴らしいライブなのに撮影アングルの醜さで作品がだいなしになっている。
    また、リッチーがあまり写っていないのは、リッチーがテレビ・カメラに狙い撮りされるのが大変嫌いだということをディープ・パープルのマネージャーから言われたためにリッチー側のカメラ操作をひかえたという説があるが...。

    映像アングルは醜いが当時のコンサートをノー・カットで収録しているので貴重な第2期ディープ・パープルのコンサート内容を知る事ができるばかりか、いろんなMCを見ることも出来る。また、一旦コンサートが終わりアンコールを催促する長いMCまでしっかりと入っているし、アンコール曲『ファイヤー・ボール』をやるために追加のバス・ドラムをイアン・ペイスの所に持っていってセットしている場面も収録されている。もちろんアンコール曲も当然収録。まさに完全盤である。

    演奏内容とすれば、ディープ・パープルがいつもやっているライブ演奏スタイルと違う。いろんなロック・ファンがいるためにTV放送用のアレンジをして演奏したものだ。通常キーボードやギターの長いソロを中心とした演奏や大々的にアレンジして長い演奏をしているが、ここでは曲と演奏をじっくりと聴かせる事を重要視した演奏であり、とてもカッコ良くした素晴らしいアレンジだ。これは名盤『ライブ・イン・ジャパン』で聴く内容と違った演奏スタイルだ。だが本来の凄さはそのままである。

    ただ、『スモーク・オン・ザ・ウォーター』が入ってないと思うだろうが実際当日は演奏していない。当時メンバー全員がこの曲を気に入らなかった為にセット・リストから外したという。だが、この曲はロック史上の名曲となることに...。今となっては実に不思議な出来事だ。

    当DVDの音源部分をCD2枚に完全収録したCD版『マシン・ヘッド・ライブ〜ライブ・イン・デンマーク 1972』も発売されている。
    私個人の意見だが映像版はカメラ・ワークが醜くてマニアや熱心なファンじゃないと見れないと思う。それよりは、音だけのCD版の方が安心してじっくり良質の演奏を楽しめると思うが...。
    しかし、当ライブは名ライブであり、同年来日前の彼らのちがった演奏スタイルを知る上でも貴重なアイテムだ。名盤『ライブ・イン・ジャパン』と肩をならべるほどの物である。

    またボーナス・トラックとして1973年にニューヨークで行なわれたライブから3曲抜粋して追加収録されている。追加になったライブはカラー映像収録されたものだが、特筆すべきところは『スモーク・オン・ザ・ウォーター』で、なんと中間部のギター・ソロが演奏されていない事だ。一番のサビの部分なのに何故なのだろうか...。

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     2009/08/07

    リード・ヴォーカルのデビット・カヴァアーデイルとベース・ギターのグレン・ヒューズが加入した第3期ディープ・パープル最初のライブが1974年5月22日ロンドンのキルバート公演にて行われた。この模様をBBC放送局がFMラジオ番組『IN CONCERT』用として完全収録したマスター・テープからのものある。

    当初はLP1枚物で、完全収録する予定だったがLP片面に対する収録時間制限の都合上により『スペース・トラッキン』はカットされ、MCも数箇所カットされた。のち、1枚物でのCD化で何回も再発されたが内容はLPの時とまったく同じであった。

    その後、デジタル・リマスターされたCD2枚組の紙ダブル・ジャケット仕様で再発された。DISC1に今までと同じ内容が収録され、DISC2には今までカットされていた『スペース・トラッキング』のみが収録。しかし、『スペース・トラッキン』の音質等は実に不安定であり、MCがカットされていた部分は復元されていなかった。

    その後、最新のデジタル・リマスター機器を導入して2枚組の完全盤が発売された。カットされたMCが完全復元されており、録音状態の不安定だった『スペース・トラッキン』がバランスの良い状態になっている。これで当日のステージを良質の状態で完全に聴けることになった。
    この完全盤は外国盤のみの発売であり、日本盤は発売しない事となった。

    なぜかというと完全盤を製作中に原音を忠実に再現する最新高技術機器であるK2HDシステムが出現したためで、上記の機器で復元させた新マスター・テープをK2HDシステムで再処理して製作。これを日本のみで発売したからである。

    当ライブ・アルバムの内容は実に良い。演奏・ヴォーカルとともに充実しており、スタジオ盤『紫の炎』よりも曲の感じが数段上であり、ミキシング状態も良くてバランスのとれた迫力満点のサウンドだ。曲のアレンジも原曲をパワーアップさせて長めの演奏となっている。そのため、二度とスタジオ・アルバム『紫の炎』を聴きたくなくなるほどだ。
    デビット・カヴァーデイルも加入したばかりなのか、大変落ち着いて綺麗に歌っている。気のせいか第2期の頃よりもリッチー・ブラックモアのギター・プレイや音色が凄まじい。グレン・ヒューズのうねる重低音ベースも心地よく、パンチがあってのりの良い演奏をしている。このベース・プレイのためなのかリッチー・ブラックモアのギター・プレイがやたらとカッコ良く聴こえる。もちろん、ジョン・ロードのキーボードは定番のテクニカルなプレイではあるが、以前よりも一味違ったスタイルをみせているけどかなり効果的であり、バンドに厚みと迫力を加えている。イアン・ペイスは相変わらずパワフルで正確なドラミングをしている。とにかく5人全員の演奏とヴォーカルはバランスの良いアンサンブルであり、ダイナミックで重圧なサウンドなので全てが大迫力だ。第3期ディープ・パープルの真のパワーはライブで100%発揮されると言われているが、アルバムを聴くと正にそう思う。スタジオ・アルバムでは味わえないパワーと実にカッコイイ演奏・アレンジ及びサウンドだ。

    『ハイウェイ・スター』がカットされているが、この曲はメイン・セット・リストに入っておらず、アンコールの時に演奏された。もちろんマスター・テープにも収録されている。
    収録されなかった理由は次の通りだ。
    『ハイウェイ・スター』は第3期からアンコール曲兼ギター・クラッシュ用としており、当コンサートでもギター・クラッシュが行われた。
    『カルフォルニア・ジャム』では『スペース・トラッキン』の演奏途中でギター・クラッシュが行われ、CD版では雑音にしか聴こえない。当ライブでも曲の途中からギター・クラッシュをしたため雑音の嵐だったので収録しなかったという。
    『カルフォルニア・ジャム』CD版の関係上、収録するか外して正解だったかは賛否にわかれる。

    余談だか、MCのなかで私が特にお気に入りなのは、ジョン・ロードによるメンバー1人1人の紹介だ。この雰囲気が実にいい。いままでディープ・パープルのライブ・アルバムをかなり収集してきたが、メンバー紹介が収録されているのは当アルバムだけだ。

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     2009/08/07

    日本のあるスタジオの倉庫から初来日したディープ・パープルの3公演(1972年8月15〜17日)を完全収録したレコーディング用オープン・リール・テープ(マスター・テープ)が偶然発見された。当時、ディープ・パープルのエンジニアが本国に持ち帰ったはずなのに、なぜ日本にマスター・テープが保管されてあったのかは今もって謎だということだ。
    発見された時のマスター・テープはアルミホイルに包まれて箱に入っており、大変良い保存状態だっそうだ。

    そこで、検証のため全部再生してみると全編にわたって記録状態に支障がなく、ミキシングや音質等の内容も大変よくて、このまま商品化してもおかしくないと思うほどのサウンド状態だったそうだ。バンドの迫力ある演奏とヴォーカル、それに答えるかのように観客の大きな声援等当時のコンサートの凄い熱気が収録されていた。また、所々ヴォーカルや演奏のミスしているところも生々しく収録されているそうだ。

    当時の収録に対しては、日本人スタッフによる高性能のレコーディング機器(ソニー製)を使用して収録されたもので、ディープ・パープルのメンバーは収録された内容を聴いて、ミキシングと音の良さに大変驚いたというエピソードが残っている。

    1972年に来日した時は3公演のみではあったが、上記に記載したとおり、マスター・テープの状態があまりにも良質であり、また、名盤『ライブ・イン・ジャパン』の元となった大変貴重な記録なので、マスター・テープの全編をデジタル・リマスターして完全版として全公演をCD化にしてBOX仕様販売するという企画がでて実行に移った。
    しかし、完全盤として1公演につきCDに収録すると2枚になってしまい、合計6枚のBOXでは販売価格が高くなり売れない可能性もあるため、1公演を1CDに収録する事になり、合計3枚組のBOX仕様と決定された。

    1CDの収録時間の都合上、曲やMCをカットして各公演を収録した。MC部分に関しては、コンサートの始まりと終わりの部分及び曲と曲の間を一部分カット。曲部分に関しては、ほとんどのアンコール曲をカットし、メイン・セット・リスト曲から正規盤『ライブ・イン・ジャパン』で取り上げた各公演の曲の中から2曲をカット。
    では、公演ごとに編集内容を軽く説明しよう。

    (1)1972年8月15日大阪フェスティバル公演(1回目)
    コンサートの熱い雰囲気を殺さない程度に所々のMCを少しカット。アンコールを1曲収録するため、『ライブ・イン・ジャパン』の『スモーク・オン・ザ・ウォーター』はこの日のテイクを使用したのでカット。そのかわりに当日のアンコール曲の1つ『ブラック・ナイト』を収録して他はカット。

    (2)1972年8月16日大阪フェスティバル公演(2回目)
    コンサートの熱い雰囲気を殺さない程度に所々のMCを少しカット。メイン・セット・リスト曲全部収録。アンコール曲は全部カット。

    (3)1972年8月17日東京日本武道館公演
    コンサートの熱い雰囲気を殺さない程度に所々のMCを少しカット。アンコールを1曲収録するため、『ライブ・イン・ジャパン』の『ミュール』はこの日のテイクを使用したのでカット。そのかわりに当日のアンコール曲の1つ『スピード・キング』を収録して他はカット。

    だが、オープニングからアンコールまで各公演の完全ライブが聴けないので残念でしょうがない。ファンだったら最初からMCもカットせずにアンコールまで全部聴きたいはずだ。6枚組になって価格が高くなってもファンにとっては値段の高い・安いは全然おかまいなしだ。

    しかし、中途半端な完全版だが買って聴く価値は十分ある。音が良いし、ライブ自体ががすごいから。また、各会場との演奏の違いを比べることや正規盤との聴き比べもできる。
    不完全な物をだして『完全版』という文字をだした当アルバムだが、本当の完全盤を出す時が近いような気がしてならない。

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     2009/08/07

    スタジオ・アルバム『イン・ロック』を発表した時期のコンサートは、どの曲も長い演奏でヴォーカル・パートは極めて少なく、ほとんどインストルメンタルである。時には1曲の演奏時間が30分以上となるが各メンバーのソロが異常に長いからで、主にリッチー・ブラックモアのギター・ソロとジョン・ロードのキーボード・ソロだ。迫力ある演奏をバックにソロをするのではなく、低い音量でシンプルなバック演奏で長いソロをやるのである。時にはバック演奏なしで長いソロをする場合も多い。長い演奏のためにコンサート自体の演奏曲数もアンコール曲含めて7曲程度で、コンサートの時間も1時間30分〜2時間位。演奏するセット・リスト曲及び演奏順番がどの公演でも同じだったようである。

    ディープ・パープルの熱心なファンやコンサートに実際いったファン、または各メンバーの演奏をじっくりと聴くファンなどじゃないと聴けない。普通に聴く方だったら飽きてしまうだろうし、ましてやライブ・アルバムは音だけのものなので聴くとなおさらすぐ飽きるであろう。

    当ライブ・アルバムは1970年11月12日に行われたスカンジナヴィア公演を収録したものである。当初はLP2枚組で片面の収録時間制限によりセット・リスト順に収録されていなく、CD化になってもしばらくはLPの収録順とおなじだった。
    のち、テジタル・リマスター化になってセット・リスト順に収録されたのが繰り返し再発となっている。しかし、気にかかる事はMCがカットされてしまっている箇所がある事だ。不思議である。

    『イントゥ・ザ・ファイヤー』とアンコールの『ブラック・ナイト』を除いた5曲はリッチー・ブラックモアとジョン・ロードのソロ演奏が長いために1曲の演奏時間が実に長い演奏となっている。
    『リング・ザ・ネック』ではリッチー・ブラックモアとジョン・ロードが自由自在にソロをプレイしている。その他のメンバーも次々に変化するソロに対して即座に対応した演奏しており、大変見事である。いかに彼らが打合せもなく本番中にその時の演奏の変化に対応できる演奏能力をもっているかがわかる。

    ローリング・ストーンズの曲『ペイント・イット・ブラック』は、最初は原曲どおりにデイープ・パープル調で演奏し、のちイアン・ペイスの強烈なドラム・ソロが続く。そしてエンディングは最初の演奏に戻って終わる。『スピード・キング』は基本的には原曲どおり最初から最後まで迫力の演奏で突っ走るが中間部でリッチーの控えめ的な長いギター・ソロが入っている。この時の他のメンバーの演奏も抑え気味な演奏であり、リッチーのソロを生かすためである。『チャイルト・イン・タイム』も基本的に原曲どおりの演奏だが、やはり、リッチーのギター・ソロ部分がやたらと長い。スタジオ・アルバム『イン・ロック』に収録されているギター・ソロのメロディーとまったく違い、完全なるアドリブである。

    『イントゥ・ザ・ファイヤー』とアンコールの『ブラック・ナイト』は原曲どおりに演奏しているが、やはり最大の聴き所はなんといってもメイン・セット・リスト曲の最後を飾る『マンドレイク・ルート』であろう。出だしから迫力ある演奏とヴォーカルがミディアム・テンポで始まり、途中からテンポが速くなりジョンとリッチーが交互にソロを長く演奏する。そして、だんだん演奏がゆっくりとなって静かな感じになっていくが、やはりジョンとリッチーのソロが静かな雰囲気にあわせて演奏する。しだいにスピードがあがり演奏もパワーを出してきてエンディングに向かって迫力ある演奏でつっぱしり、しばらく続いた後に派手に演奏が終わる。このスリリングさと迫力は鳥肌がたつ。

    ちなみに、当ライブは数ある第2期ディープ・パープル初期のライブの中で最高傑作ライブと言われている。

    最初のデジタル・リマスター盤の時はセット・リスト順に手直しして収録されたものだが、MCが一部カットされるという不思議な内容だった。当『Live in Stockholm 1970』はカットされたMCが復元されており、それだけではなくマスター・テープそのままを収録したものだそうなので全てのMCが収録され、全ステージの雰囲気を味わう事が出来るため、本当の完全盤といえる。

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     2009/08/07

    名盤である『ライブ・イン・ジャパン』の内容については誰もが知っているほど有名なので説明しません。説明するのは当アルバムの仕様である。

    名盤『ライブ・イン・ジャパン』の製作過程を簡単に説明すると次のとおりである。公演当時は日本のエンジニアによりライブ・レコーディングを行った。全公演終了後、ディープ・パープルのマネージメントのエンジニアがマスター・テープを本国へ持ち帰り、使用する部分を1次ミキシングしながらダビングする作業をする(この時点で観客の歓声に対しては、歓声音量は抑えられ、短くされていた)。この時点でマスター・テープが2つ存在することになる。1つは全公演をノー・カットで収録したマスター・テープ。もう1つはアルバム『ライブ・イン・ジャパン』用のマスター・テープだ。話を元に戻そう。1次ミキシングの終わったアルバム用マスター・テープを再びエンジニアにより2次加工をおこなった。それはかなり手の込んだ作業で再ミキシングや音質加工等を1次加工以上に行い、最終的に素晴らしい内容に仕上げたものであった。

    プロデューサーでもあるロジャー・グローバーは仕上がり度に少し不満があった。抜粋版とはいえ、曲と曲の間のフェード・インとフェード・アウトが気に入らなかったそうだ。もうひとつある。熱いコンサートだったのに歓声のMC音量も抑えられただけではなくカットされて短くなっていたり、アンコール曲がまったく抜けているのもいやだったらしい。

    そこで、マネージメントやディープ・パープルのメンバーを説得したロジャー・グローバーはアニバーサリー・シリーズの1つとして『ライブ・イン・ジャパン』を加工することになった。あまりにも有名になりすぎたアルバムなので本当のマスター・テープ(現地録音したテープ)を使用しないで、『ライブ・イン・ジャパン』のマスター・テープを使用した。当時高性能のリマスター機器を導入し、できるだけ曲と曲の間の観客の声をくっつけてフェード・インとフェード・アウトをなくした。ただ、『ライブ・イン・ジャパン』のマスター・テープを使用しているため、どうしても観客の声を大きくすることができなかったそうだ(無理やり音量を高くすると不自然になるということで)。ミキシングの方も全体的に手直し作業を行った。

    そして、『ライブ・イン・ジャパン』に収録されなかったアンコール曲を収録。もちろんリマスター収録だ。これまでなんらかの形で収録されたアンコール曲を除いたバージョンを選んだ。当時アンコールとして演奏されたのは『スピード・キング』『ブラック・ナイト』『ルシール』の3曲で、これで一通り聴くと1ステージ分となる。
    最終的に当アルバムはCD1枚目がセット・リスト分でCD2枚目がアンコール分という仕様となった。

    ロジャー・グローバーは日本にある本当のマスター・テープを使用したかったそうだが、マネージメントやレコード会社が許さなかったという。
    以前の『ライブ・イン・ジャパン』よりも当アルバムの方が断然良い。音質が鮮明で迫力が増しており、アンコールまで聴ける。ただ、MCが弱弱しく短いが、前記したとおり日本にある本当のマスター・テープを使用できなかったためであるが、それはしょうがないことである。

    ロジャー・グローバーに感謝したい。名盤『ライブ・イン・ジャパン』を出来る限りパワー・アップさせてくれて...。

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     2009/07/17

    これはオフィシャル・ブートレッグで1公演をカセット・テープにフル収録して、それを2枚のCDに収めたものである。それが4公演分BOXに入っている。EL&Pのメンバーは行なったコンサートに対して内容のチエックを必ずやり、次の公演のためにテープを聴きながら検討を怠らなかった。当CDはそのテープを使用したものだ。
    そのため、音質は非常に悪い。こもった音になったり、はっきりした音になったりだ。一瞬音が途切れる場所もあったり、おとが震えたりする箇所もある。臨場感がありすぎで、会場側に設置したミキサー操作スペースにテープレコーダーを置いてマイク録音したたり、ミキサーからのラインを録音したらしい。
    しかし、当時のフル・ステージを収録した貴重な音源であり、EL&Pファンだったら十分楽しめるのではなかろうか。
    ファン以外の方は購入ご遠慮ください。がっかりするだけですから。

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